サクラセブンズ、米国に8年ぶりの勝利

大型連休、自分は9連休ですが4月28日には岐阜でハーフマラソンを走って、30日からは実家に帰省しています。5日の太陽生命WSS鈴鹿大会に合わせて三重に戻りますが、日曜も良い天気になりそうなので鈴鹿大会の初日が楽しみですね。そして3日に始まったワールドセブンズシリーズシンガポール大会、女子日本代表サクラセブンズは予選プールで強豪米国に22-12で快勝し、1勝1敗で初日を終えました。

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日本がワールドシリーズで米国に勝利したのは2014-2015のドバイ大会以来だそうです

前回の香港大会では今回のシリーズで初の8強入りを果たし7位で終えました。香港ではDFで左右の連携を崩さずに粘り強い戦いを見せていたので、シンガポールではそこからどのようにアタックしてトライを増やすかに注目していました。初戦はフランスを相手に7トライを奪われ、7-41で敗れる厳しいスタート。そして同じプールの南アフリカが格上の米国に14-12で勝利する番狂わせで、2戦目の米国戦が厳しい戦いになると予想していました。

https://twitter.com/SVNSSeries/status/1786241143623078394
南アフリカは終了間際にG前スクラムから同点トライ、逆転のゴールでした

そんな米国戦については開始1分ほどでスクラムから平野キャプテンが上手く持ち出してDFをひきつけ、外の大谷選手に回すと追いかけるDFを振り切って先制トライ。その後のキックオフでもDFでプレッシャーをかけて米国のミスを誘い、アタックでうまく外に展開するとスタメンを勝ち取った矢崎選手がインゴールまで走り切り追加のトライを奪うよい入りでした。

https://twitter.com/RugbyPass_JP/status/1786315009011990563
日本の先制トライの場面、この試合は安定したスクラムを起点にしたトライが多かったです

前半残り1分を切ったころに米国が反撃し、クロスプレーから抜け出す米国の選手にタックルしようと伸ばした手が偶然相手の長髪を引っ張る形となってシンビンが出てしまいました。個々の強い米国を相手に1人少ない状況になりましたが、後半の開始1分でスクラムから相手のオフサイドのアドバンテージをもらうと、内海選手が中央をぶっちぎって走り切る3トライ目を奪ったのが大きかったですね。前半と同様早い段階でリードを奪い、落ち着いて自分たちの流れを保って試合ができ、米国に逆転のチャンスを与えずに快勝しました。

8年ぶりの米国相手の勝利でしたが、まずランキングでは格上の米国から4トライを奪うアタックができたのは大きな成長ですね。しかも数年前までのサクラセブンズは自陣からアタックを継続して何とか敵陣22mに攻め込んでようやくトライといった時間のかかるアタックでした。もちろん途中でミスからボールを奪われると、そこから一気に失点するような場面も多かったです。それが今回の米国戦はスクラムからの1フェイズで奪うトライが多かったですね(おそらく3トライ)。国内合宿でもスクラムコーチが参加していましたが、東京五輪の試合ではラストプレーのスクラムから逆転された悔しい試合を見ているので、安定したスクラムは試合の流れを掴むうえで本当に大きな武器かもしれません。

最後にほかの予選プールの結果も確認してみました、こちら。アイルランドが格上のカナダに勝利する番狂わせもありました。日本は米国に勝利したとはいえ、明日もし南アフリカに負けて、米国がフランスに勝利すると勝ち点で予選プール最下位になります。なので明日の12時から行われる南アフリカ戦も大事な試合になりますし、ここで勝利すると総合ポイントでもかなり優位に立ちます。これまで見せたDFをしっかり出せれば問題ないと思いますが、まずはどんな相手であれ勝ちたい気持ちをプレーでしっかり見せて、プレッシャーをかけて先手をとること。2日目も良い戦いを見せて上位進出を狙ってほしいですね。

太陽生命WSS熊谷大会と女子6か国対抗の話

この週末に行われた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024第2戦熊谷大会、先日の北九州大会に続いて面白い試合がたくさん見られたようです。私がYoutubeで見た試合はそんなに多くはないのであまり長々と書かないようにしたいなと。

