関東女子大会 Sweets VS Arukas八戸Artemi-Stars

17日に行われた関東女子大会最終節の第1試合、勝ったほうは全国選手権への出場が決まる試合は後半ラストプレーで得点が動くなど、最後まで目の話せない1戦でしたが、結果は先日のブログでもお伝えしたとおり、アルカスアルテミが19-11でSweetsに勝利しました。

風上のチームが主導権を握る攻防の中、キックの重要性を感じた

前半は風上のSweetsのキックオフでスタート、そのまま敵陣で攻め続けると前半6分、11分と正面のPGを15番ヴェロニカ選手が決めて6-0とリード。アルカスアルテミは風下でキックを蹴らずに継続して攻めるも、FWが前に出てフォローが遅れたところではSweetsのDFが素早くジャッカルし、反則を誘うなど良い判断を見せて序盤を優位に進めました。ヴェロニカ選手のキックもあり、前半はSweetsのアタック時間が多かったです。

アルカスアルテミはリスタートのKOから敵陣に攻め込むもチャンスのラインアウトをキープできなかったり、得点に繋げられず。しかしスクラムでは先日の日本代表候補合宿にも呼ばれた選手が多くいるFWが、常に押し込んでプレッシャーをかけていました。前半は風の影響もあって自陣でのプレーが多かったですが、ATを修正して自陣G前での反則を減らしました。得点のチャンスは作れなかったものの我慢して前半はそのまま1T1Gで逆転できる得点差で終えました。

風上の後半、得点チャンスをトライに繋げたアルカスアルテミ

攻撃の起点として球をテンポよく捌いたSH津久井、DFでは的確なポジショニングで相手のキックをダイレクトでキャッチして素早いカウンターに繋げた。写真は高木哲也氏

後半は風上のアルカスアルテミが積極的なアタックを見せました。敵陣でのプレーを増やしチャンスを作ると10分にスクラムから10番古田選手がDFのギャップを抜け出してポスト下にトライ、15番田坂選手のゴールも決まって7-6と逆転。その後も相手のキックを9番津久井選手やBK3が上手く処理して攻めるなどSweetsにプレッシャーをかけ続けてチャンスを伺います。

G前のチャンスにトライを奪ったNo8高野選手、後半36分にはスクラムから持ち出してインゴールに飛び込むなど、大会通算6トライでトライ王と得点王になりました。写真は高木哲也氏

アルカスアルテミはスクラムで優位に立ったことがで、気持ちが常にアタックマインドをキープすることが出来たかもしれません。FWを中心に個々のフィジカルは強く、ATを継続して後半21分にペナルティーからスクラムを選択すると、そこから継続して前に出てG前に攻め込み、ラックから最後は8番高野選手が持ち込んでトライを奪い12-6.そして36分には攻め込んでG前のスクラムから再び8番高野選手が持ち出してインゴールに飛び込み、19-6と勝負を決めました。

Sweetsは後半は相手G前に進めない苦しい展開でしたが、リスタートのKOから相手ボールを奪って前進すると、敵陣22m右でスクラムを獲得。時間的にもこれがラストチャンスでしたが、ボールを左に展開すると外を11番平野選手が抜け出して左中間にトライして11-19と追い上げます。最後のキックが決まると、6点差となりBPを1獲得しますが、風下のキックは残念ながら外れて終了。結果的に勝ち点が並んだRKUグレースと得失点差の争いになり、4位になりました。

振り返ると風の影響がプレーや試合の流れに反映して接戦になりました。全体のキックスキルは上がっているものの、飛距離が男子ほど伸びないので、女子はキックでエリアを大きく挽回するのは難しい部分があります。その中でキックチェイスだったり、キックに対してどうポジショニングしてカウンターアタックを仕掛けるかが勝敗を分けるようになってきています。優勝した日体大はその部分が他のチームよりも上回っていました。それについては次回の観戦記で書きますね。

関東新人大会、都県対抗戦@中台運動公園

16日土曜に成田市の中台運動公園で行われた試合を観戦してきました。JR成田駅から道を真っ直ぐ進んで徒歩10分程度で来れました。試合会場としてはアクセス良いほうですね。

