東京五輪の中国戦、ケニア戦を見逃し配信で振り返る

24日に東京パラリンピックの開会式が行われて、さっそく車いすラグビー日本代表が予選リーグを3戦3勝で1位通過して大会を盛り上げてくれていて嬉しいですね。一方で女子15人制日本代表候補は合同(強化+TID)合宿を岩手県釜石市で行っています。協会HPの合宿レポートはこちら。また釜石市でもSNSで積極的に情報発信していますね。私も昨年10月に釜石市を訪れる機会がありましたが、ラグビー関係者には特別な場所なんだなと感じました。合宿の話題については、週末にでも改めてブログに書きたいと思います。

東京五輪の振り返りを何度もブログで書きましたが、幾つかの媒体で新しいものが出ていましたね。結果はどうあれ、ここ5年間の目標としていた大会なので、たくさんの意見があって良いかと思います。今回はまだNHKスポーツのWebで見逃し配信があるので、4週間前の2試合を簡単に振り返ってみます。まず中国戦、見逃し配信のリンクはこちら(1:10:00過ぎから)

試合開始から中国のDFの圧力を受けて仕掛けられなかったサクラセブンズ

中国のキックオフで始まった前半、お互い大量得点を奪って3位で8強を狙う者同士の戦いは日本がしっかりキャッチするも、自陣22m内で外から内へパスを折り返したところで中国のタックルをしっかり受けてしまいそこから反則。そのペナルティーからわずか28秒で中国が先制のトライ。その次のキックオフでは梶木選手が平野選手を1人リフトでしっかりキャッチして攻めようとするも、外でボールを受けた白子選手が捕まってタッチに出されてピンチに。そこでのラインアウトから中国BKの選手のステップにDFが触れずポスト下にトライを許し、この時点で僅か2分30秒。その後の前半では攻撃権を得ると捕まるのを避けてDFの裏のスペースを狙ってボールを蹴るも確保はできず、またDFでも粘りを見せられず、1人のタックルミスから独走トライを許してしまう残念な展開で、前半は0-19。日本は敵陣でのアタックが出来ない苦しい展開の中で梶木選手のタックル、自陣G前でのジャッカルが目立ちました。

迎えた後半、中国選手の独走を原選手が追いかけてノッコンを誘いますが、その後のスクラムで交代で入った堤選手がスクラムから持ち出したところで中国選手が手をかけてターンオーバー。また自陣で相手にボールを奪われて、そこから相手の突進を止め切れずトライされました。一言で言えば、攻守に仕掛けて前に出る中国、プレッシャーを受けてやりたいラグビーが出来ない日本、ですね。日本の攻撃権からスタートするも、パスを繋いでいるうちにボールを奪われて、中国はそこからトライで終わる。仕掛ける選手が出てこないなか、後半に入ってきた選手が仕掛けていくと良い場面も出てきましたが、結局捕まるのを避けて裏へのキックを蹴っては継続できず。レフリーのジャッジもアンラッキーでしたが、攻守に前に出る中国の勢いに飲まれましたね。戦う準備が整っていたとは思えない試合、最後は後半残り1分に敵陣中央のペナルティーからクロスダミーでスピードに乗った相手を捕まえきれず、独走トライをされるなど、悔しい云々を感じないほどの完敗でした。キックを上手く使ったアタックを目指してきたと言いますが、ある程度仕掛けて相手DFを注目させたうえでキックを使うことでより友好的になりますが、この試合ではキック頼みのアタックにしか見えませんでした。DFでも中国の個々の選手が仕掛けに接点でやられて倒れる選手が多かったです。その中でジャッカルでボールを奪う場面もありましたが、プレッシャーをかけ続ける場面はなかったですね。そして次のケニア戦、見逃し配信のリンクはこちら(40:30過ぎから)

負けられないケニア戦、勝敗を分けたのは何だったのか

ケニアのキックオフで始まった前半、日差しが差し込む中でケニアにボールを奪われるも、そこから低いタックルで相手を倒すと山中選手がジャッカルに成功。クイックで仕掛けて敵陣に入ると、そこからアタックが左右に揺さぶり前に出て、ケニアからオフサイドの反則を誘い、最後は外の原選手がインゴールに飛びこんで5点先制。その後のキックオフでは相手を捕まえられず、追いかける展開であっさり自陣に攻め込まれるも、素早く戻り、ポジショニングの遅いケニアのアタックに対して低いタックルで孤立したところで6番弘津選手がジャッカル成功。中国戦とは明らかに違う動きでゲームを支配し始めます。

