ラグビーマガジンを読んで面白かった話

先週から予想進路がどんどん変わる台風10号による大雨の影響で日本中が悩まされましたね。昨夜の雨が過ぎ去って今日は良い天気になりそうです。この台風の影響は仕事にもあって、先週は自宅で過ごす時間が増えて、久しぶりにラグビーマガジンをじっくり読みました。

パリ五輪の振り返りが面白い

先日発売したラグビーマガジンは付録で大学ラグビー写真名鑑があり、ボリューム増してますが中身も高校ラグビーは全国セブンズにコベルコカップ、大学ラグビーは夏の合宿の話題など盛りだくさんでした。そして女子ラグビーの話題もたくさんあったので、いくつか自分の感想も踏まえながら紹介していきます。

まずパリ五輪、見たのはほぼ日本代表の試合で海外の強豪国のメダル争いは男子の決勝しか見てなかったです。母国開催で連覇を狙うフィジーを破って金メダルを獲得したフランス、決勝戦は15人制でも活躍するSHのデュポン選手の大活躍が目立ちましたが、フランスではラグビーといえば15人制という空気があったとのこと。7人制の強化策としてはセブンズ代表でハイレベルの試合を経験し、選手も成長できるとメリットを話して能力の高いクラブのアカデミーの若手選手を代表にリリースしてもらうことに成功したとか。ただセブンズをステップに15人制での活躍を目指す、という流れは今後も続きそうです。一方で国内ではU16やU18などのユースレベルで今後はセブンズの大会を増やしていく計画だそうです。

日本は以前からセブンズユースアカデミー合宿を重ねてタレントのある有望な中高生を発掘し、鍛えてきました。ユニバーシアードなど学生レベルの世界大会では金メダルを獲得する成果もありましたが、海外の強豪国と戦うトップカテゴリーでは、ほかの国々の強化スピードに追いつけず苦しい状況。以前はアジアで勝つのは当たり前のような空気もありました。東京五輪の前もワールドセブンズシリーズのコアチームに入って、世界トップレベルの経験を増やすかというのが目標でしたが、パリ五輪を控えた去年はそのシリーズの下のカテゴリーでも勝てずにプレーオフにすら進めない現状。最下位で終わった後のエイモーHCのコメントにも「特に運動能力的に相手に及びませんでした」とありました。

エイモーHCのコメントの中にはポジティブに振り返って「素晴らしいアタックシーンを作ることはできた」というのもありました。キックをうまく使ってのトライは鮮やかだったかもしれませんが、それ以外でアタックからトライまで繋げるパターンがない印象でした。リスクを背負って前に出るDFを試みて失点が多かった戦いは、何となくリオ五輪での女子と重なる印象です。「自分たちの戦いが出来れば勝てる」と自信を持っても、結局はその舞台まで辿りつけない。力の差を感じる、悔しい思いしかない。

男子と比べて女子は目標とするメダル争いはできなかったもののリオの10位を上回る過去最高の9位という成績で終えました。その内容については以前のブログでも書いていますが、振り返っての平野主将や内海選手のコメントが面白かったですね。「(五輪を意識しすぎずに)通常通りのマインドでやろうと言ってきましたが、オリンピックではほかがいつもと違う」、こういう感じ方が出来るのも、初日の苦しい2敗から立て直して、自分たちの戦いが出来てこそだなと。東京五輪後に就任した鈴木HCがパリ五輪までの3年で、ワールドセブンズシリーズのコアチームに昇格、そこからセブンズW杯、シリーズ大会でも過去最高の成績を残すまで強化を着実に進めてきました。後任にはリオ五輪を経験し、ここ数年はユースアカデミーを中心に担当してきた兼松さんに決まりましたが、今後はどう強化を継続していくか、ですね。

パリ五輪を前にフランスで開催された学生セブンズ大会で見事優勝した日本、ここから代表入りする選手に期待

パリ五輪については先日、日本協会からもオンライン会見で振り返りがありました。東京中日スポーツでも記事があったので、紹介します ⇒ 「パリ五輪ラグビー7人制 女子9位、男子最下位に岩渕健輔専務理事、女子「前向き」男子「厳しかった」と総括
男女ともに新体制はさっそく今週末のアジアセブンズシリーズ韓国大会から始まるので、まずは見守りたいです。

