北九州セブンズと代表セレクションのTID合宿

もう金曜になってしまいましたが、先週末はミクニワールドスタジアム北九州で行われた「北洋建設-Nanairo CUP」に行ってきました。夜行バスでの往復、日曜のみの観戦でしたが、天気にも恵まれて、非常に良い1日。何より北九州の小倉、ミクスタという場所が本当に好きになりました。以前は女子ワールドセブンズシリーズが行われていたスタジアム、バックスタンド裏はすぐ海、フィールドが近いコンパクトな球技専用スタジアム、良いですね。

日本代表女子SDSの成長を改めて感じた日曜の試合

https://twitter.com/nanairocup/status/1625608550503563264
ナナイロプリズム福岡、ながとブルーエンジェルスに勝ち、全勝したSDS

大会は会場音楽、MCなどの演出、売店、多くのボランティアスタッフなど、この2日間に向けてしっかり準備して運営してきたのを感じました。2日間合わせて3,000名を超える観客が集まり、まずは冠スポンサーの北洋建設さんはじめ、大会スポンサーや運営関係者の皆様、ありがとうございました。

https://twitter.com/nanairocup/status/1624678880291491841
最終順位、来月に行われるリージョナル7s、春の太陽生命7sシリーズに向けての戦い

大会を簡単に振り返ると、優勝した日本SDSはワールドシリーズでも活躍した平野選手、大谷選手、辻崎選手がながと、須田選手が追手門、中村選手、小笹選手、永田選手がナナイロと所属チームで出場していましたが、梶木選手、三枝選手、保井選手らに加えてこの大会に参加した選手たち(日本協会HPの別府合宿参加メンバー)がそれぞれ代表入りに向けて良いプレーをしていました。サクラセブンズと同様、交代出場の選手含め攻守に7人の連携がしっかりしていて、ゲームの流れを作っていました。一部、出場しない選手もいましたが、コンディションの良い選手を起用したということでしょう。

土曜に予選プールで1位通過したながとはブラジル代表でワールドシリーズでも活躍したWTBのシルバ選手が加入、また立正大の大谷選手がこの大会から加入、代表経験者も多く、ほかの外国人選手とのポジション争いでこれから太陽生命WSSに向けて成熟していくのかなと感じました。ナナイロはSDSメンバー以外の選手もレベルが上がり、海外から加わったWTBジラワン選手は手足が長く、スピードがありました。リージョナル7sでも注目を集めそうです。

試合後にスタンドにあいさつに来たながと、隣県での開催に多くのファンが応援に来ていたと思います

それ以外のチームだとアザレアにも新たな外国人選手が加わり、これからほかの選手との連携が良くなって、強くなるでしょうし、7位に終わった日本経済大学は同じ時期に熊谷で行われた女子15人制の強化合宿に主力選手を派遣していて厳しい戦いとなりましたが、チームの底上げに繋がったと思います。8位の四国大学、最近はコロナ禍の影響でリクルートに苦労し、4年生の卒業もあってこの大会は8名での参加でした。日曜は2勝しましたが、太陽生命WSSでも厳しい戦いになると思います。この時期はどのチームもまだ選手の入れ替わりなどもあって、いろいろ試しているところもあるでしょう。春シーズンに向けて、結果にこだわらず、チームの強化につなげる良い大会になったと思います。

2月になりユース含めて代表強化の合宿が開催されています

そして先週、女子15人制強化・TID合同合宿の開催が日本協会HPで発表されて、参加メンバーはこちらです。主に冬の関東・関西大会で活躍した選手が招集されていて、東軍西軍に分かれて試合も行われているようです。確か2019年の3月には瑞穂ラグビー場で東西対抗戦が行われいて、東軍は現在早稲田大学ラグビー部監督の大田尾さん、TIDマネージャーの野澤さんがコーチングスタッフ入りして、面白いチーム作りをしていました。コロナ禍でここ数年は開催されていませんでしたが、代表へのセレクションマッチの意味合いが濃くなりましたね。

Youtubeに当時の試合映像がありました、平成30年度で東軍には2022年のW杯に出場した選手が多くいました

参加メンバーを改めてみると、全国選手権で活躍したフェニックスの野田選手が入っていないのはなんか残念ですね。合宿レポートでは12日に熊谷で行われた試合の写真が掲載されていて、参加したある選手からこの日は東軍が勝利したと聞いています。今週末は柏市の麗澤ラグビー場で行われて、19日の試合は一般の方も見学できるとか。ここでの活躍、アピールが代表入りに繋がり、秋に行われる国際大会に向けての強化のスタートといったところでしょうか。

