まず26日から始まった7人制ラグビー競技が終わり、著名なスポーツジャーナリストの何人かがすでに振り返る記事をアップしているので、3つの記事の内容を紹介しながら自分の感想も加えていければと思います。
まず女子の大会中の3日間、Twitter上でお世話になった斉藤健仁さんの記事から「女子ラグビー メダルを狙った若き「サクラセブンズ」は1勝もできず、悔し涙で大会を終える」
サクラセブンズを振り返る内容で、大会7か月前に就任したマキリHCの就任時のコメントやメンバー選考、4月のドバイ遠征の結果、東京五輪を終えての選手のコメントもあり、非常にわかりやすい記事です。ドバイ遠征は東京五輪にも参加したチーム6か国が集まり、映像は全く見れませんが、発表されたスコアを見ると、まだまだ世界との実力差はあるなと私も感じていました。そこから約3か月で迎えた本番の五輪での結果については、「◆一貫性がなく、迷走したサクラセブンズの強化」という段落名でまとめていますが、新しいHCのもと戦略・戦術を落とし込む時間が十分とは言えず、コロナ禍の影響で海外勢との試合経験も積めなかった、とあります。本当にその通りですね。チームが若返って、経験が足りない中で、どんな戦いを見せるか大会前から注目していましたが、上手くいかなかったのは間違いありません。
また斉藤健仁さんは別の記事「女子ラグビー 2ヶ月間、ともに過ごし絆を深めたNZが金メダル! 東京で歓喜のハカを披露」もアップしていて、これは朝起きて読んだのですが、読み応えのある内容でした。
東京五輪の女子ラグビーを振り返る内容で、主にフィジーとNZが活躍した背景を伝えています。フィジーの女子はこれまで世界大会などで上位に入った経験がなく、銅メダル獲得は私もちょっと想像していませんでした。大会を終わってから、東京五輪のフィジー女子はリオ五輪の男子日本代表と似ているなと気づいたくらいです。男子の代表経験のあるサイアシ・フリHCが規律面を改善してきたとありましたが、やはり男子のノウハウを上手く戦略・戦術に落とし込めて、選手が自信をもって戦えたのでしょう。本当にこれまでの大会で見たことのない、フィジーの戦いでした。このレベルが安定したら、ワールドセブンズシリーズでも上位進出する強豪国になるでしょう。ただ代表強化が五輪イヤーのように毎年できるかは国それぞれなので簡単には言えないですね。フィジーの銅メダル獲得のプロセスは参考にすべきですね。
金メダルを獲得したNZ、私は2年前のワールドセブンズシリーズの戦いを見て、大会前から「金メダル獲得は間違いないだろうな」の予想でした。当時の記事がラグビーリパブリックにありました、こちら。予選でイギリス相手にミスから3トライを奪われた時は「嫌な流れだな」と思いましたが、その後のキックオフからすぐにトライを返したのを見て「これで息を吹き返して逆転だな」と思ったら、やはりその通りになりましたね。フィジーとの準決勝、3トライ目を奪って逆転した後半のラストプレーのキックオフのミスからフィジーに同点に追いつかれました。それでもこれまでの大会を勝ち抜いた経験、チームの成熟度は明らかにフィジーより上なので、延長戦になったら勝ち切るだろうなと思っていたら、やはりその通りになりました。前回リオの決勝で豪州に惜敗したNZ、そこから若い世代も加わり、まさに国を挙げての強化が実を結んだと感じました。記事の最後のほうにはブラックファーンズのハカの歌詞についても紹介しています。改めて、読み応えあります。
紹介する記事をもう1つ。リオ五輪でチーム日本を4位に導いた瀬川智弘さんが産経新聞に投稿していました。「【チェックEYE】ラグビー完敗、態勢づくりを 瀬川智広氏」
男女の振り返りとなっていますが、まさにその通りといった内容です(もちろんリオ五輪を経験した瀬川さんだからそう感じさせるのもありますが)。女子は「コンタクトレベルに世界と大きな差があった」、やはり他の国の選手との体格差は大きかったですね。同じアジアの中国も以前からサイズはありましたが、東京大会での中国はさらにパワフルさと戦略・戦術を身につけて8強入りすると、トーナメントの3試合も堂々と戦い、最後はROCを破って7位になりました。予選で豪州、中国に完封負けした時の日本のような迷い、不調はなかったですね。ここからパリ五輪に向けて、さらに強化が進めば世界でも活躍するチームになるかもしれません。あとは日本のセレクションにも触れて「若手と経験のある選手のバランスが必要だった」と書いているのと、若い選手が体を張れていたとポジティブな面を評価もしています。
その他、リオ五輪からの変化や男子については東京五輪後の代表候補メンバーの選考について危惧していました。これについては劇的には変わらないというか、男子の国内が15人制がメインで新リーグの開幕を控える中、東京五輪に向けてトレーニングしてきたメンバーから大きく変わってしまうかなと感じています。女子はどちらかといえば国内は7人制がメインなところがあります。太陽生命WSSという世界でも類を見ない国内シリーズの冠大会があり、今はむしろ15人制の試合の機会をどう作るか、が議論になったりもしますね。
3つの記事を紹介してみましたが、これを読めばほぼ大会の総括が出来る内容です。これらはあくまで外から見た内容なので、実際に戦った選手・スタッフはまた別の感想があったり、強化のシステム含めた課題を感じているのかもしれませんね。ただ直近の課題は「フィジカルとスピードの差をどう埋めるか」これは試合を見た関係者も現場も同じだと思います。日本はユースアカデミーで中高生のタレントある有力な選手を合宿などで鍛えていきますが、やはり若い選手を5年以上かけて育成するのか、または陸上の短距離選手やほかの球技からサイズやスピードのある選手を発掘して3年かけて代表レベルに持っていくか、いずれにせよこれまでやってきた「女子ラグビー界の中で上手い、速い選手を代表チームで鍛えていく」計画に加え、新たな強化策が求められていると感じる東京五輪の戦いでした。
最後に昨日のブログを投稿した後に、ハッシュタグ「#7人制女子ラグビー改革素案」をつけてSNSで発信した主務の部屋さんから返信で、「ぜひ聞きたい」とご指名を受けました(主務の部屋さんは旧知の仲です、念のため)。下に呟きを載せますが、経緯はこんな感じです。次回はこれに被せるというか、提案について自分の考えを整理して答えていきたいと思います。