サクラ15の国内テストマッチの振り返りが面白い

深掘りでのハイライト、個々の選手の活躍がわかって面白い

そして8月のサクラ15のテストマッチ2試合の記事も読みごたえがありました。大友信彦さんが書いていますが、強豪のアメリカを相手に2試合合計で25-28というトータルスコア。本当によく戦った、そして勝てなかった、勝つべき試合だった。8-11に終わった2試合目については私も現地観戦しましたし、以前のブログでも触れています。

サクラ15については、毎年のようにチームが成長しているのを感じますし、それは選手(特にFW)のサイズアップからも感じます。海外遠征などテストマッチの機会が増えて、強豪国とも戦えるステージまで来たと感じます。春から合宿を重ねてきたFW陣がセットプレーでも奮闘し、ラインアウトからのモールにもトライという結果は示せなかったものの、拘りを感じました。この2試合で特にDFに成長を感じる一方で、感じたのは得点力不足。去年のWXVでも見せたワイドに展開して外のスペースを攻略するアタックが見えなかったです(これは温度湿度が高い日本の夏でボールがスリッピーな状況もありますが)。

ラグビーマガジンではSHの津久井萌、CTBの弘津悠もピックアッププレーヤーで紹介されていました。津久井選手は以前にサクラ15でもBKコーチを務めていた藤戸さんに個人レッスンをお願いした話がありました。弘津選手は以前はセブンズを主戦にしていましたが、そこから15人制に移った経緯を話していました。女子は以前に比べればテストマッチの増加含めて話題に出る回数が増えてきたし、今はYoutubeで地方のマスコミがニュースとして扱った映像が見れたりもしますが、個人にフォーカスした記事を見かけることはまだ少ないので、この2人の話は面白かったです。個人的にはともに200年3月生まれで日本代表で10代から活躍している平野優芽、津久井萌の対談とか見てみたいですね。

サクラ15ではないですが、パリ五輪を終えた原選手の地元里帰り動画

そのほか、コベルコカップの記事もあり今年から男子と同様、全国9ブロックを3つのプールに分けて行う予選、そして順位リーグで順位を決める形になりました(昨年までは強化、育成の2リーグ)。女子は出場した選手の顔写真付きプロフィール紹介が今年もありました。出場する選手にとってはきっと思い出になりますね。今後もより多くの選手が高校卒業後もプレーを継続してほしいと願っていますが、そのためには国体を含めた各地域の強化策はもちろん、セブンズユースアカデミーに加えて、15人制に向けたユース選手の合宿だったり、環境をもう少し整えていかなければと思います。

今はコベルコカップの後に、菅平女子セブンズ大会が行われていて、中学生のカテゴリーも開催されるために、多くの女子ラグビー選手が集まる機会になっています。全国のタレントある選手を発掘する機会にもなると思いますし、今後のサクラ7s、サクラ15の強化を継続するためにはユース選手からの発掘、育成が求められると思うので、頑張ってほしいです。個人的には、今の女子代表はセブンズ含め1999年、2000年生まれの黄金世代が20代前後で代表に選ばれて、経験を重ねて成熟し、この数年がピークになるのかなと。その辺りはまた別の機会にかければなと。

女子代表選手が地元の子供たちと一緒に入場、こういう機会が将来につながるかもしれませんね

本当は週末に始まるアジアセブンズシリーズや遠征メンバーが発表されたサクラ15にも触れたかったのですが、長文になったのでまた大会が始まる前に更新出来ればと思います。

40代に向けての抱負みたいなもの

前回のブログの続きになりますが先週、40歳になりました。誕生日を迎えたところで、自分の中で何か急に変わるようなことはありませんが、一方で40代というカテゴリーに入り、世間だったり、周りの見方は変わっていくと思います。人生を80年と捉えたときに、40歳はちょうど半分の節目。人生の後半戦のスタートで、40代をどう過ごすかって考えてみました。

30代はラグビー中心で過ごすことが多かったですし、その中で本当に刺激的で人生に刻まれるような出来事もありました。その中で特別な3つを挙げると、2015年にウズベキスタン男子代表のコーチとして地元開催の国際大会での逆転優勝、2016年に合同チームのコーチとして太陽生命WSS東京大会のボウルトーナメント優勝、そして2017年の千葉ペガサスを率いての太陽生命WSS保土ヶ谷大会の3位がありました。どれも下馬評を覆したというか、逆境の中で勝ち取ったからなのかもしれません。

