サクラのユース世代の強化を少し考える

ラグビーW杯開幕まであと22日ですかね。各国の代表メンバーも発表されてきていますし、日本代表も明日29日に発表予定です。今回も女子ラグビーのユース世代(高校生)の強化について、短めに書きます。

毎年レベルアップを続けるKOBELCOカップ

私は2014年にTKMのコーチになり、そこから今まで5年少し、女子ラグビーに携わってきました。翌年、JICAを通じてウズベキスタンに派遣されて、帰国後は東京フェニックス、そして千葉ペガサスにお世話になりましたが、そこで高校女子も見るきっかけを頂き、3年少しになります。初めてKOBELCOカップを観戦したのが2016年で、その後は教え子の活躍などもあり、2017年と2019年は関東代表チームのスタッフの1人としてお手伝いしてきました。

今年の大会については、関東代表と北海道関東代表の試合は全て撮影係として観戦、他にも日本一を争う決勝リーグでの試合を中心にほとんどの試合を見させていただきましたが、育成リーグでもスキルレベルはかなり上がってきた印象です。具体的にはパスが繋がり、ボールが良く動くようになりました。決勝リーグのチームと比べると、まだキックの蹴れる選手が少なかったり、地域ブロック内での競技人口に違いがあり、試合形式の練習があまり出来ないのが、決勝リーグとの力の差になっているかもしれませんね。

関東代表と北海道関東代表の試合はYoutubeに限定公開でUPしたので、こちらから視聴できます。

高校女子の強化ビジョンのため、そろそろU18サクラ15を作るべきでは

6月の関東代表セレクションの1コマ、日本一から日本代表、世界を目指すプレーヤーを作り出す環境を用意する時期にきたかもしれません

高校女子ラガールが目標にしている大きな大会は5月の福岡サニックスWY、夏の菅平KOBELCOカップ、秋に熊谷全国U18女子セブンズ、そして冬の花園東西対抗戦といったところでしょうか。競技人口がまだまだ少なかったり、セブンズに注力しているからか15人制のプレーする機会があまり多くないと正直、感じています。

それで個人的には5年後、10年後を見据えたときにFWのプレーヤー、特にフロントファイブのパワーやサイズのある選手を中高生のユース世代からしっかり育成していかないと、将来の日本代表サクラフィフティーンの強化に繋がらないのではないか、といった危機感があります。

今年のKOBELCOカップの参加選手でも、170cmを超えている選手や75kgを超えている選手は数えるほどしかいなかったと思います(もちろん怪我で欠場した選手もいますが)。足の速い選手やアタックで目立つ選手はセブンズユースアカデミーなどに選ばれて、注目する機会は増えています。しかし、セブンズであまり活躍できないサイズの大きな選手が「セブンズに不向き⇒ラグビーは高校まで・・・」といったことになるともったいないですね。彼女たちが活躍する場をもっと作っていかないとまずいなと。

そういう子達をセブンズではなく15人制の代表候補に育てていくのであれば、やはり女子U18サクラフィフティーンを結成すべきだと思います。実は過去に香港が遠征に来るということで高校女子日本代表を結成しています。

これは2010年4月に熊谷で行われた香港との試合ですね、今のサクラセブンズやサクラフィフティーンに選ばれている選手がたくさん出場していると思います

昨年からKOBELCOカップでは各地域ブロックから優秀選手を大会側が選出するようになりました。今年の関東代表はSHの高橋沙羅でした。個人的にはKOBELCOカップや花園東西対抗のプレーを見て、男子と同様にU18サクラフィフティーンを結成して出来たら海外遠征、もしくは年度別の高校女子ベスト15を選出するなど将来の日本代表に繋がるようなステップを作ってあげたいなと考えます。もしその経歴が大学の推薦入試に関わるなら夏の早い時期に選ぶとかもありですね。各チームで、各地域代表で、必死に頑張るというところから、日本代表そして世界を目指すステップをユース世代で作って上げられないかと思います。セブンズユースアカデミーで取り組んでいることを拡げられないかと。