球技場で行われた都県対抗戦、Aブロックは青の神奈川が東京に勝利。レフリーは後輩の荒井。

球技場で行われた都県対抗戦、関東新人大会への出場を果たせなかったチーム(各都県の3位以下)の選手で構成される選抜チームを4ブロックに分けて行われています。Aブロックでは強豪の神奈川と東京の対決、スキルの高い両チームでしたが神奈川が終始、優位に立って47-12で快勝し、翌年のAブロック残留を決めました。

この試合、レフリーは後輩の荒井くんが担当していたのもあり、この日フルで観戦た唯一の試合です。荒井くんは東福岡を倒して花園ベスト8を達成した学年でHOを任され卒業後にレフリーの道を志し、今は社会人として仕事をやりつつ、関東協会のB級レフリーとして活動しています。この試合でも自分が見る限り、早めの判断といいタイミングで笛を吹き、良いマネージメントをしていると感心しました(私は過去に茨城県C級レフリーの資格を取っています)

接戦になるかと思いましたが、神奈川が攻守ともに素晴らしく、東京を上回っていました。Twitterで見つけたメンバー表を見ると10番キャプテンの池戸選手(東海大相模)が目立ちました。最近はスクリューで長いキックを蹴る選手を見るほうが少ないのですが、池戸選手のキックは大学生のように飛距離が出ていました。トライ後のキックも蹴った瞬間の音がちょっと違いましたね。神奈川のBKは全員が東海大相模の選手でしたが、彼のキックと素早いDFで神奈川は前半の7割くらいを敵陣でプレーしていたかと思います。

東京もキャプテンの3番吉田選手、5番トコラヒ選手(ともに目黒学院)が接点で前に出る場面もありましたが、少しフォローが遅れたり、タックル後のファイトが疎かだったりすると、神奈川にターンオーバーされていました。戦い方含めてチームの成熟度が得点差に現れたのかと思います。都県対抗戦の結果は以下。
Aブロック 神奈川47-12東京 (来年東京はB降格)
Bブロック 千葉20-7群馬  (来年千葉がA昇格、群馬はC降格)
Cブロック 埼玉71-0茨城  (来年埼玉がB昇格、茨城はD降格)
Dブロック 山梨74-7栃木  (来年山梨はC昇格)

各都県でチーム数だったり上位2校と3位以下の学校で差があるのが、実力差にも繋がりますね。個人的にはCとDのようなミスマッチは減らしたいので、上下で4チームずつに分けてトーナメントを行いA4位とB1位が入れ替えみたいな方式はどうかなと思いました。大会を1日で終わらせるのであれば、30分1本でするとか・・・邪道な方式ですみません。

Dブロックは大型FWを擁する山梨が栃木に圧勝、レフリーは小菅礼子さん。高校の関東大会のカテゴリーで女性がレフリーを吹くのを見たのは初めて。

関東新人大会は流経大柏、桐蔭学園が大勝して決勝進出

陸上競技場では新人大会の順位戦と準決勝が行われました。順位戦は勝者がそのまま全国選抜大会への出場権を獲得しますが、慶應義塾が佐野日大を、國學院栃木が日川をそれぞれ勝利。準決勝は流通経済大柏が先週、茗溪学園と慶應義塾に勝利して勝ち上がった早稲田実業を相手に後半に6トライを奪って52-0で完封勝利。そして桐蔭学園が本郷に50-15で大勝し、明日行われる決勝戦に進みました。

ともに後半途中から観戦しましたが、流経大柏、桐蔭どちらもトライを奪ったあとのKOをキャッチすると蹴らずに展開して自陣から継続したアタックをしていました。流経大柏はFW周辺というより、SOから外の辺りのDFのギャップに走りこむのを意識してアタックしていた印象で、裏に抜け出したあとそのまま外のフォローに繋いで自陣からトライを奪うシーンもありました。桐蔭はもっと戦略的というか、どこに展開して、どこでコンタクトして、というのがチームとして予め決まっていて、その中にパスかヒットかオプションがあってその場でコールを出して判断しているのかもしれません。当たり前なことかと思いますが、その精度と個々の強さが抜けていますね。