こういった出来事はラグビーの現場を離れてからは体感できないもので、とても良い思い出だからこそ、またそういった体験を味わいたいという思いはここ数年、高まっています。そうした中でJICA-JRFUプロジェクトを通じて、また海外でチャレンジしたいなと思い、先週から春募集が始まったので、近いうちに応募する予定です。ラオス、モンゴル、マダガスカル、キルギスがあるようで一応、リンク貼っておきます ⇒「JICA海外協力隊2023年春募集のご案内」

もちろんJICAもご縁があって合格したらですが、40代の10年を現場復帰という自分が望むような形を考えたときに最初の1,2年が本当に大事と感じるこの頃です。コーチングについて勉強のし直しというか、自分の中で何かを積み上げて、自信に繋げていかないといけない。それがあって、自分にも周りにも説得力が出てくるのかなと。大阪にいた頃は新しい仕事にチャレンジした結果、心身共に疲れ気味になってしまいましたが、三重に来てからはだいぶ落ち着いて過ごせるようになり、休みに旅行に行くくらい、自分の時間もしっかり作れるようになりました。また太陽生命WSSを現地観戦に行ったり、ほかのカテゴリーの試合も見たりしながら、自分の糧にしていきたいと思います。

とこうして書いては見ましたが、上手くいかない時のこともしっかり考えないといけません。仕事だけでなく、プライベートなことも含めて、両親だったり、周りにも多少なりの心配をかけてきました。20代、30代は夢を口に出して頑張っていましたが、40代になった今はそうもいきませんね。ここで具体的に語れることも今は大してありませんがが、それでもまだまだ色々な壁みたいなものに抗っていこうと思います。自分の人生、どう決断してどう転ぶかは自分次第ですしね。今後ともよろしくお願い致します。

30代の10年を急ぎ足で写真と振り返る

5月25日は私の誕生日、明日で40歳を迎えます。10年前、30歳はJICA-JRFUスクラムプロジェクトの初回派遣でスリランカのビーチで迎えました。当時は10年後にどうなるか予想も出来ませんでしたが、いまこうして40歳を迎える直前になり「まだまだ未熟だな・・・」と感じます。多くの人がそうかもしれませんが、やっぱり振り返れば後悔の方が多い。それでもこの10年はいくつかのチャレンジと多くの経験がありました。このブログはラグビーに関する話題を書くので、女子ラグビーに絞って振り返ってみます。

YOKOHAMA TKMでプロコーチになることが出来た30歳

スリランカから6月末に帰国、派遣活動報告を終えました。まだJRFUのHPに当時の記事がありました、こちらそしてご縁があって7月にラグビー日本代表の菅平合宿にサポートスタッフで参加し、当時の日本代表HCのエディーさんと1週間ですが、一緒に仕事ができたことは本当に貴重な経験でした。当時の強化合宿レポートは、こちら

そしてその時にお世話になったスタッフの方からのご縁で、医療法人を母体に持つ女子ラグビークラブ、YOKOHAMA TKMにコーチとしてお世話になることが出来ました。ラグビーを仕事にする、そんな夢が叶いました。また夏の札幌の大会では、市内に住んでいた両親に応援に来てもらいました。TKMでのコーチ1年目は本当に経験不足もあって学びが多く、初めての女子ラグビー指導は男子との違いに戸惑って、選手には迷惑をかけました。なかなか良い結果をもたらすことが出来ず、充実した時間の中でも反省ばかりでしたが、当時の選手、スタッフ、そしてお世話になった病院関係者の皆様には夢を叶えるきっかけをいただき、本当に感謝しています。そうしてコーチとしての経験不足を感じていた時に、JICAの募集があり、ウズベキスタンにチャレンジすることになりました。