そしてその下の世代というか、TIDユースチーム徳島合宿も15日から19日の日程で行われています。合宿参加メンバーはこちら。高校生が中心ですが、大学生も招集されていますね。フル代表の強化に繋がるユースの強化についてはセブンズユースアカデミーがかなり前から実施されていて、そこからサクラセブンズ、サクラフィフティーンに育った選手も多くいます。そして昨年から15人制もユース世代の代表強化に取り組んでいます。今は合宿でマインドセット、スキルの強化が目的なのかなと。コーチングスタッフには男子のユース強化に携わる野澤さん、スピードコーチの里さんにサクラフィフティーンのコーチでもあるルイースさんもいますし、昨年のW杯代表のPEARLS玉井選手もサポートコーチとして参加しています。参加選手には大変指摘的な内容になっていると思いますし、ここから2025年、2029年のW杯に向けて、レベルアップに励んでほしいですね。本当にユースの強化は将来の代表強化に直結するので。

代表強化の年間スケジュールはなかなか発表されないので、もどかしいところはありますが、現場レベルの強化はノウハウを重ねて年々良くなっていると感じています。フル代表のスタッフ含めた体制がどうなるかも気になりますが、まずは個々の選手も更なるレベルアップに期待します。

白馬が女子ベスト15を選んでみた

一昨日の全国女子選手権で女子ラグビーの2022-2023シーズンは終了みたいな感じで、15人制については春の豪州遠征、夏の国内テストマッチシリーズ、秋のW杯、冬の関東・関西大会というように国内外での試合が過去最多だったと思います。さっそく今週末は北九州でセブンズの大会が、そして来月には太陽生命WSSのコアチーム入りをかけたリージョナルセブンズが行われます。女子ラグビー、オフらしい期間がないのは魅力と言って良いのかどうか(苦笑)
改めてプレーする選手、そしてチーム関係者の皆様、いつもありがとうございます。

太陽生命WSSではRUGBY JAPAN 365で大友信彦さんが大会ベスト7を発表していますが、そういえば15人制のベスト15って見たことなかった。なので関西大会、関東大会、全国女子選手権をそれぞれ現場で観戦したワタクシが選んでみました(先週辺りから仕事や移動の合間に考えて)。ベスト15以外でもそのポジションで気になった選手も挙げたので、もしこの選手も良いとか、活躍したとか、そういうのもあればどっかで教えて頂けると今後チェックしたいので嬉しいです。写真はラグビー女子日本代表応援サイトのギャラリーから拝借しました。

PR 1番南早紀(アルテミ)、3番加藤幸子(アルテミ)

まずはプロップ、あまり悩まず決まりました。サクラ15でも活躍した2人、まずは代表キャプテンという大役を担い、W杯後はアルテミスターズでも活躍し先日引退を発表した南選手。強固なスクラムとボールキャリー、低いタックルでまだまだ活躍できる力はあると思いますが、本当にやり切って終えるというアスリート人生も良いですね。勝負のイタリア戦、後半にペナルティーから迷わずクイックを仕掛けた場面は興奮しましたね。そして加藤選手。W杯に向けてリハビリから夏のテストマッチで復帰すると、激しいタックル、器用なプレーなど多くの活躍を見せました。アルテミスターズでもPRというきついポジションで最後まで試合に出続けていましたし、今後も代表で活躍してくれるのを期待します。

それ以外の選手では5日の決勝でトライを挙げた日体大の小牧選手、フェニックスの柏木選手は今後の活躍が楽しみだなと感じましたし、アルテミのラベマイまこと選手の強烈すぎるタックルも見たいですね。あとは高校生から佐賀工業の町田美陽選手ですね。西軍の3番として前半のみの出場ですが、何度もボールキャリーしている姿が印象的です(もしLOで出場していたら、そっちで選んでました)。進学先はわかりませんが、次のW杯、これからの代表に向けて育成していかないといけない選手の1人です。

早紀は本当にお疲れ様、サクラは南選手のような逸材をこれから育てていかないとです。

HO 小鍜治歩(東京山九)

