サクラ7s、チャレンジャー大会優勝おめでとう

今朝行われたチャレンジャーシリーズ大会決勝、日本代表サクラセブンズはポーランドを相手に17-0と勝利し、優勝。来季のワールドセブンズシリーズ大会のコアチーム昇格を決定しました。優勝おめでとうございます。選手、スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。ラグビーリパブリックさんが早速、記事をアップしてくれています。鈴木HCと平野キャプテンのコメントもあります、こちら

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6試合全て応援できましたが、こう勝ってみんなで喜ぶ姿が見れると嬉しいです

準決勝のケニア戦は4トライを奪い昨年の五輪のリベンジ達成

まず昨日の深夜に行われた準決勝のケニア戦の振り返りを。日本は試合の立ち上がりから良い動きを見せて、須田選手が抜け出して先制トライ。Gも成功して7点を奪うと、ケニアはそのあとのキックオフから、エースの8番オケロ選手がライン際を抜け出して追撃のトライ。競った展開になりますが、そこから日本は連携の取れたハードなDFでケニアにプレッシャーをかけてミスを誘うと、すっかりサクラセブンズのエースの貫禄がついてきた原選手が2トライを奪ってハーフタイム。特に前半の最後に敵陣スクラムから1フェイズで取り切ったトライでリードを拡げたのが大きかったですね。

後半も日本は良い動きを見せ、ケニアは細かいミスを連発。さらにシンビンを出してしまい6人に。自陣から狭いサイドを仕掛けたものの、パスをインターセプトされて7点差に。そこからまた攻め込まれて残り1分近くを残して、2点差になりました。昨年の東京五輪ではノータイムのスクラムから逆転負けという悔しい終わり方でしたが、今回は日本が上回りました。キックオフを確保すると、相手DFのギャップを上手くついてライン際を梶木選手がビッグゲイン。G前で相手の反則を誘い、アドバンテージを貰って大きく展開すると、原選手がハットトリックの3トライ目を奪い、22-15で勝利。競った展開を楽しむかのような勝利でした。

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ケニア戦のラスト、梶木選手のビッグゲインから原選手が勝利を決定づけたトライ

決勝のポーランド戦は日本のスタイルを貫いてノートライに抑える完勝

迎えた決勝戦、5分前に目覚ましで起きて急いで観戦準備。試合前の国歌斉唱で君が代をうたいながら、いい顔をしている選手たち、とくにキャプテンの平野選手がわくわくしたような顔で頼もしかったですね。開始からポーランドが攻めますが、日本はしっかり守ると、相手がこぼした球を須田選手が拾って一気に原因、DFを引き付けてエースの原選手にパスすると、一気にG前へ。相手のエースの4番に追いつかれるものの、上手くサポートに繋いで最後は中村選手(プレイングコーチ)が先制トライ。G前に追いついた選手は日本のほうが多いですね。

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見事な先制トライでしたが、チャンスにサポートに走った日本の選手の多さが勝因ですね

対してポーランドはカウンターラックでボールを奪い返すなど、評判通りの強さを見せました。自陣でのアタックに7人DFでプレッシャーをかける日本の裏にボールを蹴りこみ、追いかけて一気にG前まで攻め込みます。日本対策として予想されたこの状況に、日本は中村選手などしっかり戻って相手を捕まえると、鍛え上げてきたDFでポーランドを押し下げます。外側の選手が一気に前に出て外での1対1を作らせず、内側に走った相手をしっかり倒す。最後はポーランドがノッコンをしてピンチを脱出。このバトルが勝利を手繰り寄せた、日本が勝てるという流れを作りましたね。10-0というスコア以上に、日本が自信を持てた展開でした。

後半も決勝らしい緊張感のあるバトルが続きます。ポーランドも日本のDFを破ろうとアタックし続けますが、それでも日本はビッグゲインを許さず、試合のペースを渡しません。終盤に入ってきて、中盤でアタックをする日本は須田選手が緩急をつけたステップで相手DFを抜き去ると一気に独走し、決定的な3トライ目を奪い、勝利を決めました。後半はポーランドにチャンスらしい場面を作らせず、17-0というスコアながら、力を出し切っての完勝でした。

須田選手は予選3試合目からスタメン入りすると、勝負所で素晴らしいランニングとタックルを見せました。

目指すスタイルがはっきり分かる戦いを見せたサクラセブンズ

2019年の昇格大会では準決勝でスコットランドに敗れた日本、2017-2018シーズン以来5シーズンぶりのコアチーム復帰だそうです。おめでとうございます!

