逆転勝利のスコッドランド戦を振り返る

日曜の夜は女子日本代表サクラフィフティーンの応援を楽しませてもらいました!課題も多かったけれど、勝って追われたのは良かった!というわけで、自分なりの視点で振り返りたいと思います。

試合映像はスコットランド協会がとてもクリアな映像でLIVE中継してくれました。感謝ですね。日本もこういうことがセブンズ含めてもっと出来ればよいのですが。

前半はお互いトライの奪い合いからだんだん膠着した展開に

協会HPの遠征レポートから拝借、試合前のロッカーですかね。自分たちの反則から先制を許すもそのあとすぐに逆転。良い形と悪い形を繰り返した前半。

試合の展開についてはWebマガジンのRUGBY JAPAN 365のサイトにもあったのでリンク貼っておきます ⇒ 「スコットランド代表に劇的逆転勝利

試合前は5点差で日本代表が勝利するだろうと予想していましたが、前半10分の時点で3トライも出てくるとは予想外でした。開始から日本は鋭いアタックでキャリアーの内側へのリターンなどを上手く使ってラインブレイクを連発、ラックサイドのピック&ゴーもしっかり前に出ていて、スコットランドのDFを分析してのアタックプランがあるなと感じました。

その一方でビッグゲインのあとにサポートが間に合わなかったり、 ピック&ゴーで孤立してしまったりで結果、 ノットリリースザボールの反則。またラックでキープしているところに、相手FWがファイトに来たのをひっくり返されてターンオーバーされて、チャンスを逃す場面もありました。思った以上に裏に抜け出せてしまったのもあったか、スコットランドがDFを修正してきて、時間が経つ毎に前にぬける回数は減りました。結果、2連続トライを奪ってから60分以上、日本の得点はなくスコットランドが調子を上げてきました。

協会HPの試合記録から拝借。追加点を奪えない苦しい試合展開の中で何とか逆転勝利をしたのは本当に素晴らしいですね。協会HPの記事リンクはこちら

スコットランドのアタックは男子同様にシンプルでしたね。前回のブログでも触れていた足の速いBKの外の選手たちは仕掛けて来ましたし、日本もよく止めていました。日本はもっと自陣からキックを蹴り込み、エリアを取るかと思いましたが、相手のキープレーヤーにボールを渡してDFをするよりも、継続して走り勝つ戦略を選んだのだと思います。ただ誤算だったのは反則からタッチキック⇒ラインアウト⇒モール、という相手の勢いを止め切れなかったことです。結果、G前のモールから同点のトライを奪われました。

勝負の後半で勝利を手繰り寄せたのはリザーブ選手の活躍

スコットランド協会のTwitterから拝借。スコットランドのモールは日本をかなり苦しめ、この強みを出させてしまったことでゲームの流れが膠着してしまいました

同点で迎えたハーフタイム、修正点は明らかに多いペナルティーをどう減らすかだったと思います(前半だけで反則10個・・・)。観戦中の呟きを見返してもそんなことぼやいていましたね。そうしたら後半開始すぐにモールを押しこまれてコラプシングの反則。ここは守りきりましたが、スコットランドに強み、立ち返るプレーを与えたのもあり56分、60分と一気に逆転されてしまいました。

残り20分で10点差を追いかける展開、アウェーの追い込まれた状況で活躍を見せたのは交代出場の選手でした。個人的なMVPは18番小西選手、サイズある相手に、ボールを貰うと愚直に前に出てヒットし続けました。TwitterでもトリプルピックGOが話題になっていましたね。日本の粘り強いアタックは次第にスコットランドを疲弊させ、我慢しきれずに後ろに下げられることになりました。こうなると逆転を狙う日本のペースですね。

残り10分でG直前まで攻め込むと最後は16番江渕選手がポストにトライし、15番平山選手がキックを決めて3点差。その後もアタックし続けて、スコットランドはボールを奪い返すも残り時間までのキープは出来ないと判断してキックを選択、そこからまた攻め続けて最後はG前中央のラックからボールを受けた21番大塚選手が鋭くDFの内をついて抜け出し中央に逆転トライ。

こうして試合の経過を書くと、最初に紹介した記事と大して変わりないのですが、何とか逆転勝利した日本代表サクラフィフティーン。最新の世界ランクでも15位から12位にジャンプアップしました!個人的には世界ランクがW杯の予選組合せにある程度、反映されるのかなと思っていて、少しでもランクを上げることが大事だと思っていました。もしイタリアに同点ではなく勝っていたら・・・と思うと悔しいですね。

