東京五輪のラグビー男女出場国が決定

20日の深夜に目が覚めてしまい、SNSを見ていたらフランス、モナコで行われた五輪の最終予選が話題になっていたので、せっかくだからとWorld RugbyのYouTubeでチェック。ちょうど女子2枠と男子1枠の出場がかかる最後の3試合をLIVEで見ることが出来ました。トライシーンを中心にハイライトも上がっているので、最後に紹介しています。

https://twitter.com/WorldRugby7s/status/1406644806391115783

東京五輪出場が決まった男女12か国は以下になります。スポーツライターの斉藤健仁さんが速報をTwitterで教えてくれました。WS上位や大陸予選など出場を決めた大会も載せてあり、わかりやすいですね。なお五輪の予選プール組み合わせは来週28日に発表されるそうです。

女子の2枠を争う試合はロシアとカザフスタン、フランスと香港というヨーロッパVSアジアという組合せ(南米やアフリカなどほかの地域は実力が劣るようです)になりましたが、予想としてはワールドシリーズでも戦うヨーロッパ勢相手にアジア勢がどんな戦いを見せてくれるかでしたが、やはり実力差は明らかでした。結果はロシアがカザフに38-0、フランスが香港に51-0と大勝、アジアシリーズで日本ともよい試合を繰り広げる2か国に違いを見せつけました。

試合展開ですが2試合とも似ていましたね。ロシアもフランスもキックオフのチェイスからプレッシャーをかけて、DFで素早く前に出て捕まえると、接点でも優位を見せてタックルで相手をひっくり返すなどビッグゲインを許さず。ボールを奪えば素早く仕掛けて1対1で抜いて走り切ったり、捕まってもオフロードで繋いだりであっさりトライを重ねて、前半で勝負を決めていました。この2か国とは東京五輪の予選プールで戦う可能性もありますが、ここ数年のワールドシリーズでも何回かロシアには勝った位で、フランスには私の中で勝った記憶がないです・・・どちらもメダルの可能性がある強さですね。

この2か国に限らず、WS上位などの強豪国を相手にどう日本の強みを見せて戦うかが大事になりますし、それはリオ五輪の前から強豪国と日本の立場は変わりません。負けるパターンの1つはキックオフの競り合いで負けたり、DFでプレッシャーを受けてボールを動かしての有効なアタックの機会を作れずに、ターンオーバーされて一気にエースに走られてトライを連続で決められるのがあります。日本はその強烈なプレッシャーの中で、自分たちの強み、スタイルをいかに出せるかどうかですね。その辺はまた近くなったら書こうと思います。

最後に最終予選で出場を決めた3か国は、試合終了直後に大喜びしていました。それを見ながらやはりオリンピックというのはワールドシリーズやW杯とも違う特別な舞台なんだなと。そして新型コロナの影響で1年延期になったうえでようやく大会直前に訪れた最終予選ということで、各参加国にそれぞれのドラマがあると感じました。本番でも新型コロナのいやな空気を吹き飛ばすような素晴らしい試合を見せてほしいですね。

ロシアは攻守にわたってカザフスタンを圧倒、前半の4トライで勝負を決めました。
フランスは前半で5トライを奪い圧勝、選手の体つきが大きくこの1年でかなり鍛え上げられています
男子のフランスとアイルランドの試合は激戦に、5点差を追いかける後半のアイルランドの7番の走りから始まる逆転劇に注目。動画にはありませんが、ライン際のコンバージョンもしっかり決めて素晴らしいチームでした。

全国女子選手権と女子日本代表のはなし

3月になりました。21日に行われた全国女子選手権では三重パールズが勝利し、その後はセブンズでも15人制でも日本代表の合宿が行われていました。世間の注目は開幕したトップリーグですが、女子ラグビーも世界に向けてチャレンジが続いています。

私の予想以上に強かった三重パールズ、関東代表のMorning Bearsを圧倒

春らしくない高い気温のなか、行われた試合は前半で24-0とリードした三重パールズが勝利

1週間以上前の試合になりますが、女子ラグビーの日本一を決めるにふさわしい内容でした。Youtubeのライブ配信ではレフリーマイクの音声が良く聞こえたため、実況や解説がなくてもグランドの様子がしっかり伝わってきました。大友信彦さんがRUGBY JAPAN365で当日の試合について詳細なレポートを書いてくださったので是非 ⇒ こちら。また当日の試合写真も日本協会のHPのギャラリーにアップされています ⇒ こちら