ここで日本の選手から「裏、裏」というコールが聞こえますが、試合を見ていて感じたのは「今は蹴るべきではない」という印象です。ケニアより動き出しが早く、プレッシャーをかけている状況、継続してテンポよく振り回せばチャンスは作れそうでした。しかし日本の選手は明らかに「裏へのキック」という判断になっていました。キックをした結果、ケニアの選手がボールを拾うと、倒し消れずに繋がれ、80mを一気に独走されてポスト下にトライされました。その後のキックオフでは自陣から左右に広く揺さぶり、ボールを1分以上継続してチャンスをうかがいます。敵陣に攻め込んだところで、ラックでの球出しが上手くいかず反則してしまうと、そこでのスクラムを起点に外に仕掛けられると日本のDFを上手く引き付けて、外に繋がれてまたしても独走トライを許してしまい、5-14で前半を終了しました。良い場面は日本のほうが多かったと思いますが、結局DFの場面になると、どうしても弱い部分が出てしまいます。それでも攻撃で継続できれば、後半は勝負できると思わせる戦いでした。

9点差を追いかける後半、日本はキックオフからボールを奪い一気に敵陣22mに攻め込みます。そこからはケニアのDFの粘りに前に出れませんが、継続してチャンスをうかがうと、永田選手が裏に蹴りこんだボールをインゴールで小出選手が抑えてトライ。4点差に詰め寄ります。前半同様、日本のやりたいラグビーが見えるスタートでした。さらに次のキックオフでケニアのミスから敵陣でアタックチャンスを得ます。敵陣22mに入ったところでラックのボールがこぼれてケニアにボールを奪われますが、その後のDFでしっかり面を作って前に出てプレッシャーを仕掛けます。もしかしたらケニアにはキックするオプションがないと事前に分析したうえでのプレーかもしれません。敵陣G前に押し込むと、4番梶木選手がジャッカルに成功し、クイックで仕掛けてインゴールに飛び込み逆転のトライ。後半の開始から逆転するまでの4分は完全に日本のペース、ケニアはパニックみたいな状況でした。

残り3分を切って3点リードした状況から日本のキックオフ。ケニアのアタックは個々が仕掛けるシンプルなもので、1人2人としつこく捕まえては素早く起き上がり、粘り強くDFします。狭いサイドのライン際の1対1を抜かれてピンチになりますが、必死に自陣に戻って相手のノッコンを誘います。残り1分半を切っての自陣スクラム、左右に揺さぶるもラインブレイクは出来ない中でケニアがオフサイドの反則。場所は自陣10mの中央付近、残り時間は40秒、日本はスクラムを選択し、時間を使って逃げ切ろうとしましたが、そこからの逆転負けは皆様も知っているかと思います。スクラムから持ち出した堤選手が捕まってボールがこぼれ、ケニアにボールを奪われますが、この時点でノータイム、守り切れば勝てます。しかし外に振られて1対1の場面になると劣勢になり、中央のラックで外のスペースを走られてG前に攻め込まれると、最後はタックルで倒した後にオフロードで繋がれてインゴールに飛び込まれました・・・勝ちを意識した残り1プレーからまさかの逆転負け。日本のやりたいラグビーをたくさん見れましたが、結局は個々の強さが際立ったケニアが最後に勝利をつかみ取りました。

改めて勝敗を分けたのは何だったのか。試合展開は日本のペースでした、ケニアは前半のようにトライした場面はあっさり取りましたが、それ以外の時間は日本の粘り強いDFに手を焼いているようでした。日本の良いプレーも目立ちましたが、勝負所での判断ミスから相手にトライを奪われたのも事実。勝負所でしっかり判断し、ミスのないプレーをするチームの成熟度が僅かに足りなかったのかもしれません。前半のキックの判断、後半最後のスクラムの判断、プレーする選手がどのように判断したのか。個々で反省はしていると思いますが、チームとしてもしっかり振り返ることで、これからの日本代表の成長に繋がるはずだと信じています。4週間経ちましたが、来月にはまた7人制の代表の活動も再開するでしょう。どういう強化体制になるのかわかりませんが、まずは個々の選手のレベルアップ、パワーアップがなければ、世界では通用しないので、その辺りは引き続き注目しようと思います。

日経の五輪振り返り記事を読んでコメント

先週13日に日本経済新聞の谷口さんの記事が出ました。タイトルは五輪惨敗の7人制ラグビー 強化へ先進的な挑戦必要に、メダル獲得を目指した結果、男女合わせて10試合で1勝9敗ですから悔しいけれど、惨敗です。無料で全部読めるので読んだラグビー関係者も多いと思います。今回はその内容を読み返しながら、思ったことをコメントしていきます。前回のブログから繋がる内容かもしれませんが、似たようなこと言っているかもしれません(苦笑)

惨敗の理由は色々あれど、結局は個々の力がトップに及ばないのは否めず

「ただでさえ国際経験が乏しい我々にとって、本番でベストなパフォーマンスを発揮するコンディショニングをすることは難しかった」というコメントがありましたが、男女ともにワールドセブンズシリーズに昇格し、コアチームとして参加するも勝てずに翌年降格というのがありました。一方で東京五輪を控えている日本を招待チームとして参加し、強化させたいWorld Rugbyの意向みたいなものを感じることもありました。そうした実戦の機会にも自分たちの強みを出して勝利を重ねるような戦いは出来なかった。試合映像を見る機会は限られましたが、負けるパターンはどれも似ていたのではないか。ベストなパフォーマンスと聞いて思い出すのは2016年のリオ五輪の男子、これまで勝ったことのないNZに照準を合わせて勝つとその勢いを続けて準決勝へ。3日目のフィジーと南アフリカは力及ばずでしたが、それでも日本のスタイルが見える試合だったと記憶しています。

