関東学院六浦が全国U18女子セブンズ初優勝

先週末に熊谷で行われた高校女子の全国大会、昨年から続くコロナ禍の影響でコベルコカップや花園での試合が中止となり、高校女子にとっては唯一の全国大会となりました(夏のオッペンカップはオープン参加のため外してます)。昨年は惜しくも準優勝だった関東学院六浦が決勝戦で石見智翠館を17-7で破り、初優勝しました。日本協会HPの発表はこちら過去の大会も調べてみたら、関東学院六浦は3年連続で決勝に進出するも優勝できずにいたので、悲願の日本一でしたね。ラグビーリパブリックの記事も出たので、リンク張っておきます。
⇒『関東学院六浦、初の日本一。一丸の石見智翠館も力及ばず

六浦の勝因は日本一のDF、大会4試合で失トライは3のみ

悲願を達成した関東学院六浦、ここ数年は神奈川や大阪のスクールで活躍する選手が多数進学し、関東高校女子をリードするチームになりました。私は2019年のコベルコカップで2位になった関東女子代表にコーチングスタッフとして帯同していましたが、その時も六浦の選手が一番多く選ばれて主力として活躍していたと思いますし、今年の大会MVPの向来選手は1年生で選ばれていました。9月に行われたセブンズユースアカデミーのメンバーを見ても六浦からは向来、寺谷、西、松村、矢崎の5名が選ばれていますね。

石見智翠館との決勝は4:10:00過ぎから、堅い守りを見せ相手のノッコンから繋いで奪った先制トライはお見事

8月のオッペンカップでも麗澤、佐賀工業を破って優勝し、Bチームも4位と選手層も厚く、大会前から優勝候補だと思っていました。おそらく参加チームもターゲットにして、分析していたかもしれません。そんな六浦の初日、予選プールの初戦は緊張もあったのか、四国の鳴門渦潮を相手に前半を終えて5-0、そして後半3分にハイタックルでシンビンが出てしまい6人に。そこから鳴門渦潮が上手に繋いでG前まで攻め込みますが、必死に守り、最後は5番西選手が相手のインゴールノッコンを誘う激しいタックルを見せてターンオーバーしました。結局、最後の1プレーでトライを奪い、12-0と勝利しました。よく走る連携の取れたDFに、スコア以上に六浦の強さを感じる試合でした。

大会MVPは六浦の向来桜子選手でしたが、発表前からMVPとるかなと思っていました。圧倒的な運動量、攻守にわたっての躍動感あるプレー、そして激しいタックル。六浦が目指すラグビーを体現していると感じましたし、今後の更なる成長が楽しみですね。

六浦の監督の梅原先生は私と同い年で、以前から高校女子カテゴリーでお世話になっていたのでこの大会でも試合を見た後に連絡をしていましたが、この初戦の展開はさすがにドキドキだったそうです(笑) 六浦はこの苦しんだ初戦からしり上がりに調子を上げて優勝しましたが、大会4試合で失トライは3のみ、総得点は91でした。トーナメントを勝ち上がる強豪チームは、2019年W杯の南アフリカもそうですが、堅いDFを持っています。アタックではどうしてもミスが出がちですが、DFは防げるミスの割合が高いかと思います。そして六浦の選手は総じてタックルの強い選手が多い印象です。失トライの少なさについて書いたので、過去の大会を調べたところ3年前の第1回大会では優勝した石見智翠館が4試合で失トライ0で、総得点は158でした。これは凄い、圧倒的すぎますね・・・

初出場の麗澤が3位、プレートは追手門学院、ボウルは開志国際が優勝

関東学院六浦以外のチームを見ると、初出場の麗澤(千葉県柏市)が予選プールで関西1位の追手門学院を14-12と逆転勝利して1位通過すると、2日目の3位決定戦では佐賀工業を破って3位になりました。初日の追手門学院戦では、追いかける後半に相手の裏へのキックを拾った4番池崎選手が左のスペースを走り切って同点トライを奪うと、5mライン付近の難しい位置から5番原田選手が逆転のキックを決めました。その後もノータイムでもゲームを切らずに攻め続けるプレーが印象的でした。