桐蔭のNo8佐藤選手は花園でも話題でしたが、この試合でも良い突破を見せてトライも奪っていましたね。桐蔭は少人数のラックを何度も継続してテンポよくフラットにアタックしながら、数的優位が出来たところで裏に出て一気にトライを奪う、そんなイメージです。後半の少しの時間しか見れませんでしたが、チームの成熟度の高さを感じました。

明日は決勝戦が行われますが、ここまで大勝続きで勝ち上がってきた2校が決勝戦で競った展開になったときに、どちらがより自分たちのスタイルを発揮して前に出れるかが注目です。前評判は桐蔭学園だと思いますが、どうなるか。

私は熊谷に向かって女子の関東大会に行ってきます。

追記。Youtubeに動画がUPされていたので、貼っておきます。
 ⇒桐蔭学園(神奈川)vs本郷(東京)前半戦 後半戦

母校の突寒ラグビーと筑波大医学ラグビー部の試合観戦

更新が遅くなりすみません。先週末の出来事になりますが、実家に帰ったときに行ってきました。

茗溪学園、高校2年生の伝統行事「突寒ラグビー」

茗溪学園の高校2年生(+学生寮に住む生徒)は、2月の上旬に短期入寮に合わせて男子は突寒ラグビー、女子は寒稽古(剣道)が行われます。火曜から土曜まで5日間、朝5時過ぎに起床し、眠気をこらえて夜明け前から7時頃まで心身を鍛えるのが目的です。体育系も文化系も皆参加なので、生徒によってはかなりきつい1週間かもしれません。

夜明け前のグランド、この日は前日から雪の予報があり、うっすらと雪が積もったこの景色

茗溪学園は開校当時から校技として男子はラグビー、女子は剣道が決められています。そのため体育科にはラグビー、剣道の専任教師が2名ずついます。そして3月の学期末には全校で校技大会が行われています。男子の突寒ラグビーはラグビー部の生徒が中心となり、ウォームアップ、4人1組でのパス、明るくなってからはモールの練習にも取り組み、あっという間に時間になります。9日は最終日なので、チームランも行われ、試合当日のラグビー部が手本を見せていました。

レフリーで呼ばれたものの、荒天のため対抗戦中止

それでなぜ私が参加したかというと、お世話になっている先生から最終日の土曜に行われるフロア対抗戦のレフリーをお願いされました。そして結論から言うと、安全面の配慮で中止になりました。雪がもう少し積もっていたら実行するつもりだったのですが、さすがに足元が滑る状況でスパイクも履いていない生徒もいるので・・・残念。過去に何度かお手伝いしていますが、5年前は朝から雪が積もり始めていたので、帰りの交通事情を考慮して7時前から試合をしたこともあります。

なお男子の最終日は対抗戦ですが、女子は生徒全員で進級試験が行われるみたいです。正直、寒い朝に袴姿と裸足で寒そうに歩くのを見ていると、女子のほうが大変だとつくづく思います。またこの行事には筑波大学の剣道部員の方々もマイクロバスでわざわざ茗溪学園まで来て参加し、お手伝いしてくれています。本当にありがたいですね。

久しぶりに筑波医学ラグビー部の試合観戦、レフリーは小菅礼子さん

10日の午後には筑波大学のラグビー場で行われた医学ラグビー部の練習試合の応援に行ってきました。筑波大医学ラグビー部は関東医歯薬大学リーグの1部で昨シーズンで4連覇を達成しました。全国の進学校から医者を志すラグビー部員が、志望校に上げているの見聞きする機会もよくあります。私は2007年から地元のクラブ、ツクバリアンズでプレーしたりJr.チームの小学生を指導したりしていました。それと私の同級生や後輩が所属していた縁で、かれこれ7年近く勝手にアドバイザーしています。たまに練習に顔を出して、スキルやコミュニケーションなど気になった点をフィードバックするくらいです。

監督や先生方もしっかり見ているのでコーチングは行いませんが、学生主体で練習をテンポよく進めていますし、たまにくる私の話も真剣に聞く姿にいつも感心しています。現在は茗溪学園ラグビー部の後輩2人が所属していて1人は今年の春に6年生の最終学年、東福岡に勝利して花園ベスト4を達成した時のSO、もう1人は春に2年生になるFWの選手です。主力選手としてチームを引っ張ってくれていて、頼もしい後輩です。当日はグラウンドの雪が心配されていましたが、非常にいい天気の下で防衛医大チームと25分ハーフで試合が行われました。