大喜びで終わった大会を振り返ると、苦戦したのは予選のコロンビア戦の前半くらいで、多くの時間帯で日本らしい戦いが出来た3日間でした。特にトーナメントに入ってからの安定した戦いはこれまでに見たことがないかのような安定感でした。具体的には起き上がりのリアクション、選手7人の攻守にわたる運動量と連携でしょうか。相手DFをテンポ良く振り回して仕掛けると、原選手、大竹選手、須田選手が走りぬけてトライする場面が多かったですね。

サクラセブンズのキーワードは「立・動・戦」みたいです。わかりやすい。

アタックで見ると、自陣からアタックしてラインブレイクし、トライに結び付ける場面がここ数年は昨年の東京五輪含めてほとんどありませんでした。この大会では梶木選手、須田選手、大谷選手がラインブレイクしてチャンスを作り、一気にトライを奪うという場面が非常に多かったです。前に出てきたDFに対して、焦って倒されるのではなく、上手く逃げてボールを継続し、素早いセットとテンポ良い球出しでチャンスを作れていました。東京五輪ではキックありきの戦術とも感じましたが、この大会はおそらくキックのプランはないですね。継続して相手を揺さぶって、チャンスを作って仕留める、そんな意識が徹底されていたのではないでしょうか。リアクション、サポート、運動量で勝つ、そんな印象です。

DFではこれまでで一番安定した、応援している方も安心して見れたと言っていいです。あえてスイーパーを置かず、7人DFで数的有利を作り、特に外でのラックからは外側の3人目辺りが相手の2人目(CTB)を狙って前に出て、中央辺りでハードタックルを決めてチャンスを作る場面もありました。横と連携することで自信を持って前に出る、そしてキャリアーにしつこく絡んでくる日本のDFには、どの相手も苦しめられたと思います。それでもケニアのオケロ選手は個人のスピードで振り切っていましたし、決勝のポーランドは裏へのキックを使ってきました。そこを全員が素早く戻って、逆に押し返したのはそこで戦えるかが勝負所だと鍛え上げられたからでしょう。ともかく頼もしくなるDFでした。

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三重PEARLSでもプレーするケニアのオケロ選手、警戒されてもトライを奪う素晴らしい走り。

長くなりましたが、まずは5シーズンぶりのコアチーム昇格は本当に素晴らしい結果。各国の強化が進み、過去最高レベルの大会で、こんなに安定した戦いで優勝するとは驚きでした。あっぱれ。

一方で平野キャプテンの「世界と戦うためのスタートラインにやっと立つことができた」というコメントの通り、このスタイルをコアチームの強豪国を相手にどれだけ貫けるか。分析もされるでしょうし、キックオフでの圧力も違います。選手、スタッフもその辺りの差はまだ感じていると思いますが、それでもこの日本スタイル、サクラセブンズが目指す戦いは多くの関係者が期待していると感じました。まずは来月の南アW杯。初戦のフィジーは個人のスキル、フィジカルに優れていて、今の日本のスタイルがどこまで通じるかを試す絶好の相手でしょう。そしてNZでのW杯を控えたサクラフィフティーン、怪我からの代表復帰を目指す選手など、多くの関係者にたくさんの期待と興奮をくれたサクラセブンズの皆様、本当におめでとう!