試合後は両チーム混ざっての記念写真、素晴らしいテストマッチをありがとうございました。

個人的な感想を言うと、正直前半の10分を見た時点では相手の世界ランク関係なく、勝てる試合だなと思いました。そのあと苦戦した原因はモール以外にも色々、大小の意見があると思いますが、私はアタックのオプションが気になりました。おそらくポッドを敷いて2,3人のラックから攻め続けていたと思いますが、もう少しキックを使って敵陣に入ってもよいのではないかと。自陣22mからアタックし続けて敵陣に入るも敵陣10m辺りでペナルティー⇒タッチに蹴られて自陣で相手ラインアウト、という流れ、言い方悪いですが自滅したアタックが多かったです。しかし攻め続けたからこその最後の逆転とも言えるはずなので、そこは良し悪しがあると思います。

強調させてもらうと、大事なのは2年後のW杯でのベスト8進出なわけで、ランク上のチーム相手にはこのままでは通じないだろうという危機感です。

一方で限られた合宿や遠征の時間の中で、どういうところにフォーカスして準備してきたのかは現場の選手、スタッフだけが知っているので、そこはチーム内ではしっかり共有できているのだと思います。ただ日本で応援していた多くのファンのSNSでの発信を見る限り、自分が思っていた現状とは少し違っているんだな(期待の高さとか海外の強豪との比較とか)。課題ははっきりしていますし、強豪との力の差もかなりあります。7月のオーストラリアとの試合だったり、先週引き分けたイタリアは先週末に世界ランク2位のイングランドと戦い、ノートライの完敗でした。

ブログなんで好きなように、それでもなるべくいやな感じにならないように文章を選んでいるつもりですが、もし気を悪くしてしまう方がいたらすみません(フォロワーには日本代表選手もいますし、チェックしていると聞いたこともあるので)。今回は長くなりましたので、また何回かに分けて、自分の頭の中を少しずつアウトプットしていきます。

最後に、良くも悪くも厳しい指摘が多いかもしれませんが、今回の女子代表のアウェーでの勝利は素晴らしいもので間違いありません。ここから更に2年後のW杯に向けて、どれだけ成長できるのか。私も微力ながら、後押ししていきたいと思います!

サクラ15はイタリア戦を終えて、24日はスコットランド戦

冷え込む日が増えてきて、都内でも紅葉が増えてきました。国内各地、各カテゴリーでラグビーが盛り上がる中、母校も8年連続の花園出場を決めました。

イタリア女子代表とは接戦の末、17-17の同点で終了

映像は見れていませんが、トライを奪い合う競った展開の80分でした。2年前のW杯で勝てなかった相手と引き分けたことは成長ですが、個人的には勝つべき試合だったのではないかと。代表選手のSNSでのコメントを見てもそういう思いを感じましたし、何より格上を破って世界ランクを上げるチャンスでした。実際、7月に戦ったオーストラリアは世界ランク7位でしたが、実力はイタリアよりも上だったと思います。日本協会HPの試合結果とレスリーHCのコメントはこちら。

イタリア協会のFacebookから拝借した写真、サクラフィフティーンの粘り強いDFはイタリアを困らせたようです

イタリアとはお互い3T1G、前半残り3分でトライを奪われるもそこから少ないチャンスを活かして相手G前に攻め込みトライを奪ったのは立派でした。今後も代表のテストマッチでは、前半にこういったロースコアの接戦に持ち込めるかが勝負の鍵になりますね。

試合後は両チーム混ざっての記念写真、決して良くはない天候の中で粘り強く戦うことが出来たんだと思います

24日のスコットランド戦は必勝ですね

そして試合を終えた女子日本代表はスコットランドに移動しています。スコットランドは夜には気温が氷点下以下になるくらい、冷え込んでいるようです。日本協会HPの遠征レポートはこちら。

スコットランドは今年だけでも2月と3月の6カ国対抗戦、9月末の南アフリカ遠征、そして先週末のウェールズ戦など多くのテストマッチを戦ってきています。南アフリカとのテストマッチではBK3のスピードあるランニングから多くのトライを生み出し、日本代表も警戒すべきランナーです。

9月末には南アフリカに遠征して2連勝、DFがいまいちの南アフリカに対して、BK3を中心にDFを振り切ってトライを重ねる画面が目立ちました

そして17日はウェールズと地元で戦い、3-17で敗れました。前半途中のPGは中央付近、40m弱を成功させていますし、15番も素晴らしい走りを見せていましたが、FW陣はウェールズ相手に劣勢でした。おそらく日本代表もこの試合をチェックしていると思いますが、スクラムとラインアウトでしっかり戦えれば十分に勝機はあります。DFは要注意の相手BK3に走られないように注意するのと、相手は中盤でのキックもあまりなさそうなので、自陣深くに入られないように規律を保ってDFでファイトし、自陣はキックを使ってエリアをしっかり取ることが大事です。