写真左、青のジャージが防衛医大チーム、筑波は白のジャージでオレンジがレフリーの小菅さん

防衛医大も同じ1部リーグに所属する強豪校で、昨年秋のリーグ戦では10-0と何とか筑波が勝ちましたが、この日はBKの主力選手がしっかり活躍して42-7で勝利。開始早々にエースが個人技で抜け出して独走トライを奪うと終始リードし、トライ後のキックも全て成功。DFでは終盤にG前での防衛医大のしつこいFW戦にトライを奪われたものの、そのあとFWがダメ押しのトライを奪い返して前後半3本ずつのトライを奪い快勝。今年の目標、秋の1部リーグ5連覇に向けて、良いスタートを切りました。

一般の受験生はこれから前期後期の2次試験が行われます。筑波医学ラグビー部には、入学してからラグビーを始める選手も多く、彼らの毎年のレベルアップを見るのも楽しみの1つですね。女子マネージャーも多く、水を配ったり、テーピングを巻いたり、練習の動画を撮影したり、選手もスタッフもチーム一丸となって頑張っています。この春も多くの高校生が筑波医学ラグビー部にチャレンジしてくれるのを期待しています。

試合後の筑波医学サイド、今年も充実した戦力で楽しみです

今週末は関東高校新人大会が成田で行われます。今年も優勝候補は桐蔭学園ですが、他のチームがどう戦うか注目してみたいと思います。

関東新人大会 茗溪学園 VS 早稲田実業

この3連休、高校ラグビーは各地で地域大会が行われていました。関東は水戸で新人大会が行われ、4強に進んだのは王者桐蔭学園、東京1位の本郷、昨年花園ベスト4の流通経済大柏、そして茗溪学園、慶應義塾との接戦をものにした早稲田実業。この4校は春の全国選抜大会の出場も決めました。

10日の茨城新聞の記事、写真はplanetsurfさんのTwitterから拝借

茗溪学園と早稲田実業の試合がYoutubeにあったのでチェックしました⇒前半(5-7) 後半(14-17)

開始から攻め込むも得点できず、徐々にミスが目立った茗溪学園

前日から雪の予報が出ていた水戸、当日は気温も低く、厳しいコンディションでした。茗溪のキックオフから始まった前半、開始から素早い攻防が続きキックもタッチに蹴らずに3分もプレーが途切れませんでした。序盤は茗溪が敵陣で攻め込む場面が多く、早実は粘り強く守ります。茗溪はSH大越がテンポよく球を動かし、継続してアタック、前進するもハンドリングエラーからチャンスを失ってしまいます。

茗溪のアタックを防いだ早実はキックから茗溪陣に攻め込むと、前半19分に中央ラックから外に展開、WTBがタックルされる直前に内に球を蹴ると15番が拾って抜け出して先制のトライ。茗溪の反撃は27分、敵陣ラインアウトからSH大越が抜け出しG前まで進み、中央ラックから大外に展開して11番が左隅にトライし、5-7で前半を終えました。

キックを上手く使い、少ないチャンスを得点に結びつけた早稲田実業

前半は攻めた茗溪、守った早実という展開。どちらが先にトライを奪うかが勝負の分かれ目になりますが、後半開始から早実が攻め込み、前半と違って茗溪陣でプレーする時間が増えます。すると7分に中央ラックから大外の14番に飛ばしパスして右隅に飛び込むと、続く9分に中央のラックで相手ボールを奪い、DFの裏に転がしたボールを拾って繋いでインゴールまで走りきりました。茗溪も逆転を目指して自陣から攻めますが、塗れたボールにハンドリングエラーが出ると、そこから展開され早実8番が抜け出してトライ、後半16分で19点差をつけました。