国際大会へのチャレンジとなったウズベキスタン派遣

この派遣を前に運がよかったのは、現地から女子ラグビーの指導経験がある人を求められていたこと。なので割とスムーズ(?)に決まったというか、応募したら行けるだろうと思っていました。まさか30歳になってロシア語を勉強するとは思いませんでしたが、振り返るとたくさん書きたくなることがあって簡単にまとめられず(苦笑) 活動としては4月と5月は男子15人制、6月から10月は女子7人制の代表チームをそれぞれ指導し、どちらも結果的には過去最高の結果を出すことが出来ました。今でも当時の選手とはSNSで繋がっていますし、女子のキャプテンは毎年誕生日にメッセージが届きます(どこで自分の誕生日を知ったのか…)し、この派遣で国際大会へのチャレンジという大きな経験をしたことが、今の自分にも影響を与えています。派遣から帰ってきて、ラグビーマガジンの巻末インタビューに掲載(表紙はリオ五輪出場を決めたサクラセブンズ)されたのは良い思い出です。

東京フェニックス、そして千葉ペガサスで監督、コーチを務めた3年間

そして2016年、TKMの頃からお世話になった東京フェニックスの四宮さんに声をかけてもらって、東京フェニックス、そして千葉ペガサスで、監督、コーチとして再びラグビーを仕事にすることが出来ました。2018年までの3年間で他のチーム含めた女子ラグビーの関係者、そしてサポーターとたくさん知り合うことが出来たと思います。またコロナ禍の前でフェニックスでのタイやイタリアへの海外遠征もあり、本当にありがたい経験でした。

この3年間も簡単に振り返るには色々とありすぎて、1年目は太陽生命WSSの東京大会で合同チーム(フェニとラガール7の選手10名)をボウル優勝(15チーム中9位)を達成したり、千葉ペガサスを太陽生命WSSに昇格させたりしました。あとは15人制でもTPA(TKM、フェニックス、アルカスの合同チーム)で日本一になった年だったかな。2年目は太陽生命WSSへのチャレンジで春は厳しい戦いでしたが、秋は海外選手と怪我から復帰した選手の活躍もあって、台風が迫ってきた保土ヶ谷大会で下馬評を覆す3位になり、無事にコアチーム残留を達成。3年目はさらに上を目指すチャレンジでしたが、選手の怪我、自分の力不足もあって、最後まで勝ち癖みたいなものを作れず、入替戦で3位となり降格。プロとして結果を残せなかった責任もあって、お世話になったフェニックス、ペガサスを離れることにしました。

2019年からは現場を離れて大会運営に関わりました

そして2019年からは仕事としてラグビーに関わることはなくなり、一ファンとしてスタンドから応援したりしていましたが「白馬さん、暇してるでしょ」みたいな感じで声をかけてもらい、女子の関東大会の運営に関わることになりました。まず大会参加チームの調整(合同チームの組合せなど)、事前のミーティング、試合2日前の選手登録の受付、当日のスケジュール作成などを重ねて、大会フォーマットを整えることに取り組みました。またこのブログを始めたのもこの年の関東大会の時期だったと思います。

これは仕事の都合で関東を離れる2021年の12月まででしたが、加えて2020年からはコロナ禍での実施に向けて、どう感染防止対策をするか、試合の撮影をどこまで許可するか、などなど大会運営側と会場運営、参加チームとのやり取りが増えて、取り組みは大変な面も少しありました。それでも協会の関係者含めた大会実行委員会でのやり取りを重ねて、大会を良いものにする試みは面白かったです。力不足で参加チームに迷惑をかけたところも多々あったと思いますが、それでも今の大会運営に繋がるフォーマットを作る一端を担えた自負はあります。最後はサプライズで楯を用意していただき、試合後の選手皆で送り出していただきました。

2022年からは大阪で、そして今は三重に来て8か月くらいになりますが、1ファンとしてスタンドから応援する立場になりました。鈴鹿での試合や、静岡エコパでの試合は気楽に行けますし、先日の熊谷大会のようにバスで長距離移動するのも楽しんだり、そこで見たことや感じたことをブログで書いています。この前熊谷であった知り合いの選手たちからは「白馬さんがラグビー以外の仕事をしているのが想像できません」と言われて、苦笑いでした。たまに選手から「ブログ読みました」と聞くと、恥ずかしいところもありますが、今後も思っていることを正直に伝えることを、もう少し続けていこうと思います。

30代の10年間を振り返ったところで、次回は40代に向けてのことをかければと思います。長文お読みいただきありがとうございました。

女子ラグビー中長期戦略計画を読んでみた

前回のブログから2週間経っていましたが、タイトルの通り先週日本協会から発表があり、2037年女子W杯の誘致目標を含めて、フォロワーの方々も反応していましたね。女子ラグビーのこれからの方向性を協会として発表するのは初めてなのかな。代表チームの強化、普及活動など期待が高まります。

