サクラ15とフィジーとの試合を振り返ってみた

フィジー戦勝利後のチーム写真、JRFUのSNSから拝借

5月1日日曜に行われたフィジー戦、日本代表サクラフィフティーンは28-14と逆転勝利して、およそ2年半ぶりのテストマッチ勝利をつかみ取りました。試合の振り返りはRUGBY JAPAN 365で大友さんが試合経過と写真、試合後のコメントを含めてきれいにまとめてくれているので、興味あればこちらをご覧ください。
 ⇒ 「サクラフィフティーン FWの結束でフィジー撃破」

また試合映像もYoutubeにアップされてはいるので、こちらで見直しできます。試合前の想定では勝つチャンスは十分にあると思いましたが、前半は想像以上に苦戦してしまった印象です。特に敵陣に攻め込んで裏に蹴ったボールをカウンターで一気に返されて14点リードされた時は、非常にまずいなと思いつつも、これから挽回できると思ってはいました。それでも前半のうちに同点に追いついたことが、非常に大きかったと思います。

開始から何かかみ合わなかった前半、原因は準備不足だったのか

ここからは個人的な試合の振り返りになります。辛口な内容が多くなります、すみません。前半はフィジーのキックオフで開始。開始1分の1stラインアウトをノットストレート、そのあとのマイボールスクラムからのキックをチャージされたり、そのあともノッコンするなどイージーなミスもあってプレーを継続できず。自陣でプレーが続く我慢の時間の中で前半15分にフィジーに上手くオフロードを繋がれて先制トライを奪われました。試合後のコメントを見ていると、キックを使って敵陣に入るゲームプランがあったと感じましたが、それにしてもプレー内容がお粗末で、準備不足というかゲームプランの落とし込みが不十分なのを感じました。

アタックが上手くいかなかった一方で、DFはおそらく開始から手ごたえがあったでしょう。キャリアーに対して1人目がしっかりタックルに入り、倒したらすぐに起き上がってDFラインに戻る。サクラセブンズと同様、このリアクションはチーム全員で意識しているのが良くわかる動きでした。フィジーのアタックがまずFWがぶつかる、そのあとBKに展開、というシンプルな構成だったのもあり、日本代表も練習でこだわってきたコンタクトの部分をしっかり出せていたと思います。先制トライは奪われたものの、フィジー選手の個々のスピードやチームスタイルを考えると、ある程度の失点は想定していたと思います。それでもWTBからのキックで敵陣22m内からのカウンターで奪われた2トライ目はやはり相手の動きを予想した上で、どこで狙って倒すのかを決めて、実行しないといけません。

そう思うと準備不足と簡単に言ってしまうのは失礼ですが、フィジーという独特なチームに対して試合前に想定できる部分が限られていたのかもしれません。SUPER Wの試合映像(ハイライト含め)を見ていたかもしれませんが、テストマッチはやはりそれとは違うものなのかと。まだテストマッチの経験が1桁の選手も多いですし、そういった若い部分が出てしまったのかもしれません。これは次の試合、そしてW杯の前には解決すべきところですね。前半30分過ぎから日本の動きが良くなり、35分にトライを奪い返してからは日本のアタック時間が増えて、ゲームの流れを掴んできました。フィジーも反則が増えてきて、ラストプレーで3点を狙わず、ラインアウトからトライを狙いに行った結果、同点に追いついてことでゲームの流れを一気に戻したのが大きかったですね。

後半は逆転してから拮抗する中、リザーブの選手が大活躍

ゲームの流れを掴んで迎えた後半。日本のキックオフをフィジーが上手く処理できず、敵陣でチャンスを作ると、後半5分にモールを押し込んでペナルティートライを獲得。リードを奪いますが、そこから追加点がなかなか奪えない展開に。フィジーが攻めるもチャンスらしいチャンスはなく、動きの速い日本が孤立したところでジャッカルを決めたり、ターンオーバーすることが出来ました。ゲームの流れを掴むと、こういう良いプレーが増えてきますよね。

後半途中から入った大塚選手は強みのキックで日本をリード、次は先発出場なるか。

そしてSOが今釘選手から大塚選手に替わってから、得意のキックを使って敵陣でプレーする時間が増えたことが疲れの見えるフィジーに対して効いていました。フィジーの自陣からのキックに対してもFB平山選手を中心に前に進めるアタックに繋げていたので、日本の時間帯が続きました。フィジーも逆転を狙ってアタックを仕掛けていますが、これも交代出場した鈴木選手がジャッカルを決めるなど、活躍していました。もともとは公家選手が2番で出場する予定が急な変更により、リザーブ入りしましたが冷静な判断と思いっきりの良さはさすが女子の最多キャップ選手です。一方で日本のチャンスになかなか点が奪えないのは、以前から続くアタックのオプションの少なさか、もしくはコンビネーションの部分でしょうか。いずれにせよ、FW以外での得点パターンを確立しないと、これからの相手に勝つのは難しいでしょうね。

ボールを持つのは鈴木選手、黄色いビブスが齋藤選手、ともに女子日本代表最多キャップを持つ2人はフィジー戦でも良く動き、安定した活躍を見せてくれます。あっぱれ。

それと個人的に気になったのは選手交代のところで、後半中盤の攻め時にSHの津久井選手が出てくるかと思いましたが、結局リザーブで待機したままで終わってしまいました。テストマッチのラグビーでSHの選手が80分フル出場するのも珍しいですね。阿部選手のプレーについては、ラックから捌く時のノッコンだったり、疲れも見えたように感じたので、経験のある津久井選手がゲームを動かすかと思いましたが・・・指導陣の考えが何かあったのかもしれませんね。久しぶりのテストマッチの勝利に喜ぶ一方、昨年の遠征から感じた課題はまだありそうです。それでもフィジー相手にフィジカルの部分でしっかり戦い、規律の部分で上回って勝ち切ったことは良かったです。それだけ日本代表も地力がついてきました。

6日の豪州バーバリアンズ戦、まだ出場機会のない選手たちに期待

日本代表の豪州遠征レポートは連日、更新されています ⇒ こちら。今後は6日金曜の午後にバーバリアンズ戦、12日火曜の午後にオーストラリアとのテストマッチが予定されています。バーバリアンズ戦はフィジー戦に出場しなかった選手が主に出てくるかと思います。個人的には追加召集されたFWの小西選手、2017年のW杯も経験したCTBの黒木選手の活躍を見たいですね。あとはノンキャップ組、HO公家選手や昨年の全国高校女子セブンズで大活躍したFWの向来選手などもプレーを見たいです。バーバリアンズの選手はどんな構成なんだろうか、SUPER Wのチームから選ばれているのだろうか。ノンテストマッチとはいえ、貴重な試合機会なので楽しみですね。

豪州遠征も残り2試合、新型コロナの陽性判定が出たチーム関係者もいる中で、秋のW杯に向けて1日1日が勝負だと思います。強化責任者の浅見さんが語る記事も出ていました。 ⇒ こちら「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年。代表の考えや方向性が伝わる記事ですので是非。頑張れ日本、頑張れサクラ!!