フランス戦と関東大会の観戦記

前回のブログからW杯は予想通りNZがイングランドを破って2連覇、アジアセブンズは男子がまさかの7位に沈むも女子は中国相手にノータイムで逆転トライを奪っての優勝だったとか(試合映像が見れず)。そして昨日は深夜の日本代表VSフランス代表に、昼間は各地で花園予選の決勝が行われました。桐蔭学園、御所実業がそれぞれライバル校に敗れて予選敗退はSNSでも話題になっていましたね。今回はフランス戦と関東大会のフェニックスと横河武蔵野の試合を振り返ります。

世界2位を相手に奮闘したJAPAN、フランスは2022年のテストマッチ無敗

https://www.youtube.com/watch?v=_WTm_xAaQTU
しっかり準備をして挑んだフランス戦、前半21-3から奮闘するもフランスは余裕の戦いを見せ勝利

来年に行われるW杯でも日本代表の試合が行われるスタジアムでの試合、私はライブではなく地上波(日テレ)の録画放送で見ました。相手のフランスは世界ランクで1位のアイルランドに続く2位、来年のW杯の開催国で優勝候補でもあります。夏に日本で戦った時のフランス代表は主力選手は招集されず、若手主体とも言われていましたが、国立での2試合目は接戦となりました。そして迎えたフランスでのアウェー戦、現地の観客を驚かす場面はほとんどなく、接戦からフランスにプレッシャーを与えて勝利をもぎ取りたかったですが、逆に安定した力強いプレーを終始見せつけられて前半を21-3で終えると、後半は9番斎藤、11番フィフィタ選手がともに鮮やかなトライを奪うも35-17で敗れました。

Youtubeのコメントを見ていると、一部選手への批判的なコメントも見られました。前半は画面でもわかるほどの大雨で、キッキングゲームで優位に立つことがそのままゲームを優位に進める中、試合のいくつかの場面でボールをこぼす場面がありました。ただ戦犯扱いするほどのものではないのかなと個人的には感じています。それよりも先週のイングランド戦では劣勢だったスクラム、ブレイクダウンではある程度、ファイト出来ていたと思いました。ただ絶好調のフランスを相手に勝利をもぎ取る展開には持ち込めませんでした。前半に2トライを奪われ、逆転を狙う後半の開始から20分まではボールを持ってアタックする機会が増えて、ゲームをコントロールしていましたが、そこで7点しか奪えなかった。それくらいフランスのDF、接点の激しさが良かったですね。

関東大会第2節、横河武蔵野が後半に逆転してフェニックスに勝利

関東大会も各チームが2試合目を迎えましたがその中でも注目の1戦。ともに日本代表選手を多くかかける東京山九フェニックスと横河武蔵野アルテミスターズの試合は、フェニックスのキックオフから始まりました。開始から10分以上フェニックスが敵陣でアタック、それをアルテミスターズがDFで受ける展開。粘り強く守ってボールを奪うとSH津久井、SO林がキックを蹴ってエリアを中盤に戻す。そこからフェニックスはFB大黒田を起点にカウンターを仕掛けて、みたいな展開。大黒田はこの試合ではFBで先発出場でしたが、積極的にボールを貰い鋭い仕掛け、スペースへのラン、DF裏へのキックなど持ち味を発揮していました。またフェニックスは春のセブンズシーズンでも大活躍のニア・トレバー選手がWTBで出場。彼女がボールを持つと、アルテミスターズは複数で対応して走れず、捕まえてはボールに絡んで仕事をさせないよう徹底していて、思ったような活躍はできませんでした。

一方でアルテミは見ていて歯がゆい展開というか粘り強い守りから。アタックの起点でもあるラインアウトが安定せず、クリーンボールを出せない。そんな中でフェニックスは、敵陣22m内の相手ラインアウトがオーバーボールになってこぼれた球を拾ったBKが素早い反応でつないで13番岡元選手が先制トライ。アルテミスターズは徐々にスクラムで優位に立つも、ボールが転がってフェニに奪われたり、ラインアウトではスローワーとの連係ミスもあるのか、うまくいかずにストレスのたまる前半。それでも前半終了して、フェニ7-0アルテミと1T差。どちらかといえば、両チームともうまくいかないことの方が多かった前半ではないだろうか。