サクラセブンズをスタッフでサポートしてきた香川さんが役職に就きましたね

2037年W杯の誘致に向けて、どんなアクションがあるのか

岩渕専務理事が優勝を目指すと表明、どんなアクションプランを考えて実行するか

トーチュウのWEB記事は、こちら。岩渕専務理事からは「37年W杯優勝はできない目標ではない」とのコメントがありました。過去にリオ五輪の金メダルを目指す発言もありましたが、実現への可能性はともかく高い目標を掲げてとことん取り組むという姿勢が今後は協会側から出てくると思います。代表の強化に繋がる海外遠征などのテストマッチ、コーチングスタッフの充実化など、代表の活動だけでも次のW杯に向けてどういうアクションになるのか、楽しみです。

公表された中長期戦略計画もダウンロードして読みました。女子ラグビーの普及、強化だけでなくリーダーシップの育成だったり、グローバルな人材輩出など、社会への貢献も含まれていました。またほかの国のラグビー協会の動きも載せていて、比較できるのがありがたいです。例えばアイルランドやスコットランドは5年のアクションプランや女子ラグビー戦略を策定しているようです。World Rugbyは日本にアジアでのアクションを期待しているのは前から聞いていましたが、少しずつそういった動きも女子ラグビーで出てくるかもしれません。ここ数年はアジアの試合はセブンズ以外ほとんどないですが、以前はアジアユース大会とかにも出てたり、女子のアジア選手権もありました。レフリーやコーチでも海外に出て活躍する方が増えていくと良いですね。

あとは現状把握ということで、様々な関係者にインタビューを行い、課題を抽出して載せています。これらの課題のなかには選手強化のこと、クラブと代表活動の両立できるスケジューリング、さらに収益源の確保など、本当に色々出てます。インタビューに協力してくれた選手、先生方などの女子ラグビー関係者に感謝です。すぐには変えられない、それでも様々なアクションを起こして、少しずつ成長していきましょう。

一応、女子ラグビー中長期戦略計画(表紙含めて27ページ)のリンクもこちらに載せておきます。アクションプランの中には「女子ラグビーの選手登録者数を年率6.5%で拡大させて2050年に1万人を達成」とあります。うん、少子化問題が話題になる中でこれはなかなかのターゲット、全国に広くプレー環境の充実と指導者の育成が求められますね。女子日本代表の強化については、また改めて書きたいと思いますが、春のテストマッチは行われるかと期待していましたが、いまだに発表されないですね...まあ仕方ない(苦笑)

白馬が女子ベスト15を選んでみた

一昨日の全国女子選手権で女子ラグビーの2022-2023シーズンは終了みたいな感じで、15人制については春の豪州遠征、夏の国内テストマッチシリーズ、秋のW杯、冬の関東・関西大会というように国内外での試合が過去最多だったと思います。さっそく今週末は北九州でセブンズの大会が、そして来月には太陽生命WSSのコアチーム入りをかけたリージョナルセブンズが行われます。女子ラグビー、オフらしい期間がないのは魅力と言って良いのかどうか(苦笑)
改めてプレーする選手、そしてチーム関係者の皆様、いつもありがとうございます。

太陽生命WSSではRUGBY JAPAN 365で大友信彦さんが大会ベスト7を発表していますが、そういえば15人制のベスト15って見たことなかった。なので関西大会、関東大会、全国女子選手権をそれぞれ現場で観戦したワタクシが選んでみました(先週辺りから仕事や移動の合間に考えて)。ベスト15以外でもそのポジションで気になった選手も挙げたので、もしこの選手も良いとか、活躍したとか、そういうのもあればどっかで教えて頂けると今後チェックしたいので嬉しいです。写真はラグビー女子日本代表応援サイトのギャラリーから拝借しました。

PR 1番南早紀(アルテミ)、3番加藤幸子(アルテミ)

