パリ五輪を9位で終えた女子日本代表サクラセブンズは2日金曜に笑顔で帰国しました。目標としていたメダル獲得、8強入りは果たせませんでしたが、やはり勝利で終わって帰れるのは良いこと。プレッシャーからの解放もあるでしょう。パリ五輪に至るまでの様々な道のり含めて選手、スタッフの皆様は本当にお疲れ様でした。よいチームでした。
3年前の東京五輪と比べて得失点は大きく変わりました
今回のブログを更新するにあたって、3年前の東京五輪後のブログを読み返してみました(東京五輪、女子セブンズは全敗の12位で悔しい終戦)。対戦する相手は違いますが3日間で5試合の得失点を振り返ると、3年前のブログに「5試合で6トライの36点、失点は136点」と書いていました(3年前の予選プールでは米国と7-17の接戦でした)。そしてパリ五輪の5試合のスコアを改めて整理すると
予選プール1試合目、米国7-36
2試合目、フランス0-49
3試合目、ブラジル39-12 (1勝2敗、得失点差-51)
トーナメント初戦、南アフリカ15-12
9位決定戦、ブラジル38-7 (5試合で17トライの99得点、116失点)
東京五輪の5試合から得点は+63点(11トライ)、失点は‐20点でした。またRUGBY JAPAN 365のサイトではフォトギャラリー含めた各試合のレポートと個人成績と大会後のコメントも載せています、こちら。トライ女王は梶木選手の5Tですが、出場選手13名のうち10名がトライを奪ったのは、勝利した3試合でサクラセブンズが目指してきたアタックが出来ていた証明だと思います。なので初日の2試合、もう少しアタックが出来ていて、DFに費やす時間が減っていたら失点も減り、8強入りを果たせました。これはワールドセブンズシリーズを戦う中で選手も感覚的に理解はしていたと思いますが、米国とフランスは本当に強かったですね。
大会初日の米国とフランスの強さは想像より上でした
米国とフランスはここ1,2年のワールドセブンズシリーズも戦い、日本が勝利したこともありお互い選手の顔やプレーを知っていたはずです。米国は3か月前のシンガポール大会で22-12と8年ぶりに勝利しましたし、戦える感じはあったでしょう。迎えた初戦、キックオフでターンオーバーして攻め続け、先制トライを奪うまでは良かった。惜しかったのはその後のキックオフからDFで捕まえられずすぐに同点にされてしてしまったことですね。セブンズシリーズでは大会を重ねるにつれて7人が連携したDFで簡単にラインブレイクを許さず、接戦に持ち込む試合が増えましたが、この試合ではキックオフでプレッシャーを受けて、左右の連携が少しずれてしまったりして、プレッシャーをかけるようなDFが出来ずに6トライを奪われました。
そして迎えた2試合目のフランス。帰国後の記事がラグビーリパブリックに載っていましたが、【フィールドで対峙した平野優芽キャプテンはフランス戦で、地元の声援と強い気持ちが乗った相手のフィジカルに「今まで感じたことのない圧」を受けたという。】と書かれていました。フランスの初戦はブラジルを相手に調子はいまいちでしたが、そこで気を引き締めなおしたというか、チームの調子をぐっと上げてきた。ホームの6万人を超える観客の大声援もあり、ピークに近い試合の相手がたまたま日本で、それが0-49という一方的な試合になった。日本が何も出来なかったというより、そういう組合せと運が悪い方向にいってしまいました。フランスは翌日の決勝トーナメント初戦で映像は見ていませんがカナダに14-19で逆転負けしたのも、この日本戦の調子が良すぎたのがあったのではないかと。
パリ五輪本番で強豪国と対峙したうえで改めて、フィジカルやスピードの差をどうやって埋めて勝利するのか、というこれまでの日本が抱えてきた課題が浮き彫りになりました。それについては先ほどの記事で選手のコメントにもあります。ワールドセブンズシリーズを2年戦い、パリ五輪でも輝きを見せたサクラセブンズの主力選手たちは理解していますね。
振り返ったら初日の2試合で長文になってしまいました。その後の勝利した3試合については前回のブログにも書きましたが、サクラセブンズが目指してきたプレーを見せられたと思います。南アフリカ戦については、相手の調子がかなり良かったです。前半で逆転されてしまい、後半も攻め込まれる場面がありましたが、粘り強く守って相手のサポートが遅れたターンオーバーのチャンスにしっかりジャッカルを決めました。疲れが出てくる終盤には交代で出場した選手が活躍するなど走り勝っての逆転勝利で、これまでの強化で得た地力を発揮してくれました。リオ、東京と自分たちのラグビーがなかなかできない試合が多かった中で、パリのサクラセブンズは本当にファンが応援していて楽しい、盛り上がる試合が出来ました。それと最後に最終予選から勝ち上がった中国が6位入賞、2大会連続の8強入りを果たしたのを忘れないでほしいですね。代表強化を着実に進めて、世界の強豪国に食らいついていかないと。
着実に強化を進めて地力をつけてきた鈴木HC体制は終わり、これから秋のアジアシリーズ、冬から始まるワールドセブンズシリーズに向けての新体制が動き出すと思います。出場した選手、選ばれなかった選手などそれぞれの日本代表への思いがさらに繋がって、強くなった姿を見せて、次のLA五輪では8強入りを果たしてほしいですね。