太陽生命WSS熊谷大会と女子6か国対抗の話

この週末に行われた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024第2戦熊谷大会、先日の北九州大会に続いて面白い試合がたくさん見られたようです。私がYoutubeで見た試合はそんなに多くはないのであまり長々と書かないようにしたいなと。

ただ東京山九フェニックスがPEARLSに逆転勝利した決勝戦と同じかそれ以上に盛り上がったのはトーナメント1回戦で日体大が昨年のシリーズからの連勝を続けていたながとブルーエンジェルスとぶつかり、前半を終えて0-12のビハインドから後半に追いつき、延長の末勝利した試合だったと思います。前日の予選プールでも戦い14-26の負け、昨年からの悔しい思いも重ねての勝利。熊谷大会では4位に終わりましたが、チームには価値ある勝利でした。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1781862856776138960
日体大の古賀監督が逆転勝利にこぶし握った瞬間、震えましたね

決勝戦は2022年の総合優勝チームのフェニックスと前回の北九州大会に続いてPEARLSが優勝をかけた戦いに挑みました。レフリーは京都成章の高校生でしたが、本当に堂々としたレフリングで見ている方にも緊張感が伝わるファイナルらしい試合だったのではないでしょうか。試合は自陣G前に攻め込まれたPEARLSがそこから攻めて庵奥選手が抜け出して独走トライ。その後のキックオフからフェニックスがボールを獲得すると岡元選手が抜け出して同点に追いつきます。この決勝戦は19-12でフェニックスが逃げ切りで勝ちましたが、同点トライにジャッカルに攻守にわたって岡元選手の活躍が目立ちましたね。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1781942003221364956
熊谷大会のMVPに選ばれた松村選手、決勝戦でも精度の高いドロップキックを見せていました

日本協会HPの大会結果のお知らせは、こちら。2024シリーズ前半の2大会を終えての総合ポイントを見ると例年よりも順位の変化が大きく感じます。北九州ではサクラセブンズの候補メンバーが出場していましたが、今回は不参加だったことでナナイロプリズム福岡にとっては厳しい大会だったかもしれませんね。PEARLSは2大会連続の準優勝から次はホーム鈴鹿大会。ここで優勝したらシリーズ総合優勝に大きく近づきます。一方で8強に残れなかった4チームは同じ顔触れ、入替戦を回避するためには残り2大会で8強入りを果たせるかどうかですね。

少しだけヨーロッパの6か国対抗戦の話、イングランド女子への歓声に驚き

14トライを奪い圧勝のイングランド、監督は昨年男子日本代表のコーチングスタッフだったミッチェル氏
https://twitter.com/rikiet24/status/1781818950608658784
現在英プレミアでプレーする玉井選手のポスト、48,000人の歓声の大きさに驚き

お勧めに出てきたイングランドとアイルランドのハイライト動画を見たらイングランドの強さよりもまず観客の歓声に驚いたんですよね。そうしたら玉井選手がポストしていてこの試合に4万人以上もの観客が集まったとか、日本では想像し難い。そしてこれだけの観客がどうして集まるのかも正直わからない。それだけのファンがいて熱狂する魅力があるのは事実で、それを現場で見て、感じて、こうして発信してくれる方がいるのは本当に感謝、ありがたい。

https://twitter.com/WorldRugby/status/1781740099367027177
また同じ週末に昨年のWXVで日本に勝利した2チームが戦ってスコットランドが勝利

また映像はまだ見ていませんが、スコットランド女子がイタリアに勝利したのはちょっとした驚き。昨年11月にWXVのスコットランド戦後に書いたブログは、こちら。イタリアは2022年のW杯で日本に勝ち、男子含めてW杯で初の8強入りを果たした強豪国。スコットランドは2019年の秋のテストマッチではサクラフィフティーンに敗れていました。そこから4年少しで強化を進めてのイタリア撃破。この2か国のどちらかとは秋のWXVで戦う可能性もありますね。日本は来月に行われるアジアのテストマッチで更に進化した姿を見せてほしいですね。