まずはプロップ、あまり悩まず決まりました。サクラ15でも活躍した2人、まずは代表キャプテンという大役を担い、W杯後はアルテミスターズでも活躍し先日引退を発表した南選手。強固なスクラムとボールキャリー、低いタックルでまだまだ活躍できる力はあると思いますが、本当にやり切って終えるというアスリート人生も良いですね。勝負のイタリア戦、後半にペナルティーから迷わずクイックを仕掛けた場面は興奮しましたね。そして加藤選手。W杯に向けてリハビリから夏のテストマッチで復帰すると、激しいタックル、器用なプレーなど多くの活躍を見せました。アルテミスターズでもPRというきついポジションで最後まで試合に出続けていましたし、今後も代表で活躍してくれるのを期待します。

それ以外の選手では5日の決勝でトライを挙げた日体大の小牧選手、フェニックスの柏木選手は今後の活躍が楽しみだなと感じましたし、アルテミのラベマイまこと選手の強烈すぎるタックルも見たいですね。あとは高校生から佐賀工業の町田美陽選手ですね。西軍の3番として前半のみの出場ですが、何度もボールキャリーしている姿が印象的です(もしLOで出場していたら、そっちで選んでました)。進学先はわかりませんが、次のW杯、これからの代表に向けて育成していかないといけない選手の1人です。

早紀は本当にお疲れ様、サクラは南選手のような逸材をこれから育てていかないとです。

HO 小鍜治歩(東京山九)

プロップ長くなったな(苦笑) 続いてフッカー、悩んだポジションの1つです。どの試合でも大事なラインアウトでのスローイングという場面、プレッシャーでミスが目立ってしまう選手が多い中、小鍛治選手は5日の決勝戦では良いスローイングを見せていました(ミスもちょっとあったかな)。またスクラムでは日体大を再三押し込んでいました(背番号は3ですが、ポジションはHOでした)。今後はスローイングを磨きつつ、フィールドプレーでの目立った活躍も期待しています。サクラ15の選手でもスローイングに苦戦して難しい中、アルカスの公家選手も候補でしたが、なかなかプレーを見る機会がなくすみません。今後の代表ではこのポジションで安定したスローイング、フィールドでは良いハンドリングスキルと巧みなボールキャリーのスキルを持った選手が活躍してくれると思うので、頑張ってほしいポジションです。

LO 4番ジェイド・コーティス(東京山九)、5番佐藤優奈(東京山九)

続いてロック、少し悩みました。なぜかというと、なかなか決め手みたいなものがない(苦笑) その中でもまず佐藤選手は代表でもサイズの大きな海外の選手を相手にフィジカルバトルを惜しまず、ボールキャリーやブレイクダウンでファイト出来る選手で、愚直という言葉が似合うというのかな。そしてジェイド選手は全国選手権の2試合しか見れてはいないのですが、178㎝のサイズでよく走って、よくコンタクトして、骨太のロックらしい選手です。準決勝の2トライ目はジェイドがG前でオフロードを貰って飛び込みましたね。今後の代表ではセットプレーで活躍してくれるロックが求められますし、Strong Girlsプロジェクトもありますが、170後半くらい、それ以上の高さのある選手をどう育成して代表入りまで導けるかは強化の課題ですね。サクラ15のFWの顔、なんて言われるような選手が出てくるのを期待します。

FL 長田いろは(アルカス)、鈴木実沙紀(東京山九) No8齊藤聖奈(PEARLS)

画面の向こうにも試合中の指示の声が聞こえてくる鈴木選手、留学したNZでのW杯、もっと見たかった

続いてフランカー、そしてNo8。ここは多くは迷いませんでした。鈴木選手、齊藤選手は代表の顔といえる選手ですし、所属チームでの活躍もあって選びました。長田選手はW杯で外国人FWを相手に奮闘していました。確かタックル回数が代表の中で一番だったんじゃないかな。まず鈴木選手はフェニックスでも決勝戦のゲームキャプテンとしてフル出場し、活躍していました。誰が呼んだのか、ジャッカルクイーン。試合を見ていて相手のFWが倒されたとき、低い姿勢でジャッカル入っていたら、だいたい実沙紀(苦笑) 低いタックルもですが、プレー中の声掛けなど、自分のプレーに加えてチームの力を高めてくれる選手の1人です。