2021年の東京はホーム、実際に会場の東京スタジアムで本大会1年前にリハーサルで試合形式を行ったり、対策をしていましたが、それでもコンディショニングが難しかったというコメント。また大会前に男女とも海外勢との実戦機会をあまり作れなかったともありました。コロナの感染防止対策と海外勢の来日のタイミングもあり、やはりこの状況下で国内で実戦機会を作るのは難しいのは本当でしょう。結果的に石橋をたたきすぎたのだろう、とのコメントもありましたが、もしベストなパフォーマンスを発揮したところで、本当にメダルに届く力があったのかなんとも微妙です。やはりコアチームとして海外の強豪相手に試合経験を積み重ねながら、地力をつけないといけない、岩渕HCのコメントは最もだと思いますし、五輪でメダルを狙うとはそういうことかなと思います。

女子は「選手の力を引き出せたとはいえない」というコメントがありました。それに加えて「ここ数年の体づくりが非効率だったとの批判があるほか、五輪直前に男子チームと多く試合をしてけが人が続出するなどHCの体調管理にも疑問が残る。」ともありました。記事を疑うわけではないのですが、どれだけそうだったのかは正直わからないです。体づくりが非効率、って具体的に何なんだろうと。男子チームと試合をしたからけが人が続出したんですかね。それはHCの体調管理という責任なのか(もちろんチーム内ではS&Cやメディカルのスタッフ含めての責任と感じているのでしょうが)。根本の課題は選手層、ともありました。女子バスケの競技人口と比べたりもしていますが、女子ラグビーの競技人口は果たして他の国と比べて日本より多いのか。トーナメントで惜敗したケニア、ブラジルに競技人口で負けているとは思いません(実際は未確認です)し、国内でもジュニア世代からトップ世代まで様々な指導者が工夫を凝らして選手を鍛え、育てていると感じています。

ラグビーの裾野が広がれば、代表がおのずと強くなるというのは違うのでは

それからラグビーの裾野をどう広げるか、若手のタレント発掘をどうやるか、などというコメントもありました。確かに大事ですし、ここ数年でも男子高校生のBIGマンFASTマンキャンプなど強豪校以外のチームからサイズやスピードのある選手を育てようという取り組みが行われています。実際に2年前の菅平でのキャンプの様子を見学することが出来ましたが、カンタベリーのビブスがピタッとしているFWの選手たちを見ると、将来が楽しみになりました。女子は世界でも稀な国内のセブンズシリーズ大会、太陽生命WSSが2014年から行われ、国体と合わせて全国各地で女子ラグビーチームが立ち上がったり、高校でも新たに女子ラグビー部が出来た学校も増えています。

ただ競技人口が増えた結果、代表の強化に直結するというわけではないと思います。他の国の戦いを見ても、セブンズという競技に特化して鍛え上げられた集団という印象です。日本もそうやって鍛えてきたと思いますが、力の差は埋めきれませんでした。Twitterのフォロワーや関係者の話の中に、女子は太陽生命WSSの試合を増やしたほうがいい、みたいなコメントもありましたが、それと代表チームの強化は全く別物ですね。国内の試合経験を増やすことで、海外の代表チームと戦えるかというと正直そうは思えない。だからこそ代表チームの強化の仕組み、システムをいかに作っていくかが直近の課題ですね。そこが整って、出来上がってこそ、タレント発掘と育成がより結果に結びつくのだと思います。

そして最後の段落ですが「「東京五輪は終わったが、協会として7人制の強化はむしろ加速していく」と岩渕専務理事は強調する。「男女ともどこの国もやっていないような先進的な取り組みが必要になる」とも話した。現場、それを支えるマネジメント、普及や育成……。自国での惨敗を、様々なレベルで先進的な挑戦を始めるきっかけにしてほしい。」とありました。むしろ加速、先進的な取り組み、とありますが、今のところ実際にそうなるのかどうか疑問です。具体的なアイデアはこれから考えるのでしょうが、そもそも強化に必要な財源がどこにあるのだろうか、東京五輪の準備以上の予算を付けられるような結果ではないでしょう。

本当に手っ取り早いのは、海外から優秀な指導者を引っ張ってくることだと思います。協会の本気度が伝わりやすいですし、国内チームの協力も得やすいのではないでしょうか。男子の15人制は2012年からエディーさんがHCになりましたが、代表強化に加えて各地でジュニア選手へのクリニックなどの普及活動やコーチ向けの勉強会などを通じて自分のコーチング哲学や取り組みを積極的に共有するなどの育成活動にも携わってきました。その中で全国各地の指導者の横の繋がりも増えていったと感じています。

