関東女子大会第4節 日本体育大学女子ラグビー部 VS フェニペガルーヴ

今回は3日に熊谷で行われた日体大女子ラグビー部とフェニペガルーヴの試合について書きます。日体大女子はこれまで2勝をあげ前節は試合がなくじっくり調整してきたことが予想されました。対してフェニペガルーヴは3敗でこの試合がリーグ最終戦、王者日体大に対してどんなゲームをするか注目しましたが、結果は前回のブログでも書いたとおり日体大が43-12で勝利しました。

KOから怒涛の攻撃、今まででベストのプレーを見せたフェニペガルーヴ

ATDFともに粘り強く戦ったフェニペガルーヴ、写真は高木哲也氏

フェニペガルーヴはKOでボールを確保するとアタック開始、前の試合ではタックル後のボールの争奪でやられる場面もありましたが、この試合はボールをキープし続けて、開始から攻め続けます。敵陣22mで日体大にボールを奪われてキックをされますが、そこから再び攻め続けて開始から5分以上もプレーが切れず、両チームとも激しい攻防を見せました。

ダブルタックルで相手を倒しにいく日体大女子、 反則が多かったものの80分固いDFを見せた

日体大は自陣で固いDFからボールを奪うと、一気に敵陣に攻め込みます。G前まで攻め込んだあと、前半12分に相手のキックをチャージしたのを抑えて先制トライ。その後もこの日は12番で出場した主将の山本実選手のキックでエリアを進め、13番で出場の名倉ひなの選手の突破など両CTBの4年生の活躍が目立ち、前半で4トライを奪って試合を優位に進めました。

フォローで球を貰うとインゴールまで走りきった塩崎選手、写真はラグビーずきのせんしさんのTwitterから拝借

フェニペガルーヴの反撃は前半30分、日体大のキックをキャッチして、上手く味方に繋いで外に展開。タッチライン際を鈴木実沙紀選手が上手く回転しながら突破してチャンスを作りフォローに繋いで最後は塩崎優衣選手が追いかけるDFを振り切ってトライを返しました。攻める気持ちは切れず、自陣22m内でも継続してボールを動かしますが、キックから相手にボールを渡すと守りきれず、ノータイムに4トライ目を奪われて24-5で前半を終えました。

後半になると、前半と比べてATよりもDFで粘り強く我慢する時間帯が増えました。日体大女子のワイドなアタックに対しても13番原わか花選手が前に一気に飛び出して相手のミスを誘うなど、最後までチーム皆が積極的なプレーを見せます。それに対して日体大はATパターンが多く、着実にゲインを重ねて前に進んでいきます。そして敵陣深くに入るとしっかりトライを奪ってリードを広げていきました。

前の試合から先発メンバーが替わっても、層の厚さを見せた日体大女子

前の試合は8番で出場、後半に豪快なステップでDFをかわしてトライを奪った13番名倉選手、写真はラグビーずきのせんしさんのTwitterから拝借

日体大女子はこの試合、前の試合から1ヶ月以上開きましたが、先発メンバーが6人も入れ替わりました。特にBKで同じポジションで出場したのは9番と15番のみ、それ以外は10番だった山本実選手が12番、8番だった名倉ひなの選手が13番に入るなどもしかしたら17日の最終戦、全国選手権に備えての意図が何かしらあったのかもしれません。しかし出場メンバーが変更しても、大きく崩れることなくATでは素早いフォローからテンポよく攻め続け、DFでは素早いノミネートからしつこく守りぬくいつもの日体大女子のラグビーを見せてくれました。タックル後のブレイクダウンで反則が目立ったものの、終始良いタックルを見せていました。

後半26分に外から内に切れ込んでボールを貰いインゴールに飛び込んだ山本実選手、名倉選手と2人で4トライを奪う活躍。写真はラグビーずきのせんしさんのTwitterから拝借

またこの日は山本実選手に替わってキッカーを務めた11番片山選手も安定したキックを見せて7本中4本の成功。前の試合は欠場していたFWの高崎選手が14番WTBで出場して2トライを奪う活躍を見せるなど、先発メンバーが替わっても層の厚さを感じさせる試合内容で、総合力の高さを見せつけました。そして3試合を終えて総失点はわずか24点(4T)と固いDFを持ち、全国選手権の優勝候補は間違いなく日体大女子でしょう。

