前回のブログでは17日のテストマッチ第2戦から何を学ぶか、という視点で振り返りましたが、今回は選手のパフォーマンスについて振り返りながら、次の遠征についても書きたいと思います。ブログを書く前に3年前のW杯での米国戦のハイライト映像を見ました。8月の日本のコンディションもあり、安易に比べてはいけませんが、日本がDFでラインブレイクをされた数は明らかに減っていますし、日本は確実にレベルアップしていると思いますね。
試合が進むにつれて米国に対応してファイトしたFW陣
FWから振り返りますが、みんな活躍していましたね。まずフロントローについては、3年前のW杯から主将を務めた南選手が引退し、2017年のW杯も経験している江渕(ラベマイ)まこと選手も不在の中、去年からは英国プレミアシップでも活躍した加藤選手や、左髙選手が引っ張ってきました。この2試合は1番峰選手、3番北野選手が出場し、最初のスクラムで反則を取られて、そこから米国に先制トライを許しましたが、そこからは徐々にチームで対応しスクラム、ラインアウトのセットプレーで奮闘していました。HOは公家選手、谷口選手がこの1,2年でスローイング、フィールドプレーがますます良くなっていますし、公家選手は後半、米国が反撃する中で見事なジャッカルを決める活躍も見せてくれました。フロントローは海外選手と比べてパワーやサイズで厳しい印象ですが、日本の層が厚くなっているのを感じました。
次にロック。佐藤選手、吉村選手は2枚看板と言ってよいくらいの活躍を見せていました。2人ともこの1,2年でサイズアップしてコンタクト場面でも激しく体をぶつける場面をよく見かけます。佐藤選手は密集近くでのタックル、すぐに起き上がってのセットが目立ちましたし、吉村選手もボールキャリーに加えて、DFでは素早く出て相手のボールをもぎ取る場面もありました。ロックは他に櫻井選手が久しぶりに代表合宿に招集されていますね。試合に出ては激しいバトルの中で大きな怪我が重なりリハビリが続いていましたが、ここからまた試合メンバーの争い含め日本代表に貢献してくれるのを期待します。
そしてバックロー。まずキャプテンの長田選手の活躍は常にハイパフォーマンスの中で、7番にロックもできる川村さんが入り、ラインアウトのオプションが増えていると思います。数年前はヨーロッパの強豪国を相手にラインアウトでボールキープに苦戦する場面が目立ちましたが、スローイングの向上とともにリフター、ジャンパーとのコンビネーションが良くなっています。これはFWコーチの存在も大きいですし、春先からFW中心の合宿を重ねてレベルアップを図ったと思いますね。そしてNo8に入った齊藤聖奈選手は試合前のキックオフからもうラスボス感が出てましたね。トライ場面含め、相手G前のチャンスにしっかりアタックセンスを見せてくれます。交代出場した向來選手はまだ21歳ですが、この試合で15キャップ目。なかなか先発の機会が得られない中、今後も出場した時の爆発的なプレーに期待しています。
キックを使って前に進み、接点でもファイトしてレベルアップを見せたBK
BKはこの試合、本当に裏へのキックを有効に使っていましたね。8月の蒸し暑い日本では裏へのキックで後ろに走らせて、相手選手も嫌だったと思います。先発したHB陣、津久井と大塚のコンビはもう安心して見ていられるというか、安定感がありますね。この試合ではスリッピーなコンディションでパスが乱れる場面もありましたが、アタックに加えてDFでも低いタックルやカバーDFで奮闘していました。また交代出場した阿部と山本のコンビも同点で勝ち越しを狙う状況の中で大きなミスもなく、山本選手はラインブレイクにペナルティーからのタッチキックで終盤を盛り上げました。この4人は前回のW杯も経験していて、もうベテランという見方ですね。だからこそチームを勝利に導くようなプレーを常に期待してしまいます。
次にセンターですが、この日先発出場した弘津選手はアタックの起点づくりというか、ボールを持つたびに相手DFに仕掛けて前に出ていました。チームに与えられた役割だったかもしれませんが、良い働きだったと思います。13番アウトCTBに入った古田選手は12番で出ることもあり、日本のCTBとして欠かせない選手ですが、この試合のパフォーマンスは本当に良かったです。狙いすましたタックルに歓声が起こったり、ボールキャリーでは相手DFをずらして前に出ていました。細かなハンドリングエラーもありましたが、BKラインに古田選手がいることで安定感が増すと思います。そして後半途中で出場した小林選手も素早く出るタックルで存在感あるプレーを見せてくれました。英国プレミアシップでも活躍する小林選手がリザーブにいるのは、コーチ側としては流れを変えられる選手という期待もありますね。第1戦で畑田選手が負傷し、チームから離脱したのは残念ですが、秋の強豪国との戦いではこのCTBがアタックのラインを引っ張ってトライにつながる活躍を見せてほしいです。
最後にBK3、前回のブログでも触れましたが3選手ともにキックを蹴れるのは、ほかの国の代表チームでもあまりいないのではないでしょうか(その分、爆発的なランで活躍する選手がいますが)。特に松村選手のキックオフはチェイスに十分な高さとコントロールがあり、これまでの日本代表の中でもセブンズ含めて一番だなと思いました。また試合を重ねるにつれてポジショニングも良くなり、相手キックへの対処、カウンターもますます良くなっている印象です。いまBK3のリザーブは置いていないのはこの3人への信頼度の高さもあるかもしれません。そしてCTBと同様、秋の海外遠征ではこのBK3がしっかり走り込んでボールを貰いラインブレイクを増やしていかないといけません。BKラインの成長が日本の得点力を高めて、敵陣G前に攻め込んだチャンスでスコアに繋げられると思います。
秋の海外遠征についての話までに、長くなってしまいました。WXV2の前に来月14日にイタリアとのテストマッチが予定されています。パリ五輪メンバーの松田凜日や他の新しい選手の招集があるか、遠征メンバーの発表に注目ですね。