サクラセブンズ、香港大会を7位で終える

先週末に香港で行われたワールドセブンズシリーズ香港大会、香港スタジアムで行われるのは今年が最後だそうです。女子日本代表サクラセブンズはこのシリーズで初の8強入りを果たし、トーナメント初戦ではオーストラリアに0-12と惜敗、7位決定戦にまわりこのシリーズで優勝経験もあるアイルランドを相手にに12-5で逆転勝利し、7位で終えてシリーズポイントを24に伸ばしました。

香港大会後のシリーズ総合順位、残り2大会でブラジル、イギリスに追いつけるか

改めて総合順位を見ると今回の予選プールでスペインにラストプレーで勝利したのは本当に大きいですね。残り2大会の開催地はシンガポール、マドリードですがポイント差で引き離すことが出来ました。それと予選プールでは今回決勝でNZに敗れて準優勝の米国を相手に競り負けたものの、勝ち点1を加えたのもポジティブな材料ですね。また大会後に発表されるドリームチームに日本から平野優芽キャプテンが見事に選ばれました。過去のシリーズでは確かライチェル選手が選ばれたことがありますが、日本からは数年ぶり??の選出ですかね。前回大会では9位決定戦のイギリスを相手にハットトリックでの逆転勝利でしたが、香港でも素晴らしい活躍でした。

平野優芽キャプテンについてはラグビーリパブリックの大会後の記事「勝ちながら自信をつけていく」でもコメントが掲載されていましたが、パリ五輪に向けてますますチームへの存在感が出てきていると感じます。協会HPにある香港大会の登録メンバーを見ても国際大会のキャップ数は中村選手の66に続いて42、それ以外の選手はみな30未満なのを見ると改めて東京五輪の前からサクラセブンズで活躍してきたのを感じます。これまでの様々な経験を経てのリーダーシップがこれからどう進化していくか、楽しみに応援します。

大会後の選手コメントを見ても、粘り強く守れたことが自信に繋がっていますね。課題はアタックでどれだけ継続できるか。
スペイン戦でサヨナラトライの走りを見せた原わか花選手、いい笑顔

上のトライ集の動画、改めてしっかり見たら予選プールのスペイン戦のトライ場面が抜けてますね(苦笑) 昨年のシリーズでは原わか花選手が外を走り切るトライが多かったですが、ここ数大会は外に展開してから三枝選手がインサイドに走り込んで抜け出すトライが目立ちます。ほかの国ではこうした縦に仕掛けるアタックはあまり見ないのと、あとは対面のDFを1ステップで外すのが上手いんだと思います。チームとして狙うアタックが明確に共有出来ていて、そこの仕掛けに対しての周りのサポートも素早くついて継続出来ているし、オフロードで繋ぐ場面も目立ってきた印象です。アイルランド戦では相手の強烈なタックルを受けて、ボールを落とす場面が目立ったので、個々のスキルアップは引き続きの課題だと思いますね。

協会HPのギャラリーにあった原選手、スペイン戦のトライ前かな。NZのポーシャ・ウッドマンみたい。

最後に次回のシンガポール大会は約1か月後、5月3日-5日の開催。シンガポールの気候はヨーロッパや南半球税に比べると、日本に優位に働いてくれそうです。まだ予選プールの組合せは発表されていないみたいです。香港の結果を見ると下位に終わったブラジル、南アフリカ、スペインのどこかと戦うので、そこでしっかり勝つこと。また上位国といかに競った展開に持ち込んでイージーな失点(例えばスクラムから1フェイズで奪われる)を減らせるか。まだシリーズ上位のNZや豪州とは力の差を感じる一方で、DFの粘り強さ(例えば個々の接点で負けてオフロードをさせない)は形として表れているので、課題のアタックで強豪国を相手に勝ち切るための得点力をつけられるかですね。

今回の香港大会に登録されなかったセブンズスコッドメンバーの何人かは所属チームで太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに参戦していましたね。パリ五輪に向けてのセレクションとしてはプレー機会があるのは良い事ですし、国内でも活躍する新たな選手が増えて欲しいです。