男子7人制代表アメリカ遠征と最近の女子7人制

男子セブンズ代表チームが3月1日からラスベガスで行われるワールドセブンズシリーズ第5戦アメリカ大会に出場します。協会HPのリンクはこちら

メンバーも発表されてすでに渡米していますが、驚きは常翔学園3年の石田吉平の選出ですね。2000年4月生まれの18歳、以前から花園でも注目される選手でしたが、練習生で合宿に参加して代表入りするとは正直思っていませんでした。おそらくリザーブで後半の途中からインパクトで出場する可能性が高いと思いますが、167cmのサイズでどれだけやれるのか期待せずにはいられません。

写真右が石田吉平、真ん中がユース五輪代表チームの梅田HC、左が茗溪学園の後輩でもある植村陽彦。写真は協会の合宿レポートから拝借

一方で代表チームとは別で男子SDS、男子セブンズU25も渡米しています。協会HPのリンクはこちら。現地ラスベガスで行われる国際大会「ラスベガス インビテーショナル」に出場します。詳細(英語)はこちら

この大会は女子含め様々なカテゴリーの大会が行われているようです。確か昨年の大会にARUKAS QUEEN 熊谷も参加したと思います。リンク先の大会のHPを見ましたが、組合せなどは発表されていないようです。

今回、男子セブンズU25という今まで聞いたことのないカテゴリーの代表チームが出来ました。メンバーを見るとこの時期、試合のない大学生がほとんどでそれに社会人と高校生(先ほどの写真左の植村)が加わった17名。おそらくこれにSDSの7名を加えた2チームで大会に参加すると思います。男子は国内シーズンのスケジュールもあって、代表以外で遠征含め国際試合を経験する機会が非常に少ないです。厳しい戦いになりそうですが、今後の代表入りを目指してアピールするには良いですね。

女子の7人制代表は先日、SDSとしてオーストラリアに強化遠征を行っていました。協会のHPにあるレポートはこちら。現地ではオーストラリア代表のトップとディベロップメントの混成チームと練習試合を行ったようです。メンバーを見ると昨年のアジア大会で金メダルを獲得した選手がだいぶコアで固まっていますね。現地は気温が35度近くの猛暑日もあったそうです。

海外で強豪相手に試合経験を重ねて4月の大会に備える女子SDS、写真は遠征レポートから拝借

4月には香港で行われる来年度のシリーズ大会のコアチーム昇格大会、そして北九州で行われるワールドセブンズシリーズに招待チームとして参加します。それに向けて3月にはまた海外での強化遠征も予定されているようです。国内では15人制のシーズンが終盤ですが、7人制サクラセブンズの動きも追っていきたいと思います。

女子15人制日本代表レズリーHCの就任記者会見と経歴

1月30日にレズリー・マッケンジーHCの就任記者会見が行われました。日本協会のHPにも記者会見の様子がUPされています。

レスリー・マッケンジーHCは38歳、写真はラグビーリパブリックの記事から借用

先日のブログでは参加メンバーについて書きました。今回の会見は多くの取材陣が集まり、他にも多くの記事を読みました。ここではラグビーリパブリックの記事のリンクも載せますね⇒「サクラウエーブで独自性。女子15人制代表・マッケンジーHC、強化展望語る。」

レズリー(Lesley McKenzie)HCの経歴も載せてみました。日本協会のHPにも掲載されています。W杯にはカナダ代表で2回出場、加えてNZでもコーチング歴があるのは素晴らしいことだと思います。私も2015年にウズベキスタンの男子15人制と女子7人制を指導しましたが、それはあくまで経験。コーチングをしっかり学ぶ上でNZという環境を選んだのは間違いないでしょう。