もちろん予算とか色々な諸問題はあるはずですが、まずは大人たちが面白くなるビジョンをつくり、選手に向けて語って、見せていかないと。私もまだまだ実力不足ですが、出来ることはしっかりやって、ビジョンを発信し、語っていけるようになります。ユース世代、もっともっと面白くしていきましょう。

サクラ15とWallaroosとBlackFerns

8月は週末は連続で菅平に上がっていましたが、今週末は実家に帰ってクラブチームの練習に参加したり、自宅で久しぶりにゆっくり過ごしていました。男子もW杯前に各地でテストマッチが行われていますが、女子もNZと豪州がテストマッチを行っていました。結果は2戦ともNZが快勝、力の差を見せ付けました。

世界ランク1位のBlackFernsが実力をしっかり見せ付けた2試合

オーストラリア協会のYoutubeから土曜にNZのイーデンパークで行われたテストマッチ、男子の前座で行われた試合は、BlackFernsが37-8でWallaroosに快勝しました。

第1戦は前の週に豪州のパースで行われて、NZ女子代表BlackFernsが47-10で大勝しました。いちおうYoutubeのハイライトはこちら。6月に米国で強豪国とテストマッチを重ねていたBlackFernsは、この試合でもG前のチャンスで簡単にトライを取っている様に見えました。2試合のハイライトを見てもトライ場面は、モールで押し込んだり、G前のペナルティーからクイックで外に展開して飛び込んだり、キックパスから繋いだり、豪州代表Wallaroosを相手にも高いスキルを発揮する強さがありました。

個人的には15番のWiniata選手は2年前に東京フェニックスでプレーした時にお世話したのと、10番のDemant選手の妹もまた東京フェニックスでプレーしていたので、BlackFernsを応援しています。男子と同様にタレント揃いのNZ、男子は世界ランクでウェールズに抜かれるみたいですが、女子はしばらく世界ランク1位をキープしそうです。

対してWallaroosは第2戦は1トライのみでしたが、前半に自陣22m前の左スクラムから用意したサインプレーで細かく繋ぎ、外の14番が内から追ってきたWiniata選手をハンドオフで弾き飛ばし、追いすがるDFを振りきって50m独走のトライを見せました。Wallaroosは現在世界ランク7位ですが1位のNZとの実力差はかなりありそうです。現在の世界ランクのリンクはこちら、ちなみに日本は16位です。

他の国の世界ランクと、日本は上位との実力差をどう埋めていくべきか

まず女子の世界ランキングについて、過去10年か何年かの大会の成績も反映されているようですが、男子ほどテストマッチが頻繁に行われていない以上、実際の実力はあまり反映されていないと思って良いでしょう。11位以下を順番に並べると、南アフリカ(W杯のアフリカ予選を突破て出場を決めたとか)、スコットランド(2年前のW杯不出場)、13位サモア(同じくW杯不出場、前々回の2014年は最終戦でカザフスタンに勝って11位)、14位オランダ、15位ポルトガル。そして17位にカザフスタン、18位ロシアとなって、アジアのライバル香港は21位になっています。

2017年のW杯では11位に終わった日本も実際はもう少し上だと思いますし、スコットランドや10位のアイルランドには勝てる可能性はありそうです。ただヨーロッパ勢は毎年、 6カ国対抗戦でテストマッチを重ねていますから、どう戦うかを明確にして準備しないと勝つのは難しいでしょうね。個人的には2021年のW杯までに世界ランクをあと3つか4つ上まで上げて欲しいとは願っています。

日本女子サクラ15と豪州女子Wallaroosのスコアを見ると
第1戦 Sakura15 ●5-34 Wallaroos(6T)
第2戦 Sakura15 ●3-46 Wallaroos(7T)