プロップ長くなったな(苦笑) 続いてフッカー、悩んだポジションの1つです。どの試合でも大事なラインアウトでのスローイングという場面、プレッシャーでミスが目立ってしまう選手が多い中、小鍛治選手は5日の決勝戦では良いスローイングを見せていました(ミスもちょっとあったかな)。またスクラムでは日体大を再三押し込んでいました(背番号は3ですが、ポジションはHOでした)。今後はスローイングを磨きつつ、フィールドプレーでの目立った活躍も期待しています。サクラ15の選手でもスローイングに苦戦して難しい中、アルカスの公家選手も候補でしたが、なかなかプレーを見る機会がなくすみません。今後の代表ではこのポジションで安定したスローイング、フィールドでは良いハンドリングスキルと巧みなボールキャリーのスキルを持った選手が活躍してくれると思うので、頑張ってほしいポジションです。

LO 4番ジェイド・コーティス(東京山九)、5番佐藤優奈(東京山九)

続いてロック、少し悩みました。なぜかというと、なかなか決め手みたいなものがない(苦笑) その中でもまず佐藤選手は代表でもサイズの大きな海外の選手を相手にフィジカルバトルを惜しまず、ボールキャリーやブレイクダウンでファイト出来る選手で、愚直という言葉が似合うというのかな。そしてジェイド選手は全国選手権の2試合しか見れてはいないのですが、178㎝のサイズでよく走って、よくコンタクトして、骨太のロックらしい選手です。準決勝の2トライ目はジェイドがG前でオフロードを貰って飛び込みましたね。今後の代表ではセットプレーで活躍してくれるロックが求められますし、Strong Girlsプロジェクトもありますが、170後半くらい、それ以上の高さのある選手をどう育成して代表入りまで導けるかは強化の課題ですね。サクラ15のFWの顔、なんて言われるような選手が出てくるのを期待します。

FL 長田いろは(アルカス)、鈴木実沙紀(東京山九) No8齊藤聖奈(PEARLS)

画面の向こうにも試合中の指示の声が聞こえてくる鈴木選手、留学したNZでのW杯、もっと見たかった

続いてフランカー、そしてNo8。ここは多くは迷いませんでした。鈴木選手、齊藤選手は代表の顔といえる選手ですし、所属チームでの活躍もあって選びました。長田選手はW杯で外国人FWを相手に奮闘していました。確かタックル回数が代表の中で一番だったんじゃないかな。まず鈴木選手はフェニックスでも決勝戦のゲームキャプテンとしてフル出場し、活躍していました。誰が呼んだのか、ジャッカルクイーン。試合を見ていて相手のFWが倒されたとき、低い姿勢でジャッカル入っていたら、だいたい実沙紀(苦笑) 低いタックルもですが、プレー中の声掛けなど、自分のプレーに加えてチームの力を高めてくれる選手の1人です。

もう1人のFL、長田選手は以前はCTBでテストマッチに出場してたり、セブンズでも活躍していましたが、サイズアップしてフランカーに。豊富な運動量、接点でのファイト、最後まで体を張れる選手ですね。W杯後は少しお休みして、関東大会の途中で復帰しましたが、そこではプレーを見れず少し残念でした。今後の代表ではFLのポジションに求められることがもう少し増えるのではないかと予想します、具体的にはBKとのリンクだったり、ハンドリングスキルですね。長田選手はそれが出来ると思うので、今後の活躍に期待しています。

https://twitter.com/rugbyworldcupjp/status/1583973785182834690
長田選手はW杯で見せたしつこい絡みとタックルが印象に残りました

齊藤選手は前回のW杯ではフッカー、キャプテンとして戦っていました。その後も三重PEARLSを日本一に導きましたが、セブンズの大会で大怪我。そこから復帰すると、どの試合でも当たり前に体を張って戦い、G前に攻めこんだらラックサイドを飛び込んでトライを奪う場面がたくさんありました。女子のテストマッチ最多出場の記録も持つ齊藤選手は女子ラグビーの堀江翔太、ラスボスなんてどっかで言われていたような。関西大会の最終戦でも後半追いかける展開で出場すると、残り時間わずかの時にラックサイドを飛び込む逆転トライを奪っていました。攻守に貢献できる選手ですね。鈴木選手、齊藤選手は若手の多いサクラ15の中でもベテランに入りますが、多くの若い選手のあこがれ、目標になっていると思います。

齊藤選手はFLか迷いましたが、W杯で8番で出ていたのもありNo8で選出しました

SH 津久井萌(アルテミ)、SO 大塚朱紗(グレース)