第4節を終えての勝敗表はこちら。

勝ち点と得失点差で並べて今の順位は
1位 勝ち点15 日本体育大学女子ラグビー部(3勝+103) 優勝確定
2位 勝ち点9 RKUラグビー龍ヶ崎GRACE(2勝1敗+18)
3位 勝ち点9 Sweets(2勝1敗‐11)
4位 勝ち点6 アルカス八戸Artemi-Stars(1勝2敗+8)
5位 勝ち点0 フェニペガルーヴ(4敗‐118)

そして17日に行われる最終第5節の組合せは
12:00 Sweets VS アルカス八戸Artemi-Stars
13:45 日本体育大学女子ラグビー部 VS RKUラグビー龍ヶ崎GRACE

3位までが出場できる全国選手権への出場権争いは熾烈

勝敗表を見ながら出場権争いを考えてみました。
・Sweetsは勝てば3位以上確定、得失点差を埋めるべく多く得点したい
・アルカス八戸アルテミは勝利が絶対条件、勝てば2位の可能性大
・RKUグレースは前の試合の結果によっては3位以上が確定、得失点差の争いになる可能性大

17日の最終節の2試合は非常に見ごたえがありそうですね。
そして3日に三重県鈴鹿市で行われた関西大会の2試合のスコアは
名古屋レディース 37‐15 大阪九州選抜
Blue Peaglets 121‐0 神戸ファストジャイロ
※Blue Peagletsは三重パールズ、ながとBA、四国大学、兵庫レディースの合同

関西大会は女子15人制日本代表のレズリーHCが視察に、写真は関西ラグビーフットボール協会のFacebookから拝借

女子ラグビーの15人制のシーズンも残り1ヶ月となりました。3月3日の全国選手権に向けて、引き続き選手の活躍を楽しみにしています。

関東女子大会第3節 アルカス八戸アルテミスターズ VS RKUラグビー龍ヶ崎グレース

今回は関東女子大会第3節の2試合目の観戦記です。まず第3節の前までの両チームの戦績になります。

アルカス八戸アルテミスターズ 1勝1敗(VSフェニペガルーヴ 46-10VS日本体育大学女子ラグビー部 7-34)

RKUラグビー龍ヶ崎グレース 1勝(VSフェニペガルーヴ 34-0)

お互い2勝目をかけた試合、5チームの総当り戦なので全国選手権に出場できる上位3チームに入るためには負けられない1戦です。フェニペガルーヴを相手に得点差がほぼ同じ、実力伯仲の試合は最後まで勝敗がわからない展開になりましたが、結果はRKUラグビー龍ヶ崎グレース15-14アルカス八戸アルテミスターズになりました。

互角の展開もチームとしての成熟度、運動量でチャンスを得点に繋げて接戦をものにしたRKUグレース

RKUグレースは序盤、自陣からも積極的に左右に展開してアタックを試みます。この試合に向けて、男子を相手に試合形式の練習もしてきたRKUグレースのアタックはしっかり準備してきたのを感じさせるアタックでしたが、接点での反則から相手ボールになるなどなかなか敵陣に入ってチャンスを作れずに我慢の展開でした。

RKUグレース最初の得点は内海春菜子選手がエリア中盤からキックを使った個人技でもぎ取ったトライ

その中で前半唯一の得点は13番に入った内海選手の個人技からでした。BKラインで貰うとDFラインの裏にパントを上げて、転がった球を相手より先にキャッチしてそのままDFを振り切ってインゴールに飛び込みました。この素晴らしいトライは我慢の展開が続いたRKUグレースに勢いをもたらし、ハーフタイムまで敵陣でプレーする時間が続きました。

その後、後半開始直後に相手のキックをキャッチしてからアタックを継続し、最後は外を抜けた11番の高橋選手が逆転のトライ。さらにゴール前に攻め込んでFWが追加のトライを奪い、コンバージョンは惜しくも決まらなかったものの15-7と8点差をつけ、ここから粘り強く守ってチャンスを伺う状況に持っていきました。