後半開始早々、アルテミが攻めるのをフェニックス12番古田選手がジャッカルし、9番野田選手がが裏へのキックで敵陣に入りチャンス。しかしそこからアルテミスターズがラインアウトをキープすると、CTB高木選手のキックパスが外のスペースに待ち構えていたWTB笹川にきれいにわたり、見事な走りでインゴールに飛び込み同点に。さらに自陣からアタックがどんどん繋がって、再び敵陣G前に攻め込むとフェニが反則。そこからスクラムを選択するとじわじわ押し込んで逆転トライ。後半開始の10分間で逆転に成功しました。後半はよりボールが動く展開になる中、フェニは後半17分過ぎにPGを狙うも失敗。それ以後も敵陣G前に攻め込んでチャンスを作るも得点できず。アルテミは危険なタックル(上から落とすようになってしまいアンラッキー?)でFWの2番の選手がシンビンになり、14人になるも粘り強い守りはほころびを見せず。さらに1人少ないスクラムでも交代選手が入ったタイミングでプレッシャーをかけてフェニックスから反則を奪いました。フェニックスは逆転を狙い激しいプレーを見せるも、様々な反則が重なり決定的なチャンスを作れず。そのままアルテミスターズ14-7フェニックスが最終スコア。一言でいえば、アルテミスターズの守り勝ちといった感じでした。

https://twitter.com/C39Rugby/status/1594306896324091904

振り返れば先日のW杯にも参加した日本代表選手が多い両チーム、それぞれ国内の試合では活躍が目立ちました。一方でW杯の代表に選ばれなかったアルテミの小西、櫻井の2人の活躍も非常に良かったです。フェニは2番に入った塩崎選手がスローイングでミスをせず、チャンスを作っていました。試合登録メンバーの顔ぶれを見ると、フェニックスがBKで優位に立つかなと思っていましたが、アルテミは強力FWがスクラムでプレッシャーをかけ、ゲームの流れを簡単に渡しませんでした。両チームともこれから試合を重ねる中で戦術の精度を上げて、さらに良くなって、チームとして成熟してくると思います。次の試合以降も楽しみですね。

またそのほかの試合では日体大がRKUグレースに、YOKOHAMA TKMオーバルズがRIAにそれぞれ勝利したので、今の時点で2勝なのは横河武蔵野、日体大、TKMの3チームです。これらのチームが戦う試合はきっと接戦になるでしょうし、今年の関東大会も盛り上がりそうです。そして関西大会も4チームで開幕しています。ここはPEARLSが圧勝で勝ち上がると思われますが、国内の15人制の試合の機会はまだまだ多くありません。参加する選手、スタッフの活躍に期待しています。

明日はイングランド戦、W杯決勝、アジアセブンズ韓国ラウンド

今週は秋らしく雨のない良い天気が続きました。皆既月食もありましたね。久しぶりにじっくり夜空を見上げた気がします。ラグビーの話題が多い週末、まずは深夜に日本代表とイングランド代表のテストマッチが行われます。先日の国立競技場でのAll Blacksとのテストマッチを超える観客8万人が集まる見込みとか、どんな戦いになるか。注目の試合メンバーはこちら。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1590675888244346881
先発にファンデンヒーファー選手が入り、リザーブには”ラピース”ラブスカフニ選手が復帰。

対戦するイングランドは先週アルゼンチン代表に敗れたものの、ヘッドコーチのエディーさんは全力で日本をたたきに来るでしょう。一方で、日本代表もしっかり分析したうえでアタックプランを準備していると思いますし、AllBlacks戦と同様に最後まで勝利を狙える試合展開に持ち込んでほしいですね。正直、勝つのは難しいとは思いますが、前後半の開始と終わりの10分間、しっかりゲームをコントロール出来るか。具体的にはアタックで前に出て敵陣で戦う、DFでは3フェイズ以内でトライを許さないようにしつこく体をぶつけられるかに注目です。

そしてラグビーW杯2021、女子の試合も明日が最終日、3位決定戦のカナダVSフランス、決勝戦のニュージーランドVSイングランドが行われます。大西将太郎さんが動画で決勝戦の注目ポイントを挙げていましたね。前回大会の決勝と同じ組合せ、その時も確か結構な点の取り合いになったと思います。サクラフィフティーンは現地で観戦しましたね。これまでの試合では大量得点を奪い、両WTBを中心に多くのトライを重ねてきて、おそらくどちらとも決勝の組合せはこうなると信じて予想をしてきたであろう両チーム。勝敗の予想ですが、開催国であるニュージーランド、BlackFerns有利かなと。準決勝で重量FWのフランスと戦っているのと、コーチはウェイン・スミスですから、対イングランドの秘策もあるんじゃないかと期待しています。試合展開としては接戦から最後は30点前後の奪い合いになって、キックの差でBlackFernsが逃げ切ると予想します。最近は予想は外してばかりですが、楽しみです。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1591002707552530432

