横河武蔵野が全国女子選手権、2年ぶりの優勝

本日、鈴鹿市で行われた15人制の全国大会、準決勝2試合が行われる予定が今週に入り、新型コロナの変異型の感染拡大による所属選手の濃厚接触者の疑いやチーム内で陽性者、農耕接触者が出てしまった関係で三重PEARLS、RKUグレースの2チームが出場辞退となり、今日の試合が急遽、優勝決定戦(決勝戦ではなく)という扱いになりました。

出場辞退に備えて3位以下の順位も決めていましたが、直前に発覚して代替出場を検討する時間もなかったのかなと思います。
グレースは先週、東京山九フェニックスを相手に快勝。更なる活躍も期待されていただけに残念です

九州ながと合同がDFで健闘し、競った展開になった前半

私も当初は現地で観戦する予定でしたが、同行する予定だった方が諸事情により行けなくなり、天気があまり良くないのもあって、YouTubeでライブ観戦することにしました。試合結果ですが、予想通り横河武蔵野アルテミスターズが勝利しました。日本協会のHPにもすでにお知らせが出ています。津久井キャプテンのコメントもありますね ⇒ こちら

日本協会のチャンネルでライブ配信されましたが、映像が時々動かなくなったり、ちょっと見づらかったです

前半は開始から両チームがボールに手がつかず、ノッコンの多い序盤でした。関東大会と同様、アルテミは自陣からもボールを動かして攻め続けますが、九州ながと合同はしっかり分析していましたね。所々で相手をひっくり返すような狙いすましたタックルを決めて、DFの接点でプレッシャーをかけていました。アルテミは攻める時間は多かったですが、先週のPTS立正戦のようにテンポよくアタックを進められず、ストレスもあったと思います。見ていてDFのロールアウェイが遅く、SH津久井選手がボールを捌くのに少し時間がかかったようにも見えます。アルテミは前半20分過ぎにようやく敵陣22mに入ると、強力なFW陣がG前に迫り、22分にラックサイドを潜ったNo8高野選手がトライを奪いましたが、前半はこの1つのみ。九州ながと合同のDFの強さのほうが目立った前半でした。

アタックを修正した横河武蔵野が後半に3トライを奪って突き放しました

競った前半でしたが、FWとアタック力は明らかにアルテミが優位だったので後半は修正するだろうと予想していました

九州ながと合同の健闘のなか迎えた後半は開始10分から両チームの攻防が続きましたが、敵陣22mで相手のアタックを止めてジャッカルを決めたアルテミがペナルティーからクイックで仕掛けてG前まで攻め込むと1トライ目のように3番南選手が低い姿勢でラックサイドを潜るようにトライを奪うとそのあとのキックオフからも攻め続けたアルテミが連続トライ。後半27分には交代出場の日本代表CTBの中山選手が外から内に切れ込んでショートパスを受け取りそのまま抜け出して4トライ目。九州ながとの反撃を0に抑えて28-0で勝利しました。

予想していた通りの結果となりましたが、試合を見てもアルテミの強力FWを中心としたアタックが目立っていました。特に昨年秋にヨーロッパ遠征を行った日本代表の選手たちのパフォーマンスは良かったですね。3番南選手はスクラムを押し込んだり、低いタックルを決めて、すぐに起き上がって戻るなど良いパフォーマンスでしたし、8番高野選手も激しいプレーをしていました。14番名倉選手もトライはなかったですが、ボールを持った時の強さはさすがでしたし、それらの選手以上に遠征メンバーから外れた小西選手のボールキャリー、ジャッカルも凄かったです。九州ながとも選手個々の力は差があったと思いますが、粘り強いDF、ブレイクダウンでの接点の強さを見せ、アルテミも苦戦したと思います。

来年度以降の課題として、15人制の試合機会をどう増やしていくか

冒頭に書いた通り、新型コロナの変異型の影響によりこの試合で15人制のシーズンは終えることになりました。女子選手の数もチームも増えてきましたが、公式戦の数はいまだに十分ではありません。関東大会が始まる12月の前から、各チームで練習試合は重ねてきたと聞いていますが、やはり公式戦や冠大会がないとスポンサーや関係者の目に留まる機会も少ないですし、どうやって試合数を増やしていくかですね。

女子ラグビーの年間シーズンは春に太陽生命WSSを中心としたセブンズのシーズン、そして8月下旬に国体予選、10月上旬に本大会が行われます。15人制のシーズンは秋以降、そして2月上旬には全国選手権を終えるような予定ですが、今年は10月にNZでW杯が行われますし、2023年以降も秋に国際大会が行われます。女子の新たな国際大会「WXV」について書いたブログはこちら。そのため、10月11月は女子日本代表を優先としたスケジュールになるかと予想します。関東大会は7チームが参加しましたが、開幕を9月ごろに早めて、試合間もあまり開けずに総当たり戦で出来ないものかと思います(参加チーム、協会関係者含めて負担は大きくなりますが・・・)。