スクラムや接点でプレッシャーをかけ、一進一退の攻防を魅せるも届かなかったアルカス八戸アルテミスターズ

アルカス八戸アルテミスターズは前節で日体大に7-34敗れたものの、後半は7-5と互角の戦いでした。先発メンバーをFBの田坂選手以外をアルテミスターズで固め、特にFWはフロントローの3人をはじめ5人が日本代表経験者でもあり、この試合でも自信を持ったスクラムを起点に序盤はアタックでもエリアを優位に進めていました。その中でG前に攻め込んでチャンスを作り、相手の反則からクイックで仕掛けたFL小西選手が先制トライを奪いました。

粘り強いDFを振り切る豪快な突破で2トライを奪った小西選手、RKUグレースの内海選手とは國學院栃木高校で同期

その後もDFではラックでプレッシャーをかけるなど、力強さが目立ちましたが自陣からのアタックでのミスが目立ち始め、RKUグレースの勢いを受けなかなか敵陣に入れずに7-5と2点リードで前半を終えました。

そして後半の始めに逆転を許し、追いかける展開になる中で徐々に運動量が落ち始めました。それでもボールを持てばSH津久井選手がテンポよくパスを捌き、個々の選手が接点でも前に出ようと粘り続けます。相手キックのカウンターからラックを重ね、敵陣10m付近でボールを受けた小西選手が相手をかわして抜け出すとそのまま40mを独走、田坂選手のコンバージョンも決まって1点差に迫ります。

そして後半残り10分からお互い体力的にも苦しい中で必死の攻防を見せました。キックを蹴っては必死に追いかけて相手を捕まえる。アタックでもFWとBKを使い分けて前に出ようとする。プレーが切れるたびに両チームとも残り時間を確認するような戦いでした。最後はアルカス八戸アルテミスターズが敵陣22mに入って攻めるもミスが出て終了。個々の力強い突破を何とかチーム皆で粘ったRKUグレースのDFが光った試合でした。

どちらが勝ってもおかしくない好ゲームでしたが、見ていて感じたのはRKUグレースの迷いのないプレーでした。ATでもキャリアーにサポートが素早く寄ってラックを作って球を捌き、DFでも素早いセットから前に出て2人でキャリアーに絡んで倒すなどしっかり練習してきたことを感じました。リザーブ含めて21人でしたが、交代はBKで入れ替えの1名のみ。決して人数が多くない中、選手は最後まで走り勝つイメージで練習してきたと思います。おめでとうRKUグレース。

第3節を終えた関東女子大会、勝敗表はこちら

上位3チームが3月3日の全国選手権に進みます。全体の順位ですが

1位日本体育大学女子ラグビー部 2勝 得失点差+72

2位RKUラグビー龍ヶ崎グレース 2勝 得失点差+35

3位アルカス八戸アルテミスターズ 1勝2敗 得失点差+8

4位Sweets 1勝1敗 得失点差ー28

5位フェニペガルーヴ 3敗 得失点差ー87

そして第4節は来月3日、熊谷ラグビー場Bグランドで行われます。

1試合目 Sweets VS RKUラグビー龍ヶ崎グレース

2試合目 日本体育大学女子ラグビー部 VS フェニペガルーヴ

1試合目はSweetsが全国選手権出場に向けて負けられない1戦、RKUグレースは勝って最終日に日体大と優勝をかけた1戦にしたいですね。2戦目は昨年から関東で負けなし、好調日体大に対して、初勝利を目指すフェニペガルーヴがどういった戦いを見せるか。

3日はCグランドで高校生の15人制も行われます。私はここ4年くらいの間、女子ラグビーを見ていますが、高校生含め、年々スキルもフィジカルもレベルが上がっています。そして女性レフリーも20代の若いレフリーが増えてきて、皆が経験を重ねて良くなっていますし、国内大会の充実が代表チームの強化、国際大会での成績に繋がると思います。

先日は女子日本代表サクラフィフティーンの候補合宿も和歌山県で行われました。代表含め女子ラグビーの話題を、今後も色々と紹介して伝えていきますので、応援宜しくお願いします。