次にWallaroosとNZ女子BlackFernsのスコアを比較すると
第1戦 BlackFerns(8T) ○47-8 Wallaroos
第2戦 BlackFerns(5T) ○37-10 Wallaroos

そして先日、日本協会のHPでオーストラリア遠征を終えたレズリーHCからの総括コメントと、初代表でキャップを獲得した選手たちのコメントが掲載されました。個人的には「とても満足している」とか「現在の立ち位置を現実的に考える」という言葉を見て、随分とポジティブに捉えているんだなと感じました。個人的にはポジティブに捉えるよりもW杯までの残りおよそ2年という期間への不安や危機感のほうが強いです。先日の遠征に向けて、どういう準備をしてきたのかはわかりませんが、次のW杯までにこのレベルの相手と再び試合をする機会が作れるかと思うとかなり難しいと思います。その中で感じた実力差をどう捉え、代表選手、そして代表入りを狙う選手がここからどれだけ必死に差を埋めていくか注目ですね。

その中でNZに留学してチャレンジしている選手が少しずつ増えているのも事実です。数年前から高校生が夏休みに数週間の短期留学をしたり、故人で半年の留学しているのを聞くこともありました。例えば2年前のW杯でも活躍したアルテミスターズの津久井選手も3年前にNZ留学して実力を磨いていました(留学中のためコベルコカップには出場できず)。同じアルテミスターズの高野選手も今年3月からNZ留学していますね。サッカーの男女の日本代表のように、海外の高いレベルの中で過ごし、経験を積んだ選手が増えることは代表の強化にも繋がると思います。

またレズリーHCが先日のコベルコカップのときに菅平入りして、大会出場選手に1時間ほどのセッションを行っていました。こういう機会は高校生にとっても代表を身近に感じられて良いと思います。代表チームがどういう練習をしているか、どういうスキルを持った選手が求められているのか、どんどん発信して欲しいですね。代表チームの戦術、戦略などは試合を見ていないのでわかりませんが、いずれにせよ選手個々のフィジカルやスキルの差を埋めないことには上位国相手には勝てません。日本の女子ラグビー全体で上手く強化のシステムを作れればと思います。

秋にはまた強化合宿や海外遠征が予定されているかも知れませんし、引き続きサクラ7s含め、代表の動きについても発信していければと思います!

3連休の高校女子15人制合宿を振り返る

お盆休みの時期ですが、西日本は台風の脅威が迫ってきていますね。先週末の3日間は天気に恵まれた菅平でした。

2日目の午前は東海大静岡翔洋、大阪緑涼のCrazy Rugby Girls Teamの選手も参加し、試合形式のADを行いました。中央の赤いシャツが私。写真はCrazy Rugby Girls TeamのTwitterから拝借。

3日間の合宿には関東の高校生を中心に40名近くが参加しました

今回の合宿は関東協会主催の「全国高校女子15人制強化合宿」という名前で行われました。ここ数年、この時期に行われていて私は2年前にもスタッフで参加しました。今年はそのときより規模は少なめになり、ホテルの宿泊は25名程度。それ以外は所属している学校の宿泊先からグランドに通ったり、関東以外の地域から引率の教員や保護者を連れて参加する選手もいました。スタッフも私含めてコーチ3人に派遣された女性トレーナー3名、女性レフリー1名と充実した体制でした。

参加した高校生の内訳ですが、高校1,2年生が多く経験の浅い選手が多かったです。先日のコベルコカップで関東代表に選ばれた選手は6名だったかな。関東学院六浦は北海道の遠軽で合宿していますし、國學院栃木は別のグランドで7人制の試合を重ねていました。それでもFWが多めに参加していたので、試合形式を行うためのポジション決めは困らずに出来ました。以前はフロントローが少なくて苦労したような気がいます。

土曜、日曜、月曜と4回の練習の中で前半はスキルとユニット中心に、後半は試合形式を中心に構成しました。参加した選手もクリニックに運ぶような大怪我はなく終えましたが、簡単に振り返ってみます。

