ラグビーW杯が開幕、女子の関東大会も開幕

ブログ更新、2週間ぶりになります。今月まだ2回目だ...忙しいとなかなか時間作れないですね。

10日前は水戸で全国中学大会、太陽生命カップが行われたり、アジアセブンズが行われたり、医学ラグビーの試合を観戦したりとTwitterでつぶやいたり写真のせたりはしますが、ブログの更新は忘れてしまいがちですね。そうしているうちに20日からラグビーW杯が開幕しました!

緊張した開幕戦でロシアから4Tを奪い勝利

World RugbyのYoutubeチャンネルから開幕戦の23分強のハイライト

開幕戦はお世話になっている方のお店で大きなスクリーンで観戦していました。日本代表はロシアに先制トライを許した場面をはじめ、ミスが目立つ試合でした。試合後の選手のコメントを見ても今までに感じたことのない緊張感だった選手もいたようですね。それでもDFでは規律をしっかり保って、オプションの少ないロシアのアタックを止めて10失点に抑えました。

アタックでは松島選手のハットトリックが目立っていますが、事前にロシアのDFを分析して、外にチャンスがあると感じていたのでしょう。オフロードパスからチャンスを作って外の松島が走りきったのが2トライ、4トライ目は苦し紛れのキックを素早くカウンターして松島が触れられずにトライ。ロシアは他の強豪国と比べるとDFは連携はいまいちでしたが、初戦はとにかく4トライのBPを加えて勝ち点5を取ったことが大事ですね。

今日はウルグアイが釜石でフィジーに勝って見事な番狂わせ

今日25日に釜石で行われた試合はウルグアイが格上フィジーに3点差で勝利
World RugbyのYoutubeチャンネルにあった釜石の復興ストーリー、4分弱です

20日から25日までの6日間で10試合が行われましたが、スタジアムで観戦したのが2試合、それ以外にHUBやお店で後半途中から見たり、1試合丸まる見れたりで月曜にはもう観戦疲れ。私が一切見れなかったのは22日の花園で行われたイタリアとナミビアの試合、そして今日釜石で行われたウルグアイとフィジーの試合でした。さっきハイライト動画を紹介しましたが、まだ見ていません。それでもウルグアイの勝利には驚きました。

フィジーは7月に釜石で日本代表と試合もして、21日の札幌でのオーストラリア戦から中3日で疲れもあるとはいえ、ウルグアイとの力の差はあると感じていました。これまでの試合でもウルグアイに負けたことなかったですし、昨年11月の試合でも大勝していました。それが仕事の合間にスコアをチェックしたらウルグアイがリードしているのを見て、おおっとびっくりしました。4年前の日本と南アフリカの試合を思いださせてくれますね。現地で観戦した人は楽しんだでしょうね。

22日から女子の15人制の関東大会、OTOWAカップも開幕

今年は国体や秋に女子日本代表のヨーロッパ遠征が計画されているのもあり、開幕が9月になりました。 22日に日体大のラグビー場で開幕した、OTOWAカップ、関東ラグビーフットボール協会のFacebookでも大会初日の様子が紹介されています。

試合のレポートはまた別の機会にまとめようと思います。今回はMIP(Most Impressive Player)について、 今大会から試合毎に選出することになりました。代表者会議を行った際に参加チームの中から提案があり、即採用しました。試合で印象に残った活躍をした選手を実行委員会の中で相談、選出し、試合後に小さな賞状を渡す予定です。22日はRKUグレースの10番大塚選手、アルテミスターズの6番櫻井選手がMIPに選ばれました。ゆくゆくは何かプレゼントとか景品を渡せれば、より盛り上がると思います。

次回は来月13日に東芝のラグビー場で、この日は横浜で日本とスコットランドの予選プール最終戦が行われます。ラグビーで話題が尽きない秋になりそうです!

