サクラセブンズとスコットランドの試合を分析してみた

先週の木曜と金曜に行われた香港セブンズ女子昇格大会、予選と準決勝の2試合を見て、一部をデータ化してみました。

アタックする機会はスコットランドを上回るも、内容には違いが

Excelで作ってみて左の欄がアタックのスタート、日本は桃色でスコットランドのは紺色。試合時間のいつに起きたか、何フェイズATが続いたか、いつボールを失ったか、ボールを保持した (アタックした) 時間をまとめました。

予選は27-19で勝利、日本がボールを手にした回数は全後半共に5回でスコットランドの7回を上回り5トライを獲得
準決勝は19-24で敗退、ボールを手にした回数は11回でスコットランドの9回を上回るも、ノッコンやインターセプトなどのエラーが出て継続できず

勝敗は変わりましたが、予選でも準決勝でもボールを持った回数、アタックしている時間は日本のほうが多かったです。ただ準決勝の後半がわかりやすいですが、トライまで継続できずに相手ボールにしてしまっています。12点差を追いかける展開になり、焦ってしまったのかもしれませんね。スコットランドは驚くようなスキルはなかったですが、ボールを持った機会はしっかり継続して4回連続でトライに結び付けています。Youtubeの試合映像を見ていると、画面にハンドリングエラーとタックルミスの回数が出ましたが明らかに日本のほうが多かったです

予選ではチャンスに外を走り抜けて2トライを奪った堤ほの花選手、準決勝はあまりボールを触れずにノートライに終わった。写真は日本協会HPのギャラリーから。

予選と準決勝を見比べると、準決勝の日本は外にボールを動かす場面がほとんどありませんでした。日本のアタックはボールを動かして相手を疲れさせるプランだったと予測しますが、準決勝のスコットランドは外のDFが前に出る動きが目立ちました。日本はキャリアーが内に入って捕まり、味方に繋ごうとしてノッコンして相手ボールになり、そこを起点に4トライ目を奪われてしまいました。日本対策として外のDFがかぶり気味に出てパスコースを塞ぎ、内に逃げてくれたほうが守りやすいと判断したかもしれません。

マテイトンガ選手のボールキャリー、突破力、スクラムのプッシュは予選、準決勝共に脅威を与えた。写真は日本協会HPのギャラリーから。

予選でも準決勝でもマテイトンガ選手のラック付近でのアタックはトライに結びつきました。しっかり前のDFがいないのを見て、持ち出したりしているかと思います。ただフィットネスが課題としてもあるのか、前半だけでの出場でした。前半のリードを守りきるような戦略だったかもしれませんが、スコットランドのアタックを止め切れませんでしたね。

もっと試合映像を見返したり、色々なデータを拾っていたら、見えてくるのかもしれません。今回は個人のデータを細かく拾うことはしませんでしたが、また試合映像を見てこういった分析を自分のコーチングの向上に繋げていきます。

サクラセブンズは20日からのワールドシリーズ北九州セブンズ大会に向けて、明日12日から久留米で合宿を行います。協会HPにスケジュールと参加メンバーが発表されています⇒こちら。また山梨で行われているSDS合宿では週末にフランスとの練習試合が行われる予定です。改めて合宿のスケジュールと参加メンバーはこちら

コアチーム昇格は果たせませでしたが、強豪国と戦う貴重な機会になる北九州大会、代表の活躍に期待しています!

香港セブンズ、女子は準決勝で負けて昇格ならず、男子は最終日に頑張って10位で終了

木曜の女子の昇格大会から始まった香港セブンズも終了、結果はタイトルの通り。女子は残念な結果に終わりました。

女子のサクラセブンズとスコットランドの試合は4時間20分頃から、追いかける時間が多かったです

ミスから相手を振り回す展開に持っていけなかったサクラセブンズ

負けた試合を見ましたが、前半は先手を取られたあとですぐに逆転の繰り返して12-10で折り返し。後半のKOからスコットランドのアタックを止めきれずに逆転を許すとそのあとのアタックでミス。自陣のスクラムから相手にDFの一瞬のギャップを抜かれて一発でトライを許し残り3分で12点差を追いかける展開に。残り1分で5点差に詰め寄るも最後のキックオフでボールを奪えずに試合終了。アタックでDFを振り回して疲れさせる展開に持ち込めず、勝ちきる強さが少し足りませんでした。

東京五輪のメダル獲得に向けてこの大会で優勝、再昇格が求められたサクラセブンズ。2週間後は北九州でのシリーズ大会を控えています。 写真は日本協会のHPにあるギャラリーから。

