白馬が女子ベスト15を選んでみた

一昨日の全国女子選手権で女子ラグビーの2022-2023シーズンは終了みたいな感じで、15人制については春の豪州遠征、夏の国内テストマッチシリーズ、秋のW杯、冬の関東・関西大会というように国内外での試合が過去最多だったと思います。さっそく今週末は北九州でセブンズの大会が、そして来月には太陽生命WSSのコアチーム入りをかけたリージョナルセブンズが行われます。女子ラグビー、オフらしい期間がないのは魅力と言って良いのかどうか(苦笑)
改めてプレーする選手、そしてチーム関係者の皆様、いつもありがとうございます。

太陽生命WSSではRUGBY JAPAN 365で大友信彦さんが大会ベスト7を発表していますが、そういえば15人制のベスト15って見たことなかった。なので関西大会、関東大会、全国女子選手権をそれぞれ現場で観戦したワタクシが選んでみました(先週辺りから仕事や移動の合間に考えて)。ベスト15以外でもそのポジションで気になった選手も挙げたので、もしこの選手も良いとか、活躍したとか、そういうのもあればどっかで教えて頂けると今後チェックしたいので嬉しいです。写真はラグビー女子日本代表応援サイトのギャラリーから拝借しました。

PR 1番南早紀(アルテミ)、3番加藤幸子(アルテミ)

まずはプロップ、あまり悩まず決まりました。サクラ15でも活躍した2人、まずは代表キャプテンという大役を担い、W杯後はアルテミスターズでも活躍し先日引退を発表した南選手。強固なスクラムとボールキャリー、低いタックルでまだまだ活躍できる力はあると思いますが、本当にやり切って終えるというアスリート人生も良いですね。勝負のイタリア戦、後半にペナルティーから迷わずクイックを仕掛けた場面は興奮しましたね。そして加藤選手。W杯に向けてリハビリから夏のテストマッチで復帰すると、激しいタックル、器用なプレーなど多くの活躍を見せました。アルテミスターズでもPRというきついポジションで最後まで試合に出続けていましたし、今後も代表で活躍してくれるのを期待します。

それ以外の選手では5日の決勝でトライを挙げた日体大の小牧選手、フェニックスの柏木選手は今後の活躍が楽しみだなと感じましたし、アルテミのラベマイまこと選手の強烈すぎるタックルも見たいですね。あとは高校生から佐賀工業の町田美陽選手ですね。西軍の3番として前半のみの出場ですが、何度もボールキャリーしている姿が印象的です(もしLOで出場していたら、そっちで選んでました)。進学先はわかりませんが、次のW杯、これからの代表に向けて育成していかないといけない選手の1人です。

早紀は本当にお疲れ様、サクラは南選手のような逸材をこれから育てていかないとです。

HO 小鍜治歩(東京山九)

プロップ長くなったな(苦笑) 続いてフッカー、悩んだポジションの1つです。どの試合でも大事なラインアウトでのスローイングという場面、プレッシャーでミスが目立ってしまう選手が多い中、小鍛治選手は5日の決勝戦では良いスローイングを見せていました(ミスもちょっとあったかな)。またスクラムでは日体大を再三押し込んでいました(背番号は3ですが、ポジションはHOでした)。今後はスローイングを磨きつつ、フィールドプレーでの目立った活躍も期待しています。サクラ15の選手でもスローイングに苦戦して難しい中、アルカスの公家選手も候補でしたが、なかなかプレーを見る機会がなくすみません。今後の代表ではこのポジションで安定したスローイング、フィールドでは良いハンドリングスキルと巧みなボールキャリーのスキルを持った選手が活躍してくれると思うので、頑張ってほしいポジションです。

LO 4番ジェイド・コーティス(東京山九)、5番佐藤優奈(東京山九)

続いてロック、少し悩みました。なぜかというと、なかなか決め手みたいなものがない(苦笑) その中でもまず佐藤選手は代表でもサイズの大きな海外の選手を相手にフィジカルバトルを惜しまず、ボールキャリーやブレイクダウンでファイト出来る選手で、愚直という言葉が似合うというのかな。そしてジェイド選手は全国選手権の2試合しか見れてはいないのですが、178㎝のサイズでよく走って、よくコンタクトして、骨太のロックらしい選手です。準決勝の2トライ目はジェイドがG前でオフロードを貰って飛び込みましたね。今後の代表ではセットプレーで活躍してくれるロックが求められますし、Strong Girlsプロジェクトもありますが、170後半くらい、それ以上の高さのある選手をどう育成して代表入りまで導けるかは強化の課題ですね。サクラ15のFWの顔、なんて言われるような選手が出てくるのを期待します。

FL 長田いろは(アルカス)、鈴木実沙紀(東京山九) No8齊藤聖奈(PEARLS)