サクラ7sは順調に準決勝進出、仕上がりが最高に良い

南米チリの首都サンティアゴで行われている、ワールドセブンズチャレンジャーシリーズ大会。日本は予定通り、予選プールを3勝で全体2位通過。今朝行われたトーナメント1回戦のベルギーを相手に31-0と快勝して、ベスト4進出を決めました。これまでの勝ち上がりはJRFUの写真と共にRUGBY JAPAN 365で大友さんがまとめています、こちら⇒「サクラセブンズ昇格大会、順調に準決勝へ

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ベルギーとの試合は昨年の東京五輪以降で見た試合の中で一番の出来と感じた試合でした。

好調の要因は豊富な運動量と粘り強いDF

サクラセブンズはこれまでの4試合で得点が122点、失点が22点。予選2試合目のコロンビア戦では前半リードされて折り返すも、後半に梶木選手の2トライの活躍もあって逆転勝利。それ以外の試合でも前半に先制トライを奪ってそのままリードを拡げてトライという展開でした。ワールドセブンズシリーズへの昇格を目指す大会とはいえ、数年前と比べて参加する各国の強化が進み、南米やヨーロッパの国の選手のサイズやフィジカルは日本以上ですね。

それに対して、日本は素早いサポートと起き上がりのリアクションで勝っています。これまでの大会と比べて、アタックではDFに絡まれてのノットリリースザボールがほとんどないですし、キャリアーが簡単に倒れないようファイトしている。サポートも低く強い姿勢で絡んでくるDFをはがせていて、SH役の選手もすぐに球を捌いて再び攻める。相手はDFでプレッシャーをかけきれずに、やりたいアタックが出来ていて、しかも原わか花選手の7トライなど、得点に繋げています。DFではしっかり体を当てて、足を掻いてキャリアーを簡単にコントロールさせないバトル出来ているのが良いですね。そして倒した後の起き上がり、ラックサイドに立つリアクションの早さは参加チームで一番でしょう。チーム内でも横と連携して素早く前に出る、この選手を狙いすましてタックル、チャンスがあればボールを奪う、というイメージが出来ている。それくらいこの大会のサクラセブンズは鍛え上げられている、仕上がっている印象です。応援しているファンも、安心して見られているという声がSNSでは多いですね。

ワールドセブンズシリーズではそれでも海外の強豪国がフィジカル、スピードで個に勝る部分が多く、タックルを決められずに繋がれたり、外のスペースを走られたりで失点を重ねてしまうのが多かったです。チャレンジャーシリーズ大会ではそれらの部分が見られないくらい、むしろ大きな相手を押し込んで倒すハードタックルが見られる、良いDFが出来ています。残り2試合、更なる強豪国を相手に同じスタイルをどれだけ貫けるか、楽しみです。

ケニア、中国、ポーランドを相手にどう戦うか、事前の準備と一貫性が大事

準決勝はこの後深夜にケニアと戦います。そして明日の朝行われる決勝戦、相手はこれまでに試合を見る限りポーランドが有力ですが、中国も昨年の東京五輪のような戦いが出来れば、勝ち上がってくるでしょう。ここからの負けられない2試合、相手をどれだけ分析できるかが大切です。それは直前の試合を見るだけではありません。ケニアは初戦、中国に勝利した後、チリとの試合は序盤にリードを許すなど、あれっと思う試合もありましたが、準決勝ではきっと調子を上げてくるでしょう。WTBは三重PEARLSでもプレーしていた選手ですし、手ごわい相手です。それでもアタックでキックを用いるようなスキル、奇襲的なものはないと思うので、日本はこれまでやってきたスタイルを貫く一貫性を大切に、戦ってくれると思います。DFで粘り強く守り、プレッシャーをかけて、自分たちのペースに持ち込めれば良いですね。

そして決勝戦、ポーランドを相手と想定すると、これが強敵です。今年、招待参加したワールドセブンズシリーズ大会でもベスト8入りを果たすなど、日本より格上と言ってよいでしょう。トーナメント初戦でも日本が予選で戦ったコロンビアを相手に36-0と快勝。日本と同様の仕上がりの良さ、と言って良いくらいです。アタックではループプレーを入れて仕掛けてきますし、DFでもしっかりセットし、前に出てくる。ジャッカルを狙う選手のリアクションも早い。日本もアタックでは原わか花選手が警戒されて、外を簡単には抜け出せないと思いますし、縦の突破も交えながらミスなくアタックしていかなければいけません。そんなポーランドとの戦いは、お互いの強みを出せた方がそのまま勝利してくれると思います(当たり前すぎて、すみません)。一方で相手の予想を上回るプレー、一発で抜けるサインプレーだったり、前に出たDF裏へのキックだったりも準備としては必要でしょうね。競った展開になれば、ポーランドのほうが経験は浅い分、ミスも出てくると思うので、日本が優勝するチャンスは十分にあると思います。