ただ東京山九フェニックスがPEARLSに逆転勝利した決勝戦と同じかそれ以上に盛り上がったのはトーナメント1回戦で日体大が昨年のシリーズからの連勝を続けていたながとブルーエンジェルスとぶつかり、前半を終えて0-12のビハインドから後半に追いつき、延長の末勝利した試合だったと思います。前日の予選プールでも戦い14-26の負け、昨年からの悔しい思いも重ねての勝利。熊谷大会では4位に終わりましたが、チームには価値ある勝利でした。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1781862856776138960
日体大の古賀監督が逆転勝利にこぶし握った瞬間、震えましたね

決勝戦は2022年の総合優勝チームのフェニックスと前回の北九州大会に続いてPEARLSが優勝をかけた戦いに挑みました。レフリーは京都成章の高校生でしたが、本当に堂々としたレフリングで見ている方にも緊張感が伝わるファイナルらしい試合だったのではないでしょうか。試合は自陣G前に攻め込まれたPEARLSがそこから攻めて庵奥選手が抜け出して独走トライ。その後のキックオフからフェニックスがボールを獲得すると岡元選手が抜け出して同点に追いつきます。この決勝戦は19-12でフェニックスが逃げ切りで勝ちましたが、同点トライにジャッカルに攻守にわたって岡元選手の活躍が目立ちましたね。

https://twitter.com/TS_Womens7/status/1781942003221364956
熊谷大会のMVPに選ばれた松村選手、決勝戦でも精度の高いドロップキックを見せていました

日本協会HPの大会結果のお知らせは、こちら。2024シリーズ前半の2大会を終えての総合ポイントを見ると例年よりも順位の変化が大きく感じます。北九州ではサクラセブンズの候補メンバーが出場していましたが、今回は不参加だったことでナナイロプリズム福岡にとっては厳しい大会だったかもしれませんね。PEARLSは2大会連続の準優勝から次はホーム鈴鹿大会。ここで優勝したらシリーズ総合優勝に大きく近づきます。一方で8強に残れなかった4チームは同じ顔触れ、入替戦を回避するためには残り2大会で8強入りを果たせるかどうかですね。

少しだけヨーロッパの6か国対抗戦の話、イングランド女子への歓声に驚き

14トライを奪い圧勝のイングランド、監督は昨年男子日本代表のコーチングスタッフだったミッチェル氏
https://twitter.com/rikiet24/status/1781818950608658784
現在英プレミアでプレーする玉井選手のポスト、48,000人の歓声の大きさに驚き

お勧めに出てきたイングランドとアイルランドのハイライト動画を見たらイングランドの強さよりもまず観客の歓声に驚いたんですよね。そうしたら玉井選手がポストしていてこの試合に4万人以上もの観客が集まったとか、日本では想像し難い。そしてこれだけの観客がどうして集まるのかも正直わからない。それだけのファンがいて熱狂する魅力があるのは事実で、それを現場で見て、感じて、こうして発信してくれる方がいるのは本当に感謝、ありがたい。

https://twitter.com/WorldRugby/status/1781740099367027177
また同じ週末に昨年のWXVで日本に勝利した2チームが戦ってスコットランドが勝利

また映像はまだ見ていませんが、スコットランド女子がイタリアに勝利したのはちょっとした驚き。昨年11月にWXVのスコットランド戦後に書いたブログは、こちら。イタリアは2022年のW杯で日本に勝ち、男子含めてW杯で初の8強入りを果たした強豪国。スコットランドは2019年の秋のテストマッチではサクラフィフティーンに敗れていました。そこから4年少しで強化を進めてのイタリア撃破。この2か国のどちらかとは秋のWXVで戦う可能性もありますね。日本は来月に行われるアジアのテストマッチで更に進化した姿を見せてほしいですね。

サクラセブンズ、香港大会を7位で終える

先週末に香港で行われたワールドセブンズシリーズ香港大会、香港スタジアムで行われるのは今年が最後だそうです。女子日本代表サクラセブンズはこのシリーズで初の8強入りを果たし、トーナメント初戦ではオーストラリアに0-12と惜敗、7位決定戦にまわりこのシリーズで優勝経験もあるアイルランドを相手にに12-5で逆転勝利し、7位で終えてシリーズポイントを24に伸ばしました。

