サクラセブンズ、香港大会を7位で終える

先週末に香港で行われたワールドセブンズシリーズ香港大会、香港スタジアムで行われるのは今年が最後だそうです。女子日本代表サクラセブンズはこのシリーズで初の8強入りを果たし、トーナメント初戦ではオーストラリアに0-12と惜敗、7位決定戦にまわりこのシリーズで優勝経験もあるアイルランドを相手にに12-5で逆転勝利し、7位で終えてシリーズポイントを24に伸ばしました。

香港大会後のシリーズ総合順位、残り2大会でブラジル、イギリスに追いつけるか

改めて総合順位を見ると今回の予選プールでスペインにラストプレーで勝利したのは本当に大きいですね。残り2大会の開催地はシンガポール、マドリードですがポイント差で引き離すことが出来ました。それと予選プールでは今回決勝でNZに敗れて準優勝の米国を相手に競り負けたものの、勝ち点1を加えたのもポジティブな材料ですね。また大会後に発表されるドリームチームに日本から平野優芽キャプテンが見事に選ばれました。過去のシリーズでは確かライチェル選手が選ばれたことがありますが、日本からは数年ぶり??の選出ですかね。前回大会では9位決定戦のイギリスを相手にハットトリックでの逆転勝利でしたが、香港でも素晴らしい活躍でした。

平野優芽キャプテンについてはラグビーリパブリックの大会後の記事「勝ちながら自信をつけていく」でもコメントが掲載されていましたが、パリ五輪に向けてますますチームへの存在感が出てきていると感じます。協会HPにある香港大会の登録メンバーを見ても国際大会のキャップ数は中村選手の66に続いて42、それ以外の選手はみな30未満なのを見ると改めて東京五輪の前からサクラセブンズで活躍してきたのを感じます。これまでの様々な経験を経てのリーダーシップがこれからどう進化していくか、楽しみに応援します。

大会後の選手コメントを見ても、粘り強く守れたことが自信に繋がっていますね。課題はアタックでどれだけ継続できるか。
スペイン戦でサヨナラトライの走りを見せた原わか花選手、いい笑顔

上のトライ集の動画、改めてしっかり見たら予選プールのスペイン戦のトライ場面が抜けてますね(苦笑) 昨年のシリーズでは原わか花選手が外を走り切るトライが多かったですが、ここ数大会は外に展開してから三枝選手がインサイドに走り込んで抜け出すトライが目立ちます。ほかの国ではこうした縦に仕掛けるアタックはあまり見ないのと、あとは対面のDFを1ステップで外すのが上手いんだと思います。チームとして狙うアタックが明確に共有出来ていて、そこの仕掛けに対しての周りのサポートも素早くついて継続出来ているし、オフロードで繋ぐ場面も目立ってきた印象です。アイルランド戦では相手の強烈なタックルを受けて、ボールを落とす場面が目立ったので、個々のスキルアップは引き続きの課題だと思いますね。

協会HPのギャラリーにあった原選手、スペイン戦のトライ前かな。NZのポーシャ・ウッドマンみたい。

最後に次回のシンガポール大会は約1か月後、5月3日-5日の開催。シンガポールの気候はヨーロッパや南半球税に比べると、日本に優位に働いてくれそうです。まだ予選プールの組合せは発表されていないみたいです。香港の結果を見ると下位に終わったブラジル、南アフリカ、スペインのどこかと戦うので、そこでしっかり勝つこと。また上位国といかに競った展開に持ち込んでイージーな失点(例えばスクラムから1フェイズで奪われる)を減らせるか。まだシリーズ上位のNZや豪州とは力の差を感じる一方で、DFの粘り強さ(例えば個々の接点で負けてオフロードをさせない)は形として表れているので、課題のアタックで強豪国を相手に勝ち切るための得点力をつけられるかですね。

今回の香港大会に登録されなかったセブンズスコッドメンバーの何人かは所属チームで太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに参戦していましたね。パリ五輪に向けてのセレクションとしてはプレー機会があるのは良い事ですし、国内でも活躍する新たな選手が増えて欲しいです。

サクラセブンズは見事な逆転勝利でLA大会9位

今日の未明から朝にかけて行われたLA大会3日目、女子日本代表サクラセブンズはスペインに14-12で競り勝つと、9位決定戦ではイギリスにリードを許すもチームを引っ張ってきたキャプテン平野選手が3連続トライを奪って24-17と見事な逆転勝利を見せてくれました。