昨年はRKUグレースと横河アルテミスターズが7-7の同点により両方優勝になりました。ここ数年は関東のチームが全国選手権でも優勝していましたが、三重パールズは大学選手権を制した天理大学のような強者の戦いぶりで久しぶりに関西代表が日本一になりました。試合を見ていても早い時間帯で、パールズがMorning Bearsをしっかり研究、分析しているなと感じました(関東大会にもチーム関係者がリクルーターとして観戦に来ています)。

ただ前半の24-0と言うスコアは予想外でしたね。Morning Bearsは関東大会のトーナメントでは倒れてもすぐに起き上がってセットし、堅いDFを見せていました。パールズはワイドなラインでDFのいない外のスペースに上手く展開して、前に出続けましたね。接点でのファイトも上手く前に出るので、ボールをしっかり継続していました。Morning Bearsは前半開始のプレーで12番古田選手が敵陣でジャッカルを決めてチャンスを作りましたが、そこでボールをこぼしてしまい、相手に先に蹴られて自陣に戻されて、そこから先制トライを許してしまいました。このプレーで三重パールズがゲームの流れを一気に引き寄せました。

この試合での三重パールズのプレーは、女子ラグビーのトップレベルを引き上げるような戦いぶりでした。公式戦がなかった1年でしたが、近隣の男子高校生相手に試合形式の練習をしたり、日本一を目指して練習を積み重ねて、決勝戦でも安定したセットプレーと確かな実力を持ったチームでした。引退する選手もいますが、2021年は注目のチームですね。関東のチームも打倒パールズを目指して、それぞれ強くなって欲しいです。

三重パールズは表彰式終了後に、用意した優勝Tシャツを着てチーム皆で喜んでいました

サクラ15はアジア予選が再延期になりましたが、予定通り合宿を行っています

そして女子15人制日本代表、サクラフィフティーンは26日金曜から4日木曜まで和歌山で強化合宿を行っています。本来であれば、そこから香港で行われるアジア予選に向かう予定でした。予選の日程はまだ発表されていませんが、春のうちに行われないとなると9月の本大会に向けての影響もあるかもしれませんね。改めて日本協会のHPを見ると、全国選手権でラインアウト後方への安定したスローイング、キャプテンとしてチームをまとめたアルカスの公家選手が追加召集されていました。いいセレクションですね。

HPの強化合宿レポートはこちら。27日の土曜にはゲーム形式の練習も行ったようです。今回は多くの選手が召集されていますが、アジア予選、そして秋に行われるW杯に向けてのセレクションも最終段階かもしれません。どの選手がサバイバルを勝ち残るかも注目ですね。

サクラセブンズは宮崎延岡での合宿を終了、対外試合はいつになった出来るのか

女子7人制日本代表、サクラセブンズは熊谷・延岡での合宿を終えました。HPの合宿レポートは、こちら。なかなかプレーを見る機会はないですが、参加している選手が東京五輪に向けて練習を積み重ねて、実力をつけていると感じます。レポートでは試合形式のレフリーを務めたのは関西協会の神村レフリー。元日本代表のBKプレーヤーで先日の全国選手権でもARを担当していました。女子のレフリーも年々、増えてきている印象です。少しでもトップレフリーが増えて、海外でも活躍するようなレフリーが出てきて欲しいですね。

ほんの4,5年前まではセブンズと15人制、両方をプレーする代表選手も多かった印象ですが、女子ラグビーも強化が進み、選手層が厚くなって、本当に良い選手が増えたと思います。これから先も成長を続けるには、女子のフロントローを充実させて、スクラムやラインアウトなどセットプレーの強化に繋げたいですね。ユースのTID合宿も先日オンラインで行われましたし、ユース世代の強化と連動することで、将来のフル代表の強化に繋がると思います。これからも女子ラグビーに少しでも貢献できればと思います。頑張れサクラ、頑張れニッポン!

いよいよトップリーグが開幕!明日は瑞穂で全国女子選手権!

2月20日、開幕直前に延期になったトップリーグが開幕しました。今年は最後のトップリーグ、そして2019年のW杯で活躍した海外の代表選手の加入もあり、注目が集まっていると感じます。どの試合も見所がありそうで、楽しみですね!

強風の成田で行われたクボタとサニックスの開幕戦はクボタが快勝

昨日から暖かい天気が続いた関東地方。成田で行われた開幕戦も雲のない良い天気でしたが、試合の2時間前から風が強く吹き始めて、試合中もバックスタンドのフラッグが大きく真横になびくくらいの風が吹いていました。

前半は風上のサニックスに対して、クボタはあまりキックを蹴らずスクラムを中心に攻め込みました

前半は開始からクボタがG前に攻め込みますが、サニックスもしっかりDFしてラックでのファイトからボールを奪い返します。クボタが先制し、その後も攻め込みますがサニックスのDFがパスをインターセプトをして同点に。その後も拮抗した展開になりましたが、終了間際に相手の反則から攻め込んだクボタが、強みのスクラムに拘ってG前のスクラムを押し込み、No.8の末永選手がトライ。17-7でハーフタイム。

後半は風上に立ったクボタが良いアタックを見せて、20分までに4連続トライを奪い、勝負を決めました。BKがワイドに展開してのトライ、敵陣深くに攻め込んで外にポジショニングした外国人選手がDFをかわしてのトライ、相手ラインアウトからのパスをインターセプトしてのトライなど、様々なパターンでのトライを奪いました。そこでリザーブの選手を入替えるも、36点差を追いかけるサニックスが粘りを見せて2トライを返しました。クボタはファンが注目していた早稲田OBの岸岡選手も出場。得意のキックやDFの裏に抜け出したプレーもありましたが、追加点は奪えず43-17で終了。

試合後に発表されたMOM(Man of the Match)はクボタ2番のマルコム・マークス選手。前半からスクラムをリードし、ボールを持てば強引に前に出て、DFではジャッカルを決め、後半にはトライを奪うなどの活躍を見せました。後半途中からミスが増えて苦しい展開にはなりましたが、トライした場面以外にも、良いプレーがたくさんあったので次の東芝戦も楽しみですね。

クボタは風上の後半は敵陣でプレーする時間が多く、たくさんのチャンスを作っていました

明日行われる全国女子選手権は試合登録メンバーが発表

そして今日、トヨタと東芝の開幕戦が行われたパロマ瑞穂ラグビー場で明日は全国女子選手権、関東代表のMorning Bears(アルカスクイーン熊谷と自衛隊体育学校の合同チーム)と関西代表の三重PEARLSの試合が行われます。今年はW杯アジア予選を控えていたこともあり、昨年行われた準決勝はなく東西代表の決勝戦のみを行います。試合メンバーも協会HPに発表されています ⇒ こちら

両チームとも試合登録メンバーは23人を満たしていません。女子ラグビーも選手が増えてきましたが、まだまだフロントローの選手が少なく、15人制のプレー機会も十分ではありません。そんな中、日本一を決める明日の試合はどんな試合になるか。関西代表の三重PEARLSはバックローの3人、伊藤選手、末選手、齋藤選手が日本代表経験のあるプレーヤー、SOの山本選手はキックに長けた選手。2年前は日体大の主将として日本一を経験しています。それと突破力のある2人の外国人選手も注目ですね。

一方で関東代表のMorning Bearsは先日の関東大会の決勝戦と同じ先発メンバー。リザーブに立正大の谷山選手、元セブンズ代表の鈴木陽子選手が入りました。PEARLSを相手にスクラムで圧倒できるかどうかが勝負の鍵です。前半でPEARLSのアタックを粘り強いDFで止めて、強みのセットプレーで優位に立てば、得点を積み重ねる展開にもなるかもしれません。交代で出てくる選手も前に出たり、キックに長けた強みのある選手なので、PEARLSは前半から積極的に仕掛けてリードしたいですね。

私の予想では序盤はお互い接点で激しくぶつかるなかで、どちらが反則せず、相手にプレッシャーをかけられるか。個人で一気にトライまで持っていける選手がいないとなると、チームとしてDFでプレッシャーをかけてターンオーバーからチャンスを作れるか、ですかね。拮抗した展開が続けば、後半に層の厚いMorning Bearsが優位に立つかなと思います。いずれにせよ、日本の女子最高峰のプレーを見せて欲しいですね。

試合はYoutubeでLIVE中継されるので、Twitterで実況でもしながら楽しく見たいと思います。頑張れ女子ラグビー!

