サクラ15とオーストラリア戦の振り返り

昨日は夕方からラグビー関係者のSNSが「女子日本代表、強豪オーストラリアに12-10で勝利」という話題で溢れていました。サクラ15の選手、スタッフ、関係者の皆様、本当におめでとうございます。チーム内で新型コロナの陽性者が出るなど、タフな状況の中でのアウェー戦の勝利、2019年のスコットランド戦以上の出来と言ってよいでしょう、本当に。

POM(Player of the Match)を獲得した10番大塚選手、写真は映像を配信したStan SportのSNSから拝借。

勝利の要因は粘り強いDFに加えて、キックを使ってのエリア獲得

試合の簡単なレポートと試合後の南主将をはじめ選手、スタッフのコメントはRUGBY JAPAN 365で見事な記事にまとめられているので、ご覧ください
 ⇒ 「ワラルーズに勝利!歴史的快挙を成し遂げた」

試合は相手の強みであるラインアウトモールに対して、あえてコンタクトせずに見て、反則を誘うなど、しっかり対策を練っていました。先日のフィジー戦を会場で見れたことで、チーム内でいい議論が出来たのではないかと。スクラムでは大型FWを相手に反則を取られたり終始苦しい展開でしたが、課題のラインアウトでは初テストマッチの公家選手が安定したスローイングを見せました。そしてDFでは素早いセットから相手FWのアタックを止めて、DFで前に出る場面が多かったです。キックのカウンターから外のBKに走られることもありましたが、内側からカバーしたり、FB庵奥選手が捕まえるなど、トライチャンスを作らせません。

30分過ぎに最大にピンチの場面が訪れました。相手スクラムのアタックからラインブレイクされ一気にG前まで攻め込まれますが、SH津久井が見事なカバーDFでタックル、WTB今釘が左サイトから全力で戻って右サイトのスペースを埋めます。早くトライを奪いたい豪州は外へ大きなパスを放りますが、今釘選手が見事なインターセプト、そこから一気に敵陣G前まで進みました。津久井、今釘の2人の素晴らしい献身的なプレーで大ピンチを防ぎました。

後半開始のキックオフ、相手FWの多いサイドの逆を狙う賢い選択。そこからG前ラインアウトのチャンスを作り、開始から攻め続けます。敵陣でプレーを続けた結果、オーストラリアのミスから大塚選手が先制のトライ。後半のプレーを見ていると相手の豪州が明らかにストレスを感じているというか、自分たちのやりたいことが出来ない印象でしたね。スクラムでのターンオーバーをきっかけに後半14分にG前のラインアウトからトライを返されますが、この時間帯までこの嫌な形を作らせない、エリアを優位に進められたのが勝因の1つでしょう。

そしてこの後のキックオフでまたしても逆サイドを狙い、素早くプレッシャーを仕掛けて今釘、古田の2人で相手の反則を取り、G前ラインアウトのチャンスを作りました。そこからモール、ラックサイドなど攻め込むと、最後は相手の反則からSH津久井がクイックスタートし、FL細川選手がトライ。豪州に試合の流れを渡さずにトライを返したこの1連の流れは、この試合に勝つために徹底的な準備をやってきたと感じさせるものでした。その後も豪州の大型選手のアタックに、何度もゲインを許しますが、粘り強いDFを最後まで見せてくれました。

1番南主将はスクラムで厳しい戦いを強いられた中のフル出場、素晴らしい。写真はJRFUのSNSから拝借

最後は相手の簡単な位置からのPG失敗に助けられたという見方もあるかもしれません。ただこれまでは2017年のW杯など後半残り数分の時間帯にトライを奪われて悔しい負けをしたテストマッチもありました。この試合でもPGを狙う前、トライを狙う豪州の必死なアタックを止め続けていました。試合後のインタビューでの南主将の「自分たちのスタンダードが上がった」というコメントにはこれまでいい試合をして勝てなかった苦労を感じて、ちょっと感動しましたね。豪州協会のHPにあるゲームスタッツをみても、セットプレーの成功率は豪州が上回り、タックル回数は豪州の倍以上など、我慢の中、粘り抜いて、本当によくやりました。