関東女子大会第3節 Sweets VS フェニペガルーヴ

ブログを始めましたが、私の設定ミスでさっそく見れない不具合が発生してしまい、ご迷惑をおかけしました。(原因は簡単に言うとドメインとサーバーの設定ミスです・・・余計なことをしたら気づかぬうちに変更されてました)

そして、最初の自己紹介の記事が削除されたので改めて最初の記事。19日に行われたSweetsとフェニペガルーヴの観戦記になります。まずお互いの試合前の勝敗を確認します。

Sweets 1敗(VS日本体育大学女子ラグビー部 5-50)

フェニペガルーヴ 2敗(VSアルカス八戸アルテミスターズ 10-46、VSRKUラグビー龍ヶ崎グレース 0-34)

※第2節を終えた時点での参加チームの勝敗表はこちら。

関東女子大会の上位3チームが3月に小田原で行われる全国女子選手権に出場するので、両チームともこの試合で負けると選手権への出場は非常に厳しくなります。それもあり試合も非常に激しいものとなりましたが、結果はSweets17-0フェニペガルーヴとなりました。

接点でのファイト、タックルへの素早い寄りでDFからゲームを優位に進めたSweets

Sweetsはヴェロニカ選手のキック中心に敵陣でのプレーを増やした

Sweetsはこの試合、非常に良いDFをしていました。タックル後の攻防で2人目が素早く寄ってジャッカルからボールを奪う機会が多かったです。その中で反則を重ねる時間帯もありましたが、前半は7回取られたものの後半は1回のみ。ハーフタイムでしっかり修正してきました。

ATではグランドをワイドに使って左右に展開していましたが、前半はラインの外側でハンドリングエラーが目立ったものの、後半はシンプルに縦に仕掛けて前に出るアタックが増えました。その中でNo8のシャーロット選手が1対1の場面を突破してゲインし、チャンスを作る場面が目立ちました。接戦を勝ちきるためにはキープレーヤーが活躍するのは大事です。そしてスクラムでも徐々にフェニペガルーヴを圧倒し、後半はスクラムトライを奪っています。

積極的に仕掛けるもののトライまでわずかに届かなかったフェニペガルーヴ

フェニペガルーヴは塩崎選手がペナルティーから積極的に仕掛けた

対してフェニペガルーヴは、相手の反則からクイックで仕掛けて前に出る場面が多かったです。ただサポートの遅れや接点の攻防で劣勢になり、ボールを奪われる場面も多かった。

FBで出場の山田怜選手のラインブレイク、今大会初出場

ハンドリングエラーも少なく、ボールを展開し続けるる中で裏に抜け出すチャンスもありましたが、SweetsのしつこいDFもありトライまで継続できませんでした。試合の終盤でもテンポ良いパスで敵陣に入るも、最後はラックでプレッシャーを受けてボールをキープできずに終了。

DFでも前の試合に比べてしっかりセットして左右との連携も良くなっていましたが、なかなかボールを奪えず、スクラムの劣勢もあって後半は自陣でプレーする時間が多かったです。プレーしていた選手は、我慢の時間が多くメンタル的にもきつい試合だったと思います。

NZ留学から昨年11月に帰国した鈴木実沙紀選手、この試合でもシャーロット選手を低く強烈なタックルで倒すなど奮闘

結果はSweetsが完封勝利しましたが、両チームとも自分たちの強みを出した試合だったと思います。お互い合同チームでチームとしての練習時間を確保するのが難しいなかで、ミスをフォローしようとする、キープレーヤーが攻守にアグレッシブにチャレンジするなど見ていて気持ちの伝わる良い試合でした。お互い次の試合に向けて、さらに修正して良い試合をしてくれるのを期待しています。

第3節を終えての勝敗表はこちら。Sweetsは1勝1敗で次はRKUラグビー龍ヶ崎グレース。フェニペガルーヴは3敗となり、次が最終戦。相手は日本体育大学女子ラグビー部です。

次回は第3節のもう1試合、アルカス八戸アルテミスターズとRKUラグビー龍ヶ崎グレースの観戦記になります。

なお掲載写真は高木哲也さん撮影のものです。ありがとうございます。まだまだ不慣れなブログ、早くデザインを整えたり、見苦しい点が多いですが、引き続き宜しくお願いします。