また先週Numberで柔道の井上康生と女子バスケのホーバスHCの記事がありました。
「目標設定からの逆算」で五輪を好成績に導いた指導者2人、“もう一つの共通点”とは
こちらの記事の内容からも参考になる部分は多いと思います、是非是非。7人制ラグビー競技は他の強豪国と比べて、まだ力の差はあるのが事実です。この惨敗から5年10年かけて、しっかりした地力をつける強化が出来ることを願っています。

最後に女子15人制日本代表の話を少しだけ。まず新たなアシスタントコーチが加わることが発表されました。元スコットランド女子代表のダルグリーシュ氏だそうです、ラグリパの記事はこちら。また来週から釜石市で合宿を行うことも発表されていますね。こちらは改めてブログで整理できればと思います。

女子セブンズ、リオと東京を比較して考えてみる

前回のブログ更新から1週間以上が経ち、7人制ラグビー競技が終わっても東京五輪の競技への興味、興奮は冷めやらず、同じ女子でバスケットボール日本代表が決勝に進出して、最終日の8日に絶対王者の米国と戦い、銀メダルを獲得したニュースは本当に凄かったですね。

女子バスケはサイズでは明らかに相手より劣っていましたが、素早い動きでDFをかく乱し、外からの3Pを主体にATを組み立てていて、相手DFがそれに対応してインサイドが空けば素早く切り込んだり、巧みなパスから得点を重ねたり、勝ちパターンが明確でした。競技特性と相手の強み弱みを理解したうえで、自分たちの戦い方に自信を持って戦っていたと思います。

さてサクラセブンズは2016年のリオ五輪、そして2021年の東京五輪と目指していた結果にはたどり着けず終わってしまいました。今日11日に日本協会の総括会見が行われましたね。昨日はTwitterでリオと東京の試合の勝敗と得失点差を載せました。

本城チームディレクターの会見でのコメント、確かにその通りなんですが、やはり聞いていて虚しく感じてしまう部分は正直あります。結果だけを見るのもいけないのですが、やはり残念な結果はそうさせてしまいますね。自分なりにリオと東京を比較してみました。

まずリオ五輪ですが、当時は周りからの期待が凄く高かったのを感じています。もちろんチーム、選手が「金メダルを目指す」と公言していたことがあると思います。一部のメディアでは「男子より女子のほうがメダルの可能性が高い」というコメントも見かけたと記憶しています。私は2014年にTKMでフルタイムのコーチとして活動するようになってから、女子ラグビーに関わり始めましたが、現場をある程度知っている私の印象は正直「あまり知らないで、適当なこと言ってるな」でした。実際、本当に厳しい練習を重ねてきたサクラセブンズのある選手から「大会前はメダルを取れると思っていた」と大会後に聞きました。

結果は10位でしたが、当時の代表チームの成熟度はかなり高かったと思います。まず打倒中国を目指しての強化から、2014年のアジア大会では惜しくも銀メダルでしたが、翌年のアジア予選ではしっかり勝利して出場権を獲得。予選は東京ラウンドも行われましたが、その時の主力メンバーの多くがそのままリオの代表メンバーに選ばれました。もちろん相手はそれ以上に強かったから勝てなかった。当時は格下だったケニア相手には24-0と快勝したように、少なからず手ごたえもあったのかなと思いました。予選プール初日でカナダ、イギリスにそれぞれ大敗しましたが、記憶にあるのはキックオフでの攻防に負けて、ボールを持って攻める機会が作れなかったです。相手は日本の弱点であるサイズ、フィジカルを分かったうえでキックオフにかなりのプレッシャーをかけてきて、日本はそれに対応できませんでした。またDFでも一気に前に出る練習をしてきましたが、予選、最終戦と戦ったブラジルはそれに対応し、前に出てきたDF裏へのキックで、味方を走らせてトライを奪ったり、研究していました。結局のところ、成熟度は高かったが対応力はあまり高くなかった。自分たちのラグビーを貫こうとした結果、強みを磨き、それらの弱点を対策する時間的余裕がなかったのかもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=Yc24x0sqIMw
Youtubeで検索したら予選のブラジル戦がたまたま見つかったので紹介、10-26の逆転負け

そんなリオの10位から始まった東京五輪メダル獲得へ向けての険しい道のり。代表選手の世代交代も進める中、高校生の平野選手や大学生の堤選手、ライチェル選手ら若い世代の力も加わり、2017年に香港で行われたワールドシリーズへの昇格決定戦で南アフリカに勝って優勝、2018年のアジア大会では決勝で中国を相手に粘り強く守り抜いて金メダル、2019年にイタリアで行われたユニバーシアードでの金メダル獲得などがありました。一方で北九州に招致したワールドシリーズでは2年連続全敗で12位、2018年に米国サンフランシスコで行われたW杯では10位に終わるなど、世界の強豪を相手にトップ8に入ることは叶わないことが続きました。2018年W杯後の日本協会HPのコメントはこちら(この大会ではフィジーに15-14で勝利)

2017年は昇格がかかった南アフリカとの決勝で逆転勝利

それでも東京五輪への強化を進める中でコロナ禍の影響により1年の延期が決定。何とか海外との差を埋めるべく、国内での強化を続ける中で新たな代表候補メンバーがセレクションに加わったこと。そして大会まで1年を切った12月にマキリHCの就任が発表されました。海外の強豪との試合もドバイ遠征のみと限られる中、国内でSDSを相手に試合形式を重ねるなどして、セレクションを進め、7月に発表された内定メンバーは大きく若返りました。総括会見での本城TDからのマキリHCへのコメントはこちら。

読んでいて、本当にその通りだなと感じました。前任の稲田さんも引き続きチームにはスタッフの1人として名前を連ねてはいましたが、実際どの程度の引継ぎや協力が出来たのかはわかりません。ただリオから東京までの5年間で強化すべきだった課題のフィジカルの部分では、差を埋めるどころか広げられていました。キックオフの攻防、特にレシーブの面は改善されていましたが、レシーブして自陣からのアタックの中で、どう攻め込むかの形を作れず。今思うと、もしかしたら日本の相手はそれを踏まえたうえで、キックオフ後の激しいDFでターンオーバーを狙って、トライチャンスを作る戦術だったのかもしれません。メンバーが若返り、国際大会の経験が少ない選手もいたサクラセブンズ、チームの成熟度、経験はリオと比べると満足いくものではなかったです。ただベテランの選手を入れれば結果が変わったかどうか、それはわかりません。あとは個人で突破できる選手、走り切れる選手がいませんでした。リオの時は山口選手というはっきりとしたエースがいました。東京では外に原わか花選手というエースがいましたが、常に全力で走り回るプレースタイルで、トライ場面もありましたが、太陽生命WSSの時のような相手DFを振り切る快走はほとんど見られず。これまで代表の試合で快走を見せたエースの堤選手はSHで出場することが多かったですが、WTBをやっていた時のような走りを見せたのは数えるほどでした。

フィジカルに目を向ければ、セレクションから外れた大黒田選手は明らかに体つきが大きくなっていました。リオでの負けからそこで相手に負けないよう、身体作りに一層励んできたと感じています。しかし国内では活躍できても、代表に求められる海外の強豪国相手と戦えるフィジカルレベルまで持っていくにはかなりの時間がかかると思います。そういう意味では、次のパリ五輪に向けて、具体的には2年後に行われるであろうアジア予選に向けて、今回の五輪メンバー含め、若い代表候補メンバーのフィジカルを鍛えていかないといけません。その一方でスピードやステップなど1対1で突破できる選手、自分から仕掛けてチャンスを作れる選手を発掘、育成、強化していかないといけませんね。

もう一度整理すると、東京の代表メンバーは若くてスキルの高いメンバーが多く選ばれましたが、その良さを発揮する経験やチームの成熟度は残念ながら足りなかった。そして何よりラグビーという競技の戦いでベースとなるフィジカルの部分で、全体として戦えるレベルには達していなかった。リオでのたくさんの反省を踏まえて、代表チーム主体で強化に費やした5年間は決して無駄ではなかった。しかし悔しいけれど、結果を見れば全く良いものではなかった。これまでの協会の運営や体制を批判する気はありませんし、9月以降にどんな新体制になるのか、期待はしています。しかし次の大きな目標を考えると、大きな変化、抜本的な改革は求めていかないといけません。太陽生命WSSに出場しているような国内女子の強豪チームはこれまでも代表チームに所属選手の長期間の派遣など大きく協力をしてきました。それを考えると、今の時点では今度どう強化をしていくか不安ばかりな気持ちです。

関係者の誰もが納得のいく体制、強化などは相当難しいでしょう。正直、わかりやすい強化の方法は海外からトップの指導者を招集すること。それは男子15人制のエディーさんや現HCのジェイミーさん+トニー・ブラウンもそうですし、東京五輪で銀メダルを獲得した女子バスケのHCもバックグラウンドはエディーさんと共通する部分がたくさんあるような呟きを見ました。それでもこれまで頑張ってきた国内の多くの指導者もいますし、時には厳しい意見をぶつけたりしながら、代表チームから国内の各チーム、ジュニア世代の育成を含めたチームJAPANの体制を1日でも早く作り始めて、築き上げていってほしいなと思います。

今回も長くなってしまいました。批判的な文章もありますが、良い部分は伸ばし、直すべき部分は少しでも直して、いつかW杯や五輪で満足する結果が得られるように、これからもチームJAPANで頑張っていきましょう!