格上の豪州との試合で感じた課題は色々とありますが、自分たちのやりたいラグビーを出して勝ち切った経験、これに勝るものはありません。遠征で感じた代表チームの振り返りは別にするとして、今は本当におめでとう。そして少し早いけれど、遠征お疲れ様でした。ここからが新たなスタート、という南主将の言葉に期待して、これからも応援します。

6日の豪州バーバリアンズ戦のメンバー発表

日本協会のHPやSNSで6日に行われる試合登録メンバーが発表されました。キャプテンは15番平山選手です。フィジー戦で活躍した鈴木選手、6番で先発出場予定ですね。2番公家選手はノンキャップですが、強みの正確なスローイングを見せてほしいです。そして10番はBRAVE LOUVEの安尾選手が入りました。まだ大学3年生ですがスキルの高い選手なので、外国人を相手にどんなプレーを見せてくれるか、期待です。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1521720791402184704
フィジー戦のリザーブメンバーとノンメンバーを中心に編成、W杯に向けてアピールしてほしいです

リザーブメンバーを見ても、私の知らない若い選手が何人か(苦笑)。日体大1年の向来選手が入っていないのは残念。そして22番に小西選手、23番に大塚選手が入りました。2019年のスコットランド戦勝利のキープレーヤーだった2人、交代出場でゲームの流れを変える選手なので、期待しています。対戦する豪州バーバリアンズの試合登録メンバーも発表されましたね。代表予備軍という噂はあり、個々のサイズ、パワーはフィジーよりもあるかと思います。日本も若い選手が多いですが、まずは接点でのファイトで受けに回らず、プレッシャーを逆に与えられるかがポイントですね。先日の反省を生かして、開始から積極的に仕掛けてゲームを動かしたいですね。試合映像、現地での放送もなさそうだから、見るのは難しいだろうな。

https://twitter.com/WallaroosRugby/status/1522108792179421184

先日、女子日本代表の強化委員長でもある浅見さんのインタビュー記事をSNSで紹介しました。取材はサンスポの吉田宏さんでしょうか。6ページもあり、読みごたえがありました。
こちら ⇒ 「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年。これを読んで「んんっ!?」と、気になったところを幾つか。

2017年W杯終了後に1年数か月、15人制代表の活動が行われない中で2019年になってレスリーさんが日本代表のヘッドコーチになりました。強化の仕方として、選手の増量、フィジカルの強化に積極的に取り組んできた印象です。FWの選手はこの数年で大きくなりましたし、先日のフィジー戦でもスクラムでは優位に経っていました。一方で「世界規格の戦術、スキルをチームに落とし込んできた」ってありましたが、ここの「世界規格」とは何なのかなと。

具体的には戦術的なアプローチというか、チームへの落とし込みはどう行われているのか。試合を見ていて、それを感じる部分(個人的には戦術=マイボール時のエリア獲得、アタック、トライを奪うオプションなど)があまりないのが、あくまで個人的な感想です。スキルは選手の頑張りもあって、キックを上手く使う選手も増えていますし、年々伸びています。一方で大学ラグビーやリーグワンのハイライトで見るような、おおっと唸るようなアタックからのトライがないんですよね。そういうチームのコンビネーション練習が出来ているのかどうか。そしてここの部分、得点力が世界規格を超えていかないと、10月のW杯で勝つのは難しいです。この遠征ではたくさんのスポットコーチが参加しているので、この後の2試合が楽しみです。

そして女子ラグビーの強化にワールドラグビーもアクションを起こしているのは嬉しいことですね。記事にもある「世界の上位チームをトップ6、ボトム6と捉える」というのは、実力を見ると確かにそうです。オーストラリア女子は日本戦の後、「パシフィック4」というシリーズでNZ、カナダ、米国とテストマッチが予定されていて、W杯に向けての強化策が凄いですね。強豪同士の試合が組まれる中、日本はテストマッチの機会を作れていません。もちろんアジアの他の国々の強化、普及にも繋げていけるか、今後の日本に求められる役割かと。

「15人制はトップ8が目標」という言葉もありましたが、2017年のW杯で戦った選手、スタッフも具体的に感じることが出来た印象です。正直、7人制よりも15人制のほうがベスト8進出への距離は近いかなと。個々のフィジカルを高めて、接点のファイトで強豪国と互角に戦えればチームとしての戦術、アタックを高めて勝てるんじゃないかと。まあ前回のW杯後に代表活動が1年以上も行われなかったのは、協会か代表チームの不手際(?)だと思いますが、開催が1年延期したので、今の強化をプラスに考えて、選手とスタッフの頑張りを応援します。

