日本、スペインとの親善試合に大勝

月曜の未明にマドリッドで行われたスペインとの親善試合、直前にJAPAN RUGBY TVのYoutubeチャンネルで中継されることが決まり、LIVEで見ることが出来ました。試合も終始、優位に進めて8トライを奪い、44-12(前半22-0)で大勝しました。日本協会HPの試合後コメントは、こちら。選手のコメントで、レスリーHCのコメントはないですね。珍しい。

親善試合に変更になりリザーブ選手も多く出場し、良い戦いでした

試合経過については、RUGBY JAPAN 365さんの記事に写真とともに書かれています
⇒「サクラフィフティーン、古豪に快勝!

20時のキックオフの時点でも30℃超えらしく、暑い中でもよく動いて戦いました

ここでは記事を見ながら、試合を見て感じたことを中心に書きます。まず前半ですが、非常にいい試合内容でした。開始から敵陣に入ったスクラムでBKが鮮やかに外を抜け出して11番今釘選手が先制のトライ。最初のアタックで得た1stチャンスをタックルされることなく得点に結び付けて、勢いを掴みました。

前半で4トライを奪いましたが、日本の勢いを加速させたのは10番大塚選手のキックですね。自陣22m内からハーフウェーライン付近まで確実に蹴りだす飛距離、相手DFの裏のスペースへのキック、共にしっかりコントロールされていました。対してスペインはキッカーの動きを見ても、飛距離、スキル共にいまいち。裏へのキックに対しても、スペインの戻りよりも、日本のチェイスの方が上回る場面が多く、結果的に日本にチャンスを与えていました。

それに加えてFW陣は大きなスペイン選手を相手に奮闘しました。セットプレーではスクラムも安定していましたが、特にラインアウトでクリーンキャッチする回数も多かったです。後方へのロングスローがしっかり決まった場面もありました(動画15:50過ぎ)。またキャッチからSHへのトスも早くて良い練習が出来ているなと感じました。そして前半さらに突き放す2トライはともにラインアウトモールが起点でした。スペインからすれば、敵陣でのプレーもほとんどなくやりたいことをさせてもらえなかった前半だったと思います。

日本は長身の川村さんをFLで起用するなど、ラインアウトからチャンスを作りました

後半は交代出場した選手も活躍していましたが、トライ数は4本‐2本。スペインが奪った2トライはどちらも良かったですし、後半はアタックで前に出る場面も増えてホームの声援を力にファイトしてきました。日本もタックルを外されてゲインを許したり、マイボールのラックのボールをしっかりキープできなかった場面もありました。あくまでイメージですが、DFラインの出るスピードを上げてもう2m前に出れたらしっかり捕まえて倒せると思います。選手のコンビネーション、連携が来週のテストマッチに向けて、より良くなれば良いですね。

リザーブ選手も奮闘、ラベマイまこと選手は後半激しいタックルを見せていました

またアタックではBKラインがキックを多用していたのもあり、浅めのラインになって、スペインDFに捕まって前に出れない場面がありました。点差が離れて、自陣22mから左右に大きく展開してアタックを試みた場面でも、大きくゲインはできずに、結局キックでエリアを前に出す判断になりました。またスペインが奪った2トライ目は、日本がワイドに展開して大外で捕まったラックでのボールがこぼれたのを拾われて、日本の選手がいないスペースを走られてしまいました。この辺の選手間の連携や繋がりも来週に向けての課題ですね、ここからテストマッチに向けて、準備して戦えるのは良いですね。

最後に、当初のゲームプランはわかりませんが、キッキングゲームを徹底する方向だったのであれば、チェイスから再獲得する場面も多く、試合のラストプレーでもスペースへのキックからダメ押しのトライを奪うなど、手ごたえを感じられる内容だったと思います。一方で見ていてキックを選択するのが多いなとも感じました。それは点差が離れて、もう少しチャレンジングなプレーをしてほしいという個人的な願望もあるかと思います。ただ先述した通り、キックを意識するゆえに、アタックラインが浅くなったところもあるので、そこはコミュニケーションをとって、うまく使い分けてさらに有効なアタックに繋げられたら、良くなりますね。また秋のWXV2を見据えたときに、チームのアタックがどれだけ通用するかを把握するためにも、来週はもう少しBKから前に出るオプションを試すべきですね。

親善試合とはいえ、遠征初戦をいい内容で勝って振り返るのは本当に良いです。試合外のメンバーもメンバー入り目指して頑張っているでしょうし、次のテストマッチも楽しみにしましょう。

