サクラセブンズ、南アW杯を過去最高の9位で終了

昨日の夜はセブンズW杯3日目、女子は1回戦で負けた8チームで争われるチャレンジトーナメント(9位~16位決定戦)の順位決定戦、日本は先月のチリの大会決勝でも戦ったポーランドを相手に17-12と逆転勝利。見事9位になり、W杯では男女を通じて過去最高順位で終えました。試合レポートについては、選手のコメント含め、RUGBY JAPAN 365さんの方で見やすくまとめられているので、ご覧ください。

勝利したポイントはポーランドに走り勝ったところが大きいですが、苦戦した前半の終わりにアタックを継続、エースの原わか花選手が走り切ってトライを奪い、追い上げる流れを作ったのは間違いありません。前半にポーランドが奪った2トライはDFのミスというほどではないですが、それでも12点差を追いかけるのはかなりプレッシャーのかかる状況。7点差にしたことで、ポーランドに焦りというプレッシャーがかかったとも言えます。またハーフタイムで選手、鈴木HCのトーク「言っていることをしっかりやろう」、この言葉で後半に向けて、選手がイメージをしっかり共有出来たことが後半のパフォーマンスに繋がったと思います。

勝つべき相手にしっかり勝利したサクラセブンズ、写真はJRFUのTwitterから拝借
素早い仕掛けで走りぬけて逆転トライを奪った平野主将、南アフリカ戦のG前でのタックルなど、攻守の勝負所で良いパフォーマンスを見せました

未だ高い壁の8強、強豪を相手に勝利するためにどうするか

ポーランド戦については、たくさんの賞賛と先ほどのレポートがあるので、ここからは目標としていたベスト8を達成できなかったことにも触れたいと思います。フィジーとの初戦はキックオフを確保できず、そこからオフロードを交えたアタックにDFで前に出るタイミングを掴めず、開始40秒でトライを許しました。その後もキックオフを確保できず、フィジーの独特なアタックに対して、受けるようなDFになってしまい、個人技やオフロードで突破されて5分で4トライを奪われ、勝敗は前半でほぼ決まってしまいました。後半の途中でスタッツが出ましたが、タックルの成功数より失敗数のほうが多かった。やろうとしている事が上手く出来ない状況では、それを打開できる個人の力量が必要になりますが、久しぶりの格上との対戦に上手くいかないのは仕方なかったのかもしれません。

これから8強を狙う上で、対戦国との個人のサイズ、スピードの差の違いがあります。この避けられないフィジカルの課題は東京五輪、リオ五輪の前からあり、それをフィットネスで走り勝って、補おうとしてきたのが日本の戦い方だと感じています。それにどう個人個人が+αを加えていくか。まずはチームとしてキックオフをしっかり確保し、アタックの時間を増やしていかないといけませんね。強い個人の育成はやはり練習期間を確保できる代表チームでこそ、実現させていかないといけません。先月のチリ、今回の南アフリカでは原わか花選手がエース級の活躍を見せてくれましたが、強豪国を見るとトライを奪う選手が3,4人います。例えばNZだとミカエラブライド、ポーシャウッドマンの両エース以外にも走り切れる選手が何人かいますね。日本もラインブレイクする機会は以前より増えましたが、走り切れるスピードを持った選手、もしくは仕掛けてチャンスを作れる選手をもっと育てていかないとですね。

今回負けたフィジーも4年前の米国セブンズW杯では、日本に最後の1プレーで逆転負けしています。そこから数年でワールドシリーズでも4強に入る実力をつけました。ポーランドについても数年前はこういった大会で名前を聞いたことがあるかどうかでした。日本に負けたとはいえ、コアチームのスペインに勝ち、W杯10位という成績はここ3,4年の強化という見方を変えれば、十分誇れる結果とも言えます。ヨーロッパや南米では強豪国以外でも強化が進んでいますし、アジアも日本以外の国が強くなって、アジアシリーズのレベルが上がることが、日本の強化にとってもプラスになるはずです。

https://twitter.com/asiarugby/status/1568964616151257088
W杯3日目、アジアから参加した4か国は全て勝利したものの男子は香港の19位が最高、他の地域の強化からは少し遅れてしまっている印象です

8強への壁はやはり高いものの、今の鈴木HC体制のサクラセブンズはこの1年で着実に力をつけ、これまでとは違って見ごたえのある試合が出来ていると思いますし、選手のコメントからも自信を感じます。そして関係者やファンも、多くの方がそう感じているのではないでしょうか。今のメンバーの強化に加えて、新たな選手が出てきて、更にチームが進化していく、そんなサクラセブンズを見たいと願っています。頑張ろう、日本!!

最後に今後の大会スケジュール、アジアシリーズでは新たな選手が代表入りのチャンスを掴むか。