サクラ15とWallaroosとBlackFerns

8月は週末は連続で菅平に上がっていましたが、今週末は実家に帰ってクラブチームの練習に参加したり、自宅で久しぶりにゆっくり過ごしていました。男子もW杯前に各地でテストマッチが行われていますが、女子もNZと豪州がテストマッチを行っていました。結果は2戦ともNZが快勝、力の差を見せ付けました。

世界ランク1位のBlackFernsが実力をしっかり見せ付けた2試合

オーストラリア協会のYoutubeから土曜にNZのイーデンパークで行われたテストマッチ、男子の前座で行われた試合は、BlackFernsが37-8でWallaroosに快勝しました。

第1戦は前の週に豪州のパースで行われて、NZ女子代表BlackFernsが47-10で大勝しました。いちおうYoutubeのハイライトはこちら。6月に米国で強豪国とテストマッチを重ねていたBlackFernsは、この試合でもG前のチャンスで簡単にトライを取っている様に見えました。2試合のハイライトを見てもトライ場面は、モールで押し込んだり、G前のペナルティーからクイックで外に展開して飛び込んだり、キックパスから繋いだり、豪州代表Wallaroosを相手にも高いスキルを発揮する強さがありました。

個人的には15番のWiniata選手は2年前に東京フェニックスでプレーした時にお世話したのと、10番のDemant選手の妹もまた東京フェニックスでプレーしていたので、BlackFernsを応援しています。男子と同様にタレント揃いのNZ、男子は世界ランクでウェールズに抜かれるみたいですが、女子はしばらく世界ランク1位をキープしそうです。

対してWallaroosは第2戦は1トライのみでしたが、前半に自陣22m前の左スクラムから用意したサインプレーで細かく繋ぎ、外の14番が内から追ってきたWiniata選手をハンドオフで弾き飛ばし、追いすがるDFを振りきって50m独走のトライを見せました。Wallaroosは現在世界ランク7位ですが1位のNZとの実力差はかなりありそうです。現在の世界ランクのリンクはこちら、ちなみに日本は16位です。

他の国の世界ランクと、日本は上位との実力差をどう埋めていくべきか

まず女子の世界ランキングについて、過去10年か何年かの大会の成績も反映されているようですが、男子ほどテストマッチが頻繁に行われていない以上、実際の実力はあまり反映されていないと思って良いでしょう。11位以下を順番に並べると、南アフリカ(W杯のアフリカ予選を突破て出場を決めたとか)、スコットランド(2年前のW杯不出場)、13位サモア(同じくW杯不出場、前々回の2014年は最終戦でカザフスタンに勝って11位)、14位オランダ、15位ポルトガル。そして17位にカザフスタン、18位ロシアとなって、アジアのライバル香港は21位になっています。

2017年のW杯では11位に終わった日本も実際はもう少し上だと思いますし、スコットランドや10位のアイルランドには勝てる可能性はありそうです。ただヨーロッパ勢は毎年、 6カ国対抗戦でテストマッチを重ねていますから、どう戦うかを明確にして準備しないと勝つのは難しいでしょうね。個人的には2021年のW杯までに世界ランクをあと3つか4つ上まで上げて欲しいとは願っています。

日本女子サクラ15と豪州女子Wallaroosのスコアを見ると
第1戦 Sakura15 ●5-34 Wallaroos(6T)
第2戦 Sakura15 ●3-46 Wallaroos(7T)


次にWallaroosとNZ女子BlackFernsのスコアを比較すると
第1戦 BlackFerns(8T) ○47-8 Wallaroos
第2戦 BlackFerns(5T) ○37-10 Wallaroos

そして先日、日本協会のHPでオーストラリア遠征を終えたレズリーHCからの総括コメントと、初代表でキャップを獲得した選手たちのコメントが掲載されました。個人的には「とても満足している」とか「現在の立ち位置を現実的に考える」という言葉を見て、随分とポジティブに捉えているんだなと感じました。個人的にはポジティブに捉えるよりもW杯までの残りおよそ2年という期間への不安や危機感のほうが強いです。先日の遠征に向けて、どういう準備をしてきたのかはわかりませんが、次のW杯までにこのレベルの相手と再び試合をする機会が作れるかと思うとかなり難しいと思います。その中で感じた実力差をどう捉え、代表選手、そして代表入りを狙う選手がここからどれだけ必死に差を埋めていくか注目ですね。

その中でNZに留学してチャレンジしている選手が少しずつ増えているのも事実です。数年前から高校生が夏休みに数週間の短期留学をしたり、故人で半年の留学しているのを聞くこともありました。例えば2年前のW杯でも活躍したアルテミスターズの津久井選手も3年前にNZ留学して実力を磨いていました(留学中のためコベルコカップには出場できず)。同じアルテミスターズの高野選手も今年3月からNZ留学していますね。サッカーの男女の日本代表のように、海外の高いレベルの中で過ごし、経験を積んだ選手が増えることは代表の強化にも繋がると思います。

またレズリーHCが先日のコベルコカップのときに菅平入りして、大会出場選手に1時間ほどのセッションを行っていました。こういう機会は高校生にとっても代表を身近に感じられて良いと思います。代表チームがどういう練習をしているか、どういうスキルを持った選手が求められているのか、どんどん発信して欲しいですね。代表チームの戦術、戦略などは試合を見ていないのでわかりませんが、いずれにせよ選手個々のフィジカルやスキルの差を埋めないことには上位国相手には勝てません。日本の女子ラグビー全体で上手く強化のシステムを作れればと思います。

秋にはまた強化合宿や海外遠征が予定されているかも知れませんし、引き続きサクラ7s含め、代表の動きについても発信していければと思います!