太陽生命WSS2023の振り返り

日曜は晴れて全国的にも蒸し暑くなる地域が多かったみたいですね。花園ラグビー場で行われた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ花園大会、シリーズ最終戦はながとブルーエンジェルス(BA)が優勝、シリーズ無敗の完全優勝を成し遂げました。また総合2位に終わった日本体育大学女子ラグビー部は4大会すべてでながとBAに敗れるも、他のチームには全勝でシリーズを終えました。OGの堤選手もいますが、ほぼ学生のチームでこの結果は本当に見事ですね。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1675406870457253888
年々競技レベルの向上を感じる中での完全優勝、本当に快挙です

前回のブログでは個人的な注目選手も紹介していましたが、活躍はそれぞれ。ナナイロの中村選手は勝負所でジャッカル決めたり、見事な活躍でした。またRUGBY JAPAN 365のWebでは参加チームの記事がいくつかアップされているので、紹介しますね。
ながとブルーエンジェルスがグランドスラム達成!太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023
⇒後半の村杉 徐司ハイパフォーマンスディレクターへのインタビューが面白かったです。
堂々の2位!日本体育大学ラグビー部女子、サクラフィフティーンにも招集された、向來桜子・大内田夏月に訊く
⇒大会後にサクラ15のスペイン遠征に合流する2人の話、セブンズでも大活躍でした。
大躍進!ナナイロプリズム福岡・総合4位で最高の成績
⇒もし新人王があれば有力だった活躍を見せた大橋聖香選手、力強く駆け抜けるランは近いうちに日本代表での活躍を期待させますね。

コアチーム残留に向けての争いを抜け出したのは日本経済大学女子ラグビー部

来年後のコアチームに残留できる11位から14位までのポイント差は5、し烈な争いでした

そして16チームとなった今年度のシリーズ、来年度は再び12チームになるため、どのチームが8月に行われる入替戦を回避できるかにも注目していました。私自身も千葉ペガサスの監督として2016年から2018年にかけて入替戦優勝して昇格、コアチーム残留、シリーズ下位になり入替戦3位で降格、という経験をしています。またワールドシリーズを見ているとコアチーム残留の1つの目安としてシリーズ大会での8強入りというのがあります。思えば日本代表サクラセブンズはコアチームに昇格するも、8強の壁を突破できずに降格、を何年も繰り返していました。そしてこのシリーズでは第1回熊谷大会でアルテミスターズが、第3回鈴鹿大会ではRKUグレースが、それぞれ8強入りを果たすもほかの大会では苦戦した結果、入替戦に進むことになりました。2チームはともに5月の熊谷大会、この花園大会でサクラ15の海外遠征に選手を派遣しています。入替戦での戦いは本当に厳しい戦いになりそうですね。

その一方で11位に入った日本経済大学女子ラグビー部AMATERUSは全大会で11位でした。4大会すべてで予選プールを3位で通過していますが、四国大学から2勝、RKUグレース、北海道バーバリアンズディアナからそれぞれ1勝を挙げ、2日目の9位トーナメントでは勝ちあがれず、という今シーズンでした。正直、抽選の組合せには恵まれたと思います。一方で2日目に勝利して何とかもう1試合、というチャレンジを重ねたシーズン。だからこそコアチームとして来年に向けて準備できる権利を獲得できたことは大きいですね。

またシリーズの過去の試合を改めて振り返ると、昇格1年目で総合4位まで駆け上がったナナイロプリズム福岡、熊谷大会の予選プール最終戦ではディアナと後半6分に追いついて14-14の引き分け。この大会での9位から4強入り、決勝進出とこのシーズンを一気に駆け上がっていきました。ただ順位に限らず、このシリーズ大会を重ねて大きく成長を遂げたチームは他にもあったと思います。またRKUグレースは8強入りを果たした鈴鹿大会ではブレイブルーヴ、PTSを相手に後半に逆転し、それぞれ2点差で勝利。サクラ15の司令塔大塚選手の活躍が目立ちました。シリーズ初年度から参戦してきたグレースは過去に入替戦も経験しています。今年は厳しいシーズンになっていますが、ここから入替戦に向けての奮闘に期待しています。

そんな入替戦ですがおよそ1か月後に、静岡エコパで8月11日、12日(金土)に行われます。下位5チームに加えて、アザレアセブンなど昇格を狙うチームが参加し、今回も10チーム前後の参加になるのかなと思います。12日の土曜は現地観戦できればと思いますが、時期的にもかなり蒸し暑くなりそうですね。来年度のシリーズ参戦に向けて、この1か月は厳しい暑さを乗りこえる、メンタル的にもきつい時期ですね。またもうじき発表されると思いますが全国大学セブンズや各地域で国体ブロック予選に向けての活動も本格化してきますので、引き続き女子セブンズの話題を楽しみにしたいと思います。