あとは15人制の試合機会をいかに増やすかにも触れています。これは選手の頑張りではどうにもならない部分なのですが、来年から始まる国際大会「WXV」への参加の他、国内でどう試合機会を作るか。この前、海外でプレーする選手と個人的なやり取りの中で、試合の回数を聞いたら現地でプレシーズンマッチを含めると10試合は余裕で超えていました。7人制もですが、国内の試合と国際試合の強度は明らかに違います。ただ代表強化だけでなく、女子選手の更なる普及、競技の継続に向けて、国内試合の充実も大事なので、仕組みを整えないとです。

そして記事の後半には7人制、サクラセブンズの強化についても触れています。あとは15人制の代表との兼ね合いについても「ハイブリッド」という表現を使っていますね。先日、NZ女子代表BlackFernsの代表スコッドが発表されましたが、セブンズで活躍していたRubi Tui(ルビ トゥイ)選手が選ばれていました。日本でも夏の代表候補合宿で新たな選手の招集がありそうですね。「選手層をさらに厚く」という言葉もありますが、5年前に比べたら本当に良い選手が増えました。良い選手をいかに国際レベルまで鍛えられるか、代表サイドに求められる役割であるとともに、所属チームの関係者とも上手く連携していけると良いですね。

長文になってしまいましたが、個人的に思うことをぼやいてみました。言うことは易しで、実際にやるのは大変難しいチャレンジです。選手の怪我などの不運もあるでしょう。ただ女子ラグビー全体が上手く回るような仕組みも浅見さんはじめ関係者の頑張りのおかげで、年々良くなっていると思います。大きな結果が出ると、周りの空気やサポートも変わるかもしれませんね。引き続き頑張りましょう。

サクラ15とフィジーとの試合を振り返ってみた

フィジー戦勝利後のチーム写真、JRFUのSNSから拝借

5月1日日曜に行われたフィジー戦、日本代表サクラフィフティーンは28-14と逆転勝利して、およそ2年半ぶりのテストマッチ勝利をつかみ取りました。試合の振り返りはRUGBY JAPAN 365で大友さんが試合経過と写真、試合後のコメントを含めてきれいにまとめてくれているので、興味あればこちらをご覧ください。
 ⇒ 「サクラフィフティーン FWの結束でフィジー撃破」

また試合映像もYoutubeにアップされてはいるので、こちらで見直しできます。試合前の想定では勝つチャンスは十分にあると思いましたが、前半は想像以上に苦戦してしまった印象です。特に敵陣に攻め込んで裏に蹴ったボールをカウンターで一気に返されて14点リードされた時は、非常にまずいなと思いつつも、これから挽回できると思ってはいました。それでも前半のうちに同点に追いついたことが、非常に大きかったと思います。

開始から何かかみ合わなかった前半、原因は準備不足だったのか

ここからは個人的な試合の振り返りになります。辛口な内容が多くなります、すみません。前半はフィジーのキックオフで開始。開始1分の1stラインアウトをノットストレート、そのあとのマイボールスクラムからのキックをチャージされたり、そのあともノッコンするなどイージーなミスもあってプレーを継続できず。自陣でプレーが続く我慢の時間の中で前半15分にフィジーに上手くオフロードを繋がれて先制トライを奪われました。試合後のコメントを見ていると、キックを使って敵陣に入るゲームプランがあったと感じましたが、それにしてもプレー内容がお粗末で、準備不足というかゲームプランの落とし込みが不十分なのを感じました。

アタックが上手くいかなかった一方で、DFはおそらく開始から手ごたえがあったでしょう。キャリアーに対して1人目がしっかりタックルに入り、倒したらすぐに起き上がってDFラインに戻る。サクラセブンズと同様、このリアクションはチーム全員で意識しているのが良くわかる動きでした。フィジーのアタックがまずFWがぶつかる、そのあとBKに展開、というシンプルな構成だったのもあり、日本代表も練習でこだわってきたコンタクトの部分をしっかり出せていたと思います。先制トライは奪われたものの、フィジー選手の個々のスピードやチームスタイルを考えると、ある程度の失点は想定していたと思います。それでもWTBからのキックで敵陣22m内からのカウンターで奪われた2トライ目はやはり相手の動きを予想した上で、どこで狙って倒すのかを決めて、実行しないといけません。