茗溪は後半25分、31分に攻め込んで2トライを返すも届かず。後半は早実が敵陣でプレーする場面も多く、得点力の高い茗溪を堅守で抑えました。茗溪学園は全員が素早く動き、左右にテンポの良いアタックが目立ちましたが、冷えこんだ厳しいコンディションの中で時間が経つにつれてミスが増えてしまいました。早稲田実業はDFが多い時間帯にも素早いセット、プレッシャーから茗溪のラインブレイクを許さず、アタックでは自分たちの意図したプレーでトライを重ね、自分たちの展開に持ち込みました。

厳しいコンディションの中で力を出し切った早稲田実業、アタックでのミスから自分たちの展開に持ち込めなかった茗溪学園

当日のメンバー表、 茗溪は花園でプレーしたPR亀山、LO目崎がメンバー外。planetsurfさんのTwitterから拝借。

試合の勝敗を決める上で、自分たちのスタイルをどちらがより出せるか、というのが大きな要因になります。茨城県で決勝でも100点ゲームと圧勝して勝ちあがった茗溪、東京都で接戦をものにしながら東京2位で出場した早実。組合せを見て早実がチャレンジャーとして茗溪に挑むような構図を想像していました。茗溪としては序盤に攻め込んだ時に先制して、そのまま突き放す展開を考えていて、守り勝つようなスタイルではない。早実は茗溪のアタックを止めて接戦に持ち込むような展開を予想していたのかもしれません。スピードは茗溪優位でしたが、捕まえると接点では早実がプレッシャーをかけて、茗溪を押し戻す場面も多かったです。

茗溪は昨年の花園でもプレーしたPR亀山、LO目崎など主力がメンバー外でした。その中で追いかける後半にまさかの3連続トライを奪われ、新チームとしての未熟さも出てきて焦りが出たと感じました。テンポよくボールを左右に動かすアタックは勢いに乗ると脅威ですが、この試合では逆にテンポが良すぎるようにも見えました。SH大越の球を捌くテンポが一定で、早実のDFは守りやすかったように感じました。BKが裏に抜け出してチャンスを作りたかったのですが、ハンドリングエラーが目立ちましたし、BKが得点を奪えないと厳しいですね。

1回戦で負けてしまったために、茗溪は春の全国選抜出場を逃しました。課題は色々あると思いますが、全国を勝ち上がる上でもっと個人の力で突破できる選手が増えること、その上でアタックのオプションを増やすことが必要かと思います。まだシーズン序盤、残念な結果になりましたが上手くいかない試合を振り返り、どう次の勝利に繋げていくかが大事です。この負けを次の爆発的な成長に繋げて結果で応えてくれるのを期待しています!

関東女子大会高校の部

先日のブログでも結果は書きましたが、3日日曜に熊谷ラグビー場Cグランドでは高校生の15人制の大会が行われました。60名近くの女子ラガールが集まり、普及と強化両方で貴重な機会となりました。

閉会式後に参加選手みんなでスタジアムをバックに記念撮影、多くの高校女子がプレーしました。写真は関東協会のFacebookから拝借

昨年までは7人制の大会で、各チームが競いあいましたが、今年は15人制ということで北関東と南関東に別れ、週末に練習会を数回行ってこの日を迎えました。南関東はブレイブルーヴ、関東学院六浦高校が多くの経験者を抱えているのもあり、助っ人を数人借りる形で試合を行いました。昨年のGWに行われたサニックスワールドユースに出場したブレイブルーヴが北関東、関東学院六浦に勝利し、2勝しました。

初心者や下級生中心は15分1本を2試合、貴重な試合経験でした

南関東(水色)は1年生中心だったが、まとまったプレーを見せて北関東(青)に勝利、写真はラグビーずきのせんしさんのTwitterから拝借

南関東チームは千葉県の1年生を中心に山梨、東京の選手を加えて構成されました。私も事前の練習会に参加しましたが、経験の浅い選手も多いので、参加した選手皆でFWBK関係なくスクラムを組んでみたり、ラインアウトでリフトもジャンプもしてみたり、普段は人数が少なくて出来ないことを中心に取り組みました。国際武道大学女子ラグビー部監督の廣瀬先生、澤田コーチもが練習をリードし、高校生のスキルアップに取り組んできました。