頼れるキャプテン平野選手、これまで苦しい戦いが続く中での見事な勝利

朝6時頃に行われたイギリス戦は後半の途中までLIVE観戦していました。最初のキックオフでターンオーバーしての1stアタックを継続し、先週から縦に走り込むラインブレイク連発、絶好調の三枝選手が先制トライ。次のキックオフでもターンオーバーして攻め続けるなど素晴らしい入りでしたが、イギリスも徐々にアタックからリズムを掴むと、追いかけた平野選手がタックルに入った際に手がボールに当たるアンラッキーなノッコンでシンビンに。ここから前半のうちに逆転されたものの、6人でイギリスのアタックを我慢して止め続けるなど、これまでの戦いでの課題を修正して、仕上げてきた力を見せつけてくれました。

スクラムから持ち出して同点に繋げる独走トライを奪った平野選手

追いかける後半もシンビンが出て6人のイギリスのアタックを止めきれずに追加のトライを奪われる厳しい状況でしたが、そこからアタックを仕掛け続けてG前のラックからショートサイドに走り込んで追撃のトライ、マイボールスクラムから一気に走り抜けて同点につながるトライ、さらにラストプレーで攻め続けて逆転トライを奪っての勝利。大会最終日の後半に何度もインゴールまで走り切る平野選手のフィットネス、勝負強さにはあっぱれです。

奪ったトライはどれも鮮やかですね

日本協会HPにある大会後の選手コメントは、こちら。今年のシリーズは全8大会あり、5大会を終了。昨年のセブンズシリーズを過去最高の成績で戦い抜いたチームに新たな選手も加わり、パリ五輪に向けてチーム作りを進めてきました。ほかの国の強化も進み、なかなか大会上位を狙う8強入りを果たせずに来ましたが、今回9位で終えたことは4月の第1週に行われる香港大会に向けて良いですね。予選プールの組合せはカナダ、米国、スペインと同じになり、日本にとっては相性の良い相手だと思います(今大会は不調で11位になったフィジーと別で良かった)。この1か月でさらに鍛え上げて予選プールで2勝出来たらあっぱれですね。

4月5日から7日に行われる香港大会のプール組み合わせ

ブログ再開、今週末はセブンズLA大会

前回のブログが11月の第1週だったので、およそ4か月ぶりの更新になります。ワールドセブンズシリーズを戦った昨年は、久しぶりの大会8強入りを果たすなどコアチーム残留を果たした女子日本代表サクラセブンズ。今年のシリーズでは4大会を終えて未だに8強入りは果たせず、厳しい戦いが続いています。先週のカナダ、バンクーバー大会では予選プール初戦で豪州と2点差の接戦になるなど、実力は確実に高まっていると感じます。

シリーズ前半の4大会を終えての総合ポイントは12、スペインと並んでいます
バンクーバー大会のトライ場面を見るとFWの選手のトライが目立ちました

実際に試合を観ていると昨年に続き攻守にわたって周りの選手と連携を取り、プレー時間が長く続いても安定して質の高いプレーが出来ていますし、豪州戦は特にこれまででも過去最高のパフォーマンスだったと感じました。奪った2トライの場面も自陣からアタックを継続して取り切ったものです。DFでも左右の選手と協力してボールキャリアーを捕まえて、簡単なラインブレイクを許しませんでした。一方で簡単にトライを許してしまったフィジー戦は残念でした。DFではいかにして1対1のようなシチュエーションを減らすかが勝負の鍵です。

そんな女子日本代表、今週末は米国LA大会が行われます。バンクーバー大会では10位になり、今週末の予選プールではフランス、オーストラリア、アイルランドと同じになりました。日本協会HPにある大会登録メンバーと第1日、第2日のスケジュールは、こちら。オーストラリア、アイルランドとは1トライ圏内の接戦だっただけに何とか8強に進出したいところ。

昨年のシリーズでも活躍した主力選手を中心に、今年は代表復帰した堤選手、田中選手に加えて、このシリーズから新たに代表争いに加わった内海選手らが活躍していて、選手間の連携も大会を重ねるごとに高まっています。その一方でパリ五輪を控えたこのシリーズはほかの強豪国の強化も進んでいて、昨年は圧倒的に勝っていたNZも苦戦したり、アイルランドがシリーズ初制覇を成し遂げたりと大会ごとに順位の変動が多いので、日本もそれに加わりたいですね。頑張れ日本!