関東U18女子セブンズは関東学院六浦が優勝、國學院栃木が逆転勝利で2位

先週末に麗澤ラグビー場で行われた高校女子の大会、10月に熊谷で行われる全国大会の関東予選になります。2日間、運営のお手伝いで参加しました。

開会式、クラブチームや高校など9チームが参加、暑熱対策として土曜の夕方と日曜の午前に試合は行われました

天気に恵まれた2日間、4試合を無失点で優勝した関東学院六浦

台風が関東地方に迫ってくる中で行われた大会は少しぱらつく程度の雨はありながらも、試合に大きな影響はありませんでした。その中で予選2試合で共に50得点以上を奪い1位通過、2日目の1位リーグでも國學院栃木、BraveLouveを相手に共に4トライを奪い、DFでは全て無失点で文句なしの優勝でした。関東協会HPの大会結果へのリンクはこちら。

3月に府中で行われた関東大会ではサニックスワールドユースへの出場権をかけて3チームが戦い、関東学院六浦が2試合とも後半のラストプレーで逆転勝利という劇的な優勝を遂げました。あれから約半年、更に実力をつけた関東学院六浦の勝因はなんと言っても無失点の堅いDFでした。試合を見ていても選手同士が声を掛け合い、キャリアーを見るタックラーが孤立せずに内側のDFとコネクトしてプレッシャーをかけていました。

象徴的だったのは最終戦のBraveLouve、勝てば優勝が決まる試合で六浦は試合を通じてほとんど敵陣でプレーしました。KOレシーブから展開して攻め込もうとするルーヴに対してライン際でタックルして押し出したり、内側に返した選手に狙い済まして激しいタックルを決めていました。そこからボールを奪うと、アタックが上手にボールを繋いでトライ。前半で試合を決めたような戦いでした。後半はルーヴも裏へのキックを使うもそこからボールを奪って有効なアタックをする機会は作れず、ベストゲームと言っていいような内容でした。そんな六浦ラグビー部の優勝報告のブログはこちら監督の梅原先生を胴上げしている写真が素晴らしい。

全国出場権をかけた熱戦は、國學院栃木が後半2トライで逆転勝利

2日間の試合結果、最終戦は勝ったほうが2位となり全国大会への出場を決める中で、1年生が活躍した國學院栃木が大逆転で勝利

六浦に敗れた國學院栃木とBraveLouveの争い、得失点差でルーヴが2点上回る中、國學院栃木はルーヴに勝利するしかありませんでしたが、前半を終えてルーヴが7-0でリード、ハーフタイムでは吉岡先生の檄が飛んでいました。勝負の後半で活躍したのが、1年生の高橋夏未。女子のセブンズユースアカデミーにも選ばれているキープレーヤーでしたが、予選で傷んでしまい朝は足を引きずっていたので、試合出場は難しいと正直思っていました。

しかし激しい攻防の後半半ばに、自陣中央付近でラックからボールを貰うと、内側の僅かなスペースに仕掛けて裏に抜け出しそのままポスト下に60m独走のトライで同点に追いつきます。そして残り1分をきって敵陣22mに攻め込むと、外でタックルを堪えて繋ぐとコーナーに飛び込んだのはまたしても高橋夏未。勝負どころで活躍するスター性を感じさせるようなプレー、コベルコカップでも北海道・関東チームで活躍していましたね。

そして國學院栃木で忘れてはいけない選手が、サクラセブンズの松田凜日。この大会では登録から外れていましたが、日曜は応援に来ている姿を見ました。現在アジアシリーズを戦うサクラセブンズの合宿メンバーには選出されていないので、リハビリ中かもしれませんが、来月の全国大会で出場するのであれば、間違いなく大きな戦力になるはずです。期待大ですね!

サクラフィフティーンは秋の遠征に向けて合宿とメンバー発表

最後に短く、日本協会のHPで合宿と参加メンバーが発表されました7月のオーストラリア遠征メンバーに加えて、コベルコで活躍した高校生3名をはじめ、怪我をしていた一昨年のW杯の代表キャプテン齋藤聖奈も選ばれています。明日12日から16日まで勝浦の国際武道大学で行われます。こちらも期待していきましょう。頑張れ日本!