前回W杯での大活躍から5年が経ち、大学ラグビーを経てキックなどプレーの幅を広げた萌

そしてスクラムハーフ、ここは迷いませんでした。常に安定したパス捌き、カバーに走って抜け出した相手を倒すタックル、DF裏へのキックなど様々な活躍を見せてくれる津久井選手。代表ではアルカスの阿部選手とポジション争いの結果、リザーブからの交代出場が多かったですが、出場したら何かゲームに動きを与える選手なのは間違いないですね。関東大会では抜け出した選手の内側に素早く顔を出してトライを奪うシーンもありました。阿部選手はW杯の終了後に大会ベスト15(ドリームチーム??)に選ばれていましたが、小さい体で素早く球を捌く姿が印象的だったのと、アメリカ戦ではG前のラインアウトからトライを奪いました。

そして全国女子選手権で活躍したフェニックスの野田選手も良かったです。グランドいっぱいに選手を拡げるワイドなアタックの舵取り役として、テンポよい(早すぎる?)球捌きは相手DFの脅威だったはず。決勝戦の視察に来ていたレスリー日本代表HCも注目したのではないでしょうか。相手の日体大の高橋沙羅も安定したパスで日体大のアタックをリードしました。今後の代表で求められるのはゲームを作る力に加え、より長いパスやキックが出来るスキルかなと、個人的には思っていて、SHのポジション争いは楽しみです。

サクラ15の司令塔として活躍した大塚選手、さらなるキックの向上にも期待

司令塔のポジション、10番スタンドオフは迷わなかったですね。飛距離、コントロールともに高いキックスキル、相手DFの隙を見つけて駆け抜けるランニングはW杯の舞台でも目立つ活躍の1つでした。W杯後の関東大会では若い選手の多いRKUグレースでもキックを上手く使って、私が観戦したTKMオーバルズとの試合でも、DF裏へのゴロパントなど、キックを使い分けて勝利に貢献していました。安定感のあるプレーで、今後はそれをさらに高めていって欲しいですね。英プレミアに挑戦中の山本実選手は、先週のリーグ戦から10番で出場。これからリーグは後半戦という状況らしいので、さらに成長して秋の代表戦ではまた大塚選手とポジション争いをするのかなと思います。今後はスタンドオフの選手でもしっかりタックルで倒したり、しっかりキックでエリアを稼いだり、パワー的な要素がさらに必要になるのかなと思います。上手い選手は多いので、体が強く、パスやキックを高いレベルで安定して発揮できるような選手が育ってほしいですね。

CTB 古田真菜選手(東京山九)、松田凜日(日体大)

豪州のSUPER W、ブランビーズでも活躍、常に高いレベルのプレーを見せた真菜

ようやくセンターまで来ました、意外に選ぶのに悩みました。古田選手が代表でも常に安定したグッドパフォーマンスを見せてくれる中、コンビを組むのはだれか(苦笑) 正直なところ、英サラセンズでチャレンジし、プレミア決勝の舞台に立った小林選手(アルテミ)を12番で選びたかったのですが、帰国後に怪我の手術をして残念ながらW杯を欠場したのもあり選外に。そんな中で決勝戦に13番で出場し、キックチャージから先制トライを奪った松田選手を選びました。日本代表でもWTBやFBで出場し、見せ場を作っていましたし、W杯前は凜日をどこのポジションで使うかは注目の1つでした。今後はセブンズ代表への復帰もあるのかもしれませんが、どのカテゴリーでも見ている人を驚かすような豪快な走りを期待してしまいますね。

今後の活躍が期待される松田選手は、規格外の選手に育ってほしいです

それ以外の選手でいえば、日体大のキャプテン人羅選手はほぼ大学生という若いチームのキャプテンとしてチームを引っ張り、お姉さんがたの多いクラブチームを相手に勝利して関東大会優勝、全国女子選手権で準優勝という結果に導きました。準決勝、決勝で見せたキックパスのアシストは素晴らしかったですね、かなり練習したんだと思います。卒業後の進路が気になりますね。若手でいえば、フェニックスの岡元選手、アルテミの笹田選手も良い走りを見せていました。センターは国際レベルで戦える選手、具体的には大きな選手を止められるDFとラインブレイクできるスキルを持った選手が出てきて欲しいです。

WTB 堤ほの花(日体大)、ニア・トリバー(東京山九)、FB 大黒田裕芽(東京山九)

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621083448743190529
堤選手のキャッチに入るコースとスピード、そのあとDFに触られない走りはあっぱれ

