サクラセブンズ、ドバイ大会を制してW杯予選突破

12日金曜と13日土曜の2日間で行われたアジアセブンズシリーズドバイ大会、昨年はシリーズが全て中止になり、久しぶりのシリーズ大会でした。東京五輪で5戦5敗、最下位の12位に終わり、再起をかけたサクラセブンズは五輪メンバー、落選メンバー、新戦力がかみ合って、準決勝の香港戦では29-0と完勝し、W杯出場を決めました。そして決勝の相手はライバル中国、五輪では完敗した相手に14-12と競り勝って、見事ドバイ大会を制しました。

日本協会HPにある大会登録メンバーはこちら。東京五輪のメンバーが7名、セレクションで落選するも復帰したメンバーが中村、小笹、三枝、香川の4名、そしてデビュー大会の須田(追手門学院大)の12名。そしてドバイ大会では先発メンバーはほぼ固定、香港戦ではFWに梶木、中村、三枝、SHに平野、BKは須田、大谷、堤という7人でした。開始のキックオフをミスしてDFから始まるも、相手のBKへ素早く前に出てプレッシャーをかけ続け、1分30秒近く反則せずに相手のミスを誘うと、そこを起点にプレーを止めることなく継続して先制トライ。

その後も香港のアタックに連携の取れたDFでラインブレイクを許さず、アタックでは平野、須田が上手くペースをコントロール。梶木がDFのギャップをついて縦に抜け出したり、エースの堤が外を抜けて独走したり、様々パターンでトライを重ねました。五輪では相手DFの裏を狙うキックを用いたプレーもありましたが、この大会では同じアジアのライバルを相手に、しっかりキープして仕掛け続けることを意識していたのかもしれません。得点の通り、見ていて余裕を感じさせるような試合でした。

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予選から危なげない戦いでW杯出場を決めたサクラセブンズ、慌てることなく自信をもってプレーしているのが伝わってきました

迎えた決勝戦の相手は中国、高さ対策かFWは香港戦で先制トライを奪った三枝に代わってサイズのある小笹が先発メンバー入り、それ以外の6人は香港戦と同じメンバーで挑みました。最初のキックオフでノット10mから中国にアタック機会を与えると、そのまま継続されてG前に攻め込まれ、先制トライを与えてしまいました。いい立ち上がりではなかったですが、中国の深く広いラインに対して、素早く前に出つつも左右の連携を保ち、大きく速い相手に慌てずチームとしてどうDFするか統一されているのが見れました。そして中国が先制トライから難しくない位置からのキックを失敗し、この2点差が最後の結果に表れました。

日本は次のキックオフをキャッチすると、中国DFと上手く間合いを取ってキープすると、自陣22m内で素早く展開。外にいた堤が仕掛けて大谷に繋ぎ、カバーのDFに捕まるも再び堤に繋いで裏に抜けると、後ろにいたスイーパーをステップでかわし、およそ70mを独走し逆転。さらに次のキックオフでプレッシャーをかけて、相手のスローフォワードを誘うと敵陣22mスクラムから、中国DFの位置をよく見ていた平野がスクラムから持ち出してそのままポスト下にトライ。トライを奪われた後の大事な時間帯の2分で連続トライを奪えたことで、チャレンジャーの立場の日本が落ち着きを取り戻した好プレーでした。相手DFに粘らせることなくあっさりトライしたのも良かったですね。

そして2点リードで迎えた後半の大事な立ち上がり、中国のキックオフが10m付近に高く上がった場面で、梶木が中村を1人リフトして相手より先に触り、ボールをキープしました。このプレー、素晴らしいですね。後半はずっと日本の陣地でのプレーが続き苦しい展開でしたが、東京五輪の時と違ったのは自分たちの反則から相手にボールを与えて、あっさりトライを許すことがなかったです。ノッコンやスローフォワードのミスはありましたが、相手のアタックにしっかりプレッシャーをかけてミスを誘っていました。特に中村選手の必死に内から追いかける姿が目立ちました。それと大事なラインアウトで大きな中国を相手に、ダミーを交えてしっかりキープしたのも良かったです。ここは先日のサクラフィフティーンの試合と大きく違うところで、セットプレーが計算できるというのは、選手に落ち着く機会を与えてくれます。後半は両チームともノースコア、日本が逃げきったというより中国にミスが多かったです。それでも相手を2トライに抑えたDFは素晴らしかったですし、ナイターで照明もそこまで明るくなかった影響もあるかもですね。

https://twitter.com/RugYume/status/1463062018391379968
キャプテンを務めた平野優芽、東京五輪では出場時間が限られていましたが、ドバイ大会ではキープレーヤーとして期待以上の活躍を見せました

東京五輪で完敗した中国を相手に、短い準備期間で立て直し、自分たちの目指すラグビーをやり切って2点差での勝利。来年のW杯出場を決めて、良いスタートが切れました。今後は国内での合宿が続くと思いますが、世界レベルを目指して、引き続き強化を進めてほしいですね。

男子セブンズは準決勝で韓国に敗れて残念な結果に

そして男子セブンズ、準決勝で東京五輪で快勝した韓国を相手に、いいところがない試合展開で後半残り1分を切ってトライを奪われ、最後のアタックでもミスをして14-21で負け。W杯の連続出場が途切れてしまいました。東京五輪と大きくメンバーが変わる中、W杯出場をかけた大事な試合で動きがあまり良くなかったです。代表デビューの選手も多かったようで、想像以上に緊張やプレッシャーがあったのかもしれませんが、言い訳のしようがない内容でした。

男子も女子も11月は国際試合が続くテストマッチ月間でしたが、先週末でほぼ終わりました。どのカテゴリーも厳しい試合が続いた中、サクラセブンズの勝利という結果が明るいニュースとなりました。国内では関西大会も始まり、来月には関東大会も始まります。女子ラグビーから明るい話題を届けられるように、これからの頑張りに期待します。頑張れサクラ!!