サクラのユース世代の強化を少し考える

ラグビーW杯開幕まであと22日ですかね。各国の代表メンバーも発表されてきていますし、日本代表も明日29日に発表予定です。今回も女子ラグビーのユース世代(高校生)の強化について、短めに書きます。

毎年レベルアップを続けるKOBELCOカップ

私は2014年にTKMのコーチになり、そこから今まで5年少し、女子ラグビーに携わってきました。翌年、JICAを通じてウズベキスタンに派遣されて、帰国後は東京フェニックス、そして千葉ペガサスにお世話になりましたが、そこで高校女子も見るきっかけを頂き、3年少しになります。初めてKOBELCOカップを観戦したのが2016年で、その後は教え子の活躍などもあり、2017年と2019年は関東代表チームのスタッフの1人としてお手伝いしてきました。

今年の大会については、関東代表と北海道関東代表の試合は全て撮影係として観戦、他にも日本一を争う決勝リーグでの試合を中心にほとんどの試合を見させていただきましたが、育成リーグでもスキルレベルはかなり上がってきた印象です。具体的にはパスが繋がり、ボールが良く動くようになりました。決勝リーグのチームと比べると、まだキックの蹴れる選手が少なかったり、地域ブロック内での競技人口に違いがあり、試合形式の練習があまり出来ないのが、決勝リーグとの力の差になっているかもしれませんね。

関東代表と北海道関東代表の試合はYoutubeに限定公開でUPしたので、こちらから視聴できます。

高校女子の強化ビジョンのため、そろそろU18サクラ15を作るべきでは

6月の関東代表セレクションの1コマ、日本一から日本代表、世界を目指すプレーヤーを作り出す環境を用意する時期にきたかもしれません

高校女子ラガールが目標にしている大きな大会は5月の福岡サニックスWY、夏の菅平KOBELCOカップ、秋に熊谷全国U18女子セブンズ、そして冬の花園東西対抗戦といったところでしょうか。競技人口がまだまだ少なかったり、セブンズに注力しているからか15人制のプレーする機会があまり多くないと正直、感じています。

それで個人的には5年後、10年後を見据えたときにFWのプレーヤー、特にフロントファイブのパワーやサイズのある選手を中高生のユース世代からしっかり育成していかないと、将来の日本代表サクラフィフティーンの強化に繋がらないのではないか、といった危機感があります。

今年のKOBELCOカップの参加選手でも、170cmを超えている選手や75kgを超えている選手は数えるほどしかいなかったと思います(もちろん怪我で欠場した選手もいますが)。足の速い選手やアタックで目立つ選手はセブンズユースアカデミーなどに選ばれて、注目する機会は増えています。しかし、セブンズであまり活躍できないサイズの大きな選手が「セブンズに不向き⇒ラグビーは高校まで・・・」といったことになるともったいないですね。彼女たちが活躍する場をもっと作っていかないとまずいなと。

そういう子達をセブンズではなく15人制の代表候補に育てていくのであれば、やはり女子U18サクラフィフティーンを結成すべきだと思います。実は過去に香港が遠征に来るということで高校女子日本代表を結成しています。

これは2010年4月に熊谷で行われた香港との試合ですね、今のサクラセブンズやサクラフィフティーンに選ばれている選手がたくさん出場していると思います

昨年からKOBELCOカップでは各地域ブロックから優秀選手を大会側が選出するようになりました。今年の関東代表はSHの高橋沙羅でした。個人的にはKOBELCOカップや花園東西対抗のプレーを見て、男子と同様にU18サクラフィフティーンを結成して出来たら海外遠征、もしくは年度別の高校女子ベスト15を選出するなど将来の日本代表に繋がるようなステップを作ってあげたいなと考えます。もしその経歴が大学の推薦入試に関わるなら夏の早い時期に選ぶとかもありですね。各チームで、各地域代表で、必死に頑張るというところから、日本代表そして世界を目指すステップをユース世代で作って上げられないかと思います。セブンズユースアカデミーで取り組んでいることを拡げられないかと。

