女子ビアリッツ7sを見て世界の強豪国との差を考える

BlackFernsに決勝で快勝した米国の強さはフィジカルとひたむきさ

ビアリッツ7s2日目のハイライト、決勝はトライシーンばかりとはいえ、米国女子の強さが目立った

日本がコアチームとして大会に参加していない中で、今年の女子のワールドセブンズシリーズの驚きはやはり米国だと感じています。出場した全てのシリーズ大会で準決勝以上に進出の安定感、来年のオリンピックでも十分金メダルを狙えるチームに成長してきています。今年のシリーズはNZ女子代表BlackFernsが主力数名を欠いた北九州大会を除いて 全ての大会で優勝してきました。今回の決勝戦、フルでチェックしたところNZの調子は決して良くはなかった。もしかしたら見えない怪我、コンディション不良はあったかもしれません。

それでも試合を見る限り、米国が圧倒していました。第一にフィジカル、接点での強さ。米国の選手がNZの選手のタックルを受けても簡単に倒れない。アタックでターンオーバーされた場面はほぼ無く、タックラーを引きずったり、弾き飛ばす場面も何度かありました。5番のケルター選手の素早いステップからの突破は見ごたえありました。

第二にひたむきさ、DFでの起き上がりが早い。NZはワイドにボールを動かして1対1を作り、個人技で突破するのがアタックの形です。それに対して米国はタックラーがすぐに起き上がり、NZがラックから球を捌くときは7人が立っている状態。そしてDFでも内からフォローに走り、NZのアタックから見れば1対1の状況が作れず、チャンスが作れませんでした。

きっと米国の女子って大雑把なイメージがあると思うんですが、決勝を見る限り個々の大胆なアタックと連携の取れたDF、そして安定したセットプレーなど、しっかりしたチームだという印象です。きっと良いコーチングを受けているんだなと。どの強豪相手にも自分たちのスタイルをぶつけて戦える力があります。

リオ五輪からの3年でフィジカルレベルが更に高まった女子セブンズ

3年前のリオ五輪で金メダルを獲得したのは決勝でNZを破ったオーストラリアでした。もちろんフィジカルもスピードもありましたが、他の国と比べるとアタックの戦術がしっかりしていて、DFをいかに崩すのかパターンが決められている印象でした。今回の米国も、もしかしたらそういった戦術もあるのかもしれません。

日本代表サクラセブンズは世界との差を埋めるべく、努力を重ねてきたと思います。この3年間でユース年代の若い選手がたくさん代表に選ばれて、強化を進めてきました。しかしビアリッツ7sの試合を見ていると、スピード含めフィジカルの部分では世界の強豪国との差を拡げられたのではないか。これについては、各チームの選手の平均年齢なども確認してみないとわかりません。若い選手は高いスキルがあっても、フィジカルの部分、体作りは時間をかけないと強くならないので。

もちろんフィジカルを強化すれば勝てるのか、というとそんな簡単ではありません。ただ絶対に上回らなくても相手と戦える、我慢できるだけのフィジカルは必要だと男子のフル代表、高校や大学などのカテゴリーの試合を見ていても思うわけで、やはりラグビーはコンタクトが鍵なのだと。米国の女子の戦いを見て、改めて思わされました。

そんな状況の中で来年に迫った東京五輪に向けて、サクラセブンズはどう戦うのか。この辺りは2011年のW杯で優勝、2015年は準優勝したサッカー女子日本代表なでしこJAPANだったり、五輪で多くのメダルを獲得したレスリング女子日本代表などの戦い方、トレーニングから学ぶ点はあるのではないでしょうか。個々が連携、連動する力、細かいスキルなどはどの球技でも日本の長所になりえるし、素早い動きは相手の脅威になるでしょう。広いフィールドの中でいかに継続して、数的優位を作り、チャンスを作って一気に突破するか。

女子セブンズ日本代表は、来月上旬にナポリで行われるユニバーシアード大会に参加します。大会まで2週間少しかな、どういった戦いを見せてくれるのか。個人的には良い準備をしてメダル獲得が当然位に思っています!

女子はカナダ、フランス、イタリアと強豪ばかりの予選プール、何とか2勝してメダル圏内へ。

世界の強豪国は残り1年で更に進化を遂げるかもしれません。リオ五輪の10位からメダル獲得に向けて、挑む壁は高く、険しい道のりですが、応援していきましょう!