サクラ15、フィジー遠征を1勝1敗で終える

先週の金曜に行われたフィジーとのテストマッチ第1戦を24-15で勝利した女子日本代表サクラフィフティーン、先発メンバーを若干入れ替えて20日木曜に挑んだ第2戦はフィジーの勢いに飲まれる時間帯もあり、ゲームの勢いを掴めずに15-24で敗れてしまいました。

先発メンバーに入った選手の奮闘に期待した前半、フィジーの勢いに押され気味でした

フィジーのキックオフで始まった前半、最初のコンタクトプレーでフィジーのFW選手の激しいタックルを受け、次のDFでもプレッシャーを受けて自陣G前まで戻される始まりでした。序盤は相手スクラムから1次ATで外に上手く繋がれて先制トライを許すなど、日本はフィジーのプレッシャーを受けて自分たちのラグビーを見せる前にミスで流れを掴めず、前半10分にも2トライ目を奪われるなど苦しい展開が続きました。

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日本の反撃は前半20分、相手の反則をきっかけにG前でのチャンスを作ると、ラインアウト後方へのスローイングからモールを作って押し込み、最後は長田キャプテンがインゴールに抑えて7点を返します。その後は一進一退の攻防の中、フィジーがエリアを優位に進めてスクラムを押し込んで反則を奪い、そこからタップキックで攻めると前半31分にオフロードをうまく繋いで抜け出し3トライ目。前半を終えて日本はリードを許す展開になりましたがフィジーの10番のキックに対してのケアが上手くいかなかったですね。あとはシンプルにフィジーのアタックが良かったです。個々がしっかり勝負して、そこにサポートもついて、ボールを奪い返すのはかなり難しかった。第1戦の反省を活かして、戦術を整えてきたと思います。

フィジーの大きな選手とのバトルで苦しい展開の中、攻守に渡ってファイトしていたLO佐藤選手

追いかける後半、日本はSH津久井選手、No8齋藤選手が交代出場し、津久井選手がいきなり50-22のキックを成功させるなど追いかける日本に勢いをもたらします。また大塚選手のキックを使ってまずは敵陣でプレーする意図が感じられました。フィジーはG前でのチャンスを作れない序盤でしたが、前半に掴んだ勢いをそのままに、攻守に粘り強いプレーを見せて日本に決定的なチャンスを与えませんでした。

日本は後半13分に正面のPGを成功し得て7点差に詰めると、津久井選手がテンポよくボールを動かして、日本のアタックが勢いづき、フィジーはDFで反則が増えてきました。それでも日本のハンドリングエラーから敵陣でスクラムの機会を得ると、日本のFW陣を押し込み、外のスペースに運ばずに短いパスで日本のDFにぶちかまして徐々にG前へ。交代出場したFWの選手らが前に出ると、最後もラックサイドを強引に押し込むように4トライ目を奪い、残り15分でスコアは10-24と広がり、日本が14点差を追いかける展開に。

フィジーの大きな選手に対して低いタックル、ロングパスで日本のBKを引っ張った古田選手。

終盤、追いかける日本が敵陣でアタックを仕掛けますが、フィジーはジャッカルを決めるなど気持ちが切れません。日本は後半33分にラインアウトからモールを押し込みトライ。その後のフィジーのキックオフで競りに来たフィジーに対して日本はボールを触れずにフィジーに奪われてDFの時間へ。自陣スクラムのアタックチャンスを得ますが、ハンドリングエラーでフィジーボールになり日本はさらに追い上げるチャンスを作れず。試合を振り返ると開始からゲームの流れを掴んだフィジーが優位に進め、終了後はほとんどの選手が膝をついたり、倒れ込むくらい力を出し切ったのに対して、日本はプレッシャーを受ける中での細かいミスもあり、フィジーの勢いを跳ね返して、ゲームの流れを取り返すことはできませんでした。

世界ランクでは格下のフィジーに負けたのは痛いですが、今回の遠征でチームとして取り組んできた部分や、試合で試した部分がどれだけ形になったかが重要ですね。現地の気候など、こちらが思うよりも難しいコンディションだったかもしれません。そして8月に日本国内で強豪アメリカ代表とのテストマッチが開催されることが発表されています。ラグビーリパブリックでの記事はこちら ⇒ 「8月11日、17日にサクラフィフティーンの国内テストマッチ開催決定。女子アメリカ代表と対戦」
ここに向けてよりチームを作り上げて、9月からのWXV2に強化を繋げてほしいですね。取り急ぎ、今日の試合を振りかえる観戦記でした。