予選プールで麗澤に惜しくも敗れた追手門学院はプレート戦の初戦で京都成章と10-10の同点になり抽選で決勝に進むと、PEARLSを相手に7-7の後半、自陣スクラムでSHの4番小西選手が持ち出すとそのままDFのギャップを駆け抜けて独走しトライを決めて勝利しました。またボウル戦優勝の開志国際は予選初日の第1試合目、佐賀工業を相手に前半を終えて12-7とリードするなど健闘していました。2日目のボウルトーナメントでは2試合とも6トライ以上を奪う大勝で、予選の組み合わせ次第ではもっと上位に行けるチームでしたね。総じて振り返れば、全国各地からユースアカデミーに選ばれている選手が、活躍を見せた2日間でした。

毎年、大会を見る度にレベルが向上したと感じますが、東北選抜や北海道選抜など下位のチームにも良いプレーを見せる選手がいました。強豪校のレベルが高いのはもちろんですが、それ以外の地域でも男子と一緒に練習したり、それぞれの環境で良い選手が増えているのを感じました。ユースレベルはStrong Girls 発掘プロジェクトや15人制TIDユースチームも始まりましたし、今後の成長が楽しみですね!!

女子日本代表はヨーロッパ遠征前の最終調整に入りました

そして来月にヨーロッパで3つのテストマッチが予定されているサクラフィフティーン、昨日26日から菅平での遠征直前合宿が始まっています。日本協会HPの発表はこちら遠征メンバーは週末に発表されるとのことですが、このメンバーを見るとFWに青山学院大4年の小西想羅がいないのが気になりますね。2年前のスコットランド戦、後半から出場し大活躍し、前回の菅平合宿の試合形式でもかなりアピールしていたみたいです。RugbyJapan365に掲載されていたレポートはこちら ⇒ 「豪州遠征へ白熱バトル!
この遠征メンバーの8割以上がおそらく来年のW杯に挑むことになるかと思います。個人的にはセブンズ代表メンバーは来月のアジア予選を突破すれば来年W杯を控えているため、15人制代表へのメンバー入りはかなり厳しいと思っています。

またヨーロッパ遠征にはイギリスでプレーする山本、小林、加藤の3名も招集されると思いますので、どんな試合メンバーになるのか、楽しみですね。また近くなってきたらブログに書きたいと思います。男子と共に頑張れ、サクラフィフティーン!頑張れ、日本!

サクラフィフティーンのW杯出場決定とアイルランドとの試合決定

帰宅したら、女子日本代表サクラフィフティーンがW杯出場を決定したとの報道がありました。日本協会HPの発表はこちら。どうやらAsia Rugbyが新型コロナ禍でのスケジュール調整を鑑みた結果、アジア予選の形式を変えてしまったようです。実は噂レベルでは以前に知り合いの方から聞いてはいました。World Rugbyの承認に時間がかかったのかもしれませんが、そういうこともあるんだなと。森会長、レスリーHCのコメントも上記のリンクにありますが、いずれにせよ、予想通りアジア1位としての出場となりました。

予選プールの組合せはこちら、15人制では直接戦った経験のないカナダ、アメリカと同じ組なのは、テストマッチ経験の浅い日本には少し苦しい組合せ。

上記の協会HPのリンクには試合日程も記載されていますが、2017年の前大会は、ユース世代のW杯でもあるJWCなどと同様に中3日や中4日での試合日程でした。1年の延期に伴い、試合日程も見直されて中5日や中6日などコンディション調整に余裕が出て、参加国には良いことだと思います。先日のヨーロッパ予選の試合を見ても感じましたが、女子15人制もここ数年の間に、強豪国のフィジカルレベルが向上しています。海外勢とのテストマッチ経験の少ない日本代表選手の体への負荷を考えても、良い決定だと思います。

来月の20日にアイルランドとのテストマッチが決定

そして先日、日本協会からアイルランドとのテストマッチが20日に行われるとの報道がありました。アイルランド女子といえば、2017年予選プール2戦目の激闘ですね。前半14-0とリードを奪って折り返すも、開催国アイルランドの粘りと底力に及ばず、後半に24点を奪われての逆転負けでした。ハイライト載せますが、フル映像もYouTubeにありますね前半に1番江渕選手や3番南選手がアイルランドFWにガンガンタックルぶちかましていたような印象です。