日本の女子セブンズのこれからを考えてみる

先週は毎日のように7人制ラグビーを見ていたので、ふと見なくなるとなんか寂しいもんですね。五輪も先週のメダル獲得ラッシュから少し落ち着いた感じがありますね。

まず前回のブログを紹介するときに「外から見た総括」という表現をしましたが、実際に選手のコンディションはどうだったのか、戦略・戦術の落とし込みは満足だったのか、そしてチームの自信はどうだったのか、などは外から見ても実際のところはわかりません。内定メンバーから怪我で離脱した松田選手、米国戦の前半ラストプレーで負傷交代したライチェル海遥選手不在の影響の大きさは、チームにとってかなり打撃だったかもしれません。五輪が終わった後で日本協会で大会総括の記者会見が予定されていますが、そうした外から見えない部分にも触れるかもしれませんね。

また前回の最後に紹介したハッシュタグ「#7人制女子ラグビー改革素案」の件で、主務の部屋さんのTwitterの内容を引用しながら、自分の考えや意見をお伝えしていきます。代表強化よりも育成や普及の内容のほうが多くなるかと思います。見苦しい内容もあるかもしれませんが、興味あればお読みください。

前回も書きましたが「フィジカルとスピードの差をどう埋めるか」という課題。数値目標の共有、全国の選手・指導者の共通理解を進める、というのは良いアイデアだと思います。選手のわかりやすい目標、モチベーションのアップにも繋がりますよね。海外の代表チームのデータもあると、さらに効果がありそうです。協会主導で明確化する、という点が気になりますね。ある知り合いの指導者の話では、今は海外の強豪国の指導者同士が繋がっていて情報をある程度オープン化し共有しているそうです。全てをオープンにする必要はないですが、例えば代表チームの平均値とか、MAXの重量、ブロンコの最速タイム、20mシャトルランの最大レベル、などで良いかと思います。協会主導というのは、代表主導ということかもしれませんが、誰がやるのかはっきりしないところがありますね。上手くシェアできる環境があるとよいですし、全国のチームから協会にお願いする形もありますね。ただ数字が独り歩きすると、また意図とは違う意味合いを持ってしまう恐れもあります。

数年前にコベルコカップに出場する関東高校女子チームのサポートをしていた際、セレクションで立ち幅跳びの測定を行っていました。当時は千葉ペガサスの監督を務めていて、今回の東京五輪で話題を集めた陸上の寺田明日香選手が所属していたのもあり、その場で寺田選手に連絡して自己ベスト記録を教えてもらい、高校生の選手に伝えたら目を大きくしていました(記録はうる覚えですが250㎝以上だったかな)。日本人はいわゆる欧米の白人系に比べて体を大きくするのに長い時間がかかるイメージがあります。セブンズユースアカデミーはリオ五輪にも出場した兼松さんが担当していますし、そういうフィジカルの課題克服に向けた目標設定、トレーニングの正しいやり方や食育、栄養学、の指導も行っているでしょう。

ハイレベルな試合数の確保について、まず太陽生命WSSが2014年から始まり、これまで女子ラグビーの強化、普及に大きく貢献してくれました。それ以降の5年間で全国に多くの女子チーム(クラブ、大学)が立ち上がる要因にもなったと思います。そしてチャレンジチーム、将来の代表候補の選手たちで構成する即席チームはその年ごとに選手の顔触れが大きく変わることもありましたが、今回の代表チームにも共同キャプテンの清水選手、ライチェル海遥選手は高校生の時にチャレンジチームで年上の大学生やクラブチームとの試合経験を積むことができたと思います。

個人的な危惧ですが、極端に言えば来年以降も太陽生命WSSは行われるのかどうか。もちろん継続して開催されるのを願っていますが、これまで冠スポンサーに対して、どれだけのメリットを与えられたのか。東京五輪の結果に関わらず、大きなターゲットとしていた東京五輪を終えた後の強化予算は間違いなく減るだろうし、厳しくなるだろうと思います。またコロナ禍で応援する企業も経営がこれまでのようにはいかない可能性もある中で、これまでのように大会があるか。数年前は夏にピンクリボンカップという15人制の交流大会もありましたが、続きませんでした。後は太陽生命WSSの競争力向上が必ずしも代表チームの強化には直結しないのもあります。ワールドセブンズシリーズのコアチームに昇格できず、昇格決定戦の開催も未定の中、国内で何とか代表強化を進めていかないといけませんが、極論で言うと国内で海外の強豪国相手のような試合経験(相手が男子でも)は積めない。そう思う理由はリオ五輪の前から東京五輪までの間、強豪国と戦った時の負け方がほとんど変わらないからです。悔しいことに北九州で開催されたシリーズ大会、日本は2大会とも全敗でした。だからこそ試合経験がなくても7位入賞した中国のように、フィジカルでもスピードでも鍛えられる部分をしっかり鍛えて、それに後で経験を加えられるような強化を1日も早く進めていかないといけません。

15人制とのシーズン時期や試合数について、まず年間スケジュールは今のフォーマット(2月~7月はセブンズ、9月~2月は15人制)のままでよいかと思います。前の段落で話した太陽生命WSSも春開催のみで良いと思います。その中で参加チーム数の増減やリージョナルセブンズをどうするか、全体の最適化を行う必要があります。昨年5月に太陽生命のフォーマットについてブログで書いたので、興味ある方は見てみてください(ABの2部リーグ制)。個人的には大事なテーマですが、みんなで議論し始めると収拾がつかなくなりますし、下手すると15人制の代表強化に良くない影響もあります。もし15人制の代表強化をセブンズ並に出来たら、目標としているW杯ベスト8進出は大きく近づくでしょうが、これはあくまで仮の話です。3月のブログでも書きましたが、再来年の秋から女子の新たな国際大会が始まりますそれを見越して、今あるものをどう最適化していくか、これは協会主導で考えなければいけませんね。

