遅くなりましたが関東大会最終節を振り返って

2日に関東大会を終えてから、次は21日の全国選手権、そして来月のW杯アジア予選だ、と思っていましたが10日にアジア予選が再び延期との報告がありました。日本協会HPの記事はこちら。もともとは昨年3月に行われる予定でしたが、新型コロナの影響でついに1年以上も延期になっています、9月にNZで行われる本大会の半年前になっても参加12か国は決まらないようですね。国際大会の開催は未だ厳しい状況です。

国内は延期になったTLの開幕が近づいていますが、その影響で2日の関東女子大会の取材はこれまでで一番多かったです。本当にありがたいですね。試合の内容もそれぞれ最終節にふさわしいレベルの高い内容でした。

最終節は日体大、Morning Bearsがそれぞれ勝利

大会の様子については、すでに大友信彦さんがフォトレポートと大会ドリーム15をUPしていますので、そちらをご覧頂き、プレーの激しさを感じて欲しいですね。
3位決定戦レポート ⇒ こちら
決勝戦レポート ⇒ こちら
大会ドリームフィフティーン(有料記事) ⇒ こちら

3位決定戦は2月なのに暖かく、熊谷なのに風もほとんどなく素晴らしいコンディションでした

3位決定戦は接戦が予想されましたが、前半に1本ずつ取り合ってからの中盤で日体大が13番小林選手の自陣10m手前からの独走トライを含む3連続トライを奪い、24-7と大きくリード。RKUグレースは厳しい状況の中、15番寺内選手がDFの裏にショートパントを蹴って自ら取ると捕まりながらもオフロードで4番ジェニファ選手に繋ぐと、さらに外にサポートした11番星選手に繋いで走りきりトライを返しました。このトライはもし大会ベストトライがあればノミネートされるくらい素晴らしいトライでした。

日体大はセットプレーでも、FWが工夫をして良いアタックに繋げました

後半もリードしている日体大が敵陣で攻める時間が多く、優位に進めました。後半終了間際には敵陣22mでのラインアウトから、交代出場の21番中山選手が抜け出してトライ。高校生で日本代表デビューした中山選手、秩父宮で行われた香港戦を私も観戦していましたが、CTBでボールキャリアーでどんどん前に出る印象がありました。大学に入学してからは怪我に悩まされて、なかなか思うようなパフォーマンスを発揮できていなかったのが正直な印象ですが、最後のトライ場面はそういった想いがこもっていたかもしれませんね。後半のグレースは得点を奪えず、36-12で勝利しました。

決勝戦は予想通り、最後まで見応えのある80分でした

ラインアウトの攻防、アルカスの公家選手、フェニックスの鈴木選手は風が強まる中でもしっかりしたスローイングを見せて、試合をリードしました

決勝戦のキックオフを迎える頃には風が強まり始め、後半途中でテントを片付けるくらいの強さになりました。決勝戦は開始早々にMorning Bearsの8番黒川選手が敵陣10m過ぎからPGを狙い、惜しくも外れましたが、キックスキルが高くて驚きました。少し前だったらプレースキックが苦手で試合でPGを狙うことがそもそもなかったのが女子のレベルでした。試合もお互いDFで相手をひっくり返すようなタックルやスクラムでの押し合いなど、お互いが全力でぶつかり合う見所がたくさんありました。

そんな中で勝負を分けたプレーの1つが前半終了間際のMorning Bearsの2トライ目でした。元はTKMフェニックスが自陣中央でペナルティーを獲得し、そこを起点に仕掛けようとスクラムを選択。それに対してMorning Bearsがスクラムを押し込んでペナルティーを奪い返しました。敵陣でチャンスを得た結果、G前に攻め込んだ左のラックから外に大きく展開して13番伊藤選手(PTS)が追加のトライを奪いました。

10-3とMorning Bearsがリードして向かえた後半も風上のMorning BearsがPGを決めて10点差にすると、その後もG前に攻め込んで、交代出場の20番今釘選手がDFの裏にショートキックを蹴って追いかけてきたDFに競り勝ちインゴールで抑えて20-3とリードを拡げます。TKMフェニックスは追いかける厳しい展開の中でもアタックで前に出続けます。交代選手を投入して苦しい終盤の時間帯に3トライを奪う反撃を見せましたが届かず、25-20でMorning Bearsが勝利しました。優勝したMorning Bearsは21日にパロマ瑞穂ラグビー場で行われる全国選手権で、関西協会推薦の三重PEARLSと日本一をかけて戦います。関東代表として、ぜひとも日本一になって欲しいです!

決勝戦と表彰式の終了後には、囲み取材の密を避けるのもあり、簡易的に記者会見を行いました。

今年の関東大会は全勝チームがない大会でした。予選プールでは単独チームの日体大、RKUグレースがそれぞれ強みを見せて、接戦をものにしていました。決勝に進出した2チームは11月の予選1試合目から試合を重ねる毎に、チームの成熟度が上がり、ミスが少なくなり、さらにプレーの激しさも加わり、強くなりました。決勝戦も3位決定戦も本当にレベルの高い戦いでした。関係者の話では、2019年のW杯でも使用された熊谷Aのロッカールームは、入るだけでテンションが上がるみたいで羨ましいです。今は試合日程を無事に終えることが出来、一安心しています。今後も関東大会で厳しい試合を経験することで、日本代表の強化にも繋げてほしいですね。

最終節を無事に終えた熊谷ラグビー場第2グランド、素晴らしい試合をありがとうございました。