画面の向こうにも試合中の指示の声が聞こえてくる鈴木選手、留学したNZでのW杯、もっと見たかった

続いてフランカー、そしてNo8。ここは多くは迷いませんでした。鈴木選手、齊藤選手は代表の顔といえる選手ですし、所属チームでの活躍もあって選びました。長田選手はW杯で外国人FWを相手に奮闘していました。確かタックル回数が代表の中で一番だったんじゃないかな。まず鈴木選手はフェニックスでも決勝戦のゲームキャプテンとしてフル出場し、活躍していました。誰が呼んだのか、ジャッカルクイーン。試合を見ていて相手のFWが倒されたとき、低い姿勢でジャッカル入っていたら、だいたい実沙紀(苦笑) 低いタックルもですが、プレー中の声掛けなど、自分のプレーに加えてチームの力を高めてくれる選手の1人です。

もう1人のFL、長田選手は以前はCTBでテストマッチに出場してたり、セブンズでも活躍していましたが、サイズアップしてフランカーに。豊富な運動量、接点でのファイト、最後まで体を張れる選手ですね。W杯後は少しお休みして、関東大会の途中で復帰しましたが、そこではプレーを見れず少し残念でした。今後の代表ではFLのポジションに求められることがもう少し増えるのではないかと予想します、具体的にはBKとのリンクだったり、ハンドリングスキルですね。長田選手はそれが出来ると思うので、今後の活躍に期待しています。

https://twitter.com/rugbyworldcupjp/status/1583973785182834690
長田選手はW杯で見せたしつこい絡みとタックルが印象に残りました

齊藤選手は前回のW杯ではフッカー、キャプテンとして戦っていました。その後も三重PEARLSを日本一に導きましたが、セブンズの大会で大怪我。そこから復帰すると、どの試合でも当たり前に体を張って戦い、G前に攻めこんだらラックサイドを飛び込んでトライを奪う場面がたくさんありました。女子のテストマッチ最多出場の記録も持つ齊藤選手は女子ラグビーの堀江翔太、ラスボスなんてどっかで言われていたような。関西大会の最終戦でも後半追いかける展開で出場すると、残り時間わずかの時にラックサイドを飛び込む逆転トライを奪っていました。攻守に貢献できる選手ですね。鈴木選手、齊藤選手は若手の多いサクラ15の中でもベテランに入りますが、多くの若い選手のあこがれ、目標になっていると思います。

齊藤選手はFLか迷いましたが、W杯で8番で出ていたのもありNo8で選出しました

SH 津久井萌(アルテミ)、SO 大塚朱紗(グレース)

前回W杯での大活躍から5年が経ち、大学ラグビーを経てキックなどプレーの幅を広げた萌

そしてスクラムハーフ、ここは迷いませんでした。常に安定したパス捌き、カバーに走って抜け出した相手を倒すタックル、DF裏へのキックなど様々な活躍を見せてくれる津久井選手。代表ではアルカスの阿部選手とポジション争いの結果、リザーブからの交代出場が多かったですが、出場したら何かゲームに動きを与える選手なのは間違いないですね。関東大会では抜け出した選手の内側に素早く顔を出してトライを奪うシーンもありました。阿部選手はW杯の終了後に大会ベスト15(ドリームチーム??)に選ばれていましたが、小さい体で素早く球を捌く姿が印象的だったのと、アメリカ戦ではG前のラインアウトからトライを奪いました。

そして全国女子選手権で活躍したフェニックスの野田選手も良かったです。グランドいっぱいに選手を拡げるワイドなアタックの舵取り役として、テンポよい(早すぎる?)球捌きは相手DFの脅威だったはず。決勝戦の視察に来ていたレスリー日本代表HCも注目したのではないでしょうか。相手の日体大の高橋沙羅も安定したパスで日体大のアタックをリードしました。今後の代表で求められるのはゲームを作る力に加え、より長いパスやキックが出来るスキルかなと、個人的には思っていて、SHのポジション争いは楽しみです。

サクラ15の司令塔として活躍した大塚選手、さらなるキックの向上にも期待

司令塔のポジション、10番スタンドオフは迷わなかったですね。飛距離、コントロールともに高いキックスキル、相手DFの隙を見つけて駆け抜けるランニングはW杯の舞台でも目立つ活躍の1つでした。W杯後の関東大会では若い選手の多いRKUグレースでもキックを上手く使って、私が観戦したTKMオーバルズとの試合でも、DF裏へのゴロパントなど、キックを使い分けて勝利に貢献していました。安定感のあるプレーで、今後はそれをさらに高めていって欲しいですね。英プレミアに挑戦中の山本実選手は、先週のリーグ戦から10番で出場。これからリーグは後半戦という状況らしいので、さらに成長して秋の代表戦ではまた大塚選手とポジション争いをするのかなと思います。今後はスタンドオフの選手でもしっかりタックルで倒したり、しっかりキックでエリアを稼いだり、パワー的な要素がさらに必要になるのかなと思います。上手い選手は多いので、体が強く、パスやキックを高いレベルで安定して発揮できるような選手が育ってほしいですね。

CTB 古田真菜選手(東京山九)、松田凜日(日体大)

豪州のSUPER W、ブランビーズでも活躍、常に高いレベルのプレーを見せた真菜

ようやくセンターまで来ました、意外に選ぶのに悩みました。古田選手が代表でも常に安定したグッドパフォーマンスを見せてくれる中、コンビを組むのはだれか(苦笑) 正直なところ、英サラセンズでチャレンジし、プレミア決勝の舞台に立った小林選手(アルテミ)を12番で選びたかったのですが、帰国後に怪我の手術をして残念ながらW杯を欠場したのもあり選外に。そんな中で決勝戦に13番で出場し、キックチャージから先制トライを奪った松田選手を選びました。日本代表でもWTBやFBで出場し、見せ場を作っていましたし、W杯前は凜日をどこのポジションで使うかは注目の1つでした。今後はセブンズ代表への復帰もあるのかもしれませんが、どのカテゴリーでも見ている人を驚かすような豪快な走りを期待してしまいますね。

今後の活躍が期待される松田選手は、規格外の選手に育ってほしいです

それ以外の選手でいえば、日体大のキャプテン人羅選手はほぼ大学生という若いチームのキャプテンとしてチームを引っ張り、お姉さんがたの多いクラブチームを相手に勝利して関東大会優勝、全国女子選手権で準優勝という結果に導きました。準決勝、決勝で見せたキックパスのアシストは素晴らしかったですね、かなり練習したんだと思います。卒業後の進路が気になりますね。若手でいえば、フェニックスの岡元選手、アルテミの笹田選手も良い走りを見せていました。センターは国際レベルで戦える選手、具体的には大きな選手を止められるDFとラインブレイクできるスキルを持った選手が出てきて欲しいです。

WTB 堤ほの花(日体大)、ニア・トリバー(東京山九)、FB 大黒田裕芽(東京山九)

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621083448743190529
堤選手のキャッチに入るコースとスピード、そのあとDFに触られない走りはあっぱれ

長くなったのでFBとWTBまとめます、ここはあまり悩みませんでした。まず堤選手は準決勝、人羅選手のキックパスを相手選手の目の前で走りこんでジャンプキャッチし、着地後にステップで相手を抜き去ったあのトライ、一連の動きの滑らかさが素晴らしかったです。東京五輪後はセブンズ代表から離れていて、今後はどうするのか気になりますが、またサクラのジャージを来て独走する姿を見たい選手です。そしてニア・トリバーはもう理由の説明はいらないくらいの爆発的なランニングとスピード。準決勝の三重PEARLSでは2トライを奪い、決勝戦では後半の最後に逆転勝利を掴んだ2度のランニングは相手チームの脅威でした。春の太陽生命WSSの頃と比べると、体がシャープになったような気がします。きっとフェニックスというチームでハードワークをしたのでしょう。今後はハンドオフとかステップワークを磨いたらさらに良くなるし、引き続き日本で活躍してほしいですね。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1621837137602830336
大黒田選手はアタックが目立ちますが、この場面のように最後の砦としてもピンチを防ぐ活躍でした

最後にFB、代表でも活躍した日体大の松田選手が1番の候補でしたが、フェニックスの大黒田選手の活躍は選ぶにふさわしいものでしたね。最初に見たのは関東大会のアルテミスターズとの試合だったかな、ラインでボールを貰うたびにステップを切ったり、ランニングコースを変えたり色々な仕掛けを見せていました。きっと後ろから走り込み、相手DFと距離がある中で出来ることが多いのかなと。DFとしては止めにくい相手だったと思います。そして試合を重ねるに連れてアタック時の判断の精度が上がっていったのだと思います。もともとキックが得意なので決勝戦のような蹴りあいは楽しんでいたかもしれませんね。

それ以外の選手でいえば、日体大とながとでプレーする大内田姉妹は10番も出来ますが、パス、ステップに加えてキックスキルもある良い選手でした。準決勝では姉妹で蹴りあう場面もあったと思います。まだ体の線は細いですが、今後の活躍(医学生のお姉さんのキャリア含め)が楽しみです。今後の代表では10番もですが、キックでしっかり得点を重ねられる選手が求められます。そんな中でしっかりとしたキックが蹴れるFBが代表でも求められますし、あとはキックカウンターで鋭い走りでラインブレイクできる選手も見たいですね。決勝戦では大黒田選手に替わって入った高橋選手がDFの真ん中をするっと抜け出しましたが、ああいう場面を代表の試合でも見たいなと思います。

選んだ理由を説明すると、長くなりますね・・・誰かと飲みながらこんな話をたくさん語りたいな。個人的な主観だらけの文章、良し悪しあれ最後までお読みいただき、ありがとうございました。