そしてアジアセブンズ第2ラウンド、韓国大会。翌週にUAE大会を控え、総合優勝を狙うためには優勝が求められる今週末。サクラセブンズはSDSが合宿を行っていましたが、そこからの昇格はなく、末選手に変わってベテランの中村選手が復帰しました。明日の予選は3試合目のタイが危険ですが、相手のエースに気を付けて、しっかりボールを持てれば問題ないでしょう。サクラセブンズはここからワールドセブンズシリーズにも続くので、12名での遠征もコンディションによっては追加招集もあるかもですね。

今週末もラグビーの話題がたくさんですが、国内では大学ラグビーに高校ラグビーは各地で花園予選の決勝が行われます。面白い試合がたくさん見れるのを楽しみにしています。

W杯は今日準決勝、関東大会はTKM、フェニックスが開幕戦で快勝

10月に開幕したW杯も残り4試合、今日が準決勝で来週12日が決勝戦と3位決定戦です。ラグビーは番狂わせが少ない競技と言われますが、世界ランキング上位の国が順調に勝ち上がりました。準々決勝でも相手を1トライ以下に抑えるなど、得点差が開きましたがそれくらい上位4か国とベスト8の国との力の差がはっきりしているのが現状で、スコアを並べると、フランス39-3イタリア、NZ55-3ウェールズ、イングランド41-5豪州、カナダ32-11米国。予選プールの再戦となったNZ、カナダも得失点差を拡げての勝利でした。

準決勝の予想ですが、開催国のNZ代表BlackFerns、前回のW杯決勝でNZに敗れて以来テストマッチで連勝を重ねる絶対王者イングランド代表Red Rosesが順調に勝ち上がると思います。強敵が相手でもトライ数4本以上取るくらいの力はあるかなと思っています。BlackFernsはたくさんの応援の後押しを受けて展開ラグビーで勝負、フランスはBlackFerns相手にFW戦でプレッシャーをかけて、接戦に持ち込めるか。カナダはイングランドの強力FWを何とか止めて、アタックする時間を増やしたいですね。

https://twitter.com/rugbyworldcup/status/1588622112159301633
https://twitter.com/rugbyworldcup/status/1588526225571557376

関東大会は開幕戦2試合が日大グランドで行われました

https://twitter.com/otomorug/status/1588146419793215488
開幕戦については大友信彦さんがトーチュウで記事にしています、ありがたいですね

3日に行われた関東大会、第1試合はYOKOHAMA TKMオーバルズがTokyoLaDiesを43-0で、東京山九フェニックスがRKUグレースを48-7で破り、快勝スタートとなりました。フェニックスは早速試合のハイライト動画をチームのYoutubeチャンネルにUPしていました、リンクはこちら素晴らしい早さ、ファンに向けてのこういう取り組みって大事だなと思います。日本大学のグランドで女子の公式戦が行われたのはおそらく初めて、今シーズンから元日本代表の菊谷さんがラグビー部HCを務めていますが、以前は日体大ラグビー部女子のコーチをしていたこともあって、グランド利用できたのかもしれませんね。今年は総当たり戦になり、試合数も倍近くに増えて、色々な会場で試合が行われるのはありがたいことです。

出場メンバーを見ると、W杯から帰国した日本代表メンバーは開幕戦の登録から外れている選手が多いですね。RKUグレースはチームの人数が少ないのもあってか、川村選手、大塚選手が登録されていました。それまで練習試合などこの大会に向けて国内で調整してきた選手が出場し、活躍するのは良いことですね。これからのリーグ戦、代表選手が出場した時は期待を込めてチームにさらに勢いをつけるような活躍を見せて欲しいです。そうやって国内での試合のレベルを上げて、経験を積んでいきましょう。次回は来週13日(日)、アルテミスターズとTokyoLaDies(ブレイブルーブ主体の合同チーム)、日体大女子とR.I.A(立正大学、国際武道大学、アルカスの合同チーム)が日体大のグランドで行われます。運営する側も大変ですが、嬉しい悩みですね。大怪我などなく、選手、関係者がエンジョイできれば嬉しいです。

今月はセブンズの国際大会も行われますし、サッカーのカタールW杯も開幕しますが、それにラグビーの話題が消されないよう、いい戦いを見せて欲しいですね。頑張ろう日本!頑張ろう女子ラグビー!