最後に女子セブンズ代表、サクラセブンズの候補選手(SDS)も熊谷で19日から合宿を行っています。スポットコーチとして元男子日本代表キャプテンの桑水流さんも参加していますね。合宿レポートは、こちら。こちらもW杯を控えていますが、国内での活動が中心となる中、今後どのように強化を進めていくか、楽しみですね。

関東女子大会終了、横河武蔵野とRKUが全国へ

昨日15日は関東女子大会の最終節が行われ、全国選手権出場をかけたプレーオフと予選プールの敗者が集まる順位決定戦が行われました。結果、プレーオフで勝利した横河武蔵野アルテミスターズとRKUグレースが、来週23日に行われる全国選手権への関東代表に選ばれました。

https://twitter.com/RKUGRACE/status/1482289133993459713

今年度は11月に日本代表サクラフィフティーンがヨーロッパ遠征を組んだ影響もあり、関東女子大会は12月開幕から1か月半の短期間で行い、優勝チームは決めずに、全国選手権に出場する2チームを決める形になりました。RKUグレースは予選2位から、1位の東京山九フェニックスを破っての出場決定、お見事ですね。アルテミとPTS立正の試合は今回もYoutubeでLIVE配信があり、私はアーカイブでチェック出来ました。

試合は開始から両チームともミスが少なくボールが繋がる展開。キックに関する試験的ルールである50-22を利用して、風下のアルテミが敵陣22mに入ってラインアウトのチャンスを作ると、そこが起点となり最後は外を抜け出したWTB名倉選手に素早くサポートしたSH津久井選手がボールを貰って先制トライ。アルテミはLO村上選手、FL小西選手やWTB名倉選手などパワーランナーにボールを集めてアタックを継続、接点でもタックルを上手くずらしたりして、サポートが寄る時間も作り、しっかりボールを継続します。PTS立正はスクラムで押されるも、ダイレクトフッキングから素早く球を出すなど上手く対応して攻めますが、なかなか敵陣深くに入ってチャンスを作れません。

前半22分に相手の反則から敵陣22mに入ってラインアウトのチャンス、後方へのスローをHO公家選手がしっかり投げ入れて攻め込み、G前でFWがトライを狙いますが、アルテミのFL小西選手がジャッカルを決めてピンチを脱出。その後もPTS立正のアタックを堅いDFで受け止めると、キックキャッチからアタックを継続して、CTB高木選手が裏に抜け出し、最後はWTB名倉選手が相手を振り切って右隅にトライ。その後も1トライを追加したアルテミが19-0とPTS立正をリードして前半終了。アルテミの攻守に素早い動き、粘り強いDFが光りました。

後半は逆転を狙うPTS立正の反撃から。LO秋田選手が裏に抜け出してチャンスを作り、そこを起点にG前の混戦に持ち込み、最後はラックサイドに飛び込んでトライ。そこからは両チームとも中盤での競り合いが続きチャンスを伺う中、点が動いたのは後半17分。アタックを継続し、アルテミがG前に攻め込み、ラックサイドをFL小西選手が飛び込んでトライ。続いて後半22分にもラインアウトからモールを押し込んで最後はFL小西選手がハットトリックの3トライ目。その後もキックオフレシーブからキックを蹴らず、攻め続けて敵陣に入り、最後はラインアウトからモールを押し込む展開で2トライを追加。後半40分を過ぎても攻め続けたアルテミが43-7でPTS立正に快勝しました。

MIPはトライにジャッカルに80分間、活躍し続けたといっても過言ではない小西選手が受賞したようですね。アルテミは攻守に圧倒していて、この大会で一番良い試合だったのではないでしょうか。PTS立正は初戦にフェニックスに負けてからの1か月で、リハビリから復帰した選手もいたり、チーム力を上げてきたと思います。このプレーオフに向けてアルテミ対策をしてきたとは思いますが、逆転を狙った後半、最初にトライした場面以外はチャンスがなかったような印象。個々の力で劣る部分はあったかもしれませんが、それくらいアルテミが自陣からアタックをしっかり継続して攻め勝ちました。

来週23日からは全国選手権が始まります、三重PEARLSの連覇なるか

7チームで争った関東女子大会、短期間の日程だったとはいえ15人制の公式戦が多いチームで4試合、少ないチームだと3試合。女子選手のチームや人数も増えてきたなか、日程の関係もあり、試合数がなかなか用意できていない現状があります。個人的には、来年度は9月か10月の秋に開幕を早めて、総当たり戦で出来ないものかなと。代表強化に直結するわけではないですが、日ごろから頑張る選手にも応援する人にも多くの試合機会を作っていく必要はあるのかなと感じています。それが大会の価値、女子ラグビーの価値を高めるものになって欲しいです。

