この3連休、高校ラグビーは各地で地域大会が行われていました。関東は水戸で新人大会が行われ、4強に進んだのは王者桐蔭学園、東京1位の本郷、昨年花園ベスト4の流通経済大柏、そして茗溪学園、慶應義塾との接戦をものにした早稲田実業。この4校は春の全国選抜大会の出場も決めました。
茗溪学園と早稲田実業の試合がYoutubeにあったのでチェックしました⇒前半(5-7) 後半(14-17)
開始から攻め込むも得点できず、徐々にミスが目立った茗溪学園
前日から雪の予報が出ていた水戸、当日は気温も低く、厳しいコンディションでした。茗溪のキックオフから始まった前半、開始から素早い攻防が続きキックもタッチに蹴らずに3分もプレーが途切れませんでした。序盤は茗溪が敵陣で攻め込む場面が多く、早実は粘り強く守ります。茗溪はSH大越がテンポよく球を動かし、継続してアタック、前進するもハンドリングエラーからチャンスを失ってしまいます。
茗溪のアタックを防いだ早実はキックから茗溪陣に攻め込むと、前半19分に中央ラックから外に展開、WTBがタックルされる直前に内に球を蹴ると15番が拾って抜け出して先制のトライ。茗溪の反撃は27分、敵陣ラインアウトからSH大越が抜け出しG前まで進み、中央ラックから大外に展開して11番が左隅にトライし、5-7で前半を終えました。
キックを上手く使い、少ないチャンスを得点に結びつけた早稲田実業
前半は攻めた茗溪、守った早実という展開。どちらが先にトライを奪うかが勝負の分かれ目になりますが、後半開始から早実が攻め込み、前半と違って茗溪陣でプレーする時間が増えます。すると7分に中央ラックから大外の14番に飛ばしパスして右隅に飛び込むと、続く9分に中央のラックで相手ボールを奪い、DFの裏に転がしたボールを拾って繋いでインゴールまで走りきりました。茗溪も逆転を目指して自陣から攻めますが、塗れたボールにハンドリングエラーが出ると、そこから展開され早実8番が抜け出してトライ、後半16分で19点差をつけました。
茗溪は後半25分、31分に攻め込んで2トライを返すも届かず。後半は早実が敵陣でプレーする場面も多く、得点力の高い茗溪を堅守で抑えました。茗溪学園は全員が素早く動き、左右にテンポの良いアタックが目立ちましたが、冷えこんだ厳しいコンディションの中で時間が経つにつれてミスが増えてしまいました。早稲田実業はDFが多い時間帯にも素早いセット、プレッシャーから茗溪のラインブレイクを許さず、アタックでは自分たちの意図したプレーでトライを重ね、自分たちの展開に持ち込みました。
厳しいコンディションの中で力を出し切った早稲田実業、アタックでのミスから自分たちの展開に持ち込めなかった茗溪学園
試合の勝敗を決める上で、自分たちのスタイルをどちらがより出せるか、というのが大きな要因になります。茨城県で決勝でも100点ゲームと圧勝して勝ちあがった茗溪、東京都で接戦をものにしながら東京2位で出場した早実。組合せを見て早実がチャレンジャーとして茗溪に挑むような構図を想像していました。茗溪としては序盤に攻め込んだ時に先制して、そのまま突き放す展開を考えていて、守り勝つようなスタイルではない。早実は茗溪のアタックを止めて接戦に持ち込むような展開を予想していたのかもしれません。スピードは茗溪優位でしたが、捕まえると接点では早実がプレッシャーをかけて、茗溪を押し戻す場面も多かったです。
茗溪は昨年の花園でもプレーしたPR亀山、LO目崎など主力がメンバー外でした。その中で追いかける後半にまさかの3連続トライを奪われ、新チームとしての未熟さも出てきて焦りが出たと感じました。テンポよくボールを左右に動かすアタックは勢いに乗ると脅威ですが、この試合では逆にテンポが良すぎるようにも見えました。SH大越の球を捌くテンポが一定で、早実のDFは守りやすかったように感じました。BKが裏に抜け出してチャンスを作りたかったのですが、ハンドリングエラーが目立ちましたし、BKが得点を奪えないと厳しいですね。
1回戦で負けてしまったために、茗溪は春の全国選抜出場を逃しました。課題は色々あると思いますが、全国を勝ち上がる上でもっと個人の力で突破できる選手が増えること、その上でアタックのオプションを増やすことが必要かと思います。まだシーズン序盤、残念な結果になりましたが上手くいかない試合を振り返り、どう次の勝利に繋げていくかが大事です。この負けを次の爆発的な成長に繋げて結果で応えてくれるのを期待しています!