長くなったのでFBとWTBまとめます、ここはあまり悩みませんでした。まず堤選手は準決勝、人羅選手のキックパスを相手選手の目の前で走りこんでジャンプキャッチし、着地後にステップで相手を抜き去ったあのトライ、一連の動きの滑らかさが素晴らしかったです。東京五輪後はセブンズ代表から離れていて、今後はどうするのか気になりますが、またサクラのジャージを来て独走する姿を見たい選手です。そしてニア・トリバーはもう理由の説明はいらないくらいの爆発的なランニングとスピード。準決勝の三重PEARLSでは2トライを奪い、決勝戦では後半の最後に逆転勝利を掴んだ2度のランニングは相手チームの脅威でした。春の太陽生命WSSの頃と比べると、体がシャープになったような気がします。きっとフェニックスというチームでハードワークをしたのでしょう。今後はハンドオフとかステップワークを磨いたらさらに良くなるし、引き続き日本で活躍してほしいですね。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621837137602830336
大黒田選手はアタックが目立ちますが、この場面のように最後の砦としてもピンチを防ぐ活躍でした

最後にFB、代表でも活躍した日体大の松田選手が1番の候補でしたが、フェニックスの大黒田選手の活躍は選ぶにふさわしいものでしたね。最初に見たのは関東大会のアルテミスターズとの試合だったかな、ラインでボールを貰うたびにステップを切ったり、ランニングコースを変えたり色々な仕掛けを見せていました。きっと後ろから走り込み、相手DFと距離がある中で出来ることが多いのかなと。DFとしては止めにくい相手だったと思います。そして試合を重ねるに連れてアタック時の判断の精度が上がっていったのだと思います。もともとキックが得意なので決勝戦のような蹴りあいは楽しんでいたかもしれませんね。

それ以外の選手でいえば、日体大とながとでプレーする大内田姉妹は10番も出来ますが、パス、ステップに加えてキックスキルもある良い選手でした。準決勝では姉妹で蹴りあう場面もあったと思います。まだ体の線は細いですが、今後の活躍(医学生のお姉さんのキャリア含め)が楽しみです。今後の代表では10番もですが、キックでしっかり得点を重ねられる選手が求められます。そんな中でしっかりとしたキックが蹴れるFBが代表でも求められますし、あとはキックカウンターで鋭い走りでラインブレイクできる選手も見たいですね。決勝戦では大黒田選手に替わって入った高橋選手がDFの真ん中をするっと抜け出しましたが、ああいう場面を代表の試合でも見たいなと思います。

選んだ理由を説明すると、長くなりますね・・・誰かと飲みながらこんな話をたくさん語りたいな。個人的な主観だらけの文章、良し悪しあれ最後までお読みいただき、ありがとうございました。

東京山九フェニックス、逆転で2冠達成

本日小田原で行われた全国女子選手権決勝、関東1位の日本体育大学女子ラグビー部と関東2位の東京山九フェニックスラグビークラブの試合は開始から最後まで80分間、スリリングな戦いが続きました。いい意味で女子らしさがなく、鍛えたフィジカルとスキルが随所に見られたバトル、集まった観客の方も楽しんだと思います。日本協会HPの結果お知らせは、こちら

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1622085122655916034
良い天気に恵まれ、後ろに見える観客席にも多くのファンが集まっていますね

前半は日体大が数少ないチャンスをトライに繋げて12-7とリード

試合を振り返ると日体大のキックオフから始まった前半、フェニックスが敵陣でボールを動かして攻め込み、日体大は自陣で粘り強く守る展開になりました。フェニは最初のスクラムから押し込んで日体大にプレッシャーをかけ、強気に仕掛けていきます。強力FWがG前に攻め込みますが、日体大は本当に接点での圧力に勝って踏ん張りました。その後、敵陣に入ったスクラムから狭いサイドを14番東選手がショートパントを使って抜け出し、あわやトライという場面も作りました。準決勝と同様、自陣からはキックを使ってエリアを進めようとする中で前半27分、エリア中盤でフェニの10番黒川選手のキックを日体大13番松田選手がチャージし、自らボールを拾って先制トライを奪います。

