サクラ7s、チャレンジャー大会優勝おめでとう

今朝行われたチャレンジャーシリーズ大会決勝、日本代表サクラセブンズはポーランドを相手に17-0と勝利し、優勝。来季のワールドセブンズシリーズ大会のコアチーム昇格を決定しました。優勝おめでとうございます。選手、スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。ラグビーリパブリックさんが早速、記事をアップしてくれています。鈴木HCと平野キャプテンのコメントもあります、こちら

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6試合全て応援できましたが、こう勝ってみんなで喜ぶ姿が見れると嬉しいです

準決勝のケニア戦は4トライを奪い昨年の五輪のリベンジ達成

まず昨日の深夜に行われた準決勝のケニア戦の振り返りを。日本は試合の立ち上がりから良い動きを見せて、須田選手が抜け出して先制トライ。Gも成功して7点を奪うと、ケニアはそのあとのキックオフから、エースの8番オケロ選手がライン際を抜け出して追撃のトライ。競った展開になりますが、そこから日本は連携の取れたハードなDFでケニアにプレッシャーをかけてミスを誘うと、すっかりサクラセブンズのエースの貫禄がついてきた原選手が2トライを奪ってハーフタイム。特に前半の最後に敵陣スクラムから1フェイズで取り切ったトライでリードを拡げたのが大きかったですね。

後半も日本は良い動きを見せ、ケニアは細かいミスを連発。さらにシンビンを出してしまい6人に。自陣から狭いサイドを仕掛けたものの、パスをインターセプトされて7点差に。そこからまた攻め込まれて残り1分近くを残して、2点差になりました。昨年の東京五輪ではノータイムのスクラムから逆転負けという悔しい終わり方でしたが、今回は日本が上回りました。キックオフを確保すると、相手DFのギャップを上手くついてライン際を梶木選手がビッグゲイン。G前で相手の反則を誘い、アドバンテージを貰って大きく展開すると、原選手がハットトリックの3トライ目を奪い、22-15で勝利。競った展開を楽しむかのような勝利でした。

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ケニア戦のラスト、梶木選手のビッグゲインから原選手が勝利を決定づけたトライ

決勝のポーランド戦は日本のスタイルを貫いてノートライに抑える完勝

迎えた決勝戦、5分前に目覚ましで起きて急いで観戦準備。試合前の国歌斉唱で君が代をうたいながら、いい顔をしている選手たち、とくにキャプテンの平野選手がわくわくしたような顔で頼もしかったですね。開始からポーランドが攻めますが、日本はしっかり守ると、相手がこぼした球を須田選手が拾って一気に原因、DFを引き付けてエースの原選手にパスすると、一気にG前へ。相手のエースの4番に追いつかれるものの、上手くサポートに繋いで最後は中村選手(プレイングコーチ)が先制トライ。G前に追いついた選手は日本のほうが多いですね。

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見事な先制トライでしたが、チャンスにサポートに走った日本の選手の多さが勝因ですね

対してポーランドはカウンターラックでボールを奪い返すなど、評判通りの強さを見せました。自陣でのアタックに7人DFでプレッシャーをかける日本の裏にボールを蹴りこみ、追いかけて一気にG前まで攻め込みます。日本対策として予想されたこの状況に、日本は中村選手などしっかり戻って相手を捕まえると、鍛え上げてきたDFでポーランドを押し下げます。外側の選手が一気に前に出て外での1対1を作らせず、内側に走った相手をしっかり倒す。最後はポーランドがノッコンをしてピンチを脱出。このバトルが勝利を手繰り寄せた、日本が勝てるという流れを作りましたね。10-0というスコア以上に、日本が自信を持てた展開でした。