花園大会初日の観戦記とコアチーム残留のはなし

片道3時間かけての太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ(WSS)花園大会、雨がちの天気予報が選手、関係者の祈りが届いたのか、曇り空で雨に悩まされるようなことはない1日でした。私は第1試合の後半途中から第24試合の最後まで、ほとんどをスタンドから観戦できました。日本協会HPの第1日試合結果は、こちら。またYoutubeの配信は下に。

予選プール1巡目で前回11位の追手門学院が7位のチャレンジを、前回10位のアルカスが8位のRKUグレースを破るupsetを達成。予選で勝てずに苦しいシーズンを過ごしている四国大学は圧倒的なアタック力を持つフェニックスを相手に14-24の接戦。初の花園ラグビー場での開催は観客の声援もあって、面白い試合が見られる中、2巡目では前回13位のPTSが前回6位のPEARLSを17-12で破るBIG upsetを見せてくれました。予選プールの最終戦では昇格して2連続の4強入りを果たしたナナイロプリズム福岡を相手に、昨年は常に4強に入りながら今年は2日目初戦で厳しい結果が続いていたYOKOHAMA TKMがスタンドのサポーターの大きな声援を受けて15-0と完封勝利して予選プールを1位で通過しました。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1675081225927819266
結果的には予選の全プールで前回下位のチームが上位を食うupsetがありました

upsetという番狂わせを中心に振り返りましたが、その中で上位3強であるながとBA、日体大、フェニックスは試合を重ねるごとに調子を上げてきました。序盤は選手の組合せを試していたのもあるかもしれませんね。そして明日の組合せは9:15からの初戦がまさかの今日の最終戦と同じナナイロとTKM、またフェニックスとアルカスも予選プールの再戦になりますね。まあトーナメントの初戦の相手が予選と同じなのは、残念な気持ちにもなりますが、よくあるといえばありますね。ワールドシリーズでも日本がNZと同じ日に2回戦ったとか。そして最も注目なのは、ながとBAのシリーズ完全優勝なるか。明日の組合せは順調に上位チームが勝てば準決勝で日体大とぶつかりますね。

上位トーナメントに進んだ各チームの個人的な注目選手を考えてみました。まずながとはSHでゲームをコントロールする平野優芽選手、今日もPEARLS戦で追い上げられた後半最初のキックオフでインゴールに入ったボールを抑えて中央からのリスタートで、誰よりも先に準備して速攻を仕掛けてトライをアシストしていました。接戦の時にこそ活躍できる選手です。そしてそんなゲームに1プレーで流れを引き寄せるインパクトを与える大谷芽生選手、これまで大会MVPは貰っていない2人ですが、シリーズMVPを貰う可能性は十分にありますね。

追いかける日体大は松田凜日選手、今日も力強いランで何度もゲインしていました。BKラインでCTBに入って、チャンスをたくさん作ってくれるでしょう。日体大はリザーブ含めて選手の組合せや戦術が多い印象なので、明日はどんなメンバーで挑むかも楽しみです。フェニックスはBKラインを動かす大黒田裕芽選手ですね。BKラインの大外に原わか花選手、ニア・トレバー選手というトライゲッターを持つフェニックスですが、トーナメントでは相手の徹底したマークに抑えられて、ゲームの流れを掴めずにやられてきました。今日の試合を見ているとDFの裏へのキックが増えた印象です。DFで強いプレッシャーをかけて流れを掴めると、大黒田選手の仕掛けが面白くなるかなと思います。

そして明日の初戦で再びぶつかるTKMとナナイロ。両チームの日本代表選手に注目です。TKMはこの大会で復帰した松永美穂選手、今日も後半最初のキックオフでビッグタックルを見せて、流れを掴みました。ナナイロは中村知春選手、永田花菜選手、小笹知美選手らがいますが、中村選手が躍動するような場面が出てくるとチームの勢いもつくのではないでしょうか。そして他のチームでも日本代表経験者の活躍に期待しますし、サクラセブンズに加わってくるようなパフォーマンスを見せる選手が出てきてほしいですね。

最後にサクラ15のスペイン遠征に大会期間中にも関わらず、選手をリリースしたブレイブルーヴ、アルテミスターズは予選プールで3敗、RKUグレースも前回の8強から順位を落としました。一方でアルカス熊谷は8強入りを果たしました。チーム事情はそれぞれありますが、入れ替え戦回避を目指すチーム状況の中で、選手を代表に派遣したチームには明日も、そして8月の入替戦でも出場選手の活躍に期待したいと思います。

週末は花園で女子セブンズ、天気が気になりますね

女子日本代表サクラフィフティーンはスペイン遠征に飛び立ちましたが、今週末は太陽生命WSSの最終戦、花園大会が行われます。これまでは開催地が東日本中心でしたが、今年は九州からの参加もあり、遂に東大阪市花園ラグビー場での開催になりました。2014年に始まったシリーズなので、静岡、三重と来てようやく大阪までといったところでしょうか。日本協会の当日情報は、こちら。試合だけでなく各チームのブールやイベントも楽しみです。