その次のトライはまたも日体大。準決勝の最後のトライ場面と同じように、後半35分に敵陣22m付近に攻め込むと12番人羅選手のキックパスを14番東選手が走りながらキャッチし、そのままDFに触られるにインゴールへダイブ。12点をリードして前半の終盤、Youtubeでは47:30過ぎ、フェニの黒川選手が試験的ルールの50-22を成功させて敵陣22m内でラインアウトのチャンスを作ります。この場面、DFラインの裏に蹴られたボールを12番古田選手が素早く戻って触りキープ、日体大のDFの圧力を受けた9番野田選手が体制を崩されながら捌いた球を、黒川選手が低く速いキック、本当に素晴らしいプレーでした。残り1分でチャンスを得たフェニはモールでG前に攻めるとそのまま継続し、最後はG前のラックを2番柏木選手が超えるようにダイブしてトライ、角度のあるキックを15番大黒田選手が成功して5点差に詰めます。

日体大はOGの堤選手以外は大学生ながら鍛えてきたフィジカルで素晴らしいファイトでした

得点の奪い合いになった後半、勝負を決めたのはエースのニア選手の走り

フェニックスのキックオフで始まった後半、柏木選手のトライの勢いそのままに開始からフェニックスが攻め込む大外の11番鹿尾選手が飛び込み同点トライ。その後はお互い勝利を目指して激しい攻防に。接点でのファイト、キック合戦など見応えのあるプレーが出てくる中で、攻め込んでG前のラックからFWの選手がDFを押し込んでトライを奪ったり、キックチャージからトライを奪ったり、キックのカウンターで抜け出したチャンスからトライを奪ったりと、残り10分の時点で日体大24-22フェニックスという得点状況。両チームとも本当に良いプレーが続き、リザーブの選手も出場し、体力的にも厳しい時間帯に入っても高い強度でした。

そんな中、残り3分でフェニックスが自陣でマイボールのスクラム、逆転のチャンスを迎えました。ここで日体大FWがスクラムを押し込んでペナルティーを奪うと、9番高橋選手がクイックで仕掛けて、敵陣22mに入るとFWがアタックを仕掛けていきます。今思えば、このまま時間をつぶして逃げ切ることも出来たと思いますが、ラックからモールを組もうとしたところで受け渡しが出来ずノッコン。フェニックスが自陣22mから最後のチャンスを得ます。

後半ラスト1分、自陣22mからボールをワイドに動かして逆転トライを奪ったフェニックス

このプレッシャーのかかる中で、フェニックスのアタックは本当にお見事でした。Youtubeでは1:49:00ごろから、これまでセットプレーの1次攻撃からDFに仕掛けていた古田選手がスクラムからボールを受けると、ループに走った中島選手へパス、中島選手はDFが迫るプレッシャーでも外の高橋選手へ見事なクイックパス、そこからニア選手へ渡るとこのシーズンで何度も見せた爆走で一気に敵陣へ。そこからFWのアタックを挟み、野田選手が素早く捌いて逆サイドへ展開し、大外の8番鈴木選手が22mラインに迫ります。そして最後の展開、セットしたラインから中島選手、高橋選手とボールが回るなか、日体大DFは素早く前に出てタックルを狙います。高橋選手のパスを受けた6番倉持選手はタックルを受ける前にクイックパスで再びニア選手へ。大きなスペースを日体大のDFもカバーに走り、ライン際で15番大内田選手がタックルを仕掛けますが、ニア選手の足はタッチラインに出せず、左ライン際に飛び込み逆転トライ。最後までFWBKが一丸となって繋いで取り切ったベストトライでした。

最終スコアは27-24でフェニックスが逆転勝利。2週間前の準決勝からお互いが優勝を目指して、さらにチーム力を上げて挑んだ、そんな決勝戦でした。勝敗を分けた明確な差はありません。大学生主体の日体大がここまで勝ち上がってきた道のり、関東大会では負けたフェニックスを相手に勝ち切る寸前までいったのは本当にお見事。そしてフェニックス、関東大会でアルテミスターズに敗れた試合では、逆転を狙う中で相手DFのしつこい球への絡みにサポートプレーヤーのファイトに勝てず、反則が目立っていました。負けられない状況から日体大に勝ち、BPを重ねて関東大会を2位で通過。決勝戦でもHPにある試合結果の詳細を見直してみると、リードを奪う場面は一度もなく、最後にようやく取り切っての勝利でした。リザーブ含めてチームが本当にゲームプランを理解し、やり切ったからこその逆転トライでした。

春の太陽生命WSSに続いての優勝、2冠達成した東京山九フェニックスは本当におめでとうございます。そして日本体育大学ラグビー部女子、ここ数年は思うように勝ち上がれず、苦しんだ中で日本一を目指して、鍛え挙げられて、勝ち上がって本当に強いチームでした。見事な決勝戦でした。