今更ですが、WXV2のスコットランド戦の振り返り

サーバー関係のバージョンの更新が出来ずにいて手間取っていましたが、無事に解決しました。11月に入り、高校ラグビーは各地で花園予選、大学ラグビーは全国選手権に向けて後半戦、そして社会人は各地域リーグやリーグワンのプレシーズンマッチが行われています。女子は今日4日に関東大会が始まり、昨年度日本一に輝いた東京山九フェニックスが勝利しました。先週のフランスW杯が終わり、これからは国内のラグビーに注目ですね。

ジェイミーJAPANのW杯シーズンの締めはこちらで。

スコットランド戦をYoutubeでチェックして見て簡単に振り返ります

まず先月南アフリカで行われたWXV2、日本の最終戦はスコットランドを相手に7-38で敗れ、6チーム中5位(1勝2敗で3チームが並びました)で終わりました。3戦全敗のサモア(オセアニア1位)が次回はWXV3に降格し、WXV3で1位のアイルランド(ヨーロッパ枠)が昇格してくるはずです。またトップのWXV1はイングランドが3戦全勝、昨年のW杯決勝でNZに敗れたリベンジを果たして優勝しました。ここは予想通りというか、世界ランク通りの実力差があるのかなと思います。大会公式サイトの試合結果(Standings)は、こちら

https://twitter.com/WorldRugby/status/1720713885529903450
2023年の女子の世界ベスト15、映像見るとどの選手も走りが凄い

そして日本とスコットランドとの試合レポートはRUGBY JAPAN 365のサイトに掲載されています、こちら ⇒ 「サクラフィフティーン2勝目ならず
試合の方は前半開始から自陣でのプレーが続き、スコットランドもFWがプレッシャーをかけてきましたがしっかりこらえました。先制トライの場面も自陣スクラムから今釘選手のキックで敵陣へ、相手のカウンターアタックを止めてカウンターラックで反則を奪い、津久井選手がクイックで仕掛けて繋ぎ、長田選手が先制トライ、という素晴らしい形でした。自分たちが目指すアタックのイメージが共有出来ているからこそ、ターンオーバーからのチャンスを活かせたと思います。しかし前半6分に奪ったこのトライとキックが日本唯一の得点でした。

その後も日本のアタックはスコットランドのDFをパスで揺さぶって前に出続けます。SH津久井選手、SO大塚選手がテンポよくボールを動かしますが、ほかの選手のポジショニングの速さ、特に裏へのキックに対して素早く下がり、広いスペースから大外まで球を動かすカウンターが良かったです。チーム内で相手より素早く動いて機先を制す、そんな拘り、スタンダードの高さを感じました。またエリア中盤では津久井選手や今釘選手のキックから敵陣22mに入るきっかけを作るなどこれまで以上に通用していましたが、スコットランドも僅かな隙をターンオーバーに繋げるなど拮抗した展開になりました。

前半残り10分を切ってからは自陣でDFする時間が増え、スコットランドのアタックも色々なオプションを用意していましたが、良く止めていた方だと思いました。残り2分を切って自陣G前のマイボールスクラムから脱出を図ろうとしましたが、No8に入った齋藤選手が持ち出したラックで相手の10番にしつこくからまれて反則を取られたのが痛かった。そこから最後はスクラムを何度も組まれてペナルティートライを奪われ、1番に入った加藤選手がシンビンに。相手スクラムでは押し込まれると加藤選手が横向きになっているように見えました、相手3人の強烈な押しに対して2番谷口選手3番佐高選手、永田選手の2人で受けるような感じだったのかもしれませんね。スコットランドはこのFW戦、セットプレーで優位だったが故に、慌てることなくゲームを進められたと思います。

ハーフタイムに出たスタッツではPossessionは日本38%、スコットランド62%に対して、Territoryは日本55%、スコットランド45%、そして反則は日本がスクラムでやられるなど10に対してスコットランドはわずか3。7-7のスコア以上に実はスコットランドがゲームを優位に進めていた印象です。

