先日のブログでも結果は書きましたが、3日日曜に熊谷ラグビー場Cグランドでは高校生の15人制の大会が行われました。60名近くの女子ラガールが集まり、普及と強化両方で貴重な機会となりました。
昨年までは7人制の大会で、各チームが競いあいましたが、今年は15人制ということで北関東と南関東に別れ、週末に練習会を数回行ってこの日を迎えました。南関東はブレイブルーヴ、関東学院六浦高校が多くの経験者を抱えているのもあり、助っ人を数人借りる形で試合を行いました。昨年のGWに行われたサニックスワールドユースに出場したブレイブルーヴが北関東、関東学院六浦に勝利し、2勝しました。
初心者や下級生中心は15分1本を2試合、貴重な試合経験でした
南関東チームは千葉県の1年生を中心に山梨、東京の選手を加えて構成されました。私も事前の練習会に参加しましたが、経験の浅い選手も多いので、参加した選手皆でFWBK関係なくスクラムを組んでみたり、ラインアウトでリフトもジャンプもしてみたり、普段は人数が少なくて出来ないことを中心に取り組みました。国際武道大学女子ラグビー部監督の廣瀬先生、澤田コーチもが練習をリードし、高校生のスキルアップに取り組んできました。
南関東も北関東も下級生だけでは人数が15人揃わないため、上級生の力を借りて戦いましたが思っていた以上にラグビーになっていました。経験者がボールを動かす役割を担い、積極的なアタックや怖がらずにタックル姿を多く見ました。以前と比べると小学生や中学生の頃にラグビーを始めた選手が増えてきて、初心者の選手をしっかりフォローしたり、動かしたりすることができているのかなと思います。下級生試合のスクラムはノーコンテストでおこないましたが、もう少し事前に練習する時間を作って、姿勢やキーポイントを理解すれば今後の成長がより早く進むと感じました。
三つ巴の上級生試合は20分、どれも白熱したプレー内容でした
上級生の試合は北関東、ブレイブルーブ、関東学院六浦高校の3チームでしたが、以前と比べるとボールをしっかり蹴れる選手、仕掛けてパスを放れる選手が増えてきました。結果、ボールをワイドに動かして飛ばしパスを入れたり、仕掛けた選手に素早く寄ってDFの裏に出るようなプレーが見られました。
私は女子ラグビーに関わって5年近くになりますが、3年前は高校生のトップレベルでもスキル不足を感じていました。高校の女子のトップ選手がプレーする花園の東西対抗を見ていてもキックを上手に蹴れる選手がおらず、パスも長いパスが放れない。結果2,3回のパスでDFに捕まってラックになるの繰り返し。ATのオプションが少なく、ボールが動かずにプレーしているエリアもほとんど変わりませんでした。例えると20分ハーフのうち10分が敵陣で攻撃、残り10分が自陣で守りみたいな感じです。
ここ2年くらいの間に、経験者が増えてきたことや代表チーム含めたレベルアップのおかげで、高校女子の試合でもラグビーらしいプレーが見られました。上級生チームからのMVPは2敗した北関東から秋田若菜選手が選ばれましたが、ATではレッグドライブでしっかり前に出る。DFでは激しいタックルで相手を倒して上に乗る。ラインアウトでもジャンパーを務め真っ直ぐきれいに飛ぶ。1年生とは思えないアグレッシブさを見せていました。セブンズユースアカデミーにも選出されているので、今後がとても楽しみな選手の1人です。
今後も15人制の大会が増えることが女子全体の育成、普及に繋がる
7人制の試合を見ていると、ラグビーを早く始めた経験者の活躍が目立ちます。そしてパスを投げれる選手、ステップの上手い選手、足が速い選手ばかりが注目を集めます。しかし多くの高校女子ラガールは未経験者、例えばマネージャーをしていたが、誘われて選手に転向した子も多いです。そして体もまだしっかり出来ていません。そんな選手たちがラグビーを楽しむきっかけをつくれるのは、やはり15人制だと思います。皆で集まってスクラムを組んだり、ラインアウトでリフトしたり、飛んだり、そうやって仲間とやる時間が大事なのではないかと。
15人制の試合を行ううえで、スクラムやラインアウトを成立させるためにも集まって合同練習する機会があります。学校や都県の枠にとらわれず、他地域の選手と知り合い、学びあい、仲間を作って、ラグビーを楽しんで欲しい。そして大学にいってもそれぞれのペースでラグビーを続けて欲しい。まだまだ女子がラグビーを始めたり、続けたりするのは決して簡単なことではないと思います。なでしこJAPANが2011年のW杯で優勝を果たしてから、女子サッカーが盛り上がってきましたし、女子ラグビーも将来のビジョンを持って、全体が地道に成長していけるように今後も大会の運営や練習会に参加していきたいと思います。
この時期に15人制を経験したことが夏のコベルコカップに向けたセレクションにも繋がってきます。高校の女子ラグビーに関しては、大会だけでなくビジョンだったり、練習方法についても、今後書いていきます。ユース世代からフル代表への一貫した強化に繋げるシステム作りをしていきたい。私自身ももっと頑張っていきます。