個人的なベストハイライトはFW8人で勝ち取ったスクラムからのペナルティートライ

そして先月行われたヨーロッパ予選ではスペインとスコットランドに逆転負けして、来年のW杯出場を逃してしまいました。前回10月4日のブログでもハイライトの動画を紹介していましたね。それでも来月の遠征で日本と戦うウェールズ、スコットランドよりも強敵だと思っています。世界ランクも8位で上ですし、2014年のW杯では予選プールでNZに勝った国です。

https://twitter.com/IrishRugby/status/1441803594647343107
アイルランドに黒人系の選手がいた記憶は男子含めてもないのですが、この3番の選手の先制トライは衝撃でした。
https://twitter.com/IrishRugby/status/1439624667216719875
ヨーロッパ予選では初戦でスペインに負けて、追い込まれた2戦目のイタリア戦で15-7で勝利。キックカウンターの11番の爆走が衝撃でした。

上のTwitterでも紹介したように、強力なランナーがいるチームです。ただ試合映像はあるので、戦い方や注意する選手などは事前に想定できると思います。W杯出場を逃したとはいえ、母国でのテストマッチですから、フルメンバーで叩きに来ると思います。テストマッチ2試合を戦って、昇り調子の日本との試合は激戦になりますね。YouTubeでライブ中継されるかな。女子日本代表の遠征については、来月初めにでも改めてブログに書こうと思います。

女子セブンズ日本代表候補SDSは合宿を継続中

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1450340938652520448
様々なボールを使ってのトレーニング、コーチ陣も混ざって楽しそうです

前回のブログでは活動レポートもなかった女子セブンズ日本代表ですが、徐々に合宿のレポートや取材レポートが見れるようになっています。19日のTwitterでは動画付きで紹介されていましたね。17日から始まった合宿レポートはこちらそして来月のドバイ大会まで気づけばあと1か月です。時間がない。対外試合も出来ない中で、新チームになってすぐ結果が求められるのは苦しい状況ですが、逆境を乗り越えてこその代表チーム。選手の一部は、大学の授業や教育実習の関係でチームを離れているとか。若いチームなので、仕方ない部分もあります。15人制もセブンズも来月の海外での戦いに大注目ですね!!!

その他、ユース世代に目を向ければ様々な試みが始まっています。11日には「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト」次世代リーダー育成事業の参加者決定のお知らせという発表がありました。全国から女子選手が参加していますね。第1回は先週16日に行われたようで、そのうち協会HPにレポートが上がるかもですね。そして8日には女子15人制TIDユースチーム候補選手が発表されました。活動予定を改めて見ると、来週27日からオンラインセッションが始まります。どういう形になっていくのか、選手を上手く引き上げて、積極的な強化に繋げてくれるのを期待しています。

これからの1か月が、女子ラグビーにとって世界に挑む大きなチャレンジになりますね。世界にサクラを咲き誇って驚かせるために頑張ろう、日本。

サクラ15は来月にヨーロッパでテストマッチ2試合

10月に入りました。男子日本代表は合宿中ですが、23日に大分で強豪オーストラリアとテストマッチが行われます。日本協会のHPの発表はこちら。W杯優勝の南アフリカに連勝して絶好調のオーストラリア、ベストメンバーで来るかはわかりませんが、およそ2年ぶりの国内でのテストマッチでジェイミーJAPANがどんな戦いを見せてくれるか楽しみですね。

女子日本代表はウェールズ、スコットランドとのテストマッチが決定

そして女子日本代表サクラフィフティーンの秋の予定も発表されています。スコットランド戦に関する日本協会HPの発表はこちら。また先週の市原での強化合宿のレポートはこちら。試合形式の練習を重ねていて、戦術、ゲームプランの落とし込みも始めているのでしょうか。遠征前に菅平での2回、合わせて14日間の強化合宿も予定されています。この時期に菅平とも思いましたが、来月の遠征の準備であらかじめ肌寒いところで合宿することで、現地での対応力を高める良い準備が出来ると感じました。4日時点で発表されている遠征予定ですが
10月31日(日) 日本から出発
11月7日(日)  ウェールズ代表戦(世界ランク11位、KO時間未定)
11月14日(日)  スコットランド代表戦(同9位、まだKO時間は日本の深夜1時過ぎ)
※11月20日には男子がスコットランド代表とテストマッチ予定。また帰国日は調整中…

