3連休の高校女子15人制合宿を振り返る

お盆休みの時期ですが、西日本は台風の脅威が迫ってきていますね。先週末の3日間は天気に恵まれた菅平でした。

2日目の午前は東海大静岡翔洋、大阪緑涼のCrazy Rugby Girls Teamの選手も参加し、試合形式のADを行いました。中央の赤いシャツが私。写真はCrazy Rugby Girls TeamのTwitterから拝借。

3日間の合宿には関東の高校生を中心に40名近くが参加しました

今回の合宿は関東協会主催の「全国高校女子15人制強化合宿」という名前で行われました。ここ数年、この時期に行われていて私は2年前にもスタッフで参加しました。今年はそのときより規模は少なめになり、ホテルの宿泊は25名程度。それ以外は所属している学校の宿泊先からグランドに通ったり、関東以外の地域から引率の教員や保護者を連れて参加する選手もいました。スタッフも私含めてコーチ3人に派遣された女性トレーナー3名、女性レフリー1名と充実した体制でした。

参加した高校生の内訳ですが、高校1,2年生が多く経験の浅い選手が多かったです。先日のコベルコカップで関東代表に選ばれた選手は6名だったかな。関東学院六浦は北海道の遠軽で合宿していますし、國學院栃木は別のグランドで7人制の試合を重ねていました。それでもFWが多めに参加していたので、試合形式を行うためのポジション決めは困らずに出来ました。以前はフロントローが少なくて苦労したような気がいます。

土曜、日曜、月曜と4回の練習の中で前半はスキルとユニット中心に、後半は試合形式を中心に構成しました。参加した選手もクリニックに運ぶような大怪我はなく終えましたが、簡単に振り返ってみます。

前半はスキルの確認とゲームでの動きの理解に力を入れました

コーチ陣で事前に打合せして、初日は全体のパススキルを見ながら、メニューを上手く調整することにしました。全体でウォームアップをしてからタッチラグビーを始めましたが、普段は一緒にプレーしていない選手同士で良い動きも少なかったので、こちらで集めてはフィードバックを行い、徐々に試合に近い動きが出来るようになってトライも増えました。この辺り、高校女子ラガールの吸収の早さというか素直さはどこに行っても同じです。これが自分たちで気づいて出来るようになったら、高校女子のレベルも上がったと実感できますね。

その後はFWとBKのユニットに分かれて私はBKを担当、20名弱の選手をL字にマーカーを並べてのパス練習を行いました。キーポイントを伝えて、慣れてくると、徐々にプレッシャーを上げていきます。100回ボールを落とさずに継続する、30秒以内に何回パス出来るかチャレンジする、といったやり方で最後は30秒で30回を何とか達成しました。今回は30秒の中でどうしてもミスが起きてしまう状況が続きましたが、上手く選手を盛り上げてやることが出来たかなと思いました。

2日目の午前ではスキル練習ということでCTB,WTB,FBの選手に、男子のユースの練習で見かけたAステップの動きを導入しました。女子は膝の怪我が多いので、怪我防止も兼ねて真下に強く踏む、素早く足を動かすを意識して、これも徐々に難易度を上げていきます。パスキャッチしてからのステップ、DFをつけて2対2の状況でアタック、動きはシンプルでしたが、選手は飽きずに取り組んでいました。ユース世代には正しい走り方、正しいステップをもっと教え込んでいきたいですね。

後半の試合形式では出てきた課題を修正しながら試合を重ねました

日曜の午前はADをホールドで行い、試合の流れの中での動きを修正、午後からはフルコンタクトでの試合を行いました。その中で出てきた課題は、ラックでのオーバーが上手くないということでした。普段はセブンズをプレーすることが多い女子ラグビー、複数でラックを超えていくということが出来なかったり、ラインに入ったりオフロードを狙う選手が多くてアンバランスでした。ラックに入るかどうかの判断も出来ていないですね。

そこでコンタクトバッグを使って、キャリアーはレッグドライブからのトライダウン、サポートはキャリアーにバインドして一緒に前に出る動きを確認して、再び試合形式を行うと、タックル後にジャッカルされてのターンオーバーは減りました。こうした流れで参加した選手には15人制の動きを学んでもらいました。最終日の月曜の午前は自陣22mからのキックとチェイスの仕方を指導し、ポジションごとの原理原則を伝えました。試合で上手くチェイスするような場面は出てきませんでしたが、まだキックをしっかり蹴れる選手が少ない女子ラグビーです。こうした合宿のなかでスキルもラグビー偏差値もレベルアップしていきたいですね。

最終日の試合後に記念写真、所属チームの都合で早めに抜けたり、この日は参加できない選手もいました。15分を3本行い、笑って終わることが出来ました。

今回の合宿には関東以外にも愛知の栄徳や佐賀工業の女子選手も通いで参加してくれました。中にはコベルコに出場した選手もいて、関東の選手と良い交流が出来ました。最終日の試合後には私から全体へのフィードバックとして「これからは気持ちをもっと強く外に出して欲しい」という話をしました。女子はどうしても周りの空気を見て合わせるという感じが男子よりも強いのですが、その殻みたいなものを破ってグランドで気持ちを出して欲しい、そしてコベルコや花園で活躍するような選手に育って欲しい、という期待を込めました。

最後は「Go With!」の掛け声で締めました。この中から年末の花園、来年のコベルコで活躍する選手が出てきて欲しいなと思います。

今回教えた選手たちと、次にどこでどういう形で会うかが楽しみですね。今後は女子の15人制をプレーする機会をもっと増やして行きたいなと思います。