スコットランド女子は17日にウェールズと戦い3-17で負け、モールで押し込まれたりシンビンでFW7人の間にスクラムトライを奪われたりでしたが、15番は要警戒のランナーでした

現在日本は世界ランク15位でスコットランドは11位ですが、24日の試合に勝てば更に2つはランクが上がりそうな気がします。2年後のW杯の組合せも考えると少しでもランクを上げておくことがベスト8進出への可能性を高めますね。

SNSを見ていても、ラグビーW杯で活躍した日本代表選手が女子ラグビーにも関心を寄せていたり、応援のTweetをしていたり、嬉しいですね。頑張れサクラフィフティーン!!

女子日本代表は16日にイタリアとテストマッチ

先週の土曜、女子日本代表の遠征前の練習を見学に行ってきました。チームは10日日曜に成田を出発していて土曜にイタリアと試合ですね。
協会HPの遠征直前合宿のレポートはこちら。

前日8日には男子大学生を相手に試合形式の練習を行い、この日は歩きでアタックのポジショニングを中心に確認していました

イタリア女子代表について調べてみました

2年前のW杯では4試合目で戦い、後半にDFの乱れから相手のWTBに走られてしまい、突き放されて0-22の完封負けでした。

16日に戦うイタリア女子代表、調べてみたところ現在世界ランク6位で、7月に戦ったオーストラリアより上でしたWorldRugbyのHPにあるランキング。ちなみに日本女子はランク16位です。イタリアは今年の6カ国対抗では3月に世界ランク上位のフランスに快勝し、イングランドに次ぐ2位(3勝1敗1分け)でした⇒詳細はこちら

最近の試合映像はYoutubeで探しても見つかりませんでしたが、ヨーロッパらしいチームというかBKよりもFWが強みなのは間違いないでしょう。24日に戦うスコットランド女子にも2月に戦って、28-7で快勝しています。日本女子はセットピースのFW戦で劣勢になると、厳しいですね。

スコットランドを相手にラインアウトからモールを押し込み先制トライ、終了間際にはG前のスクラムを押し込んでトライを奪い、FWで3トライを奪いました

日本女子は2年前のW杯から戦ったテストマッチは7月のオーストラリアとの2試合。対してイタリア女子は6カ国対抗戦を戦っていて、結果も残しています。勝利を目指すうえでいかにDFで粘って相手のトライを防ぐか、当たり前ですが反則してそこから自陣に攻め込まれてラインアウトが増えるようであればある程度は失点を許すでしょう。アタックの前に規律あるDFが出来るかが鍵ですね。

イタリアの現地時間で14:30キックオフ。さすがに試合のLIVE中継は厳しいかと思いますが、どんな戦いをしてくれるのか楽しみですね。頑張れサクラフィフティーン!

サクラセブンズはフィジー遠征を2勝3敗で終えました

先週、サクラセブンズのほうはSDSでフィジーに遠征し、オセアニア7sに参加。東京五輪のオセアニア地区予選も兼ねていた為、予選プールはNZ、オーストラリア、カナダという強豪国と同じプールになりました。
協会HPの試合結果のリンクはこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=UmjbnUVK3iA
試合映像を探したら、NZ代表のポーシャ・ウッドマンが復帰してサクラセブンズ相手に、ハンドオフから豪快な独走トライを見せていました

大会登録メンバーを見ると、コンディション不良が出たのか、何人かフレッシュな顔ぶれがいますね。今回の結果を見ると、カナダ女子がフル代表だったかはわかりませんが、1勝1敗でトライ数は共に2本1本と接戦でした。ある程度、怪我人が出ても大きく力が落ちることはないかと思います。年内にもう1回、海外遠征が予定されているみたいですし、まだまだトップレベルとの差はありますが、力をつけていかないとです。

東京五輪まではあと255日、ラグビーW杯までを思い出すとあっという間に来て、あっという間に終わりそうです。セブンズも15人制も頑張れサクラ!!