そう思うと準備不足と簡単に言ってしまうのは失礼ですが、フィジーという独特なチームに対して試合前に想定できる部分が限られていたのかもしれません。SUPER Wの試合映像(ハイライト含め)を見ていたかもしれませんが、テストマッチはやはりそれとは違うものなのかと。まだテストマッチの経験が1桁の選手も多いですし、そういった若い部分が出てしまったのかもしれません。これは次の試合、そしてW杯の前には解決すべきところですね。前半30分過ぎから日本の動きが良くなり、35分にトライを奪い返してからは日本のアタック時間が増えて、ゲームの流れを掴んできました。フィジーも反則が増えてきて、ラストプレーで3点を狙わず、ラインアウトからトライを狙いに行った結果、同点に追いついてことでゲームの流れを一気に戻したのが大きかったですね。

後半は逆転してから拮抗する中、リザーブの選手が大活躍

ゲームの流れを掴んで迎えた後半。日本のキックオフをフィジーが上手く処理できず、敵陣でチャンスを作ると、後半5分にモールを押し込んでペナルティートライを獲得。リードを奪いますが、そこから追加点がなかなか奪えない展開に。フィジーが攻めるもチャンスらしいチャンスはなく、動きの速い日本が孤立したところでジャッカルを決めたり、ターンオーバーすることが出来ました。ゲームの流れを掴むと、こういう良いプレーが増えてきますよね。

後半途中から入った大塚選手は強みのキックで日本をリード、次は先発出場なるか。

そしてSOが今釘選手から大塚選手に替わってから、得意のキックを使って敵陣でプレーする時間が増えたことが疲れの見えるフィジーに対して効いていました。フィジーの自陣からのキックに対してもFB平山選手を中心に前に進めるアタックに繋げていたので、日本の時間帯が続きました。フィジーも逆転を狙ってアタックを仕掛けていますが、これも交代出場した鈴木選手がジャッカルを決めるなど、活躍していました。もともとは公家選手が2番で出場する予定が急な変更により、リザーブ入りしましたが冷静な判断と思いっきりの良さはさすが女子の最多キャップ選手です。一方で日本のチャンスになかなか点が奪えないのは、以前から続くアタックのオプションの少なさか、もしくはコンビネーションの部分でしょうか。いずれにせよ、FW以外での得点パターンを確立しないと、これからの相手に勝つのは難しいでしょうね。

ボールを持つのは鈴木選手、黄色いビブスが齋藤選手、ともに女子日本代表最多キャップを持つ2人はフィジー戦でも良く動き、安定した活躍を見せてくれます。あっぱれ。

それと個人的に気になったのは選手交代のところで、後半中盤の攻め時にSHの津久井選手が出てくるかと思いましたが、結局リザーブで待機したままで終わってしまいました。テストマッチのラグビーでSHの選手が80分フル出場するのも珍しいですね。阿部選手のプレーについては、ラックから捌く時のノッコンだったり、疲れも見えたように感じたので、経験のある津久井選手がゲームを動かすかと思いましたが・・・指導陣の考えが何かあったのかもしれませんね。久しぶりのテストマッチの勝利に喜ぶ一方、昨年の遠征から感じた課題はまだありそうです。それでもフィジー相手にフィジカルの部分でしっかり戦い、規律の部分で上回って勝ち切ったことは良かったです。それだけ日本代表も地力がついてきました。

6日の豪州バーバリアンズ戦、まだ出場機会のない選手たちに期待

日本代表の豪州遠征レポートは連日、更新されています ⇒ こちら。今後は6日金曜の午後にバーバリアンズ戦、12日火曜の午後にオーストラリアとのテストマッチが予定されています。バーバリアンズ戦はフィジー戦に出場しなかった選手が主に出てくるかと思います。個人的には追加召集されたFWの小西選手、2017年のW杯も経験したCTBの黒木選手の活躍を見たいですね。あとはノンキャップ組、HO公家選手や昨年の全国高校女子セブンズで大活躍したFWの向来選手などもプレーを見たいです。バーバリアンズの選手はどんな構成なんだろうか、SUPER Wのチームから選ばれているのだろうか。ノンテストマッチとはいえ、貴重な試合機会なので楽しみですね。

豪州遠征も残り2試合、新型コロナの陽性判定が出たチーム関係者もいる中で、秋のW杯に向けて1日1日が勝負だと思います。強化責任者の浅見さんが語る記事も出ていました。 ⇒ こちら「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年。代表の考えや方向性が伝わる記事ですので是非。頑張れ日本、頑張れサクラ!!

