まず前回の更新から2週間が経ち、新型コロナの感染もピークを過ぎてだいぶ落ち着いてきました。1日も早く2月の頃のように、各地で試合が行われる日が戻ってくるのを願っています。
最近はWorldRugbyのYoutubeに過去のW杯の面白い試合などがフルタイムでアップされてきていますね。先月も紹介しましたが、2010年の女子W杯はまだ女子ラグビーに携わる前の頃なので、こういう機会に見ることが出来、大変貴重です。先週には昨年のドバイ大会のブラジルとの試合がアップされたので見てみました。
23:40辺りでメンバーが見れますが、日本の先発7名を見ると2番香川は高校3年生、5番永田と9番弘津は大学1年生と若いメンバーを入れていました(社会人は11番伊藤のみ)。
日本はKOレシーブからテンポ良くアタックで前に出て開始50秒で敵陣22mに入りますが、チャンスのラックでSH役の永田が持ち出したところでDFに捕まり腕を上手くかけられてボールを奪われると、それをきっかけに外の1対1を抜かれてそのまま95mを走られてしまいました。ボールを失った場面を見ると、前に出ていますがその他の選手のポジショニングが遅れていますね。そこにいたるまで5回のラック、2回のオフロードパスを使って良いアタックだっただけに、試合の流れを逃してしまうもったいないプレーでした。ワールドシリーズの試合を見ると、相手の独走に追いついて止める場面はほとんどありません。それだけトップスピードの差があるのは否めないのかなと思います。
日本のトライはその直後、KOレシーブから再びオフロードを交えて3回目のラックで敵陣22mに入り、そこからオフロードを上手く繋いで最後は6番長田がトライし1分で同点に追いつきます。前半の開始2回のアタックで目立ったのは3番のバディヴァカロロ(ライチェル)ですね。外で前に進めて、捕まってもオフロードを上手く繋いで、チャンスを拡げてくれました。その後のプレーでもジャッカルを決めてボールを奪っていますね。
その後もアタックで上手く繋ぎますが、ラックでのコンテストではプレッシャーを受けて、テンポよくアタックさせてもらえず。日本らしいアタックを強豪相手にどれだけ出来るか、という点では接点の攻防は強化すべきスキル、ポイントになりますね。前半ラストプレーでも攻め込んで、インゴールに飛び込むもその直前のパスがスローフォワードになりノートライ。しかし前半だけで3回も敵陣22mに入るなど日本の良いアタックが見られました。
同点で迎えた後半はDFからでしたが、しっかり横の選手と連携してブラジルにプレッシャーをかけて敵陣でノットリリースザボールを奪うと、そこから仕掛けて4番大竹が右中間にトライ。そしてこの後のコンバージョンを惜しくも失敗したことが最後に響きました。その後はDFでペナルティーを奪うと、タッチキックでエリアを取り、優位に進めていくなど残り2分を切る辺りまでは、試合展開は明らかに日本の勝ちゲームでした。
しかし残り1分を切って、前半同様ラックの球出しが乱れて自陣で相手ボールのスクラム。そこをきっかけに前半にも独走トライを決めたエースの11番に外の1対1でタッチライン際を走られて左中間にトライ。そして簡単ではない位置からのキックを決められて悔しい逆転負けとなってしまいました。
試合を通じて感じたのは、勝負どころでプレーの質が高く保てなかったことです。ラックで積極的にファイトをされたことが、後半の終盤のプレーに影響したのかもしれません。後半開始に5点差にしてリードを奪ってから、アタックの機会を得ても前半のように継続することが出来ませんでした。自陣でペナルティーを奪ってもクイックで仕掛ける選択肢を取らず、ラインアウトにして時間を使いました。DFではトライを奪われた場面をのぞいてタックルエラーはほとんどなく、むしろ良い連携でした。目指していた日本のスタイルをしっかり出せていただけに、チャンスにしっかりトライを奪う精度が足りなかったですね。やはり2トライで勝つのは難しい(日本協会HPの大会後のHCとキャプテンのコメントはこちら)。
予選で戦ったNZとの試合は明らかな実力差、どう差を埋めるか
予選のNZとの試合がYoutubeにもあったので見ましたが、こちらはブラジル戦の出来と比べると、真逆のような試合でNZが自分たちのスタイルを存分に見せ付けていました。BlackFernsは個々の強さと速さ、チームのリアクションスピードと連携、オフロードのスキルなど、お手本のような戦いを見せてくれました。日本が仕掛けるのではなく、終始プレッシャーを受けてしまった戦いで、これでは勝てないですね。強豪相手に強みをどこに作るか、もしくは相手の強みをいかにして消すか。対策が求められますね。このNZの戦い方から学ぶことは多いと感じました。
なお補足するとおよそ2ヵ月後のオーストラリア大会では同じNZ相手に0-28という試合でした。トライ数0-4ではまだまだ勝利するのは難しいですが、戦い方次第で自分たちのスタイルを発揮できるとは思います!思っていた以上に文が長くなってしまったので、今回はこの辺で。最近は15人制の試合を見てばかりだったので、改めてセブンズの試合も見直そうと思います。