スコットランドは前日の予選で29-17で勝利していましたが、大事なトーナメントでは逆の結果になりました。相手に分析されて対応が遅れたのかもしれませんが、4トライを奪われると逆転が難しいのがセブンズですね。このスコットランド戦については今週中に予選と準決勝の2試合を分析してみたいと思います。

3月で19歳になったばかりだがすっかり代表の主力選手として定着した平野優芽選手、今大会もDFでは低いタックルで相手を仕留め、アタックでも積極的に仕掛けてチャンスメイクしていました

サクラセブンズの候補生でもあるSDS合宿が明日から山梨で行われます。スケジュールとメンバーはこちら大学生や社会人1,2年目の選手が主ですが香港にも遠征していたマテイトンガ選手、昨年の北九州大会で怪我をして復帰を目指す横尾選手も選ばれています。頑張って欲しいですね。

男子は初日の3連敗から、ライバルのウェールズ、ケニアに勝利するも決勝で24-7からの大逆転負け

チャレンジトロフィー決勝後、3トライのリードをひっくり返されて残念な10位で終了。写真は日本協会のHPにあるギャラリーから。

日本協会のHPにある第3日(最終日)の試合結果はこちら。初日は南アフリカ、2日目はサモア、スコットランドにそれぞれ負けてしまいましたが、大事な最終日。シリーズ総合ポイント争いで残留に向けて負けられないウェールズに38-7と勝利、準決勝でケニアに21-12とそれぞれ勝利して2回目のチャレンジトロフィー決勝、相手は前日に負けたスコットランドでした。

試合映像はまだ見れていないのですが、前半を終えて19-7とリード。後半にも先手を奪って24-7とするもそこから一気に3連続トライを奪われて逆転を許したようです。後半で3トライ差は勝ちきらないといけない試合ですね。前半の2トライ目のあとのキックをポストに当てた分の2点差が勝敗を分けました。しかし予選の3戦全敗から何とか持ち直してきましたし、ウェールズ、ケニアに勝利したことは大きく、シリーズポイントでもウェールズを上回って14位に上がりました。

シリーズ第7戦香港大会を終えて、残り3シリーズで降格争いはケニア、日本、ウェールズの3チームに絞られた感じです。来年のコアチーム昇格はアイルランドが決めました。

シリーズの総合成績で見ると、日本は失点の多さが目立ちますね。来週のシンガポール大会、予選プールは サモア、NZ、スペインと一緒になりました。何とか予選で2勝してカップ戦に進むとポイント的には大きく優位に立ちますし、次回は更なる上位進出を目指して頑張って欲しいです!

香港セブンズ、女子は大勝スタートで全体1位、男子は明日開幕

サクラセブンズ、初日の予選3試合で116得点を奪う猛攻、堅い粘りで19失点に抑えて全体1位で順調に突破しました!!

3試合のスコアは初戦メキシコに54-0、2戦目スコットランドに27-19、3戦目ベルギーに35-0、トライ後のキックの成功率も以前より高まっている気がします

順調に選手それぞれが自分の強みを発揮して勝ちあがったサクラセブンズ、写真は日本協会HPから

スコットランドには苦戦も、他2戦は完封勝利で決勝トーナメントへ

2試合目のスコットランドは23:30頃、3試合目のベルギーは2:26:20頃から見れます。

とりあえず苦戦したと聞いたスコットランド戦はYoutubeでチェックしてみました。苦戦する時は規律が乱れてペナルティーが増えるとか、アタックでミスが目立つ展開かなと予想していました。別の言い方をすればこの大会の相手に対して、パワーやスピードで圧倒されるような展開にはならないと思っていました。この試合では序盤に無理に繋ごうとしてミスして、相手に先手を許したり、後半残り1分を切って2人のシンビンが出たりですね。

アタックでボールを持てば必ず前に出てオフロードパスも繋いだり、目の前にスペースを見つけると仕掛けたり、常に相手の脅威となったマテイトンガ選手、写真は日本協会のHPから。

それでも失点直後にはしっかりアタックを継続してすぐに得点を返したことで、ゲームに悪い雰囲気を作ることなく良いパフォーマンスが出ていました。マテイトンガ選手の突破、鈴木陽子選手の相手を置き去りにするステップ、ダイナミックな走りでトライを奪った松田凜日選手など、それぞれの強みを存分に発揮していました。

2015年のリオ五輪アジア予選では代表に選ばれるも、その後は怪我などもありなかなか代表に定着できなかった鈴木陽子選手はDFをステップで抜き去って観客を沸かせました。写真は日本協会のHPから。