後半の日本は粘り強いDFを見せるもスコットランドのアタックを止めきれずに失点を重ねました

後半は風下になり、スコットランドの猛攻を受け、日本は5トライ31失点を奪われました。14人で迎えた開始のキックオフからの攻防で相手の13番が見事なランを見せ、ノーホイッスルトライを奪われたのは痛かったですね。14人でのDFは相当厳しくなると思いましたが、スコットランドのアタックはこの勝負所で皆が良い動きをしていました。その後もスコットランドが調子を上げて良いプレーを重ねる中で、後半の日本は圧力を受けてハンドリングエラーやサポートの遅れが目立ちましたね。これには前半で負傷交代した小林選手ほか、傷んでいる選手など意図していない部分が影響したのかもしれません。

そしてスコットランドのハーフタイムの修正力というか、日本に対応してきた後半のアグレッシブな戦いにそこまで力をつけたのかと正直驚きました。ほとんど反則もなく固いDFを見せ、アタックでも単純なプレーは少なかったです。対して日本は後半28分、相手のキックミスから敵陣22mラインアウトのチャンスを得て攻め続けますが、スコットランドの固いDFを突破しきれず、最後は外へのパスミスでボールがタッチラインを割りスコットランドボールに。後半のスコットランドのパフォーマンスはWXV2で同じく3戦全勝のイタリアを得失点差で上回って優勝した実力を証明していました。

WXV2の5位という結果だけでサクラフィフティーン(日本協会のサポート含め)に対して、批判的な見方もあるのかもしれません。ただ個人的には以前よりも強豪相手に通用した部分、やりたいラグビーを発揮できた部分が増えたし、トライも増えました。また改めて近いうちに振り返って整理できればと思います。国内合宿からイタリア、南アフリカへの遠征、選手の皆様、本当にお疲れ様でした。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1720283759579463765

WXV2のサモア戦を振り返る

21日土曜の夜に行われたWXV2の第2戦、強敵サモアを相手に女子日本代表サクラフィフティーンは4トライを奪いボーナスポイントを獲得して32-10で勝利しました。WXV公式サイトにあるサモア戦の試合経過は、こちら。またWXV2の順位も2連勝のイタリア、スコットランドに続く3位に上がり、同じ1勝1敗の米国を得失点差で上回りました、こちら

22番畑田選手に代わってリザーブ入りした安藤選手が4トライ目を奪う活躍

RUGBY JAPAN 365での試合のフォトレポートはこちら
 ⇒ 「サクラ15、4トライでサモアに快勝
試合は体格の大きいサモアのアタックに対して、日本のDFは規律を持ってしっかり連携してよく止めました。それでもサモアの1トライ目は自陣のG前で守る日本のタックルを吹き飛ばすランでインゴールに飛び込まれましたが、奪われたトライはこの1本のみ。

アタックについてはこれまで取り組んできた外のスペースに深いラインでボールを上手く運ぶアタックでチャンスを作りました。以前はラインが浅くなって捕まったり、ハンドリングエラーがありましたが、試合を重ねるごとに素早いポジショニングから全員が同じイメージをもってボールを動かすことが出来ている印象です。後半は16分、18分とサモアにイエローカードが出て数的優位の状況で、相手キックからのカウンターで弘津選手が鮮やかにインゴールに飛び込み勝利に近づく3トライ目を奪いました。スクラムでも重たい相手に前半から相手ボールを押し込むなど互角以上の戦いでプレッシャーを与えて、良い流れを作りました。サモアDFの強烈なタックルを受ける場面でも、ボールを失わずに継続出来ていたと思います。

試合後の選手コメントもチームで目指しているプレーが具体的にわかりますね

金曜の夜に行われるスコットランドは現在世界ランキングで9位。このWXV2では南アフリカに31-17、そして7位の米国に24-14と勝利しています。両WTBが相手DFとの1対1で抜き去ってトライを奪っていますし、相当の実力を持ったチームでしょう。ここ数年の間にもよく戦っている相手なので、日本の選手たちも相手のイメージはあると思います。スコットランドとしてはなるべく得失点差をつけてイタリアを抜いて逆転優勝を狙ってくるでしょう。サクラフィフティーンが今年最後のテストマッチでどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみですね。