ラグビーマガジンを読んで面白かった話

先週から予想進路がどんどん変わる台風10号による大雨の影響で日本中が悩まされましたね。昨夜の雨が過ぎ去って今日は良い天気になりそうです。この台風の影響は仕事にもあって、先週は自宅で過ごす時間が増えて、久しぶりにラグビーマガジンをじっくり読みました。

パリ五輪の振り返りが面白い

先日発売したラグビーマガジンは付録で大学ラグビー写真名鑑があり、ボリューム増してますが中身も高校ラグビーは全国セブンズにコベルコカップ、大学ラグビーは夏の合宿の話題など盛りだくさんでした。そして女子ラグビーの話題もたくさんあったので、いくつか自分の感想も踏まえながら紹介していきます。

まずパリ五輪、見たのはほぼ日本代表の試合で海外の強豪国のメダル争いは男子の決勝しか見てなかったです。母国開催で連覇を狙うフィジーを破って金メダルを獲得したフランス、決勝戦は15人制でも活躍するSHのデュポン選手の大活躍が目立ちましたが、フランスではラグビーといえば15人制という空気があったとのこと。7人制の強化策としてはセブンズ代表でハイレベルの試合を経験し、選手も成長できるとメリットを話して能力の高いクラブのアカデミーの若手選手を代表にリリースしてもらうことに成功したとか。ただセブンズをステップに15人制での活躍を目指す、という流れは今後も続きそうです。一方で国内ではU16やU18などのユースレベルで今後はセブンズの大会を増やしていく計画だそうです。

日本は以前からセブンズユースアカデミー合宿を重ねてタレントのある有望な中高生を発掘し、鍛えてきました。ユニバーシアードなど学生レベルの世界大会では金メダルを獲得する成果もありましたが、海外の強豪国と戦うトップカテゴリーでは、ほかの国々の強化スピードに追いつけず苦しい状況。以前はアジアで勝つのは当たり前のような空気もありました。東京五輪の前もワールドセブンズシリーズのコアチームに入って、世界トップレベルの経験を増やすかというのが目標でしたが、パリ五輪を控えた去年はそのシリーズの下のカテゴリーでも勝てずにプレーオフにすら進めない現状。最下位で終わった後のエイモーHCのコメントにも「特に運動能力的に相手に及びませんでした」とありました。

エイモーHCのコメントの中にはポジティブに振り返って「素晴らしいアタックシーンを作ることはできた」というのもありました。キックをうまく使ってのトライは鮮やかだったかもしれませんが、それ以外でアタックからトライまで繋げるパターンがない印象でした。リスクを背負って前に出るDFを試みて失点が多かった戦いは、何となくリオ五輪での女子と重なる印象です。「自分たちの戦いが出来れば勝てる」と自信を持っても、結局はその舞台まで辿りつけない。力の差を感じる、悔しい思いしかない。

男子と比べて女子は目標とするメダル争いはできなかったもののリオの10位を上回る過去最高の9位という成績で終えました。その内容については以前のブログでも書いていますが、振り返っての平野主将や内海選手のコメントが面白かったですね。「(五輪を意識しすぎずに)通常通りのマインドでやろうと言ってきましたが、オリンピックではほかがいつもと違う」、こういう感じ方が出来るのも、初日の苦しい2敗から立て直して、自分たちの戦いが出来てこそだなと。東京五輪後に就任した鈴木HCがパリ五輪までの3年で、ワールドセブンズシリーズのコアチームに昇格、そこからセブンズW杯、シリーズ大会でも過去最高の成績を残すまで強化を着実に進めてきました。後任にはリオ五輪を経験し、ここ数年はユースアカデミーを中心に担当してきた兼松さんに決まりましたが、今後はどう強化を継続していくか、ですね。