もちろん予算とか色々な諸問題はあるはずですが、まずは大人たちが面白くなるビジョンをつくり、選手に向けて語って、見せていかないと。私もまだまだ実力不足ですが、出来ることはしっかりやって、ビジョンを発信し、語っていけるようになります。ユース世代、もっともっと面白くしていきましょう。

サクラ15とWallaroosとBlackFerns

8月は週末は連続で菅平に上がっていましたが、今週末は実家に帰ってクラブチームの練習に参加したり、自宅で久しぶりにゆっくり過ごしていました。男子もW杯前に各地でテストマッチが行われていますが、女子もNZと豪州がテストマッチを行っていました。結果は2戦ともNZが快勝、力の差を見せ付けました。

世界ランク1位のBlackFernsが実力をしっかり見せ付けた2試合

オーストラリア協会のYoutubeから土曜にNZのイーデンパークで行われたテストマッチ、男子の前座で行われた試合は、BlackFernsが37-8でWallaroosに快勝しました。

第1戦は前の週に豪州のパースで行われて、NZ女子代表BlackFernsが47-10で大勝しました。いちおうYoutubeのハイライトはこちら。6月に米国で強豪国とテストマッチを重ねていたBlackFernsは、この試合でもG前のチャンスで簡単にトライを取っている様に見えました。2試合のハイライトを見てもトライ場面は、モールで押し込んだり、G前のペナルティーからクイックで外に展開して飛び込んだり、キックパスから繋いだり、豪州代表Wallaroosを相手にも高いスキルを発揮する強さがありました。

個人的には15番のWiniata選手は2年前に東京フェニックスでプレーした時にお世話したのと、10番のDemant選手の妹もまた東京フェニックスでプレーしていたので、BlackFernsを応援しています。男子と同様にタレント揃いのNZ、男子は世界ランクでウェールズに抜かれるみたいですが、女子はしばらく世界ランク1位をキープしそうです。

対してWallaroosは第2戦は1トライのみでしたが、前半に自陣22m前の左スクラムから用意したサインプレーで細かく繋ぎ、外の14番が内から追ってきたWiniata選手をハンドオフで弾き飛ばし、追いすがるDFを振りきって50m独走のトライを見せました。Wallaroosは現在世界ランク7位ですが1位のNZとの実力差はかなりありそうです。現在の世界ランクのリンクはこちら、ちなみに日本は16位です。

他の国の世界ランクと、日本は上位との実力差をどう埋めていくべきか

まず女子の世界ランキングについて、過去10年か何年かの大会の成績も反映されているようですが、男子ほどテストマッチが頻繁に行われていない以上、実際の実力はあまり反映されていないと思って良いでしょう。11位以下を順番に並べると、南アフリカ(W杯のアフリカ予選を突破て出場を決めたとか)、スコットランド(2年前のW杯不出場)、13位サモア(同じくW杯不出場、前々回の2014年は最終戦でカザフスタンに勝って11位)、14位オランダ、15位ポルトガル。そして17位にカザフスタン、18位ロシアとなって、アジアのライバル香港は21位になっています。

2017年のW杯では11位に終わった日本も実際はもう少し上だと思いますし、スコットランドや10位のアイルランドには勝てる可能性はありそうです。ただヨーロッパ勢は毎年、 6カ国対抗戦でテストマッチを重ねていますから、どう戦うかを明確にして準備しないと勝つのは難しいでしょうね。個人的には2021年のW杯までに世界ランクをあと3つか4つ上まで上げて欲しいとは願っています。

日本女子サクラ15と豪州女子Wallaroosのスコアを見ると
第1戦 Sakura15 ●5-34 Wallaroos(6T)
第2戦 Sakura15 ●3-46 Wallaroos(7T)