明日の1回戦はアジアのライバル香港が相手、日本時間12:06から

今日の予選の結果により、明日のトーナメントの組合せはこちら。
  ケニアVSアルゼンチン、ブラジルVSカザフスタン
  スコットランドVSパプアニューギニア、日本VS香港

順調に勝ち上がると準決勝はスコットランド、決勝はブラジルとカザフスタンの勝者と予想(予選では14-12でブラジルが1G差で逃げ切って勝利)しています。

高校3年生になったばかりの松田凜日選手もようやくの代表入り、チャンスでボールを受けるとしっかりトライしていました。明日は更に活躍するのを期待。写真は日本協会のHPから。

個人的には松田凜日選手がまだまだ良いパフォーマンスを見せ付けてくれるのを期待していますし、もちろん他の選手も怪我せず素晴らしいパフォーマンスを見せて圧倒して優勝してほしい。 それくらいの実力を発揮してこそ、来年の東京五輪への強化に繋がるし、およそ2週間後のワールドセブンズシリーズの北九州大会の相手は今回の香港のチームとは比較にならないですしね。

男子のシリーズ第7戦香港大会も明日開幕、初戦は南アフリカと

日本協会のHPには香港大会の登録メンバーもUPされています⇒こちら
今回は学生なし、ほぼトップリーグの選手で構成されています。前回の北米遠征からメンバーの入れ替えはありますが、ベテランの坂井選手が復帰していますし、帰化した選手も4名います。前半の入りをしっかり戦ってリードするような展開に持ち込みたい。明日は南アフリカ、土曜にサモアとスコットランドと試合です。非常に厳しい予選プールですが、何とか強豪相手に1勝してほしいですね。

明日は男女共に勝利に期待しています!頑張れJAPAN!!

明日から香港セブンズ開幕、頑張れサクラセブンズ

いよいよ明日の女子大会から開幕、優勝チームが来年度のコアチームに昇格、負けられない戦いが始まります!

昨年8月のアジア大会でのサクラセブンズ、香港大会の登録メンバーは大きく変わりました。写真は日本協会HPのギャラリーから。

昨年のアジア大会からベテランと若さが融合したメンバーへ

まず先ほど発表された大会登録メンバー⇒協会HPのリンク
1中村知春◎☆、2大黒田裕芽☆、3マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェ、4松田凜日、5香川メレ優愛ハヴィリ、6堤ほの花、7平野優芽☆、8長田いろは☆、9黒木理帆☆、10伊藤優希、11鈴木陽子、12小笹知美☆
(バックアップ)新崎麻未 
※◎はキャプテン、☆は昨年アジア大会金メダルのメンバー

昨年8月のアジア大会で金メダルを獲得したメンバーが6人、半分が入れ替わっています⇒WorldRugbyのHPの日本語ニュースのリンク(大会前に鈴木彩夏から黒木理帆に変更)先月のフランス遠征のメンバーと比べて見ると、4名が選ばれていません。コンディション不良など怪我の可能性がある選手がここ数ヶ月で増えてしまった印象があります。松田、香川の高校3年生2人、ベテランのマテイトンガが加わっています。☆印のある金メダル組にはチームをリードするプレーを期待したいですね。

コンディション不良による選手の入れ替えがある中、中村知春選手と共にコアメンバーとしてずっと活躍してきた小笹知美選手、ラグビー1年目の時に私も指導しました。写真は日本協会HPのギャラリーより。

個人的には攻守に豊富な運動量を見せる中村知春、巧みなランと鋭いタックルでチームを引っ張る平野優芽、パワーあふれるランのマテイトンガ(ライテ)、キレキレのステップでDFをかわす小さい巨人の鈴木陽子、チーム最長身のサイズでDFをずらして前に出てチャンスを作る小笹知美らに活躍を期待しています!

昨年8月に金メダルを獲得して表彰式後のサクラセブンズ、今年の香港では優勝トロフィーを掲げられるか。写真は日本協会HPのギャラリーから。

明日初日は予選プール試合予定はこちらです1試合目はメキシコ、そしてスコットランド、ベルギーと戦います。先月のフランス遠征で戦った相手と比べると、レベルは下の相手。初戦のメキシコは実力が劣ると思われるので試合の順番的にもよさそうです。個人的に気になる他の予選プールの国は、アジアのライバルでもあるカザフスタン、リオ五輪でも戦ったブラジル辺りでしょうか。勝敗の鍵は規律、余計なペナルティーをせずDFでしっかり我慢できれば、後半に走り勝てると思います。

相手はどうあれベストなゲームを見せて、圧勝して優勝してほしい。それが来年の東京五輪にも繋がります。日本の女子選手にいい意味で驚かせるような戦いを期待しています!

