日曜に行われた準決勝、日本体育大学ラグビー部女子、東京山九フェニックスが勝利し、来月5日に行われる決勝戦へ進みました。当日は冷え込みが心配される予報でしたが、天気に恵まれて1月の試合としては良いコンディションでした。
日体大は鍛えてきたフィジカルを武器に終始試合を優位に進めました
まず第1試合は関東1位の日体大と関西2位の九州ながと合同がぶつかりました。RUGBY JAPAN 365さんの試合レポートはこちら
⇒ 4大会ぶりの王座へー日体大が決勝進出!
この試合は日体大が優位に進めるだろうと予想していましたが、10番大内田夏月選手のキックを中心に日体大がほとんどのプレーを敵陣で戦っていました。ゲームプランとしてカウンターを仕掛けるより、まずはキックでエリアを進めるものだったと思いますし、実際に前半開始に相手のカウンターを止めてノッコンを誘うと5分に敵陣スクラムから展開して11番梅津選手が先制トライ。その後も敵陣でプレーする時間を増やし、キックの蹴りあいから試験的ルールの50-22を決めて敵陣深くでラインアウトのチャンスを作るなど優位に進めました。九州ながとの15番大内田優月は夏月さんのお姉さんで、姉妹で蹴りあう場面もあったと思います。攻め込まれる場面が多い中、DFで奮闘し、前半は19-0と日体大リード。
後半、日体大はさらに追加点を奪ってリードを拡げる展開を予想していましたが、小さなミスが続きなかなか得点を伸ばせず。九州ながともアタックで攻め込む場面が増えました。G前に攻め込んでFWのラックサイドを中心にゴールラインに迫りますが、日本代表の選手から代表のフィジカルレベル情報を共有しながら身体づくりをしてきた日体大は接点で優位に立ちトライを許さず。セットプレーでもスクラムを再三押し込むなど優位に進めました。終了間際の12番人羅選手のキックパスからの14番堤選手のダメ押しトライはこの日1番のトライでした。
33-0と日体大が快勝しましたが、内容的にはおそらくうまくいかなかったプレーが多かったと思います。ラインアウトではノットストレートも目立ちました。それでも相手の分析を周到に行い、自分たちの勝負所、強みを持ち、ここぞという試合でしっかり勝つ日体大の強さを感じさせる試合でした。九州ながとはもう少しこの強度の試合を経験させたかったですね。
フェニックスはPEARLSの試合は予想通り真っ向勝負のぶつかり合い
そして第2試合は注目のフェニックスとPEARLSの試合、春の太陽生命WSSでも激しい戦いを見せていました。両チームともセブンズ含め日本代表経験者を多く抱え、この試合でもPEARLSはFW8名中6名が昨年のW杯代表組が先発入り。フェニックスは太陽生命WSSでも活躍したセブンズ米国代表経験のあるニア・トレバー選手が14番に入り、それ以外の選手も代表経験者がほとんどでした。そしてこの注目の試合に両チームのファンも多く集まりました。
試合は開始からPEARLSが攻め込むとG前のラインアウトから攻め込み、インゴールに入りますが、フェニックス6番倉持選手がキャリアーを上手く抱えてグラウンディングさせずドロップアウトに。フェニックスは9番野田選手、10番黒川選手らキックを蹴る選手が多く、敵陣に入るとワイドに展開し、テンポの良いアタックでPEARLSのDFを翻弄します。6分には敵陣G前に攻め込んで展開し、大外のニア選手がボールを貰うと相手DFを次々と外してインゴールに飛び込み先制トライ。その後もお互いキックの蹴りあい、接点での激しいぶつかり合い、スクラムやラインアウトの攻防など互角の展開。それでもアタックで優勢なフェニックスがトライを重ねる中、PEARLSは追い上げるべく仕掛けますが、フェニックスのプレッシャーにミスが出て、開始早々のようなトライチャンスを作れず、前半終えてスコアは17-0。
後半開始追い上げなければならないPEARLSがキックオフレシーブからのアタック、しかしすぐにノットリリースの反則を取られました。ここがゲームの流れを決定づけたかなと思いました。PEARLSが勢いを掴めず焦る中、フェニックスのアタックがどんどん前に出てG前に迫りFWが連続トライして31-0と点差を拡げて勝敗を決定づけました。フェニックスは14分に5番佐藤選手が危険なタックルでシンビンになり、ホームの声援を受けるPEARLSはここから3トライを返すものの、フェニックスはリザーブの選手もすべて出場させ、しっかり逃げ切って34-19でフェニックスが快勝しました。
試合展開はちょっと予想外でPEARLSはフェニックスを相手にもっと戦える力もあったと思いますが、関西大会での3試合のうち競った試合は12月の最終戦のみ。シーズン前に関東遠征をしたとはいえ、チームとして強い相手と戦う経験値は少なかったです。それに対して関東大会で激しいバトルを重ねたフェニックスはこの試合に向けて、チームの調子がかなり上がってきた印象です。太陽生命WSSとの2冠という目標に向かって、戦術の理解、動きの成熟度が高いので、来月5日に行われる決勝戦も勝敗予想はフェニックス有利かなと。
日体大は関東大会でフェニックスに19-22で惜しくも敗れましたが、そこでの課題はチームでしっかり理解しているでしょう。接点でのファイトは大きな差がないと思いますし、お互い分析はある程度、出来ていると思うので、決勝戦のポイントはプレーの起点となるセットプレーの安定と、エリアを前に進めるキックの攻防の2点になるかと思います。日体大が勝つにはまずセットプレーでしっかりプレッシャーをかけて、フェニックスにゲームのペースを作らせないことが必要になるかと思います。15人制で勝つことにチーム一丸となって関東大会を1位通過した日体大の底力が、決勝戦をさらに面白い試合にしてくれると期待しています。