7人制に特化した指導者の育成について、2016年に女子7人制ラグビーが国体でも正式種目になり、この5年間の間にほぼ全部の都道府県で女子チームが出来ました。そして女子チームの指導者は多かれ少なかれ、男子との違いに戸惑い、苦労が絶えないと思います。協会として、指導者のライセンス有資格者を増やすべく、各レベルの講習会を行っていますが、その内容にセブンズの要素も少しは入っているかとおもいます。さらにセブンズに特化した指導者を増やすのであれば、主務の部屋さんが提案した通り、代表スタッフが全国を回って講習会を行うような取り組みはありだと思います。以前にエディーさんが日本代表HCを務めていたころ、各地に出向いてコーチングクリニックを行い、指導者の育成と若い選手の普及に貢献していました(ちなみに代表チームとの契約内容にこれらの活動は含まれていなかったとか)。本当に日本ラグビーの強化に貢献してくれたと感じる指導者は全国に多いでしょう。そういった試みから協会・代表チームへの信頼、興味、応援が増えていくことも期待できます。

またセブンズのコーチングについての本などもありますが、まずはセブンズという競技の中身、戦略・戦術、トレンドなどの情報をオープン化していくことで、上記の話はある程度進められるのではないかと考えています。2019年W杯の開催前、中高生の育成年代への指導やタレント発掘を行っている野澤武史さんが「このW杯を機にポッドシステムが日本に広まる」と講演の場で話していましたが、その通りになりました。国内では15人制が主流なのもあり、7人制のトレンドをよく理解していない指導者はもしかしたら多いのかもしれません。かくいう私も3年前に女子7人制の現場を離れてから、もうついていけていない部分もあるくらいです。セブンズの普及に日本協会としてどう取り組んでいくか、方向性は見えませんが、現場レベルで情報の共有できる仕組みはここでも求められるというか、あればもっと良くなるかと思います。代表の強化に関しては、本当に少数精鋭で進めていく方向になるかと予想しています。

長くなりましたが、最後に先ほども名前の出た野澤武史さんが朝日新聞に東京五輪の女子セブンズを振り返る記事があったので、リンクを紹介します。「最下位に沈んだセブンズ、パリ見据えて根本改善を お手本はバレー」なお有料会員記事になりますので、ご了承ください。それと早稲田大学ラグビー部コーチの後藤翔太さんが振り返った記事もあるので、同じく紹介します。「RUGBYJAPAN365プレミアムページの後藤翔太さん「Shota’s Check」東京五輪女子セブンズレビュー」こちらも同様、会員専用の記事になります。女子ラグビーをよく知るお二人の振り返りは、なるほどと思わせてくれる意見ばかりです。ありがたいですね。

女子ラグビーの代表チームの強化を考えると、どんどん話が長くなってしまいますね。すみません。まだ海外のチームとの比較だったり、代表選手のセレクションだったり、今後の具体的な強化だったり、整理したい内容がありますが、3日間連続で更新して、少し息切れしています。今週中にまた更新出来ればと思います。長文、お読みいただきありがとうございました。

東京五輪、女子セブンズの戦いを記事と振り返る

まず26日から始まった7人制ラグビー競技が終わり、著名なスポーツジャーナリストの何人かがすでに振り返る記事をアップしているので、3つの記事の内容を紹介しながら自分の感想も加えていければと思います。

まず女子の大会中の3日間、Twitter上でお世話になった斉藤健仁さんの記事から「女子ラグビー メダルを狙った若き「サクラセブンズ」は1勝もできず、悔し涙で大会を終える

サクラセブンズを振り返る内容で、大会7か月前に就任したマキリHCの就任時のコメントやメンバー選考、4月のドバイ遠征の結果、東京五輪を終えての選手のコメントもあり、非常にわかりやすい記事です。ドバイ遠征は東京五輪にも参加したチーム6か国が集まり、映像は全く見れませんが、発表されたスコアを見ると、まだまだ世界との実力差はあるなと私も感じていました。そこから約3か月で迎えた本番の五輪での結果については、「◆一貫性がなく、迷走したサクラセブンズの強化」という段落名でまとめていますが、新しいHCのもと戦略・戦術を落とし込む時間が十分とは言えず、コロナ禍の影響で海外勢との試合経験も積めなかった、とあります。本当にその通りですね。チームが若返って、経験が足りない中で、どんな戦いを見せるか大会前から注目していましたが、上手くいかなかったのは間違いありません。