31日の全国高校選抜大会を見に行きました

31日の熊谷は各校共に予選2試合目、決勝トーナメントに進出するためにはどれも負けられない1戦、各校でそれぞれにチャレンジがありました。

どの試合も見応えがあった選抜大会、高校ラグビーはやはり面白い

朝9時半にキックオフの桐蔭学園と尾道の一戦は前半開始から桐蔭学園がトライラッシュ、開始15分で4トライを奪うなど58-7と大勝

熊谷駅からバスで向かい、降りたところからグランドが見えたのでそのまま第1試合を観戦。桐蔭学園が関東新人大会でも見せた力強いアタックを継続して自陣からアタック、尾道がビッグタックルを見せる場面もありましたが、DFの裏に抜けだすと素早いフォローから外に繋いでインゴールまで一気に走りきるなどトライを量産していました。チームとしてどこを狙ってアタックするか、しっかり共有できているからこそ、チャンスに数的優位を作っていると感じました。フォローがしっかり走り込んでトップに近いスピードで貰うので、スキルが高いですね。

東福岡がゴール前のラインアウトからモールを押し込んでトライ、城東はリザーブ2名のみで97失点も少ないチャンスで2トライを奪うなど決して諦めない良いチームでした

Cグランドに移動すると東福岡が徳島の城東を相手に猛攻を見せ100点近く奪いましたが、点差が離れても必死に食らいついた城東は少ないチャンスで2トライ。後半のトライは相手のミスからG前スクラム、1.5m押されるも止まった状態からNo8が持ち出してSH、SOが移動して数的優位をつくって1次攻撃でインゴールに飛び込んでいました。敵陣ではSHから裏へハイパントを蹴ってプレッシャーをかけるなど、東福岡にどうアタックするかチームで統一できていました。

天理と大分舞鶴の伝統校同士の一戦、フラットなラインから素早い展開でDFを振り回して前半だけで7トライを奪った天理が62点を奪って大勝、次は関東2位の流経大柏と決戦です

Bグランドでは前日に北越を相手に130-0と大勝した天理が大分舞鶴を相手に、前半から高速アタックを見せつけていました。天理のアタックはパスを投げる時に複数のランナーが走り込んでいて、DF側は本当に止めるのが難しい。この試合でも裏に抜け出して外のランナーに展開して走りきるトライが目立ちました。レフリーを担当したのが2月の成田でも話題にした後輩の荒井君でした。試合後に少し話を聞いたら、あのアタックはどういう練習をしたら出来るようになるのか関心していました。

地元浦和は学校の応援団、OBらのたくさんの声援を受けて秋田中央を相手に奮闘し、粘り強く戦い7点差まで追い上げるも惜敗。レフリーは女子の高橋真弓が担当。

開催県枠で出場した埼玉1位の浦和は秋田中央と対戦。共に予選の1試合目は大敗し、お互いがこの1戦に勝利を目指して戦っていました。前半はお互いチャンスを作るもミスからなかなか得点を奪えず、秋田中央がG前のラックからBKがDFのギャップに走り込んで抜け出し先制したのは前半24分。浦和も後半残り15分から2トライを奪い追い上げるも届かず。しかし攻守に迷わず前に出続けるようなプレーは見ていて応援したくなりました。ライバル多い埼玉県内でも再び勝ち抜いてほしいです。

BとCグランドを交互に見るように、たくさんの試合を見ましたが、どの試合も見所があって面白かったです。大勝したチームはなぜ簡単にトライを重ねられるのか、接戦の中でどうトライを奪うか、相手のミスをきっかけにあっさりトライを奪うなど実力を見せ付けるチームもあれば、1試合目から修正して攻守にひたむきにチャレンジするチームもありました。花園と違ってどのチームも予選リーグ3試合を戦う選抜大会は、大会中にも成長がはっきり見られるようで面白い。明日の予選第3試合も激戦になりそうですね。

今週は男女共に香港セブンズ大会、サクラセブンズは必勝の昇格大会

今週は毎年恒例の香港セブンズ大会、女子は来年度のワールドシリーズ大会のコアチームに昇格するべく、絶対に優勝しなければなりません。大会は4日木曜と5日金曜、予選の相手はメキシコ、スコットランド、ベルギーです。協会HPでも遠征メンバーが発表されています。男子も5日から3日間でワールドシリーズ大会第7戦が行われます、遠征メンバーはこちら。香港セブンズに関しては、また大会が始まる前にブログで改めて書きます。

世間では新元号「令和」が発表されてたくさん話題になったり、各地で大学の入学式も行われるなど、新たな動きが出てきていますね。新年度も引き続き縁JOYブログ、宜しくお願いします!