先週のマドリード大会と今日から世界学生選手権

今更な感じはありますが、ワールドセブンズシリーズ2023-2024の最終戦、マドリード大会が先週末に行われました。それまでのシリーズの総合順位で9位だった日本はチャレンジャーシリーズの上位4か国が入る昇降格プレーオフに参戦。予選プールではアジアのライバル中国に惜敗するも、開催国スペインを相手に快勝すると、勝った方がコアチームになる最終日のアルゼンチン戦では26-12と快勝しました。

RUGBY JAPAN 365のサイトでは大友信彦さんが大会レポートを挙げています。また鈴木貴士HC、選手のコメントもありますね。開幕まで50日を切ったパリ五輪に向けての決意も書かれています。
⇒ サクラセブンズ、2025年もワールドシリーズ参戦が決定!

ハイライト動画ではトライ場面が中心ですが、スペイン戦とアルゼンチン戦をLIVEで見た印象としては日本の強みはボールのリサイクル(倒されてラックにしてからボールを出すまで)が早いのと、試合終盤の苦しい時間帯で相手に走り勝つ運動量を持っていることです。きっとシリーズで世界の強豪国と戦う中でサクラセブンズとして意識的に取り組んできたと思います。実際、スペイン戦もアルゼンチン戦も後半は日本がゲームを優位に進めましたし、スペイン戦の後半は相手のアタックをしっかり止めてチャンスを作らせず、ほぼ敵陣でプレーし続けてかなり良いパフォーマンスでした。

また昨シーズンのハイライト動画を見ると、主なトライパターンとして須田選手のキレキレステップからのトライ、原選手がタッチライン際で相手を振り切るトライがありました。今シーズンはポジション争い、コンディション不良などによる選手の入替もある中で、アタックのバリエーションも増えた印象です。東京五輪にも出場した堤選手の鋭いラン、先日の太陽生命WSS昇格大会でもMVP級の活躍を見せた三枝選手のDFのギャップに走り込んでぶち抜くようなランが目立ちました。また今回のマドリード大会、前回のシンガポール大会でも大会のドリームセブンに選ばれたベテラン中村選手のDFの隙をついてラインブレイクからの独走トライもありましたね。パリ五輪を前にパフォーマンスを上げて活躍する選手が増えているのは素晴らしいです。

パリ五輪に向けての強化が順調に進んでいる日本ですが、マドリード大会の最終日の優勝争いはまたレベルの違う争いでした。優勝したオーストラリアは準決勝のNZ戦、残り1分の時点で12点差でしたが、ラストプレーでNZに追いつくと5mライン近くの難しいコンバージョンを決めて逆転勝利。もう1つの準決勝、フランスとカナダの試合は逆転を狙うカナダが攻め続けて試合が終わった瞬間はインジャリータイムが3分も経過していました。この4か国がパリ五輪でもメダル争いの中心になると思います。

今日からフランスで世界学生選手権が開幕、男女学生日本代表が参加

そして日本協会のHPでは世界学生選手権に参加する日本代表の遠征メンバーが発表されています、こちら。この大会については私も詳細は把握できていないのですが、男女ともに10か国が参加、予選プールでは5チームで争います。以前の大会でも大学を卒業して1,2年目の選手も参加できるルールです。日本の女子もアルカス熊谷の松井選手、三重PEARLSの村田選手など先日の太陽生命WSSでも活躍した社会人選手が選ばれていますね。

日本の女子代表の予選プールの顔触れを見ると、正直「えっ、これフェアなのか」と思ってしまいました。グループAは日本、南アフリカ、ポーランド、スペイン、メキシコ。そしてグループBはフランス、カナダ、オーストラリア、アイルランド、インド。学生代表の大会とはいえ、マドリード大会で4強に入った内の3か国が同じグループに入りました。一方で日本のグループは昇降格プレーオフに参加した4か国にメキシコ。初戦のメキシコ戦は今日の18:25から、次のポーランド戦は22:25からの予定です。ぜひとも全勝で優勝して欲しい、期待します。

この写真は大会のFacebookページから、頑張れサクラ。