次にWallaroosとNZ女子BlackFernsのスコアを比較すると
第1戦 BlackFerns(8T) ○47-8 Wallaroos
第2戦 BlackFerns(5T) ○37-10 Wallaroos

そして先日、日本協会のHPでオーストラリア遠征を終えたレズリーHCからの総括コメントと、初代表でキャップを獲得した選手たちのコメントが掲載されました。個人的には「とても満足している」とか「現在の立ち位置を現実的に考える」という言葉を見て、随分とポジティブに捉えているんだなと感じました。個人的にはポジティブに捉えるよりもW杯までの残りおよそ2年という期間への不安や危機感のほうが強いです。先日の遠征に向けて、どういう準備をしてきたのかはわかりませんが、次のW杯までにこのレベルの相手と再び試合をする機会が作れるかと思うとかなり難しいと思います。その中で感じた実力差をどう捉え、代表選手、そして代表入りを狙う選手がここからどれだけ必死に差を埋めていくか注目ですね。

その中でNZに留学してチャレンジしている選手が少しずつ増えているのも事実です。数年前から高校生が夏休みに数週間の短期留学をしたり、故人で半年の留学しているのを聞くこともありました。例えば2年前のW杯でも活躍したアルテミスターズの津久井選手も3年前にNZ留学して実力を磨いていました(留学中のためコベルコカップには出場できず)。同じアルテミスターズの高野選手も今年3月からNZ留学していますね。サッカーの男女の日本代表のように、海外の高いレベルの中で過ごし、経験を積んだ選手が増えることは代表の強化にも繋がると思います。

またレズリーHCが先日のコベルコカップのときに菅平入りして、大会出場選手に1時間ほどのセッションを行っていました。こういう機会は高校生にとっても代表を身近に感じられて良いと思います。代表チームがどういう練習をしているか、どういうスキルを持った選手が求められているのか、どんどん発信して欲しいですね。代表チームの戦術、戦略などは試合を見ていないのでわかりませんが、いずれにせよ選手個々のフィジカルやスキルの差を埋めないことには上位国相手には勝てません。日本の女子ラグビー全体で上手く強化のシステムを作れればと思います。

秋にはまた強化合宿や海外遠征が予定されているかも知れませんし、引き続きサクラ7s含め、代表の動きについても発信していければと思います!

3連休の高校女子15人制合宿を振り返る

お盆休みの時期ですが、西日本は台風の脅威が迫ってきていますね。先週末の3日間は天気に恵まれた菅平でした。

2日目の午前は東海大静岡翔洋、大阪緑涼のCrazy Rugby Girls Teamの選手も参加し、試合形式のADを行いました。中央の赤いシャツが私。写真はCrazy Rugby Girls TeamのTwitterから拝借。

3日間の合宿には関東の高校生を中心に40名近くが参加しました

今回の合宿は関東協会主催の「全国高校女子15人制強化合宿」という名前で行われました。ここ数年、この時期に行われていて私は2年前にもスタッフで参加しました。今年はそのときより規模は少なめになり、ホテルの宿泊は25名程度。それ以外は所属している学校の宿泊先からグランドに通ったり、関東以外の地域から引率の教員や保護者を連れて参加する選手もいました。スタッフも私含めてコーチ3人に派遣された女性トレーナー3名、女性レフリー1名と充実した体制でした。

参加した高校生の内訳ですが、高校1,2年生が多く経験の浅い選手が多かったです。先日のコベルコカップで関東代表に選ばれた選手は6名だったかな。関東学院六浦は北海道の遠軽で合宿していますし、國學院栃木は別のグランドで7人制の試合を重ねていました。それでもFWが多めに参加していたので、試合形式を行うためのポジション決めは困らずに出来ました。以前はフロントローが少なくて苦労したような気がいます。

土曜、日曜、月曜と4回の練習の中で前半はスキルとユニット中心に、後半は試合形式を中心に構成しました。参加した選手もクリニックに運ぶような大怪我はなく終えましたが、簡単に振り返ってみます。