サクラセブンズはカナダ大会を11位で終了

5月2日は未明にイングランド戦、朝6時半過ぎからメキシコとの11位決定戦が行われました。未明のイングランド戦は開始数十分前に寝落ちしてしまい、メキシコとの試合は開始から最後まで見れました。まず、結果は以下の通り。

9位-12位トーナメント VSイングランド 7-29●負け
11位決定戦 VSメキシコ 45-0〇勝ち
※9位決定戦はブラジルがイングランドに24-7で勝利、
 優勝はNZを相手にノータイムで逆転トライを奪った豪州でした

ラグビーリパブリックに早速2日目のレポートが掲載されていました、こちら。まずイングランド戦ですが、初日同様に開始してすぐに先制トライを奪われました。個々のフィジカルやスピードの差はあれ、試合の入りが上手くいかないのは今後の課題ですね。そのあと2トライ目も奪われますが、相手にシンビンが出た前半終了間際に原わか花選手が外を走り切ってトライを奪いました。しかし日本の得点はこの7点のみで、イングランドに5トライを許して負け。

そして11位決定戦、これまでの対戦国と比べて格下のメキシコに対しては日本が目指すプレースタイルがしっかり見れました。DFでは低いタックルで相手を倒し、すぐに起き上がって7人で守る。ATでも個々に上回る日本が、DFのギャップを抜け出して独走してポスト下にトライする場面が多かったです。前半で4トライを奪って勝敗を決めて、後半は早めに主力の平野選手や梶木選手を下げて、若手が交代出場しチャレンジ。ワールドセブンズシリーズ大会初参加の矢崎桜子選手がトライを奪っていましたね(日本語の実況はなぜか12番山中選手と伝えていましたが)。トライを奪いに来るメキシコの反撃もしっかり止めて、45-0の完封勝利。11位をしっかり確保して大会を終えました。

https://twitter.com/WorldRugby_JP/status/1520961734357528577

振り返ればコアチームとの試合は、開始早々に失点し競った展開までもっていけずに大敗。昨年の東京五輪の時と似た展開になりました。ブラジル戦はリベンジを期待していましたが、6トライを奪われる完敗。コアチームとしてタフな経験を積み重ねるブラジルとの差は想像以上についているのを感じました。今後もDFの時間が多かったり、アタックでもKOレシーブから自陣でのアタックを繰り返したり、我慢する展開を減らしていきたいですね。アタックでどうラインブレイクをして、敵陣まで進むか。個々は成長していますが、チームの課題は以前から大きくは変わらないと思います。

招待参加で出場したこの経験を9月のW杯、アジア大会にどう繋げられるか、太陽生命WSSで活躍した新しい選手も加わる可能性もありますし、まだまだこれから。頑張れ日本!頑張れサクラセブンズ!

サクラセブンズのカナダ大会初日を振り返る

5月に入りました。今日1日は女子日本代表がセブンズ、15人制ともに海外で試合があります。国内では太陽生命WSSの期間中ですから、代表選手の派遣に協力してくださるチーム関係者の皆様には感謝ですね。女子ラグビー、トップレベルの選手の層が増えてきましたが、インターナショナルレベルの選手育成については、まだまだこれからでしょうか。

およそ2年ぶりのシリーズ大会、強豪国との差を改めて感じた初日

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1520176167281893377
高校生も含む新たな若手も加わったサクラセブンズ、主将はサクラセブンズではベテランの平野優芽選手、落ち着きあるプレーは頼りになります。
https://twitter.com/JRFUMedia/status/1520231225646288897
昨年のW杯アジア予選からチームを率いる鈴木貴士HC、頼りになります