もう1人のFL、長田選手は以前はCTBでテストマッチに出場してたり、セブンズでも活躍していましたが、サイズアップしてフランカーに。豊富な運動量、接点でのファイト、最後まで体を張れる選手ですね。W杯後は少しお休みして、関東大会の途中で復帰しましたが、そこではプレーを見れず少し残念でした。今後の代表ではFLのポジションに求められることがもう少し増えるのではないかと予想します、具体的にはBKとのリンクだったり、ハンドリングスキルですね。長田選手はそれが出来ると思うので、今後の活躍に期待しています。

https://twitter.com/rugbyworldcupjp/status/1583973785182834690
長田選手はW杯で見せたしつこい絡みとタックルが印象に残りました

齊藤選手は前回のW杯ではフッカー、キャプテンとして戦っていました。その後も三重PEARLSを日本一に導きましたが、セブンズの大会で大怪我。そこから復帰すると、どの試合でも当たり前に体を張って戦い、G前に攻めこんだらラックサイドを飛び込んでトライを奪う場面がたくさんありました。女子のテストマッチ最多出場の記録も持つ齊藤選手は女子ラグビーの堀江翔太、ラスボスなんてどっかで言われていたような。関西大会の最終戦でも後半追いかける展開で出場すると、残り時間わずかの時にラックサイドを飛び込む逆転トライを奪っていました。攻守に貢献できる選手ですね。鈴木選手、齊藤選手は若手の多いサクラ15の中でもベテランに入りますが、多くの若い選手のあこがれ、目標になっていると思います。

齊藤選手はFLか迷いましたが、W杯で8番で出ていたのもありNo8で選出しました

SH 津久井萌(アルテミ)、SO 大塚朱紗(グレース)

前回W杯での大活躍から5年が経ち、大学ラグビーを経てキックなどプレーの幅を広げた萌

そしてスクラムハーフ、ここは迷いませんでした。常に安定したパス捌き、カバーに走って抜け出した相手を倒すタックル、DF裏へのキックなど様々な活躍を見せてくれる津久井選手。代表ではアルカスの阿部選手とポジション争いの結果、リザーブからの交代出場が多かったですが、出場したら何かゲームに動きを与える選手なのは間違いないですね。関東大会では抜け出した選手の内側に素早く顔を出してトライを奪うシーンもありました。阿部選手はW杯の終了後に大会ベスト15(ドリームチーム??)に選ばれていましたが、小さい体で素早く球を捌く姿が印象的だったのと、アメリカ戦ではG前のラインアウトからトライを奪いました。

そして全国女子選手権で活躍したフェニックスの野田選手も良かったです。グランドいっぱいに選手を拡げるワイドなアタックの舵取り役として、テンポよい(早すぎる?)球捌きは相手DFの脅威だったはず。決勝戦の視察に来ていたレスリー日本代表HCも注目したのではないでしょうか。相手の日体大の高橋沙羅も安定したパスで日体大のアタックをリードしました。今後の代表で求められるのはゲームを作る力に加え、より長いパスやキックが出来るスキルかなと、個人的には思っていて、SHのポジション争いは楽しみです。

サクラ15の司令塔として活躍した大塚選手、さらなるキックの向上にも期待

司令塔のポジション、10番スタンドオフは迷わなかったですね。飛距離、コントロールともに高いキックスキル、相手DFの隙を見つけて駆け抜けるランニングはW杯の舞台でも目立つ活躍の1つでした。W杯後の関東大会では若い選手の多いRKUグレースでもキックを上手く使って、私が観戦したTKMオーバルズとの試合でも、DF裏へのゴロパントなど、キックを使い分けて勝利に貢献していました。安定感のあるプレーで、今後はそれをさらに高めていって欲しいですね。英プレミアに挑戦中の山本実選手は、先週のリーグ戦から10番で出場。これからリーグは後半戦という状況らしいので、さらに成長して秋の代表戦ではまた大塚選手とポジション争いをするのかなと思います。今後はスタンドオフの選手でもしっかりタックルで倒したり、しっかりキックでエリアを稼いだり、パワー的な要素がさらに必要になるのかなと思います。上手い選手は多いので、体が強く、パスやキックを高いレベルで安定して発揮できるような選手が育ってほしいですね。

CTB 古田真菜選手(東京山九)、松田凜日(日体大)

