高校、大学それぞれの決勝戦を見て

この3連休、年末から始まった様々なスポーツの全国大会が決勝戦を迎えました。高校ラグビーは9日、そして大学ラグビーは11日に決勝戦が行われて、桐蔭学園が連覇、天理大学が初優勝を飾りました。

桐蔭学園は京都成章を相手に後半開始に突き放して32-15で勝利

https://www.youtube.com/watch?v=hZU0r38TTkI

京都成章は初めての決勝進出、粘り強いDFを武器に勝ちあがってきました(伝統のピラニアタックルというのは今年初めて聞きました)。一方、桐蔭学園は1回戦の茗溪学園戦から攻守にわたって強さを見せ付けて、後半に相手を圧倒して突き放し、どの試合もスコアは似たような展開で決勝戦まで余裕を感じる勝ちあがりでした。決勝戦は開始1分に京都成章がPGで先制、その後は桐蔭学園も自陣から攻めますが、これまでの試合で見られなかったミスが目立ち(開始10分でハンドリングエラーが4つだったかな)、序盤は拮抗した展開になりました。

京都成章も継続して攻め込みますが、桐蔭学園の連携の取れたDFにラインブレイクして追加点のチャンスを作れず。一方で桐蔭学園はタックル後にチャンスがあれば一気に圧力をかけてターンオーバーし、アタックでは左右にボールを動かして継続しながら、個人の1対1を突破して自陣からラインブレイクするなど、アタックでも優位に立ちます。G前まで攻め込むとスクラムからNo.8佐藤選手がアタックし、ラックからLO青木選手が持ち出して飛び込み逆転のトライ。この青木選手のトライは、密集脇のDFを良く見て内にステップを切って持ち込んだので思わず「上手い!」と声が出ました。桐蔭学園はこの後も攻め込んでPGを決めて10-3としますが、京都成章は後半のラストプレーでSH宮尾選手がラックから上手く仕掛けてラインブレイクするとそこから攻め込んでトライを奪い同点に追いつきました。

後半開始10分で15点を奪い勝負を決めた桐蔭学園の強さ

ハーフタイムのときに後半の開始に京都成章が先に得点を奪えたら競った展開に、桐蔭学園があっさりとトライを奪えたら突き放すだろうなと予想しましたが、まさにそのような展開となりました。桐蔭学園がアタックで敵陣22mに攻め込み、京都成章がボールを奪い返すもその後のアタックでパスミスでこぼれたボールを桐蔭学園の選手が拾って後半2分にトライ。その後のキックオフレシーブから、7点差の状況でまずはキックで進めるかと予想しました。しかし、桐蔭は自陣22mからアタックを継続すると、京都成章は止めきれずに攻め込まれて、最後はG前のラックからボールを受けたLO青木選手がオフロードで繋いで5分に追加のトライ。その次のキックオフからも攻め込んでPGを決めるとあっという間に15点差に。

そして後半18分にも追加のトライを奪い、京都成章の反撃を後半30分のトライのみに抑えて32-15で快勝しました。桐蔭学園のアタックは素晴らしかったですが、見ていて感じたのはDFの激しさと強さ。しっかり身体を当てるし、FWも良く走るのし、ラックでのブレイクダウンでは圧力をかけ、京都成章はアタックをしていてもチャンスを作れず、苦しい展開だったのではないでしょうか。また粘り強いDFも桐蔭学園の個々の選手の突破を許す場面が目立ち、まさに結晶でも横綱の強さを感じる桐蔭学園でした。

J Sportsのコラムで今年の花園を振り返っていたので紹介します ⇒ こちら。
また日本協会のHPで大会の優秀選手30名が発表されました ⇒ こちら。
今年は高校日本代表は結成されず…仕方ない状況ですが、本当に残念です。ただ高校生のレベルアップを感じる大会でした。W杯の日本代表の躍進の影響もありますね。

大学の決勝は天理大学が連覇を狙った早稲田大学を圧倒しました

https://www.youtube.com/watch?v=hjBytsMAb2Q

高校の決勝の振り返りが長くなってしまったので、大学の決勝は短めに。試合前は後半途中までは競った展開になるかと予想していましたが、前半を終えた時点で29-7と天理がリード。試合開始から接点の激しさは高校生とは比べられない強度でしたが、天理の選手が勝つ場面が多かったですね。早稲田の選手は接点でボールを奪われたり、ゲインを許す場面がありました。その中で試合の流れを作るHB陣のプレーに差がありました。天理は共に4年生のSH藤原、SO松永がアタックをリードしてBK陣がトライを重ねましたが、早稲田は2年生のSH小西が敵陣に攻め込んだチャンスにパスミスをしたり、SO吉村がキックオフで蹴ったボールが外に出たりしてまうなど、ミスが目立ちました。天理は後半開始5分にも早稲田ボールのG前スクラムを押し込んでインゴールにこぼれた球を素早く押さえて追加のトライを奪い、結局8本のトライを奪い圧倒。決勝戦での55点はこれまでの大会史上、最多得点だそうです。

早稲田も後半26分に自陣でのアタックから3番小林選手が上手くアングルを変えてラインブレイクすると、ステップで天理SH藤原選手をかわし、さらに相手BKをパスダミーで抜いて味方のトライを演出するなど、良いアタックを見せた場面もありました。しかし天理はラグビーの醍醐味でもあるコンタクトプレー、接点の部分で早稲田を上回り、注目の13番フィフィタ選手が期待通りにアタックでチャンスメイクして得点を重ねました。まさに漆黒のジャージはオールブラックスのような戦いで見事、初優勝しました。

高校も大学も例年以上に見応えのある戦いでした。新型コロナの影響で春から苦しいシーズン当初でしたが、これだけ素晴らしいラグビーを見せてくれるのは驚きでした。まさに感染防止に努めた大会運営側、苦しいシーズンでも見事な成長を見せたチームの選手、スタッフに感謝しかありません。今週末から始まるトップリーグでも、素晴らしいラグビーを見せて、日本のスポーツ界を盛り上げたいですね。