今回は招待チームとして参加する女子日本代表サクラセブンズ、初代表の選手も加わり、自分が知らない選手も増えてきました(苦笑)。日本協会HPの遠征レポートはこちら。開催地のビクトリアは結構冷え込んでいるようですね(記念撮影の日は晴れて、スタッフもみな半そでですが)。ワールドシリーズではここ何年も昇格や降格が続いて、どの相手も格上という厳しい試合展開になりますが、カナダ大会初日も苦しい3試合でした。

第1試合 VSアイルランド  7-22●負け 
第2試合 VSフランス    5-41●負け 
第3試合 VSブラジル   12-38●負け

予選プール全敗で4位、戦いぶりを見ても試合開始からおよそ1分で相手に先制トライを許してしまったり、トライを奪った直後であっさり独走トライをされてしまったり、自分たちが目指す戦いがさせて貰えなかった印象です。ワールドシリーズでは以前から予選プールで勝てないなか、日本は強豪国を相手にどんな戦いを見せてくれるのかに注目しています。カナダ大会の初日は日本の戦いというより、相手の日本対策がはっきり見えました。具体的にはキックオフ、ブレイクダウンでプレッシャーをかける、個々のサイズを活かしてアタックで無理せずに継続するといったところで、日本のDFは取り組んできた倒す、倒れるから素早く起き上がる動きは伝わってきましたが、ボールを奪い返すような激しさは足りませんでした。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1520523392373297152
東京五輪を戦った3人、梶木選手、大谷選手、平野選手は厳しい試合の中でも安定したパフォーマンスを見せてくれました

その中でも梶木選手のジャッカル、大谷選手のランにタックルなど、所々ではおおっ、と思わせるプレーもありました。なかなか勝利に繋がる試合展開になりませんが、タフな経験は重ねてきています。本当にワールドシリーズ大会ではコアチームから勝利するのが難しい。そして海外の強豪国のプレー(特にフィジカル)に驚かされています。昨年の東京五輪では最終戦で12-21と惜敗したブラジル相手に6トライを奪われるとは、正直予想外でしたが、相手のスピードランナーに走られると、日本の選手は追いつけないですね。

大会2日目、9位‐12位トーナメントに向けて

https://twitter.com/WorldRugby_JP/status/1520556186701025280
ブラジル戦の最後に三枝選手が相手をかわしてのトライ、その前の大谷選手のビッグゲインから見事なアタックでした

明日2日目は下位4チームでのトーナメント。相手はおそらくイングランドです(他はブラジルとメキシコでしょうか)。日本が勝利に近づくためには敵陣でのアタックの機会を増やしたいところです。ブラジル戦は前半、アタックの時間は多かったのですが、自陣でのプレーが多く、ターンオーバーからあっさりトライを奪われるなど、良くない試合展開でした。敵陣でのチャンスを常にトライに結び付けるアタックが出来ないと勝つのは難しいですね。相手のプレッシャーの中で個人個人が閃き、チャレンジして、ポジティブな経験を重ねてほしいです。

https://twitter.com/WorldRugby_JP/status/1520550730939125762
ブラジル戦の1トライ目は敵陣22mのスクラムから2フェイズ目で原わか花選手がトライ!

そして今日の午後には豪州でサクラ15のフィジー戦

最後にセブンズだけでなく15人制のほうも。昨年秋のヨーロッパ遠征では悔しい試合が続いたサクラ15、2年半ぶりのテストマッチ勝利に向けて、世界ランクでは下位のフィジーと豪州で戦います。相手の15人制の情報はあまりないですが、豪州で行われているスーパーラグビーの女子大会、SUPER Wに参加している選手が中心でしょうし、手ごわい相手だと思います。

フィジー戦の登録メンバー、注目は2017年W杯以来の出場(?)8番ライテ選手の爆発的アタック。

フィジーには2016年12月、W杯の予選で大勝していますが、まずは安定したセットプレーでプレッシャーをかけていくの勝利の鍵。特にヨーロッパで苦戦したラインアウトがどれだけ改善されているかですね。あとはキックを上手く使い、敵陣でのプレー時間をどれだけ作れるか。フィジーは良いランナーが多いと思いますが、キックは上手くないと思いますし、15人制では横の選手と連携して気持ちよく走れるスペースを与えなければ大量失点はないと思われます。日本のアタック力を考えると、接戦にはなりそうですが、フィジーを20点以下に抑えれば勝てると思います。頑張れサクラフィフティーン!!