厳しい2試合になると思いますが、それでもこれだけ期待を持たせてくれるサクラセブンズは個人的には久しぶりです。それだけ活躍を見せる選手が多い。リザーブの選手もいい状態でしょう。なのでPCの前でしっかり応援したいと思います。頑張れサクラセブンズ!

最後にサクラフィフティーンも来週のアイルランド戦に向けて、釜石で早朝からトレーニングに励んで、仕上げています。協会HPの合宿レポートはこちら。写真を見ると櫻井選手もヘッドキャップ被ってますし、南アフリカ戦は出番のなかった公家選手、津久井選手も良い顔しているので、こちらも楽しみです。頑張れ日本!頑張れサクラ!

サクラ7sもサクラ15も活動中、大事な8月

8月中旬、お盆休みの時期にまとまったお休みを頂いています。女子ラグビーは7月にサクラ15が南アフリカのとのテストマッチを1勝1敗で終えてから、国内ではコベルコカップや菅平女子セブンズ、ユース世代の中高生の大会が行われていました。そして8月、タイトルの通り、サクラ15はアイルランドとのテストマッチに向けて釜石で再び合宿に入り、サクラ7sは遠く南米のチリで開催されるワールドシリーズのチャレンジャーシリーズ大会に参加、日本時間深夜に行われる大会はライブ中継で見れるそうです。チリ遠征のレポートは、こちら

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サクラ7sの登録メンバー、太陽生命WSSで活躍した大黒田選手や大竹選手が久しぶりの代表入り。

サクラ7sは12日から3日間で行われるチリ大会、優勝して昇格なるか

日本はコアチーム入りと降格を繰り返すような時期があり、5年ほど前は当たり前に決勝まで進み、優勝していたのがこの昇格大会でした。今回の大会では12チームが参加、他のプールには昨年の東京五輪で日本に勝ったケニア、中国もいます。過去の大会の中でもこの大会にこれほど強豪国が集まったのは初めてかもしれません、それだけこの数年の間に海外の各国の強化が進んでいるのでしょう。

男子と並行して行われる大会、試合時間は深夜でも早朝でもなんとか応援したい。

日本は予選プールで戦う3チームを見ると、コンディションに問題なければ1位通過は問題ないでしょう。その後のトーナメントで戦うであろう、ヨーロッパ勢、そして中国、ケニア相手にしっかり戦えるかどうか、ある程度の緊張と余裕を持ちながら、3日目にピークを持って行って欲しいですね。東京五輪でも活躍し、その後も代表に定着している梶木選手、大谷選手、そしてキャプテンの平野選手には注目ですが、東京五輪への出場を逃しながらも懸命にトレーニングに励んで代表に復帰した大黒田選手、大竹選手がどんな活躍を見せるか注目ですね。特に大竹選手は日本代表の中でもフィジカル、スピードに長けているので、彼女が活躍する場面が増えると、勝利に近づくでしょう。

勝ちパターンとしては、まずセットプレーの安定、キックオフの攻防で負けないことが前提。そしてアタックでは素早いサポートでしっかりボールをキープして攻め続ける。DFでは反則をせずに粘り強く守る。外のスペースでスピードランナーと1対1になると厳しいので、サイドからのアタックは素早く前に出るDFで止める。サクラセブンズの試合は久しぶりに見れるので、どのような進化をしているか、楽しみにライブで見たいと思います。