後半も決勝らしい緊張感のあるバトルが続きます。ポーランドも日本のDFを破ろうとアタックし続けますが、それでも日本はビッグゲインを許さず、試合のペースを渡しません。終盤に入ってきて、中盤でアタックをする日本は須田選手が緩急をつけたステップで相手DFを抜き去ると一気に独走し、決定的な3トライ目を奪い、勝利を決めました。後半はポーランドにチャンスらしい場面を作らせず、17-0というスコアながら、力を出し切っての完勝でした。

須田選手は予選3試合目からスタメン入りすると、勝負所で素晴らしいランニングとタックルを見せました。

目指すスタイルがはっきり分かる戦いを見せたサクラセブンズ

2019年の昇格大会では準決勝でスコットランドに敗れた日本、2017-2018シーズン以来5シーズンぶりのコアチーム復帰だそうです。おめでとうございます!

大喜びで終わった大会を振り返ると、苦戦したのは予選のコロンビア戦の前半くらいで、多くの時間帯で日本らしい戦いが出来た3日間でした。特にトーナメントに入ってからの安定した戦いはこれまでに見たことがないかのような安定感でした。具体的には起き上がりのリアクション、選手7人の攻守にわたる運動量と連携でしょうか。相手DFをテンポ良く振り回して仕掛けると、原選手、大竹選手、須田選手が走りぬけてトライする場面が多かったですね。

サクラセブンズのキーワードは「立・動・戦」みたいです。わかりやすい。

アタックで見ると、自陣からアタックしてラインブレイクし、トライに結び付ける場面がここ数年は昨年の東京五輪含めてほとんどありませんでした。この大会では梶木選手、須田選手、大谷選手がラインブレイクしてチャンスを作り、一気にトライを奪うという場面が非常に多かったです。前に出てきたDFに対して、焦って倒されるのではなく、上手く逃げてボールを継続し、素早いセットとテンポ良い球出しでチャンスを作れていました。東京五輪ではキックありきの戦術とも感じましたが、この大会はおそらくキックのプランはないですね。継続して相手を揺さぶって、チャンスを作って仕留める、そんな意識が徹底されていたのではないでしょうか。リアクション、サポート、運動量で勝つ、そんな印象です。

DFではこれまでで一番安定した、応援している方も安心して見れたと言っていいです。あえてスイーパーを置かず、7人DFで数的有利を作り、特に外でのラックからは外側の3人目辺りが相手の2人目(CTB)を狙って前に出て、中央辺りでハードタックルを決めてチャンスを作る場面もありました。横と連携することで自信を持って前に出る、そしてキャリアーにしつこく絡んでくる日本のDFには、どの相手も苦しめられたと思います。それでもケニアのオケロ選手は個人のスピードで振り切っていましたし、決勝のポーランドは裏へのキックを使ってきました。そこを全員が素早く戻って、逆に押し返したのはそこで戦えるかが勝負所だと鍛え上げられたからでしょう。ともかく頼もしくなるDFでした。

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三重PEARLSでもプレーするケニアのオケロ選手、警戒されてもトライを奪う素晴らしい走り。

長くなりましたが、まずは5シーズンぶりのコアチーム昇格は本当に素晴らしい結果。各国の強化が進み、過去最高レベルの大会で、こんなに安定した戦いで優勝するとは驚きでした。あっぱれ。

一方で平野キャプテンの「世界と戦うためのスタートラインにやっと立つことができた」というコメントの通り、このスタイルをコアチームの強豪国を相手にどれだけ貫けるか。分析もされるでしょうし、キックオフでの圧力も違います。選手、スタッフもその辺りの差はまだ感じていると思いますが、それでもこの日本スタイル、サクラセブンズが目指す戦いは多くの関係者が期待していると感じました。まずは来月の南アW杯。初戦のフィジーは個人のスキル、フィジカルに優れていて、今の日本のスタイルがどこまで通じるかを試す絶好の相手でしょう。そしてNZでのW杯を控えたサクラフィフティーン、怪我からの代表復帰を目指す選手など、多くの関係者にたくさんの期待と興奮をくれたサクラセブンズの皆様、本当におめでとう!