●選手歴
  1999-2006  ブリティッシュコロンビア大学 HO/FL
  2004-2011  カナダ代表 HO(カナダ代表25Caps、女子ラグビーワールドカップ出場2回=2006年、2010年) 
  2008      ジョンソンヴィル・ラグビークラブ(NZ・ウェリントン) WTB/FL
  2009-2012  ワイヌイオマタ・ラグビークラブ(NZ・ウェリントン) FL/HO
  2008-09    ワイヌイオマタ・ラグビーリーグ(NZ・ウェリントン) セカンドロー・フォワード
 ●指導者歴
  2008-2011  ブリティッシュコロンビア大学女子ヘッドコーチ
  2012-2015  ウェリントン・ガールズ&ウィメンズ デベロップメントコーディネーター
  2012      カナダ FISU セブンズチーム ヘッドコーチ    *FISU 国際大学スポーツ連盟
  2015-2018  ワンガヌイ デベロップメントオフィサー(Wanganui NZ)
  2015-2018  ハリケーンズU18デベロップメントキャンプ リソースコーチ
  2016-2017  ワンガヌイ女子セブンズ ヘッドコーチ(Wanganui NZ)
  2016-2018  ハリケーンズU20バーバリアンズ、U20ハートランド アシスタントコーチ
  2017-2018  ワンガヌイ・マリスト・セルティック男子Div 1 ヘッドコーチ
  2018-      女子7人制日本代表アシスタントコーチ 

2017-2018にNZの男子のDiv.1のクラブのヘッドコーチをしています。私も2012年にNZにコーチング留学させてもらい、ノースハーバー地区のクラブチームで4ヶ月ほどお世話になりました。NZのクラブのトップチームで指導した経歴が気になったので調べてみました。ワンガヌイ地区はNZ北島の南、首都ウェリントンから北におよそ200km離れた地区です。

Wanganui Marist Celtic RugbyのFacebookページのカバー写真を拝借

ワンガヌイ地区のプレミアリーグの戦績(英語)を見ると、8チームのリーグで8勝6敗と勝ち越して5位でした。ボーナスポイント見ると1位のチーム(10勝4敗)と同じ11ポイントなので、上位チーム相手にも接戦が出来ているわけのではないでしょうか。私も女子の指導に苦労しましたが、女子が男子を指導するのはそれ以上の苦労がある気がします。何よりそういった経験のある女子の指導者を見たことは正直ないというか、聞いたことはありません。

昨年5月のNZヘラルド紙に、レズリーHCがワンガヌイ協会を離れることが記事になっていました⇒Wanganui Rugby Union development officers Justin Lock and Lesley McKenzie leave the nest

軽く目を通しましたが、ワンガヌイ協会にたくさんの貢献をしていたのが伝わってきました。 レズリーHCは2021年のW杯に向けて「サクラウェーブ」という言葉を挙げたそうです。イメージは上記のリンク先にも書かれていますが、私は男子代表HCのエディーさんやジェイミーさんと同様、「日本ラグビーの独自性」「オリジナル」といった部分を強みにしていく意向なんだと思います。今の時代、国際レベルでオリジナルのスタイルを築き上げるのは非常にハードルが高く、難題です。

サクラセブンズと比べて、選手を集めての合宿など拘束時間など強化費用も限られる中でどれだけ強化を進められるか。正直、今の環境のままでは頑張って鍛えても2017年W杯と同様の結果になるかと個人的には予想しています。協会がどのように代表チームの強化を進めていくかのビジョンを提示したり、代表に関するスケジュールなどの情報を公開して、周りの関心を高めるかも含めて今後の動向に注目しています。

日本協会のHPにあった上富田での合宿のレポートにあった写真を拝借

ともあれようやく動き始めたサクラフィフティーンの活動、W杯出場を目指す選手たちのモチベーションは高まっているでしょうし、2月は関東大会に加えて関西大会も行われます。代表も7月にオーストラリア遠征を予定しているみたいで、もしかしたらオーストラリアのスーパーラグビーの女子チームと試合する機会などあるかもしれません。まずは国内で15人制の試合経験、それも80分間なるべく高い強度で最後まで勝敗がわからない接戦を戦い抜くような経験を積み重ねて欲しいですね。その先に日本人よりもサイズもスピードもある海外の強豪国とのテストマッチの勝利を信じて。

最後にヨーロッパでは伝統のある6カ国対抗戦がいよいよ開幕します。女子の試合も行われ、2017年W杯で日本と戦ったフランス、アイルランドなどの強豪チームはここで試合経験を積み重ねています。今週末は女子のワールドセブンズシリーズのオーストラリア大会もありますね。時間があればYoutubeで海外の試合も見て、ブログに観戦記を載せられたらと思います。

女子15人制合同合宿の参加メンバーについて

19日に合同合宿の参加メンバーが日本協会のHPで発表され、20日に集合して和歌山県上富田町で24日まで合宿を行っていました(写真つきの合宿のレポートはこちら) 。16日に新しい日本代表のヘッドコーチとしてレズリー・マッケンジー氏が就任したことも日本協会のHPで発表されています。元々は7人制日本代表サクラセブンズのアシスタントコーチも任されていますが、しばらくは兼務するみたいです。