パリ五輪を前にフランスで開催された学生セブンズ大会で見事優勝した日本、ここから代表入りする選手に期待

パリ五輪については先日、日本協会からもオンライン会見で振り返りがありました。東京中日スポーツでも記事があったので、紹介します ⇒ 「パリ五輪ラグビー7人制 女子9位、男子最下位に岩渕健輔専務理事、女子「前向き」男子「厳しかった」と総括
男女ともに新体制はさっそく今週末のアジアセブンズシリーズ韓国大会から始まるので、まずは見守りたいです。

サクラ15の国内テストマッチの振り返りが面白い

深掘りでのハイライト、個々の選手の活躍がわかって面白い

そして8月のサクラ15のテストマッチ2試合の記事も読みごたえがありました。大友信彦さんが書いていますが、強豪のアメリカを相手に2試合合計で25-28というトータルスコア。本当によく戦った、そして勝てなかった、勝つべき試合だった。8-11に終わった2試合目については私も現地観戦しましたし、以前のブログでも触れています。

サクラ15については、毎年のようにチームが成長しているのを感じますし、それは選手(特にFW)のサイズアップからも感じます。海外遠征などテストマッチの機会が増えて、強豪国とも戦えるステージまで来たと感じます。春から合宿を重ねてきたFW陣がセットプレーでも奮闘し、ラインアウトからのモールにもトライという結果は示せなかったものの、拘りを感じました。この2試合で特にDFに成長を感じる一方で、感じたのは得点力不足。去年のWXVでも見せたワイドに展開して外のスペースを攻略するアタックが見えなかったです(これは温度湿度が高い日本の夏でボールがスリッピーな状況もありますが)。

ラグビーマガジンではSHの津久井萌、CTBの弘津悠もピックアッププレーヤーで紹介されていました。津久井選手は以前にサクラ15でもBKコーチを務めていた藤戸さんに個人レッスンをお願いした話がありました。弘津選手は以前はセブンズを主戦にしていましたが、そこから15人制に移った経緯を話していました。女子は以前に比べればテストマッチの増加含めて話題に出る回数が増えてきたし、今はYoutubeで地方のマスコミがニュースとして扱った映像が見れたりもしますが、個人にフォーカスした記事を見かけることはまだ少ないので、この2人の話は面白かったです。個人的にはともに200年3月生まれで日本代表で10代から活躍している平野優芽、津久井萌の対談とか見てみたいですね。

サクラ15ではないですが、パリ五輪を終えた原選手の地元里帰り動画

そのほか、コベルコカップの記事もあり今年から男子と同様、全国9ブロックを3つのプールに分けて行う予選、そして順位リーグで順位を決める形になりました(昨年までは強化、育成の2リーグ)。女子は出場した選手の顔写真付きプロフィール紹介が今年もありました。出場する選手にとってはきっと思い出になりますね。今後もより多くの選手が高校卒業後もプレーを継続してほしいと願っていますが、そのためには国体を含めた各地域の強化策はもちろん、セブンズユースアカデミーに加えて、15人制に向けたユース選手の合宿だったり、環境をもう少し整えていかなければと思います。

今はコベルコカップの後に、菅平女子セブンズ大会が行われていて、中学生のカテゴリーも開催されるために、多くの女子ラグビー選手が集まる機会になっています。全国のタレントある選手を発掘する機会にもなると思いますし、今後のサクラ7s、サクラ15の強化を継続するためにはユース選手からの発掘、育成が求められると思うので、頑張ってほしいです。個人的には、今の女子代表はセブンズ含め1999年、2000年生まれの黄金世代が20代前後で代表に選ばれて、経験を重ねて成熟し、この数年がピークになるのかなと。その辺りはまた別の機会にかければなと。

女子代表選手が地元の子供たちと一緒に入場、こういう機会が将来につながるかもしれませんね

本当は週末に始まるアジアセブンズシリーズや遠征メンバーが発表されたサクラ15にも触れたかったのですが、長文になったのでまた大会が始まる前に更新出来ればと思います。