W杯も盛大に終了、3決と決勝を振り返る

ラグビーW杯が南アフリカの優勝で幕を閉じましたが、今日もBSや日テレでラグビー日本代表の特番が放送されていますね。こういった番組でも関心のある多くのファンが見てくれると嬉しいですね。

3位決定戦はNZが素晴らしいアタックを見せてウェールズに快勝

NZが前半だけで4トライを奪い勝利、どのトライも素晴らしかったですが個人的には4トライ目の振り返しでライン際を抜け出したトライが素晴らしかったです

1日金曜に行われた3位決定戦、下馬評はNZ代表All Blacksが優位でした。ウェールズが最後にNZ相手に勝利したのは1953年、半世紀以上も前です。一方で決勝進出を逃した両チームとはいえ、この試合を最後に代表チームを離れるヘッドコーチ、代表を引っ張ってきたベテラン選手がいるなど、最終戦に向けて高いモチベーションで挑んできたと思います。

個人的な試合の注目は、NZのアタックをどうウェールズが止めて接戦に持ち込めるかでした。しかしNZは開始から良いアタックを重ねて巧みなオフロードバスを使ってトライを奪うなど、ウェールズが自信を持っていたDFを突破していました。準決勝でNZを破ったイングランドに比べると、接点での力強さが少し足りず、プレッシャーをかけることが出来ませんでした。結果、NZが6トライを奪い40-17で快勝しました。

メダルセレモニーのあと、この試合で代表を引退する主将のキアラン・リード選手が子供を連れてグランドを楽しく歩き回っていました

予想が難しかった決勝は予想外に南アフリカが圧倒して勝利

決勝は南アフリカが32-12で快勝、強みのスクラムで押し込んでPGを重ねると後半残り20分で2トライを奪い、優勝を狙ったイングランドを突き放しました

2日に行われた決勝戦、9月に開幕して44日間に渡って行われてきたW杯の最終戦に勝ちあがったのは南アフリカとイングランドでした。南アフリカは9月6日に日本代表とのテストマッチを控えていたのもあり、9月頭には来日していたのでおよそ2ヶ月もの間、日本に滞在しての決勝戦。イングランドは前回大会で日本代表のヘッドコーチで、日本を良く知るエディーさんが念密な準備を重ねてこの大会を勝ち進み、準決勝では3連覇を狙っていたNZ代表All Blacksにプレッシャーをかけ続けて、強みを出させず19-7と快勝しての決勝進出でした。

勝敗を分けるポイントの1つはどちらが自分たちの強みを出せるか、だと思っていました。そして南アフリカは自分たちのスタイル、キックから激しいDFでボールを奪い、チャンスを作っていくのを変えられないので、イングランドがまずどうアタックをするのか、具体的にはキックをどう使うのかに注目していました。しかし開始から南アフリカがチャンスを見つけるとBKにボールを展開して外を攻めていて驚きました。前半20分を過ぎて思ったのは「イングランドがやると思っていたことを南アフリカがやっている」でした。そしてイングランドが誤算だったのはスクラムでした。

開始してすぐにイングランドのPRが負傷で交代、その影響があったかスクラムでは前半はずっと南アフリカがプレッシャーをかけて反則を誘っていました。イングランドも前半に相手のG前に攻め込んでトライを狙いにいきますが、トライを奪えずにPGで得点をするのが精一杯。そして南アフリカはスクラムを押し込むなど残り5分で2PGを重ねて12-6とリードして前半終了。前半から怪我人が相次ぐ両チームでしたが、どちらがゲームを優位に進めているかは明白でした。

PGを重ねる展開の中で勝負を決めた南アフリカのトライ。過去のW杯決勝ではトライを奪えなかった南アフリカでしたが、この日は両WTBがトライを奪いました。

迎えた後半も開始から南アフリカがPGで得点を重ねて、イングランドが追いすがる展開でしたが、交代で出てきたリザーブの選手のインパクトでも南アフリカが上回っていました。イングランドのアタックを終始、パワーで抑え、止め続けた南アフリカが最後まで試合の主導権を握って、終盤に2トライを奪い、32-12で快勝しました。

主将のシヤ・コリシ選手が優勝トロフィーのエリスカップを掲げた瞬間は盛り上がりましたね

決勝を終えて、試合を振り返る記事を多く読みましたが今朝読んだ日本協会理事の岩淵さんの日経の記事がとても良かったので紹介⇒「スタイル徹底の強み

ラグビーW杯は大成功で終わりましたが、翌3日から大学ラグビーの対抗戦やリーグ戦も再開し、各地で花園予選も進んでいて、準決勝や決勝が行われていますね。女子代表も今月にヨーロッパ遠征を控えていたりするので、また近いうちに改めて書きたいと思います。

最後にラグビー日本代表、改めてお疲れ様でした。そして本当にありがとうございました!