サクラ15は強豪アイルランドとの試合に向けて、選手のセレクションに注目

そしてサクラ15、熊谷で行われた南アフリカとのテストマッチは2連勝するかと思っていましたが、DFでは強力なランナーに走られて敵陣からトライを奪われ、ATではチャンスを作るもハンドリングエラーや勢いに乗った相手の粘り強いDFに後半ノータイムでトライを奪い返すのがやっとでした。熊谷での試合映像はハイライトでしか見ていませんが、Twitterで実況してくれる方もいたので、印象はどちらかと言えばミスで自滅してしまったのかなと。夏のこの時期なので夕方にキックオフ、ナイターに近い状況でボールが滑り、ミスが生まれやすい状況だったかもしれません。いずれにせよそれを試合中に修正して逆転に繋げられるか、そこもW杯への準備としては良い経験だったのではないでしょうか。

サクラ15も勝ちパターンを考えると、まずはDFで相手を止め続けられるかどうか。熊谷での失点場面のように敵陣でプレッシャーをかけつつも、少しのDFの連携ミス、タックルミス、少しのカバーの遅れが致命傷になります。まだ海外勢とのフィジカル、スピードの差は否めない。その中でどう勝利を手繰り寄せるかは、選手もスタッフもわかっていると思います。アタックではいかに敵陣22mに入るかですね。テンポ良いアタックで前に出ながら、キックも交えて敵陣に入っていく。そしてターンオーバーを狙うようなシチュエーションを意図的に作れるようにならないと、W杯では厳しいでしょう。

またG前のアタックのオプションが気になりますが、今のところFW中心で拘っていくと感じています。なので昨年からの課題であるラインアウトでスローもリフトもミスなく安定できるかどうか。改善してきた中で、スクラム含めてセットプレーで余裕を持てると、FWの力をより発揮させることに繋がります。そしてBK。南アフリカ戦では以前より、ワイドに素早くボールを動かすプレーが増えたと感じています。一方でDFラインを切りに行く、トップスピードで走りこんで一気にラインブレイクするようなプレーもあればいいと思いますね。

そしてW杯に向けて今回の釜石合宿では参加メンバーも絞られてきました、協会HPのお知らせはこちら。オーストラリア遠征のメンバーを中心に、代表に復帰してきたFWの加藤選手、櫻井選手、BKの谷口選手の名前もありますね。前回の大会から比べると、本当に選手の層が厚くなってきたなと感じます。この中からW杯登録メンバーに向けてのセレクションを考えると、まずは経験の浅い大学生選手がいかに練習からアピールできるか。もちろん全員が毎日必死に戦っているとも思いますが、チームが成長していく中でやはり若手の思いっきりの良さは大事ですし、リーダー陣はそれも含めてしっかりまとめ上げて欲しいですね。

そんなサクラ15と戦うアイルランドですが、昨年のヨーロッパ遠征でも戦っていて、日本より格上の印象です。W杯出場は惜しくも逃したものの、強化は進めていますし、2019年のW杯でアイルランドと戦った、静岡エコパで女子のテストマッチを行うとは、日本協会も粋な計らいをしましたね。W杯の予選プールで戦う米国、カナダ、イタリアに向けて、自分たちの力量を図るうえでも非常に良い相手だと思います。一方でW杯を見据えて、ベストメンバーで戦うのか、ポジション変更などチャレンジングなメンバーで戦うのかも注目です。その辺りは今後の合宿のレポートや選手のSNSを見ながら、考えていこうかなと思います。

今日の南アフリカ戦、サクラ15の戦いに注目です

7月の終わりに近づき、夏らしい天気になったようで、たまに梅雨みたいな天気にもなったり。そんな中でラグビー女子日本代表、サクラフィフティーンは岩手県釜石市で強化合宿を行いながらW杯前の国内テストマッチ4連戦に向けて、強化に励んでいます。日本協会の発表では、選手やスタッフから新型コロナの陽性者が若干名出ているようですが、男子と同様に上手くコントロールしながら活動を継続していますね。協会の合宿レポートは、こちら

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試合メンバーは初キャップ含め若手を上手くミックスしています

14番磯貝選手は初キャップでスタメン、19番川村選手、23番向来選手も交代出場で初キャップなるか

今回のテストマッチシリーズは男子のテストマッチが終わり、リーグワンのチームはオフシーズン中、大学ラグビーも春シーズンを終えて夏合宿の前、そんな状況もあってかJSPORTSさんが積極的に女子ラグビーをPRしている印象。相手の南アフリカは世界ランクでは格下ということもあり、チームの情報はあまりわかりませんが、それでも勝って当たり前という印象はあります。そんな相手に対し、日本代表はチャレンジングなメンバー。レスリーHCのメンバー発表に関するコメントは、こちら