豪州のSUPER W、ブランビーズでも活躍、常に高いレベルのプレーを見せた真菜

ようやくセンターまで来ました、意外に選ぶのに悩みました。古田選手が代表でも常に安定したグッドパフォーマンスを見せてくれる中、コンビを組むのはだれか(苦笑) 正直なところ、英サラセンズでチャレンジし、プレミア決勝の舞台に立った小林選手(アルテミ)を12番で選びたかったのですが、帰国後に怪我の手術をして残念ながらW杯を欠場したのもあり選外に。そんな中で決勝戦に13番で出場し、キックチャージから先制トライを奪った松田選手を選びました。日本代表でもWTBやFBで出場し、見せ場を作っていましたし、W杯前は凜日をどこのポジションで使うかは注目の1つでした。今後はセブンズ代表への復帰もあるのかもしれませんが、どのカテゴリーでも見ている人を驚かすような豪快な走りを期待してしまいますね。

今後の活躍が期待される松田選手は、規格外の選手に育ってほしいです

それ以外の選手でいえば、日体大のキャプテン人羅選手はほぼ大学生という若いチームのキャプテンとしてチームを引っ張り、お姉さんがたの多いクラブチームを相手に勝利して関東大会優勝、全国女子選手権で準優勝という結果に導きました。準決勝、決勝で見せたキックパスのアシストは素晴らしかったですね、かなり練習したんだと思います。卒業後の進路が気になりますね。若手でいえば、フェニックスの岡元選手、アルテミの笹田選手も良い走りを見せていました。センターは国際レベルで戦える選手、具体的には大きな選手を止められるDFとラインブレイクできるスキルを持った選手が出てきて欲しいです。

WTB 堤ほの花(日体大)、ニア・トリバー(東京山九)、FB 大黒田裕芽(東京山九)

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621083448743190529
堤選手のキャッチに入るコースとスピード、そのあとDFに触られない走りはあっぱれ

長くなったのでFBとWTBまとめます、ここはあまり悩みませんでした。まず堤選手は準決勝、人羅選手のキックパスを相手選手の目の前で走りこんでジャンプキャッチし、着地後にステップで相手を抜き去ったあのトライ、一連の動きの滑らかさが素晴らしかったです。東京五輪後はセブンズ代表から離れていて、今後はどうするのか気になりますが、またサクラのジャージを来て独走する姿を見たい選手です。そしてニア・トリバーはもう理由の説明はいらないくらいの爆発的なランニングとスピード。準決勝の三重PEARLSでは2トライを奪い、決勝戦では後半の最後に逆転勝利を掴んだ2度のランニングは相手チームの脅威でした。春の太陽生命WSSの頃と比べると、体がシャープになったような気がします。きっとフェニックスというチームでハードワークをしたのでしょう。今後はハンドオフとかステップワークを磨いたらさらに良くなるし、引き続き日本で活躍してほしいですね。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621837137602830336
大黒田選手はアタックが目立ちますが、この場面のように最後の砦としてもピンチを防ぐ活躍でした

最後にFB、代表でも活躍した日体大の松田選手が1番の候補でしたが、フェニックスの大黒田選手の活躍は選ぶにふさわしいものでしたね。最初に見たのは関東大会のアルテミスターズとの試合だったかな、ラインでボールを貰うたびにステップを切ったり、ランニングコースを変えたり色々な仕掛けを見せていました。きっと後ろから走り込み、相手DFと距離がある中で出来ることが多いのかなと。DFとしては止めにくい相手だったと思います。そして試合を重ねるに連れてアタック時の判断の精度が上がっていったのだと思います。もともとキックが得意なので決勝戦のような蹴りあいは楽しんでいたかもしれませんね。

それ以外の選手でいえば、日体大とながとでプレーする大内田姉妹は10番も出来ますが、パス、ステップに加えてキックスキルもある良い選手でした。準決勝では姉妹で蹴りあう場面もあったと思います。まだ体の線は細いですが、今後の活躍(医学生のお姉さんのキャリア含め)が楽しみです。今後の代表では10番もですが、キックでしっかり得点を重ねられる選手が求められます。そんな中でしっかりとしたキックが蹴れるFBが代表でも求められますし、あとはキックカウンターで鋭い走りでラインブレイクできる選手も見たいですね。決勝戦では大黒田選手に替わって入った高橋選手がDFの真ん中をするっと抜け出しましたが、ああいう場面を代表の試合でも見たいなと思います。

選んだ理由を説明すると、長くなりますね・・・誰かと飲みながらこんな話をたくさん語りたいな。個人的な主観だらけの文章、良し悪しあれ最後までお読みいただき、ありがとうございました。