そもそも女子15人制日本代表は2017年8月のアイルランドW杯を終えてから、この1年半近くの間、代表活動が休止していました。ベスト8進出を目指して挑みましたが、結果は12チーム中11位。最終戦はアジア予選でも戦った香港を相手に、44-5で快勝(日本協会のHPにある香港戦レビューはこちら)したものの、海外の強豪から勝利を勝ち取ることは出来ませんでした。

しかし国内で15人制日本代表サクラフィフティーンを応援していたファンからは今までにないくらいたくさんの期待と応援がありました。試合を見ていたトップリーガーの選手がTwitterなどSNSで情報発信しているのを私も見て驚いたくらいです。そして次の大会に向けて、出場していた選手たちも4年間しっかり準備を重ねれば間違いなく強豪国を破ってベスト8に入れる手応え、自信を掴みました。

高まっていた期待もこの1年半で変わりましたが、2017年W杯のサクラフィフティーンは大学生を中心に若い世代が引っ張っていたので、ここから2021年のニュージーランドW杯に向けて、どう成長していくのか楽しみです。ラグビーマガジン最新号(3月号)の129ページにも女子15人制代表について記事が掲載されています。

今回は社会人の選手を15人制強化合宿、大学生以下の選手を女子TIDキャンプの参加メンバーとして、合わせて37名が召集されていました。HPでのメンバー発表には所属チームとサイズが載っていましたが、ポジションがなかったので、今回は私なりにポジション別に分けて紹介します。なおアイルランドW杯の代表メンバーには頭に★マークを、高校生選手には☆マークをつけます。

FW 19名(うちコンディション不良による不参加2名)

PR ★南早紀、★江渕まこと、加藤幸子、細川恭子、(不参加)★藤本麻依子

HO ★小林ちひろ、★齋藤聖奈、★鈴木実沙紀

LO 松尾綺子、松永美穂、★三村亜生 、村上愛梨、☆阿部純佳、★櫻井綾乃

FL/No8 荻原春花、★高野眞希、★塩崎優衣、永井彩乃、(不参加)永岡萌

BK 14名(うちコンディション不良による不参加1名)

SH 原仁似奈、新原響

SO 大塚朱紗、☆西村蒼空、古田真菜

CTB 小林花奈子、鹿尾みなみ、(不参加)内海春菜子

WTB/FB ★田坂藍、★平野恵里子、本間美月、保井沙世、庵奥里愛、名倉ひなの

未定 4名(自衛隊体育学校所属やセブンズユースアカデミーでの活動が中心のため)

石井寿依(WTB??) 、葛西杏奈(LO??)、星野恵(FW??)、☆香川メレ優愛ハヴィリ(FW??)

参加メンバーのHPでのサイズを見ると、身長170cmオーバーが5名、体重70kgオーバーが8名になります。サイズについてはW杯で体格に優れている世界の強豪チームと、中3日で戦って勝ち上がるためには、大事な要素だと感じています。しかしW杯のアイルランド戦では、サイズに劣るFWがまとまってスクラムを押し込み、スクラムトライを奪いました。代表候補選手それぞれが自分のチームでハードワークしてどれだけパワーアップできるかが代表チームの結果に直結します。

そしてHPでの発表を前に召集はされたものの、コンディション不良や学業都合により参加を辞退した選手もいるようです。今後は海外チームとのテストマッチも予定されているそうなので、今回の参加メンバー以外からも代表入りしてくる選手は出てくるはずです。
代表最年少ながらアイルランドW杯で大活躍し、大会ドリームチームに選ばれた青山学院大学の津久井萌選手(写真は高木哲也氏より)
今年の太陽生命WSSで総合優勝を果たした日本体育大学のキャプテン山本実選手(写真は日本協会のHPより拝借)

女子は男子と比べると7人制の活動が活発ですが、15人制の代表活動もようやく動き出しました。サクラフィフティーンが目標を達成するためには、選手だけでなく、協会をはじめ関係者の努力、協力があってこそです。チームJAPANという形を作れるように、まずは3月の全国選手権に向けて、各チームが面白い試合を魅せてくれるのを期待しています!