また斉藤健仁さんは別の記事「女子ラグビー 2ヶ月間、ともに過ごし絆を深めたNZが金メダル! 東京で歓喜のハカを披露」もアップしていて、これは朝起きて読んだのですが、読み応えのある内容でした。

東京五輪の女子ラグビーを振り返る内容で、主にフィジーとNZが活躍した背景を伝えています。フィジーの女子はこれまで世界大会などで上位に入った経験がなく、銅メダル獲得は私もちょっと想像していませんでした。大会を終わってから、東京五輪のフィジー女子はリオ五輪の男子日本代表と似ているなと気づいたくらいです。男子の代表経験のあるサイアシ・フリHCが規律面を改善してきたとありましたが、やはり男子のノウハウを上手く戦略・戦術に落とし込めて、選手が自信をもって戦えたのでしょう。本当にこれまでの大会で見たことのない、フィジーの戦いでした。このレベルが安定したら、ワールドセブンズシリーズでも上位進出する強豪国になるでしょう。ただ代表強化が五輪イヤーのように毎年できるかは国それぞれなので簡単には言えないですね。フィジーの銅メダル獲得のプロセスは参考にすべきですね。

金メダルを獲得したNZ、私は2年前のワールドセブンズシリーズの戦いを見て、大会前から「金メダル獲得は間違いないだろうな」の予想でした。当時の記事がラグビーリパブリックにありました、こちら。予選でイギリス相手にミスから3トライを奪われた時は「嫌な流れだな」と思いましたが、その後のキックオフからすぐにトライを返したのを見て「これで息を吹き返して逆転だな」と思ったら、やはりその通りになりましたね。フィジーとの準決勝、3トライ目を奪って逆転した後半のラストプレーのキックオフのミスからフィジーに同点に追いつかれました。それでもこれまでの大会を勝ち抜いた経験、チームの成熟度は明らかにフィジーより上なので、延長戦になったら勝ち切るだろうなと思っていたら、やはりその通りになりました。前回リオの決勝で豪州に惜敗したNZ、そこから若い世代も加わり、まさに国を挙げての強化が実を結んだと感じました。記事の最後のほうにはブラックファーンズのハカの歌詞についても紹介しています。改めて、読み応えあります。

紹介する記事をもう1つ。リオ五輪でチーム日本を4位に導いた瀬川智弘さんが産経新聞に投稿していました。「【チェックEYE】ラグビー完敗、態勢づくりを 瀬川智広氏

男女の振り返りとなっていますが、まさにその通りといった内容です(もちろんリオ五輪を経験した瀬川さんだからそう感じさせるのもありますが)。女子は「コンタクトレベルに世界と大きな差があった」、やはり他の国の選手との体格差は大きかったですね。同じアジアの中国も以前からサイズはありましたが、東京大会での中国はさらにパワフルさと戦略・戦術を身につけて8強入りすると、トーナメントの3試合も堂々と戦い、最後はROCを破って7位になりました。予選で豪州、中国に完封負けした時の日本のような迷い、不調はなかったですね。ここからパリ五輪に向けて、さらに強化が進めば世界でも活躍するチームになるかもしれません。あとは日本のセレクションにも触れて「若手と経験のある選手のバランスが必要だった」と書いているのと、若い選手が体を張れていたとポジティブな面を評価もしています。

その他、リオ五輪からの変化や男子については東京五輪後の代表候補メンバーの選考について危惧していました。これについては劇的には変わらないというか、男子の国内が15人制がメインで新リーグの開幕を控える中、東京五輪に向けてトレーニングしてきたメンバーから大きく変わってしまうかなと感じています。女子はどちらかといえば国内は7人制がメインなところがあります。太陽生命WSSという世界でも類を見ない国内シリーズの冠大会があり、今はむしろ15人制の試合の機会をどう作るか、が議論になったりもしますね。

3つの記事を紹介してみましたが、これを読めばほぼ大会の総括が出来る内容です。これらはあくまで外から見た内容なので、実際に戦った選手・スタッフはまた別の感想があったり、強化のシステム含めた課題を感じているのかもしれませんね。ただ直近の課題は「フィジカルとスピードの差をどう埋めるか」これは試合を見た関係者も現場も同じだと思います。日本はユースアカデミーで中高生のタレントある有力な選手を合宿などで鍛えていきますが、やはり若い選手を5年以上かけて育成するのか、または陸上の短距離選手やほかの球技からサイズやスピードのある選手を発掘して3年かけて代表レベルに持っていくか、いずれにせよこれまでやってきた「女子ラグビー界の中で上手い、速い選手を代表チームで鍛えていく」計画に加え、新たな強化策が求められていると感じる東京五輪の戦いでした。

最後に昨日のブログを投稿した後に、ハッシュタグ「#7人制女子ラグビー改革素案」をつけてSNSで発信した主務の部屋さんから返信で、「ぜひ聞きたい」とご指名を受けました(主務の部屋さんは旧知の仲です、念のため)。下に呟きを載せますが、経緯はこんな感じです。次回はこれに被せるというか、提案について自分の考えを整理して答えていきたいと思います。