香港大会後のシリーズ総合順位、残り2大会でブラジル、イギリスに追いつけるか

改めて総合順位を見ると今回の予選プールでスペインにラストプレーで勝利したのは本当に大きいですね。残り2大会の開催地はシンガポール、マドリードですがポイント差で引き離すことが出来ました。それと予選プールでは今回決勝でNZに敗れて準優勝の米国を相手に競り負けたものの、勝ち点1を加えたのもポジティブな材料ですね。また大会後に発表されるドリームチームに日本から平野優芽キャプテンが見事に選ばれました。過去のシリーズでは確かライチェル選手が選ばれたことがありますが、日本からは数年ぶり??の選出ですかね。前回大会では9位決定戦のイギリスを相手にハットトリックでの逆転勝利でしたが、香港でも素晴らしい活躍でした。

平野優芽キャプテンについてはラグビーリパブリックの大会後の記事「勝ちながら自信をつけていく」でもコメントが掲載されていましたが、パリ五輪に向けてますますチームへの存在感が出てきていると感じます。協会HPにある香港大会の登録メンバーを見ても国際大会のキャップ数は中村選手の66に続いて42、それ以外の選手はみな30未満なのを見ると改めて東京五輪の前からサクラセブンズで活躍してきたのを感じます。これまでの様々な経験を経てのリーダーシップがこれからどう進化していくか、楽しみに応援します。

大会後の選手コメントを見ても、粘り強く守れたことが自信に繋がっていますね。課題はアタックでどれだけ継続できるか。
スペイン戦でサヨナラトライの走りを見せた原わか花選手、いい笑顔

上のトライ集の動画、改めてしっかり見たら予選プールのスペイン戦のトライ場面が抜けてますね(苦笑) 昨年のシリーズでは原わか花選手が外を走り切るトライが多かったですが、ここ数大会は外に展開してから三枝選手がインサイドに走り込んで抜け出すトライが目立ちます。ほかの国ではこうした縦に仕掛けるアタックはあまり見ないのと、あとは対面のDFを1ステップで外すのが上手いんだと思います。チームとして狙うアタックが明確に共有出来ていて、そこの仕掛けに対しての周りのサポートも素早くついて継続出来ているし、オフロードで繋ぐ場面も目立ってきた印象です。アイルランド戦では相手の強烈なタックルを受けて、ボールを落とす場面が目立ったので、個々のスキルアップは引き続きの課題だと思いますね。

協会HPのギャラリーにあった原選手、スペイン戦のトライ前かな。NZのポーシャ・ウッドマンみたい。

最後に次回のシンガポール大会は約1か月後、5月3日-5日の開催。シンガポールの気候はヨーロッパや南半球税に比べると、日本に優位に働いてくれそうです。まだ予選プールの組合せは発表されていないみたいです。香港の結果を見ると下位に終わったブラジル、南アフリカ、スペインのどこかと戦うので、そこでしっかり勝つこと。また上位国といかに競った展開に持ち込んでイージーな失点(例えばスクラムから1フェイズで奪われる)を減らせるか。まだシリーズ上位のNZや豪州とは力の差を感じる一方で、DFの粘り強さ(例えば個々の接点で負けてオフロードをさせない)は形として表れているので、課題のアタックで強豪国を相手に勝ち切るための得点力をつけられるかですね。

今回の香港大会に登録されなかったセブンズスコッドメンバーの何人かは所属チームで太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに参戦していましたね。パリ五輪に向けてのセレクションとしてはプレー機会があるのは良い事ですし、国内でも活躍する新たな選手が増えて欲しいです。

サクラセブンズは見事な逆転勝利でLA大会9位

今日の未明から朝にかけて行われたLA大会3日目、女子日本代表サクラセブンズはスペインに14-12で競り勝つと、9位決定戦ではイギリスにリードを許すもチームを引っ張ってきたキャプテン平野選手が3連続トライを奪って24-17と見事な逆転勝利を見せてくれました。

