28日日曜にカザフスタンで行われたAsia Rugby Women’s Championship(ARWC)で日本代表サクラフィフティーンは若いカザフスタン代表を相手に11トライを奪い、72-0で大勝。今回で5回目のアジア制覇だそうです。日本協会HPの試合後コメントは、こちら。レスリーHC、長田キャプテン、テストマッチ初出場、初キャップを獲得した若手選手らのコメントが掲載されています。
今回のARWCでは当初23日に予定されていた中国とのテストマッチが相手の不参加により中止となり、香港に競り勝ったカザフスタンとの決勝戦に向けて短い準備期間とはいえ、しっかり調整出来たと思います。相手を分析したうえで、アタックではWTB/FBのDF時のポジションとキックケアが弱みと判断して、裏へのキックを有効に活用しました。自陣からのキックで50-22ルールを2回適応できたのはその1つでしょうし、外のスペースへのキックパスがきれいに決まったトライもありました。昨年のW杯、日本国内での大会でキッキングゲームの経験を重ねたことが、ほかのアジアのチームとの力の差をさらに拡げたと感じました。
一方でDFは前に出て接点でファイトするのは前提として、ダブルタックルでボールキャリアーを押し返して相手を押し下げる場面が何度もありました。長田キャプテンはFW周辺など接点近くでプレーをする姿が目立った印象です。カザフスタンの重たい選手の突進に下げられる場面もありましたが、全体的には相手より素早く動き、しっかり連携して強いファイトを繰り返して、カザフスタンは攻め手がなかったと思います。男子と同様、アジアでは圧倒的な強さを見せつけることが出来ました。そして先ほどのHPのコメントにも合った通り、秋のWXVに向けてのスタートとしては良かったと思います。出てきた課題を修正し、さらに強くなって挑めるように、まだまだこれからという意識でそれぞれが強く上手くなって欲しいです。
10月に行われるWXVについて改めて整理してみました
そして秋に開催される女子の新たな国際大会「WXV」について、あまりラグビー関係者には知られていないようです。確かに代表スケジュールだったり、大会参加の公式発表的なのは出ていないですよね。2年少し前のブログでも書いていましたが、各地域での大会の結果で参加チームも少しずつ決まってきたので、改めて整理してみました。World RugbyのWebサイトで公開された記事はこちら
⇒「活気に満ちたブランドロゴの公開とともに WXVの開催地と開催日程発表」
この大会はWorld Rugbyが女子ラグビーの更なる成長を期待して毎年開催されます。少し前の男子のようにヨーロッパや南半球の主要国以外でもラグビーをより成長、拡大していこう。つまりはグローバル化といったところでしょうか。大事なポイントをいくつか挙げると
1.各地域での大会を予選と扱い、W杯の12チームより多い18チームが参加
2.WXV2は南アフリカ、ケープタウンで10月14、21、28日の週末に開催
3.大会はクロスプール方式(おそらく2プールに分けて別プールの3チームと試合)
4.WXV2で6位(最下位)になったチーム(地域代表枠)は来年WXV3に降格
そのため日本が掲げる最低限の目標としては「1勝してWXV2に残留すること」でしょうか。上記の写真の通り、日本、スコットランド、南アフリカが決定。残りの3チームですがまずオセアニア1位(おそらくフィジー)、パシフィック4シリーズの最下位(おそらく米国)、もう1チームはヨーロッパからですが、World RugbyのWebサイト記事によると、イタリアとスペインでプレーオフが行われるようです。プレーオフで負けた方がWXV3に入りますが、組合せを見る限り、WXV3はおそらくヨーロッパ2チームが圧勝するでしょう。
なのでWXV2に向けた日本の戦略としては、過去に勝利経験のある南アフリカ、フィジーには確実に勝利し、昨年のW杯で惜敗した米国やイタリア(おそらく)相手にどれだけ迫れるか、といったところです。まだ代表の活動予定もわからないので、何とも言えませんがW杯を経験した選手たちのリベンジしたいモチベーションは高いと思います。粘り強いDFで失点を極力抑えて戦い抜けば、最下位は回避できるでしょう。Youtubeなどで他の国の試合映像も見れると思いますが、出来れば夏かWXVの前にテストマッチを組めたら、最高ですね。太陽生命WSSの戦いを経て、代表に合流するメンバーも変わるでしょう。
駆け足でWXVについてまとめてみましたが、先日のARWCでも見れたようなプレーを強豪相手にどれだけ出来るか、昨年のW杯と同じくらいのチャレンジが待っています。個人的にはレスリーさんに加えて新たなコーチングスタッフ(特に攻撃を組み立てる方)が入って欲しいと願っています。まずは春のセブンズでアピールする選手がたくさん出てきて欲しいですね!