PR1番南選手、FL6番齊藤選手、WTB11番名倉選手は昨年秋の豪州遠征、5月の豪州遠征から主力として活躍していて今回も先発メンバー入り。PR3番北野選手、No8小西選手などは久しぶりのメンバー入りでしょうか。試合をコントロールしていく9番10番はアルカス熊谷の阿部選手、今釘選手、春のフィジー戦でも活躍していました。そして代表デビューは14番磯貝選手、昨年から代表には選ばれていましたが、なかなか試合メンバーに入れない中で今回、先発のチャンスを掴みました。そしてリザーブの2名、川村選手と向来選手も初のメンバー入り。特に向来選手は昨年秋には熊谷で行われた全国U18女子セブンズで、関東学院六浦の優勝に貢献する大活躍をしていました。後半にはFLで出場予定かな、出てきたら注目です。

リザーブには他にもハードタックルの16番江渕選手、出たらジャッカル決める17番鈴木選手、そして英プレミアに挑戦し、たくさんの経験を積んで大きくなった22番山本選手もいます。そんな山本実選手の英プレミアでのレポートを大友信彦さんがアップしてくれています、こちら。試合メンバーを改めてみると、どんなプレーを見せるのか楽しみですね。

チームとしては課題のセットプレー、アタックの出来に注目

そんな楽しみなメンバーが挑むテストマッチ、個人的には課題と考える2点、セットプレーとアタックに注目です。まずセットプレーですが、スクラムはある程度計算が出来る中、ラインアウトはまだ不安なところがあります。豪州遠征では公家選手が強みのスローイングの正確さを見せて、精度が上がってきました。今日は国際武道大学の永田選手が先発、昨年秋の豪州遠征では良いボールキャリーを見せ、チームを前に進めていました。セットプレーの安定に向けてアピールして欲しいですね。

アタックについては、チームのアタックのストラクチャー(であっているかな?)をやり切ってのトライという場面が見られるかどうか。G前に進んでFWがトライを奪う場面が多いサクラフィフティーンですが、自陣から敵陣に入って、BKが展開してトライを奪うようなアタックをテストマッチで見せられるかどうか。それがW杯でのベスト8入りに向けて、必要になってきます。そして豪州遠征に続き、元パナソニックのべリック・バーンズがスポットコーチとして釜石合宿にも参加しています。現役の時も素晴らしいキックを見せていましたが、サクラ15にもキックやアタックの指導を通じて、レベルアップに大きく貢献していると期待します。

https://twitter.com/jsports_rugby/status/1549736805565857793

そしてアタックの中で、個人のパフォーマンスがどれだけ出てくるか、8番の小西選手は2019年のスコットランド戦では後半に出場すると、ボールキャリーでチームをどんどん前に進めて、終了間際の逆転に繋がる勢いをもたらしました。あとは13番古田選手が攻守にわたって毎試合良いプレーを見せてくれていますし、今回15番に入った松田選手が良いボールキャリーをする場面が増えれば、おのずとトライチャンスも増えてくるでしょう。釜石で行われるテストマッチ、個人的には勢いを掴んで4トライ以上獲得して欲しいですね。

今日の南アフリカ戦から国内では熊谷、静岡、東京でテストマッチを行う女子ラグビー。W杯を前にファンの注目をたくさん集めるためにも、選手スタッフが勝利に向けて日々励んでいると思います。今日のテストマッチではその成果をたくさん見れるのを期待しています。頑張れサクラフィフティーン!!