2本目にトライを奪った高橋沙羅選手は昨年12月の花園でも東軍9番で出場、写真はラグビーずきのせんしさんのTwitterから拝借

南関東も北関東も下級生だけでは人数が15人揃わないため、上級生の力を借りて戦いましたが思っていた以上にラグビーになっていました。経験者がボールを動かす役割を担い、積極的なアタックや怖がらずにタックル姿を多く見ました。以前と比べると小学生や中学生の頃にラグビーを始めた選手が増えてきて、初心者の選手をしっかりフォローしたり、動かしたりすることができているのかなと思います。下級生試合のスクラムはノーコンテストでおこないましたが、もう少し事前に練習する時間を作って、姿勢やキーポイントを理解すれば今後の成長がより早く進むと感じました。

三つ巴の上級生試合は20分、どれも白熱したプレー内容でした

上級生の試合は北関東、ブレイブルーブ、関東学院六浦高校の3チームでしたが、以前と比べるとボールをしっかり蹴れる選手、仕掛けてパスを放れる選手が増えてきました。結果、ボールをワイドに動かして飛ばしパスを入れたり、仕掛けた選手に素早く寄ってDFの裏に出るようなプレーが見られました。

ブレイブルーヴ(赤黒)北関東の試合、スクラムからSO高木萌結選手がDFに仕掛けて、CTB武藤玲子がフラットに走りこんでインゴールに飛び込みトライ

私は女子ラグビーに関わって5年近くになりますが、3年前は高校生のトップレベルでもスキル不足を感じていました。高校の女子のトップ選手がプレーする花園の東西対抗を見ていてもキックを上手に蹴れる選手がおらず、パスも長いパスが放れない。結果2,3回のパスでDFに捕まってラックになるの繰り返し。ATのオプションが少なく、ボールが動かずにプレーしているエリアもほとんど変わりませんでした。例えると20分ハーフのうち10分が敵陣で攻撃、残り10分が自陣で守りみたいな感じです。

ここ2年くらいの間に、経験者が増えてきたことや代表チーム含めたレベルアップのおかげで、高校女子の試合でもラグビーらしいプレーが見られました。上級生チームからのMVPは2敗した北関東から秋田若菜選手が選ばれましたが、ATではレッグドライブでしっかり前に出る。DFでは激しいタックルで相手を倒して上に乗る。ラインアウトでもジャンパーを務め真っ直ぐきれいに飛ぶ。1年生とは思えないアグレッシブさを見せていました。セブンズユースアカデミーにも選出されているので、今後がとても楽しみな選手の1人です。

大会の写真を集めた関東協会のFacebookはこちら。

今後も15人制の大会が増えることが女子全体の育成、普及に繋がる

7人制の試合を見ていると、ラグビーを早く始めた経験者の活躍が目立ちます。そしてパスを投げれる選手、ステップの上手い選手、足が速い選手ばかりが注目を集めます。しかし多くの高校女子ラガールは未経験者、例えばマネージャーをしていたが、誘われて選手に転向した子も多いです。そして体もまだしっかり出来ていません。そんな選手たちがラグビーを楽しむきっかけをつくれるのは、やはり15人制だと思います。皆で集まってスクラムを組んだり、ラインアウトでリフトしたり、飛んだり、そうやって仲間とやる時間が大事なのではないかと。

15人制の試合を行ううえで、スクラムやラインアウトを成立させるためにも集まって合同練習する機会があります。学校や都県の枠にとらわれず、他地域の選手と知り合い、学びあい、仲間を作って、ラグビーを楽しんで欲しい。そして大学にいってもそれぞれのペースでラグビーを続けて欲しい。まだまだ女子がラグビーを始めたり、続けたりするのは決して簡単なことではないと思います。なでしこJAPANが2011年のW杯で優勝を果たしてから、女子サッカーが盛り上がってきましたし、女子ラグビーも将来のビジョンを持って、全体が地道に成長していけるように今後も大会の運営や練習会に参加していきたいと思います。

この時期に15人制を経験したことが夏のコベルコカップに向けたセレクションにも繋がってきます。高校の女子ラグビーに関しては、大会だけでなくビジョンだったり、練習方法についても、今後書いていきます。ユース世代からフル代表への一貫した強化に繋げるシステム作りをしていきたい。私自身ももっと頑張っていきます。