頼れるキャプテン平野選手、これまで苦しい戦いが続く中での見事な勝利

朝6時頃に行われたイギリス戦は後半の途中までLIVE観戦していました。最初のキックオフでターンオーバーしての1stアタックを継続し、先週から縦に走り込むラインブレイク連発、絶好調の三枝選手が先制トライ。次のキックオフでもターンオーバーして攻め続けるなど素晴らしい入りでしたが、イギリスも徐々にアタックからリズムを掴むと、追いかけた平野選手がタックルに入った際に手がボールに当たるアンラッキーなノッコンでシンビンに。ここから前半のうちに逆転されたものの、6人でイギリスのアタックを我慢して止め続けるなど、これまでの戦いでの課題を修正して、仕上げてきた力を見せつけてくれました。

スクラムから持ち出して同点に繋げる独走トライを奪った平野選手

追いかける後半もシンビンが出て6人のイギリスのアタックを止めきれずに追加のトライを奪われる厳しい状況でしたが、そこからアタックを仕掛け続けてG前のラックからショートサイドに走り込んで追撃のトライ、マイボールスクラムから一気に走り抜けて同点につながるトライ、さらにラストプレーで攻め続けて逆転トライを奪っての勝利。大会最終日の後半に何度もインゴールまで走り切る平野選手のフィットネス、勝負強さにはあっぱれです。

奪ったトライはどれも鮮やかですね

日本協会HPにある大会後の選手コメントは、こちら。今年のシリーズは全8大会あり、5大会を終了。昨年のセブンズシリーズを過去最高の成績で戦い抜いたチームに新たな選手も加わり、パリ五輪に向けてチーム作りを進めてきました。ほかの国の強化も進み、なかなか大会上位を狙う8強入りを果たせずに来ましたが、今回9位で終えたことは4月の第1週に行われる香港大会に向けて良いですね。予選プールの組合せはカナダ、米国、スペインと同じになり、日本にとっては相性の良い相手だと思います(今大会は不調で11位になったフィジーと別で良かった)。この1か月でさらに鍛え上げて予選プールで2勝出来たらあっぱれですね。

4月5日から7日に行われる香港大会のプール組み合わせ

ブログ再開、今週末はセブンズLA大会

前回のブログが11月の第1週だったので、およそ4か月ぶりの更新になります。ワールドセブンズシリーズを戦った昨年は、久しぶりの大会8強入りを果たすなどコアチーム残留を果たした女子日本代表サクラセブンズ。今年のシリーズでは4大会を終えて未だに8強入りは果たせず、厳しい戦いが続いています。先週のカナダ、バンクーバー大会では予選プール初戦で豪州と2点差の接戦になるなど、実力は確実に高まっていると感じます。

シリーズ前半の4大会を終えての総合ポイントは12、スペインと並んでいます
バンクーバー大会のトライ場面を見るとFWの選手のトライが目立ちました

実際に試合を観ていると昨年に続き攻守にわたって周りの選手と連携を取り、プレー時間が長く続いても安定して質の高いプレーが出来ていますし、豪州戦は特にこれまででも過去最高のパフォーマンスだったと感じました。奪った2トライの場面も自陣からアタックを継続して取り切ったものです。DFでも左右の選手と協力してボールキャリアーを捕まえて、簡単なラインブレイクを許しませんでした。一方で簡単にトライを許してしまったフィジー戦は残念でした。DFではいかにして1対1のようなシチュエーションを減らすかが勝負の鍵です。

そんな女子日本代表、今週末は米国LA大会が行われます。バンクーバー大会では10位になり、今週末の予選プールではフランス、オーストラリア、アイルランドと同じになりました。日本協会HPにある大会登録メンバーと第1日、第2日のスケジュールは、こちら。オーストラリア、アイルランドとは1トライ圏内の接戦だっただけに何とか8強に進出したいところ。

昨年のシリーズでも活躍した主力選手を中心に、今年は代表復帰した堤選手、田中選手に加えて、このシリーズから新たに代表争いに加わった内海選手らが活躍していて、選手間の連携も大会を重ねるごとに高まっています。その一方でパリ五輪を控えたこのシリーズはほかの強豪国の強化も進んでいて、昨年は圧倒的に勝っていたNZも苦戦したり、アイルランドがシリーズ初制覇を成し遂げたりと大会ごとに順位の変動が多いので、日本もそれに加わりたいですね。頑張れ日本!