サクラ15とオーストラリア戦の振り返り

昨日は夕方からラグビー関係者のSNSが「女子日本代表、強豪オーストラリアに12-10で勝利」という話題で溢れていました。サクラ15の選手、スタッフ、関係者の皆様、本当におめでとうございます。チーム内で新型コロナの陽性者が出るなど、タフな状況の中でのアウェー戦の勝利、2019年のスコットランド戦以上の出来と言ってよいでしょう、本当に。

POM(Player of the Match)を獲得した10番大塚選手、写真は映像を配信したStan SportのSNSから拝借。

勝利の要因は粘り強いDFに加えて、キックを使ってのエリア獲得

試合の簡単なレポートと試合後の南主将をはじめ選手、スタッフのコメントはRUGBY JAPAN 365で見事な記事にまとめられているので、ご覧ください
 ⇒ 「ワラルーズに勝利!歴史的快挙を成し遂げた」

試合は相手の強みであるラインアウトモールに対して、あえてコンタクトせずに見て、反則を誘うなど、しっかり対策を練っていました。先日のフィジー戦を会場で見れたことで、チーム内でいい議論が出来たのではないかと。スクラムでは大型FWを相手に反則を取られたり終始苦しい展開でしたが、課題のラインアウトでは初テストマッチの公家選手が安定したスローイングを見せました。そしてDFでは素早いセットから相手FWのアタックを止めて、DFで前に出る場面が多かったです。キックのカウンターから外のBKに走られることもありましたが、内側からカバーしたり、FB庵奥選手が捕まえるなど、トライチャンスを作らせません。

30分過ぎに最大にピンチの場面が訪れました。相手スクラムのアタックからラインブレイクされ一気にG前まで攻め込まれますが、SH津久井が見事なカバーDFでタックル、WTB今釘が左サイトから全力で戻って右サイトのスペースを埋めます。早くトライを奪いたい豪州は外へ大きなパスを放りますが、今釘選手が見事なインターセプト、そこから一気に敵陣G前まで進みました。津久井、今釘の2人の素晴らしい献身的なプレーで大ピンチを防ぎました。

後半開始のキックオフ、相手FWの多いサイドの逆を狙う賢い選択。そこからG前ラインアウトのチャンスを作り、開始から攻め続けます。敵陣でプレーを続けた結果、オーストラリアのミスから大塚選手が先制のトライ。後半のプレーを見ていると相手の豪州が明らかにストレスを感じているというか、自分たちのやりたいことが出来ない印象でしたね。スクラムでのターンオーバーをきっかけに後半14分にG前のラインアウトからトライを返されますが、この時間帯までこの嫌な形を作らせない、エリアを優位に進められたのが勝因の1つでしょう。

そしてこの後のキックオフでまたしても逆サイドを狙い、素早くプレッシャーを仕掛けて今釘、古田の2人で相手の反則を取り、G前ラインアウトのチャンスを作りました。そこからモール、ラックサイドなど攻め込むと、最後は相手の反則からSH津久井がクイックスタートし、FL細川選手がトライ。豪州に試合の流れを渡さずにトライを返したこの1連の流れは、この試合に勝つために徹底的な準備をやってきたと感じさせるものでした。その後も豪州の大型選手のアタックに、何度もゲインを許しますが、粘り強いDFを最後まで見せてくれました。

1番南主将はスクラムで厳しい戦いを強いられた中のフル出場、素晴らしい。写真はJRFUのSNSから拝借

最後は相手の簡単な位置からのPG失敗に助けられたという見方もあるかもしれません。ただこれまでは2017年のW杯など後半残り数分の時間帯にトライを奪われて悔しい負けをしたテストマッチもありました。この試合でもPGを狙う前、トライを狙う豪州の必死なアタックを止め続けていました。試合後のインタビューでの南主将の「自分たちのスタンダードが上がった」というコメントにはこれまでいい試合をして勝てなかった苦労を感じて、ちょっと感動しましたね。豪州協会のHPにあるゲームスタッツをみても、セットプレーの成功率は豪州が上回り、タックル回数は豪州の倍以上など、我慢の中、粘り抜いて、本当によくやりました。

格上の豪州との試合で感じた課題は色々とありますが、自分たちのやりたいラグビーを出して勝ち切った経験、これに勝るものはありません。遠征で感じた代表チームの振り返りは別にするとして、今は本当におめでとう。そして少し早いけれど、遠征お疲れ様でした。ここからが新たなスタート、という南主将の言葉に期待して、これからも応援します。