前半はスキルの確認とゲームでの動きの理解に力を入れました

コーチ陣で事前に打合せして、初日は全体のパススキルを見ながら、メニューを上手く調整することにしました。全体でウォームアップをしてからタッチラグビーを始めましたが、普段は一緒にプレーしていない選手同士で良い動きも少なかったので、こちらで集めてはフィードバックを行い、徐々に試合に近い動きが出来るようになってトライも増えました。この辺り、高校女子ラガールの吸収の早さというか素直さはどこに行っても同じです。これが自分たちで気づいて出来るようになったら、高校女子のレベルも上がったと実感できますね。

その後はFWとBKのユニットに分かれて私はBKを担当、20名弱の選手をL字にマーカーを並べてのパス練習を行いました。キーポイントを伝えて、慣れてくると、徐々にプレッシャーを上げていきます。100回ボールを落とさずに継続する、30秒以内に何回パス出来るかチャレンジする、といったやり方で最後は30秒で30回を何とか達成しました。今回は30秒の中でどうしてもミスが起きてしまう状況が続きましたが、上手く選手を盛り上げてやることが出来たかなと思いました。

2日目の午前ではスキル練習ということでCTB,WTB,FBの選手に、男子のユースの練習で見かけたAステップの動きを導入しました。女子は膝の怪我が多いので、怪我防止も兼ねて真下に強く踏む、素早く足を動かすを意識して、これも徐々に難易度を上げていきます。パスキャッチしてからのステップ、DFをつけて2対2の状況でアタック、動きはシンプルでしたが、選手は飽きずに取り組んでいました。ユース世代には正しい走り方、正しいステップをもっと教え込んでいきたいですね。

後半の試合形式では出てきた課題を修正しながら試合を重ねました

日曜の午前はADをホールドで行い、試合の流れの中での動きを修正、午後からはフルコンタクトでの試合を行いました。その中で出てきた課題は、ラックでのオーバーが上手くないということでした。普段はセブンズをプレーすることが多い女子ラグビー、複数でラックを超えていくということが出来なかったり、ラインに入ったりオフロードを狙う選手が多くてアンバランスでした。ラックに入るかどうかの判断も出来ていないですね。

そこでコンタクトバッグを使って、キャリアーはレッグドライブからのトライダウン、サポートはキャリアーにバインドして一緒に前に出る動きを確認して、再び試合形式を行うと、タックル後にジャッカルされてのターンオーバーは減りました。こうした流れで参加した選手には15人制の動きを学んでもらいました。最終日の月曜の午前は自陣22mからのキックとチェイスの仕方を指導し、ポジションごとの原理原則を伝えました。試合で上手くチェイスするような場面は出てきませんでしたが、まだキックをしっかり蹴れる選手が少ない女子ラグビーです。こうした合宿のなかでスキルもラグビー偏差値もレベルアップしていきたいですね。

最終日の試合後に記念写真、所属チームの都合で早めに抜けたり、この日は参加できない選手もいました。15分を3本行い、笑って終わることが出来ました。

今回の合宿には関東以外にも愛知の栄徳や佐賀工業の女子選手も通いで参加してくれました。中にはコベルコに出場した選手もいて、関東の選手と良い交流が出来ました。最終日の試合後には私から全体へのフィードバックとして「これからは気持ちをもっと強く外に出して欲しい」という話をしました。女子はどうしても周りの空気を見て合わせるという感じが男子よりも強いのですが、その殻みたいなものを破ってグランドで気持ちを出して欲しい、そしてコベルコや花園で活躍するような選手に育って欲しい、という期待を込めました。