前半はスキルの確認とゲームでの動きの理解に力を入れました

コーチ陣で事前に打合せして、初日は全体のパススキルを見ながら、メニューを上手く調整することにしました。全体でウォームアップをしてからタッチラグビーを始めましたが、普段は一緒にプレーしていない選手同士で良い動きも少なかったので、こちらで集めてはフィードバックを行い、徐々に試合に近い動きが出来るようになってトライも増えました。この辺り、高校女子ラガールの吸収の早さというか素直さはどこに行っても同じです。これが自分たちで気づいて出来るようになったら、高校女子のレベルも上がったと実感できますね。

その後はFWとBKのユニットに分かれて私はBKを担当、20名弱の選手をL字にマーカーを並べてのパス練習を行いました。キーポイントを伝えて、慣れてくると、徐々にプレッシャーを上げていきます。100回ボールを落とさずに継続する、30秒以内に何回パス出来るかチャレンジする、といったやり方で最後は30秒で30回を何とか達成しました。今回は30秒の中でどうしてもミスが起きてしまう状況が続きましたが、上手く選手を盛り上げてやることが出来たかなと思いました。

2日目の午前ではスキル練習ということでCTB,WTB,FBの選手に、男子のユースの練習で見かけたAステップの動きを導入しました。女子は膝の怪我が多いので、怪我防止も兼ねて真下に強く踏む、素早く足を動かすを意識して、これも徐々に難易度を上げていきます。パスキャッチしてからのステップ、DFをつけて2対2の状況でアタック、動きはシンプルでしたが、選手は飽きずに取り組んでいました。ユース世代には正しい走り方、正しいステップをもっと教え込んでいきたいですね。

後半の試合形式では出てきた課題を修正しながら試合を重ねました

日曜の午前はADをホールドで行い、試合の流れの中での動きを修正、午後からはフルコンタクトでの試合を行いました。その中で出てきた課題は、ラックでのオーバーが上手くないということでした。普段はセブンズをプレーすることが多い女子ラグビー、複数でラックを超えていくということが出来なかったり、ラインに入ったりオフロードを狙う選手が多くてアンバランスでした。ラックに入るかどうかの判断も出来ていないですね。

そこでコンタクトバッグを使って、キャリアーはレッグドライブからのトライダウン、サポートはキャリアーにバインドして一緒に前に出る動きを確認して、再び試合形式を行うと、タックル後にジャッカルされてのターンオーバーは減りました。こうした流れで参加した選手には15人制の動きを学んでもらいました。最終日の月曜の午前は自陣22mからのキックとチェイスの仕方を指導し、ポジションごとの原理原則を伝えました。試合で上手くチェイスするような場面は出てきませんでしたが、まだキックをしっかり蹴れる選手が少ない女子ラグビーです。こうした合宿のなかでスキルもラグビー偏差値もレベルアップしていきたいですね。

最終日の試合後に記念写真、所属チームの都合で早めに抜けたり、この日は参加できない選手もいました。15分を3本行い、笑って終わることが出来ました。

今回の合宿には関東以外にも愛知の栄徳や佐賀工業の女子選手も通いで参加してくれました。中にはコベルコに出場した選手もいて、関東の選手と良い交流が出来ました。最終日の試合後には私から全体へのフィードバックとして「これからは気持ちをもっと強く外に出して欲しい」という話をしました。女子はどうしても周りの空気を見て合わせるという感じが男子よりも強いのですが、その殻みたいなものを破ってグランドで気持ちを出して欲しい、そしてコベルコや花園で活躍するような選手に育って欲しい、という期待を込めました。

最後は「Go With!」の掛け声で締めました。この中から年末の花園、来年のコベルコで活躍する選手が出てきて欲しいなと思います。

今回教えた選手たちと、次にどこでどういう形で会うかが楽しみですね。今後は女子の15人制をプレーする機会をもっと増やして行きたいなと思います。