スコットランド協会のYouTubeから、劇的な逆転勝利をした先日のアイルランド戦のハイライト

スコットランドについては、先月のW杯予選で格上のスペインに27-22、アイルランドに20-18(World Rugbyの試合経過リンク)とそれぞれ逆転勝利をして、ヨーロッパ2位でW杯最終予選への進出を決めたばかりです。試合映像もフルでYouTubeにあるので、代表候補の選手たちもチェックしているのではないでしょうか。ウェールズについては、今年の春に行われたSix Nations(6か国対抗)で最下位だったようで4月10日にはアイルランドとも戦い、0-45で完敗したとか。前回大会の成績で来年のW杯出場は決めているため、日本代表とのテストマッチは貴重な試合機会と考えているでしょう。帰国日は未決定のため、もしかしたら翌週に別のテストマッチが組めるよう調整しているのかもしれません。ただ個人的にはこの2試合にフォーカスしてよいかと思います(帰国後には関東・関西大会も開催する予定のため)。

またこの2か国で4月24日にテストマッチを行っていて、その時はスコットランドが27-20で勝利しました。実力に大きな差はない分、ウェールズも手ごわい相手ですね。ただ試合映像がこうして見れるのは、大きなアドバンテージだと思います。2か国とも日本より強度が高い相手、その強度に最初から戦えれば試合の流れを掴めると思いますし、接点で受けたり、反則からラインアウトモールで攻め込まれると、後手後手に回り苦しくなると思います。故に国内の強化合宿でゲームプランの落とし込み、遂行力がどれだけ出来るかが大事です。後はイギリスでプレーする山本選手、小林選手、加藤選手の合流もあるかと思いますが、チームのピースとしてしっかりハマれるかどうか。過去の女子日本代表でこういったケースはおそらくないと思いますが、そこはオンラインでのミーティングなど、上手くやってくれると思います。

探したら14分のハイライト動画があったので紹介、フルの映像もありました。

なので万全の準備をして、世界ランク12位の日本が11位のウェールズ、9位のスコットランドをアウェーで撃破し、世界ランクトップ10入りを果たしたいですね。またスコットランドはウェールズとのテストマッチを分析した上で挑んでくるでしょう。そして翌週20日には男子日本代表もスコットランドでテストマッチが行われます。男女ともに2019年に日本に負けただけに、ホームで揃ってのリベンジを果たすべく、全力で来るでしょう。まさにW杯本番に近いプレッシャー、ここで勝てれば1年後のW杯ベスト8進出が大きく近づくと思います。4日時点で男子は世界ランク10位ですし、先日の東京オリンピックの成績を上回る活躍をサクラフィフティーンには期待しましょう。

女子7人制代表サクラセブンズはドバイ大会に向けて大丈夫か

最後に気になっているのがサクラセブンズの現状、先日の熊谷合宿のスケジュールが発表されていましたが、合宿レポートなどの情報は協会HPで見当たらず。先日の合宿の参加メンバーはこちら。東京五輪の登録メンバーは大谷選手、梶木選手、白子選手、堤選手、永田選手、原選手、平野選手、山中選手の8名。それ以外にも五輪前まで代表の主力メンバーとして活躍した小笹選手、香川選手、また中村選手はプレイングコーチとして参加していたり、春の太陽生命WSSで活躍した高校生や大学1年生など合計21人が選ばれていますね。

男子の15人制、セブンズも合宿をしている中、活動予定が見えない分、出遅れているような印象はありますが、経験値の高いメンバーもいますし、まずは戦いのベースとなるスピードとパワーを継続して強化しないといけないのは変わりません。東京五輪を終えて中国を追いかける立場になりましたが、まずはワールドシリーズ、来年のW杯出場に向けて代表スコッドを決めて、継続して強化していかないといけません。頑張ろう、日本。