最後は「Go With!」の掛け声で締めました。この中から年末の花園、来年のコベルコで活躍する選手が出てきて欲しいなと思います。

今回教えた選手たちと、次にどこでどういう形で会うかが楽しみですね。今後は女子の15人制をプレーする機会をもっと増やして行きたいなと思います。

コベルコカップ女子の部を振り返る

まず前回のブログから2週間近く更新が滞ってしまいました。話題は色々とありましたが、落ち着いて書くような時間が作れずでした。今回は先日、菅平で行われたコベルコカップ2019を振り返ります。

今年は例年以上に暑かった菅平、女子のレベルも上がっていました

開会式では男女共に全国9ブロックから集まった高校生を前に、岩淵専務理事がお話をしていました。開会式後には中央のステージでスキマスイッチと高校生が共に歌うMVを撮影して盛り上がりました

女子の部を振り返るということで、まずは大会結果から。5地域の代表で日本一を争う決勝リーグ、中国ブロックの石見智翠館が4戦全勝で15人制になって初めての優勝を飾りました。関東ブロックは2勝1敗1分け、得失点差で九州ブロックを上回り2位、そして九州、近畿、東海という順位でした。4地域で争う育成リーグでは3地域が2勝1敗で並びましたが、得失点差で北海道・関東が1位に、2位四国、3位北信越、4位東北という順位になりました。各試合結果は日本協会のHPにありますのでチェック。

私は女子の試合はほとんど観戦することが出来ましたが、今年も全体のレベルは上がっていました。具体的にはキックも含め、ボールがより動くようになりました。3,4年前は全体が浅いラインで外までボールが回ることも少なく、キックもしっかり蹴れる選手があまりいなかった印象でした。今年はキックでエリアを取れるチーム、ATで深いラインからワイドに展開して外のスペースを有効に使うチームが増えました。育成リーグでも四国チームは良いアタックを見せていたと思います。一方でDFでボールを奪えるチームはまだ少ないですね。ジャッカルで絡む場面は増えましたが、素早いDFからFWの圧力で球を奪いにいく場面がもっと増えると、ゲームの強度も上がるかなと思います。

優勝した中国ブロック、石見智翠館のまとまりと強さは抜けていました

決勝リーグで優勝した中国ブロック。4試合で9トライを奪い60点を獲得、失点は僅か8点、九州との最終戦では前半の1PGのリードを守りきっての初優勝でした。先日のオーストラリア遠征で日本代表デビューした今釘小町選手を中心に、個々の強さとまとまりは他のチームを圧倒していました。試合を見ていた大会関係者から、石見智翠館の選手が大きく見えるという声も聞こえたほどです。関東ブロックとの試合では、キックオフ直後のラックで関東FWを押し返してターンオーバーを勝ち取るなど力強いFWに加えて、深いラインからワイドに展開して、ゲインを重ねて最後は外のWTBが狙い通りにトライを奪うなど本当に強いチームでした。

もちろん中国ブロックは石見智翠館単独で、他の地域は選抜チームという部分でのチームの完成度、まとまりの差は否めません。もしかしたらGWに行われたサニックスワールドユースを終えてからおよそ3ヶ月、コベルコカップ優勝という目標達成に向けて今まで以上に準備を重ねてきたかもしれません。その理由の1つは昨年まで春に太陽生命WSSが行われていたので、セブンズに取り組む時間ばかりで15人制への準備期間が足りなかったのだと思います。今年はチャレンジチームに選ばれる選手もいましたが、他のチームと比べて完成度は高かったと思います。来年は他の地域ももっと力を入れて取り組まないと勝つのは難しい、そう感じさせる戦いっぷりでした。

2位の関東ブロック、ハードなDFを強みに良い戦いを見せました

最終戦を前に。佐野の石井先生、関東学院六浦の梅原先生を中心に優勝を目指した関東ブロックは、昨年の3位を上回る2位。選手は試合を重ねる毎に、ハードなDFという強みを理解し、成長していきました。

