8月11日と12日に行われた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ(WSS)2023入替戦、12日は朝から天気にも恵まれて、日向に当たるスタンド席はやはり暑かったです。試合を見ながら、汗が皮膚を伝っていくのがわかりましたね。試合の方も負けたら降格決定という緊張感、スタンドで応援するチーム関係者やノンメンバーの声援も良く聞こえてきました。その中で決勝に進んだのは横河武蔵野アルテミスターズと、2013年の初年度から参戦している北海道バーバリアンズディアナの2チームでした。前日の予選プールでも戦いアルテミが19-7で勝利していました。
迎えた決勝戦は開始1分にアルテミスターズの中山選手がシンビンになって6人に。それでもディアナの猛攻をしっかり守りぬくと、敵陣に攻め込んだ前半5分にキャプテンのFW山本和花選手がダミーを交えてDFラインを抜け出すし、トライライン直前で倒されるもインゴールに手を伸ばして抑えて先制トライ。その後、ディアナの外国人選手がラインブレイクから走り切って5-7と逆転。後半もお互い一進一退の攻防を見せますが、アルテミが敵陣でプレーする時間が多く、逆転を狙って攻め込みます。そして後半6分に敵陣のスクラムからまずSHの小川選手が仕掛けて、小林選手へパス、そこに外の小畑選手がショート気味に走りこんで、対面のDFに捕まるもずらした状態になり、小林選手がループするように外でボールを貰いそのままインゴールに走りぬけて逆転トライ。アルテミスターズが10-7で勝利しました。
決勝戦にふさわしい接戦から終盤に勝敗が決まった戦いでしたが、アルテミスターズが勝ち上がった要因はやはり日体大OGの選手を中心とした経験値があるのではないでしょうか。2018年に入替戦で2位になるも、翌2019年に入替戦で四国大学に負けて降格。一方で15人制では単独チームとして日本一になったり、サクラ15でも多くの選手が活躍。この日も試合の先発メンバーでBKはSH津久井選手から小林選手、中山選手、田代選手と日本代表経験者が並んだりしました。また入替戦で復帰した中山選手、髙崎選手などメンバーが復帰してチームも上向きだったのかなと思います。
一方でシリーズ4大会でなかなか勝てずに15位に沈んだディアナ、この入替戦での優勝を目指して新たに加入した外国人選手もいたみたいです。予選プールではアルテミスターズに負けたものの、トーナメントでは初戦のBRAVE LOUVEに前半相手のミスから3トライを奪い、リードを守り切って17-12と勝利。そして準決勝のRKUグレースではそれぞれ違う選手5人がトライを奪い、33-0と快勝。大きく勢いをつけて優勝まであと少しのところまで来ました。
ほかにも3位決定戦で戦った四国大学、RKUグレースもこの入替戦に向けて仕上がりの良さを見せて、予選プールで大勝した試合もありました。ただ土曜の試合を見ていて、決勝にいけなかったチームはゲームの流れもありますが、うまくいっている時と上手くいかない時の差が大きかったですね。入替戦のプレッシャーの中で、小さなミスから流れを相手に渡してしまい、そこから試合中に勢いを取り戻すような強さが見られなかったのは、やはりコアチームとしては力不足なのかもしれません。もしかしたら主力選手の怪我などの影響もあったかもしれません(四国大学には膝にギブスをして松葉杖をついてサポートする選手も見かけました)。
入替戦の最終順位は、こちら。アルテミスターズ以外のチームは来年にも行われるであろう昇格大会に向けて再びチャレンジを続けてほしいですね。また太陽生命WSSのチーム数、開催地、コアチーム以外が試合経験を積めるような下部大会の充実など、検討すべき課題はあるかと思います。ただ全てのチームがが満足するような答えはないのかもしれません。日本協会だけでなく、地域協会、そして各チームの協力も必要ですね。8月の後半には各地で国体予選が行われますし、引き続き関係者の皆様の頑張りを応援しています。
太陽生命WSSが始まって10年が経ちました。この10年で九州や東北などに新たなチームが誕生したり、サクラセブンズがワールドシリーズやW杯でも活躍したり、女子ラグビーの普及・強化は進化をし続けてきた印象です。そしてこれからの5年、10年をどうしていくかのビジョン、アクションプランを発信、共有していければ女子ラグビーももっと発展していけるのではないでしょうか。先日、サッカー女子日本代表なでしこジャパンがW杯ベスト8敗退してしまいました。やはり良い戦いをしても、求められる結果が出ないと多くの人の記憶から忘れられるのも早い。引き続き頑張って、女子ラグビーを盛り上げていきましょう。