今日は大会登録メンバーも発表されました。チームによっては、サクラ15の方に選手を派遣していますし、大会後に遠征に向かう選手もいます。チームの事情はそれぞれあると思いますが、太陽生命WSSよりも代表活動を優先して選手を派遣しているチームは、とてもありがたいというか、代表チームをリスペクトしてくれていて、素晴らしいです。

注目はながとブルーエンジェルスの完全優勝(個人的には予選含めての全勝という意味合い)なるか、おそらく完全優勝は2014年、初年度のアルカス熊谷以来ではないでしょうか(未確認ですが)。そんなながとは日本人選手で若干の入替がありますね。プールAは前回6位のPEARLS、9位のブレイブルーヴ、13位のPTSと強豪が集まる死のプール感があります。PEARLSは注目していたNZのサラ・ヒリニ選手、そしてトライゲッターの保井選手も前回大会の怪我もあって登録外です。苦しい状況かもしれませんが、出場選手には花園のフィールドで思いっきりプレーして欲しいですね。

ほかの予選プールを見ると、日体大は4年生の松田凜日、高橋沙羅が登録メンバー入り。そしてサクラ15の遠征メンバー入りしている向来選手、大内田選手もいます。4大会連続の決勝進出なるか。同じプールの追手門学院女子ラグビー部VENUSは大阪開催のホーム戦、上位を争うチャレンジ、アルテミスターズを破っての8強入りなるか。この辺りは入替戦回避に向けてもし烈な戦いになりそうですね。花園大会はコアチーム残留に向けて、ポイント上位の基準となる8強入りをどのチームが果たすかにも注目です。なお入替戦は8月11,12日に静岡エコパで行われます。いちおうこの大会の案内もリンク張ります、こちら

そして梅雨時の気になる天気。今のところ、予報では土曜は雨のち曇り、日曜は晴れ間が出るみたいです。Yahoo天気の東大阪市はこちら。私は土曜に観戦に行く予定ですが、早朝から移動するので朝の雨が心配です。

ほかのカテゴリーだと、この後21時からはU20JAPANがウェールズと戦いますし、週末の関東は大学オールスター戦が行われます。サクラ15の遠征だったり、来週にかけてブログをまめに更新していく予定です。見ていて面白く、盛り上がるような試合に期待します。

サクラ15のスペイン遠征、良いマッチメイクですね

女子日本代表サクラフィフティーンがスペインに遠征してテストマッチ2試合を行うことが発表されました。今日は遠征参加メンバー(スタッフ含む)も発表されました。協会HPのリンクは、こちら

先月のカザフスタン遠征メンバーを中心に新たな選手も加わりました

まず対戦相手のスペインについて、最新の世界ランクでは11位の日本に次ぐ12位です。昨年NZで開催されたW杯はヨーロッパ予選でスコットランド、イタリアに敗れて出場を逃しました。2017年大会では11位で終えた日本より上位の9位、セブンズではワールドセブンズシリーズでコアチームとして何年も参加し、女子ラグビーの強豪国の1つです。ヨーロッパは強豪国が6か国対抗で毎年テストマッチを重ねる中、スペインは入れず。そしてスペインは来月の22日にイタリアとのテストマッチを控え、勝利すると秋のWXVでは2部、負けると3部に入ります。ここでイタリアに勝って、秋のWXV2で強豪国とのテストマッチを重ねたい。そんなスペインとのマッチメイクはお互いにとってメリットがあり、良いマッチメイクだと感じています。協会関係者のスケジューリング、素晴らしいです。

そして遠征参加スタッフには、今回新たに女子日本代表のハイパフォーマンスアドバイザーに就任した元イングランド女子代表HCのサイモン・ミドルトン氏、また新たにスキルコーチが加わりました。W杯の後に「日本代表の課題はアタック力」という話をしましたが、今回実績のあるコーチが加わることで、サクラフィフティーンが大きく成長するのを期待しています。準備期間は多くないですが、大勝したカザフスタン戦の勢いをさらに増して、2試合とも勝利して欲しいですね。この辺の詳細は来月にでもまた書ければと思います。

スペインは4月1日に南アとマドリッドで戦い、20-35で敗れていました

そして今週末は太陽生命WSS花園大会、シリーズ最終戦ですね。ながとの全勝優勝なるか、それを阻止するチームは出てくるか。そしてPEARLSのサラ・ヒリニ選手がもし出場するなら、会場の空気が変わるかもしれませんね。天気が気になりますが、私も土日どちらか現地に観戦予定です。