そして私も帯同してサポートした関東ブロック、昨年までは高いキックスキルと判断力を兼ね備えた高木萌結が10番司令塔としてチームをリードしていました。FWの秋田若菜やBKの高橋沙羅、安尾琴乃など昨年も関東ブロックに選ばれた選手が軸になるものの、快速WTBや力強いFWなどずば抜けた選手はいない中で、優勝を目指してどう戦い抜くか。振り返ると試合を重ねる毎にわかりやすく成長することが出来た3日間でした。

関東ブロックの9番高橋沙羅は4戦フル出場、近畿との最終戦では3トライ全てに絡む大活躍を見せてブロック優秀選手に選ばれました。写真はせんしさんのTwitterから拝借。

私は主に試合前のウォームアップを担当、試合中はビデオ撮影をしていて試合中は選手に具体的なアドバイスはせず、見守っていました。初戦は昨年優勝の九州が相手、チームもまだ不安な要素が多く、試合前のアップでも選手間でのコミュニケーションが足りないというか、確認ばかりでまとまらないといった様子で、心配していました。結果は0-0のスコアレスドローでしたが、前半の慌てた時間帯にDFでハードタックルを連発し、ゲームの流れを徐々に引き寄せると、後半は10番松尾凜子のキックで敵陣に進み、最後の数分間は敵陣22m内で攻め続けました。もちろん勝てなかった悔しさはありますが、良いスタートは切れたと感じました。

次の中国戦、前半は相手のミスに助けられる場面もありながらも、自陣からのキックで敵陣に攻め込み、12番安尾琴乃が先制のトライ(その前の場面でノッコンがあったように見えましたが・・・)。しかし後半は開き直った中国が狙いすましたハードタックルから流れを掴むと2トライを奪われて逆転負け。しかしこの2試合の接戦の中で自分たちの強み、戦い方を理解したと思います。その後の2試合では3トライを奪い、快勝しました。

近畿との最終戦を終えて、応援してくれた保護者にチーム皆でお礼の挨拶、キャプテンの2番粂日向子、バイスの9番高橋沙羅を中心に良いチームになりました。もっと強くなれると感じた分は花園に向けて。

今年の関東ブロックは、チームでDFするという意識が今までよりも高かったと思います。それがはまる場面が多く見られ、自陣のキックから敵陣までエリアを大きく進めて、相手のミスを誘い、敵陣でアタックする、という場面が多かったと思います。その一方でG前まで攻め込むも、FWを絡めたオプションが少なく攻めあぐねる場面もありました。最終戦の近畿に奪われたトライは、G前で攻め続けるもトライを奪えず、BKに展開したところでミスから一気に切換えされてしまいました。この辺りは自分含め、コーチ陣が限られた時間の中で落とし込みきれなかった部分かもしれません。

もちろん関東ブロック以外でも、北海道チームに加わった関東の選手をはじめ、多くの原石が活躍していました。どの試合も選手の必死さ、ひたむきさがあり、決してつまらない試合などありませんでした。今後もラグビーを続けてほしいですね。

今年は11月に行われていた三地域対抗戦(全国選手権高校の部)が行われないらしく、花園の東西対抗戦に向けては秋にセレクション合宿が行われて、そこで代表選手を選ぶそうです。関東ブロックの選手たちには怪我に気をつけながらも、夏、秋と更に個々がレベルアップを重ねて、花園のフィールドで活躍して欲しいなと思います。

注目されたU17の部は関東ブロックが圧勝、8番桐蔭学園の佐藤選手の圧倒的な攻撃力など本当に強いチームでした。茗溪学園の亀山、勝矢もチームの一員として頑張っていました。

今回は簡単に振り返ることが出来ず、2週間あいていたのもあって、長くなりました。W杯開幕まで50日を切り、毎週2回は更新できるよう、色々とラグビー情報を探しながらやっていきます。

関東ブロック女子の集合写真、2年ぶりの帯同でしたがたくさん学ばせてもらいました。もっと自分の役割を果たして勝利に貢献できるような指導者を目指して頑張ります。