そして関東と関西の代表チーム4つで争う全国選手権が23日に鈴鹿で行われます。関西大会で優勝した三重PEARLSとプレーオフの得失点差により2位扱いとなったRKUグレースが戦いますね。もう1つの試合は九州合同チームと横河武蔵野アルテミスターズになります。私も今のところ、現地へ応援に行く予定なので楽しみです。

女子ラグビーで検索していたら、こんなニュースもありました。地元への恩返し、大事ですね。

最後に女子15人制だけでなく7人制も熊谷で合宿をしたり、高校生も先週に横浜市女子セブンズ大会があったりで、活動が活発化しています。新型コロナの変異株が猛威を振るい、感染が拡大している中、大会が予定通り開催されることを願っています。

高校ラグビー決勝戦の振り返り

2022年になって、2週間経ちました。私事ですが仕事の関係で、1か月ほど前に5年少し住んだ千葉県から大阪府に引っ越しました。これまでのようにラグビーを観戦したりするのは難しくなりましたが、今年も女子ラグビーを中心に細々と更新していきます。

花園は東海大大阪仰星が優勝、終わってみれば圧倒的な強さでした

先週8日に行われた高校ラグビーの決勝戦、準決勝で王者桐蔭学園を破った國學院栃木、春の選抜王者の東福岡を破った東海大大阪仰星の組合せとなりました。國栃は栃木県勢初のベスト4進出という勢いがありましたが正直、國栃があの桐蔭学園に勝つとは...しかも2トライに抑えての勝利、予想していませんでした。

対して東海大仰星は西のAシードの評判通りの勝ち上がり、堅いDFからのターンオーバー、速攻でトライを奪う高いレベルのチームです。それに対して東福岡はキックオフチェイスからボールを奪い、開始直後に先制トライを奪うも前半のうちに仰星が逆転。最終スコアは42-22と快勝でした。ちなみに仰星は3年前の全国中学大会でも優勝しています、決勝戦の相手は私の母校の茗溪学園で現地で観戦しましたが、高校と同様に個々の強さとチームの完成度が高くて本当に中学生のチームなのかと驚きました。

そして8日の決勝戦。ライブでは見れなかったので、毎日放送の花園のサイトにあるアーカイブで見直してみました。これまで順調に勝ち進んできた東海大大阪仰星が有利と予想していましたが、やはり開始から仰星が國栃陣内で攻める展開になり、前半7分に先制トライを奪いました。そのあとのキックオフでも國栃がタッチに出してしまうミスから敵陣でチャンスを作り、そこから攻め続けて2トライ目。國栃はなかなか敵陣深くでアタックできませんでしたが、反則からG前ラインアウトのチャンスを作り、前半22分にモールを押し込んでトライ。前半はその後仰星がPGを加えて、スコアは15-5でしたが両チームのDFの速さ、強さが目立ちました。國栃は素早く前に出るDF、仰星は堅い守りを見せつつ、タックル後にターンオーバーのチャンスがあれば数人が一気に押し込んでターンオーバーする場面もありました。

後半、逆転を狙う國栃はFBの青柳選手がラインブレイクをするなど、アタックを試みるのですが、仰星は堅い守りを見せては、國栃の陣内に入ってアタックする前半と同じ展開が続きました。後半12分過ぎにようやく國栃が敵陣22mに入ってアタックしますが、それもG前で倒した後すぐに他の選手がジャッカルに入り、守り切りました。そして久しぶりに反則から敵陣22mに入るとモールを押し切って後半20分過ぎに追加のトライ。まさに横綱相撲という感じで、相手のアタックを受けてからの攻撃でした。DFは本当にチーム全員が繋がって、同じ判断が出来ている印象で、隙が無いです。結局、ゲームを支配し続けた仰星が後半30分過ぎから2トライを加えて最終スコアは36-5。ともに自陣からアタックを試みてトライまでミスなく繋ぐ崩しは驚きでした。

國學院栃木、初めての決勝戦にも臆することなく、自分たちの力を出し切るような戦いでした。それでも試合が進むにつれて選手の表情も険しいというか、戦える手応えを感じれない悔しさというか、東海大大阪仰星の強さはそれを寄せ付けないような感じでした。またTwitterではSOの吉本選手のキックのコントロールが話題になっていました。自陣から敵陣22mを狙ってのタッチキック、素晴らしいですね。決勝戦でも前半に2回、上手くけり出して自陣からチャンスを作りました。相手DF、特にBK3へのプレッシャーにもなったと思います。

決勝戦での東海大大阪仰星のプレーは、本当に王者らしいものでした。そして果敢に挑んだ國學院栃木のプレー、モールで奪ったトライはお見事でした。そして新型コロナの変異型が急拡大する前とはいえ、無事に全チームが陽性者を出さずに大会を終えられたことは素晴らしいです。

最後に先週末は大学選手権決勝、リーグワンの開幕、関東女子大会などラグビーシーズンは続きます。日付が変わって今日15日は関東女子大会のプレーオフ、勝った2チームが全国選手権に進出します。引き続き感染予防に努めながら、素晴らしい試合が見れるのを期待します。