12月になり、夕方になるとかなりの冷え込みを感じるようになりました。2021年も残り4週間ないですね、健康に気を付けていきましょう。
先週、大西将太郎さんがJ SPORTSのYoutubeチャンネルで、女子日本代表について熱く語っていました。再生回数がまだ3桁なのが残念ですが、ありがたいですね。動画の中で、日本協会のHP内にラグビー女子日本代表応援サイト Road to WRC2021、があるのを知りました。リンク張っておきますね。コンセプト、サクラウェーブ、改めて思い出しました。
また11月27日にはラグビージャーナリストで女子ラグビーをよく取材してくださる大友信彦さんがRUGBY JAPAN 365のサイトで11月のイギリス遠征レビューを書いてくれていました。今回はこの記事の内容を紹介しながら、個人的な意見を整理しようと思います。
試合ごとに内容が良くなるも、得点力不足が明らかになった
先ほど紹介したレビューにあった3試合の戦績
11月7日 日本×5-23ウェールズ(T:齋藤聖奈)
11月14日 日本×12-36スコットランド(T:永田虹歩、加藤幸子、C:平山愛)
11月20日 日本×12-15アイルランド(T:古田真菜、齋藤聖奈、C:大塚朱紗)
世界ランクで格上の3か国を相手にした遠征、各試合のレビューは以前のブログでも書いたので、そちらをご覧ください。レスリーHCのコメントには「W杯本番と同じようなサイクルを経験できた。これはチームにとって大事な学びの時間になったと思う」とあり、確かに来年開催のW杯に向けて、学びは多かったと思います。選手も2年ぶりの遠征できっと苦労やストレスもある中、良い戦いを見せてくれたと思います。この遠征からさらに成長してくれるはず。
一方で多くのファンからは「良い試合だった、来年に向けて良い準備になった」というコメントがアーカイブ内やSNSでも見れました。何をもって良い試合だったのか、と思うと強豪国相手に持てる力を出し切って粘り強い戦いが出来た、というのかもしれません。選手が必死に起きて、素早く動き、攻守に奮闘していた姿は本当に良かった。ただそれで満足してしまい、勝敗に関しての意識が少ない印象は否めません。来年に向けて良い準備?本当に良い準備が出来たのか?私が感じたのは得点差以上の何か、勝利までたどり着けない相手との差の部分です。
そして見出しに書いた話になりますが、女子日本代表の大きな課題は得点力不足です。遠征中の5トライのうち、G前に迫ってラックサイドを攻め込んだのが4トライ。もう1トライは、敵陣10m付近でタックルを受けた小林選手が素早く起き上がってラインブレイクし、フォローに繋いで古田選手がトライしたアイルランド戦の1トライのみでした。試合を見ていて、チームとしてどうトライを取るのか、どう得点を取るのかが見えないと感じました。極論、今のサクラはG前まで攻め込まない限り、トライは取れません。
チーム内ではアタックのプランとして、阿部、津久井という国際レベルの球捌きの良いSHがいて、ハイテンポでボールを動かして仕掛け続けるというのはあると思います。SOからのアタックのオプションが少なく、そこからの1パスを相手DFに狙われて思いっきりタックルを受ける場面も何回かありました。ラックからプレッシャーを受けてアタックのテンポがスローになった時など、DFの崩し方をチームで取り組めているのかどうかがはっきり見えません。海外の強豪国と比べると、外の選手(FB、WTB)のスピードは劣っていて、一気にラインブレイクしてチャンスを作る場面がなかなか作れませんでした。BKがユニットで上手く動いて、抜けだす場面を作りたいのですが、意図してそういうセットや動きがない印象です。
そのため何とか敵陣に攻め込んでチャンスを作った時に、こうトライを奪う決め事のようなオプションがなく、取り切れないんじゃないかなと個人的には思いました。そしてコーチ陣はそういうトライを取り切るプレーを指導しているのか。男子にはトニー・ブラウンという世界レベルのアタックコーチがいて、2019年のW杯では外に福岡、松島のような世界レベルのフィニッシャーがいました。そして試合では上手く余らせた大外を抜け出してトライチャンスをたくさん作りました。その時の男子のイメージが私には強すぎるのもありますが、サクラは果たしてどう得点を取って勝つのか。
ここ最近の女子の試合結果(World Rugby HPより)を改めて見ると、勝ったチームは最低15~20点は奪っています。そして日本は退場者が出て14人になったアイルランドから50分で1トライしか奪えなかった。悔しい現実ですが、やはり3トライを取る力をつけないことには勝つ可能性は低いまま、良い試合で終わってしまうでしょう。気になって2017年のW杯の5試合のスコアを探してみましたが、予選3試合で7トライ、イタリアには0-22と完封負けで、最終戦の香港には44-5で勝利しました(参考サイト)。また接戦になると、キッカーのプレースキックの精度が大事になります。実際、アイルランド戦では古田選手のトライ後のコンバージョンが外れましたが、もし決まっていて14-15の1点差でゲーム終盤に進んでいたら、敵陣の反則で逆転PGを狙うこともできたはずです。もしラインアウトが取れる計算が出来ていたら、ラインアウトからモールを組んでG前まで押し込むことも狙えたはずです。しかし前のブログで触れたとおりプレッシャーを受けてクリーンキャッチが出来なかったので、それも出来なかった・・・あの12-15の負けはそういう悔しい負けでした(あくまで個人的な印象です)。
協会HPにあるアイルランド戦後のコメントで南キャプテンが最後に「来年のワールドカップに向けては、セットピースを安定させること、精度を上げることや、攻撃のオプションを増やすことが重要になってくる」と語っていましたが、本当にその通りだと思います。選手の頑張り以上に、コーチングスタッフの頑張り、チームの引き上げがないと、来年のW杯でのベスト8入りは難しい状況だと思います。個人的な予想ではほかの予選プールの予想もしたうえで、米国、カナダ、イタリアを相手にどれかで1勝すれば、ベスト8進出に大きく近づくと思います。だからこそ、攻撃のオプションを増やし、得点力を高めるのを1年かけて準備してほしいですね。改めてチームのコンセプトで掲げられている「サクラウェーブ SAKURA WAVE」をどう体現するか、イメージから具体性を持ったアクションに変えてほしい。
最後にレスリーHCは「日本の女子選手は国内での15人制をプレーする機会が極端に少ない」と話していました。これは本当にそうで、関係者が新しい大会やシーズンスケジュール含めて考えないといけません。あくまで個人的な意見になりますが、今後の国内スケジュールは
2月中旬~6月下旬 セブンズ(太陽生命WSS、リージョナルSなど)
9月中旬~2月上旬 15人制(関東大会、関西大会、全国選手権など)
という形になるかなと。そして10月11月はサクラのテストマッチ期間でしょうか。本当は春にもテストマッチを組みたいと思いますが、なかなかハードルは高いかもしれません。2019年のように7月に南半球に遠征できれば良いですが、予算に限りはありますしね・・・それと東京五輪のレビューの時にも書きましたが、国内で15人制の試合機会を増やすことがそのまま代表強化に繋がるとも限らないのは否めません(選手にとっては経験=プラスですが)