NZ戦は7点差の健闘、明日3日から関東大会開幕

先月29日に行われた日本代表とニュージーランド代表All Blacksとのテストマッチ、日本代表が終盤まで逆転を狙える点差につける展開で、見ているファンは盛り上がったと思います。最後は逆転を狙うアタックで反則を取られ、PGを決められて31-38で負け。それでも国立競技場に65,000人を超える観客を集めたテストマッチはそれ以上の価値を見せました。All Blacks側のハイライトは見応えたくさん ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=wAqpHh7ghgU

ハイライトを見て改めて感じたのは、日本代表のアタックはAll Blacks相手にもしっかりチャンスを作って、大きくゲインしたりトライに結び付ける力がある。そこには事前に相手を分析した上でアタックプランを決めているとお漏れわれますが、この試合では13番のライリー選手が相手の裏に小さいキックを蹴ってチェイスしたり、前半の2トライを見ても大外にキックやオフロードに長けたライリーを置いたことでトライに結び付きました。本来であれば大外にいるのはWTBの松島選手、フィフィタ選手なのですが、チームの意図を感じましたね。DFでも5トライを奪われたもののG前での姫野選手のジャッカル、3トライ目を生んだワーナー選手のキックチャージの前も、素早いプレッシャーとダブルタックルでエリアを前に進めていました。日本代表としてはプラン通りのプレーが多かったんだと思います。

注目していた山沢選手、点差が離れた時間帯でキックチェイスから日本の初トライを奪い、プレースキックを確実に得点に結びつけるなど、期待通りの活躍を見せてくれました。斉藤健仁さんが書いたスポルティーバの記事はこちら ⇒ 「オールブラックス戦でチーム最多の12得点。早熟と言われたSO山沢拓也の才能がついに開き始めた」 高校1年生の花園で驚くような活躍を見せたのはもう10年以上前。この活躍が遅かったような見方もありますが、このまま活躍を続けて、来年のW杯でも期待したくなりました。

また大西将太郎さんのマッチレビューの記事もRUGBY JAPAN 365さんのサイトに掲載されています、こちらは有料のプレミアム会員向けの記事ですが、試合の展開と両チームの状況や推測が分かりやすい記事でした。こちら ⇒ 「65,000人の後押しで熱戦になった日本vオールブラックス%20敗れたものの、日本の進化が証明された80分だった

今日2日からヨーロッパ遠征に向かうメンバーもJRFUのHPで発表されました、こちら。12日土曜にイングランド代表、20日水曜にフランス代表と戦います。どちらも来年のW杯で優勝を狙うレベルの強豪国ですね。昨年の秋の遠征では初戦のアイルランドで大敗したものの、ポルトガルに勝利し、スコットランド代表とは20-29と終盤まで接戦でした。事前の準備が大切とはいえ、遠征の初戦は苦戦することが多い日本代表。今回は日本を良く知るエディーさん率いるイングランド、どんな戦いを見せるか楽しみです。それにしても代表チームの選手層が確実に厚くなっているのを感じます。少し不安なのはFW第2列、LOですかね。

女子の関東大会は明日3日から開幕、今年は総当たり戦になり最高

試合スケジュールと会場はこちら

そして女子の関東大会が明日から始まります。今回は1月7日まで、約2か月の期間ですね。7チームが参加しての総当たり戦になりました、何度も言っていますが最高ですね。以前から参加チームの受付から試合日程を決める際に総当たりで戦う案はありました。理由は順位がつけやすい、15人制の公式戦の機会を多く作りたいなどありましたが、懸念されたのはチームの人数と試合の日程調整でした。例えば昨年は11月にサクラフィフティーンが英国遠征でしたので、その期間は代表選手が不在。また1月には関西代表との全国選手権が予定されているため、終わりが1月と決まっていて、なかなか難しいものがありました。なので2つの予選プールと上位2チームのプレーオフによる関東代表決定戦、という流れでしたね。

今年はW杯があるため、どうなるかと思いましたが、総当たりで全チームが6試合を戦います。選手の少ないチームにとっては相当ハードな戦いになるかと思いますが、関東はこれが今後のスタンダードになるための新たな一歩、チャレンジと私は捉えています。15人制については、高校カテゴリーでももう少し公式戦の機会を作れたら良いですね。5年ほど前は11月23日に江戸川陸上競技場で3地域対抗戦が行われていました。今は10月終わりに全国U18女子セブンズが行われるため、再開は厳しいかと思います。どうしても公式戦になると7月のコベルコカップや12月の花園の東西対抗など選抜チームの大会になってしまいますが、各地域の練習会や交流試合に繋がる試みがあればと。15人制をプレーする機会を増やすことで、FW特にフロントローの選手が活躍する、そして大学へ行ってもプレーを続けることに繋げたいですね。

優勝予想はさっぱりわかりませんが、昨年のプレーオフを勝ち抜いた横河武蔵野、RKUグレースが引っ張るか。それとも明日、そのグレースと戦うフェニックスは昨年のプレーオフで負けた相手にリベンジなるか。そしてW杯メンバーの出場の有無を含めると、11月20日までの序盤戦が大事かもしれませんね。代表入りを狙うような活躍を見せる選手が現れるのを期待。