遅くなりましたが関東大会最終節を振り返って

2日に関東大会を終えてから、次は21日の全国選手権、そして来月のW杯アジア予選だ、と思っていましたが10日にアジア予選が再び延期との報告がありました。日本協会HPの記事はこちら。もともとは昨年3月に行われる予定でしたが、新型コロナの影響でついに1年以上も延期になっています、9月にNZで行われる本大会の半年前になっても参加12か国は決まらないようですね。国際大会の開催は未だ厳しい状況です。

国内は延期になったTLの開幕が近づいていますが、その影響で2日の関東女子大会の取材はこれまでで一番多かったです。本当にありがたいですね。試合の内容もそれぞれ最終節にふさわしいレベルの高い内容でした。

最終節は日体大、Morning Bearsがそれぞれ勝利

大会の様子については、すでに大友信彦さんがフォトレポートと大会ドリーム15をUPしていますので、そちらをご覧頂き、プレーの激しさを感じて欲しいですね。
3位決定戦レポート ⇒ こちら
決勝戦レポート ⇒ こちら
大会ドリームフィフティーン(有料記事) ⇒ こちら

3位決定戦は2月なのに暖かく、熊谷なのに風もほとんどなく素晴らしいコンディションでした

3位決定戦は接戦が予想されましたが、前半に1本ずつ取り合ってからの中盤で日体大が13番小林選手の自陣10m手前からの独走トライを含む3連続トライを奪い、24-7と大きくリード。RKUグレースは厳しい状況の中、15番寺内選手がDFの裏にショートパントを蹴って自ら取ると捕まりながらもオフロードで4番ジェニファ選手に繋ぐと、さらに外にサポートした11番星選手に繋いで走りきりトライを返しました。このトライはもし大会ベストトライがあればノミネートされるくらい素晴らしいトライでした。

日体大はセットプレーでも、FWが工夫をして良いアタックに繋げました

後半もリードしている日体大が敵陣で攻める時間が多く、優位に進めました。後半終了間際には敵陣22mでのラインアウトから、交代出場の21番中山選手が抜け出してトライ。高校生で日本代表デビューした中山選手、秩父宮で行われた香港戦を私も観戦していましたが、CTBでボールキャリアーでどんどん前に出る印象がありました。大学に入学してからは怪我に悩まされて、なかなか思うようなパフォーマンスを発揮できていなかったのが正直な印象ですが、最後のトライ場面はそういった想いがこもっていたかもしれませんね。後半のグレースは得点を奪えず、36-12で勝利しました。

決勝戦は予想通り、最後まで見応えのある80分でした

ラインアウトの攻防、アルカスの公家選手、フェニックスの鈴木選手は風が強まる中でもしっかりしたスローイングを見せて、試合をリードしました

決勝戦のキックオフを迎える頃には風が強まり始め、後半途中でテントを片付けるくらいの強さになりました。決勝戦は開始早々にMorning Bearsの8番黒川選手が敵陣10m過ぎからPGを狙い、惜しくも外れましたが、キックスキルが高くて驚きました。少し前だったらプレースキックが苦手で試合でPGを狙うことがそもそもなかったのが女子のレベルでした。試合もお互いDFで相手をひっくり返すようなタックルやスクラムでの押し合いなど、お互いが全力でぶつかり合う見所がたくさんありました。

そんな中で勝負を分けたプレーの1つが前半終了間際のMorning Bearsの2トライ目でした。元はTKMフェニックスが自陣中央でペナルティーを獲得し、そこを起点に仕掛けようとスクラムを選択。それに対してMorning Bearsがスクラムを押し込んでペナルティーを奪い返しました。敵陣でチャンスを得た結果、G前に攻め込んだ左のラックから外に大きく展開して13番伊藤選手(PTS)が追加のトライを奪いました。

10-3とMorning Bearsがリードして向かえた後半も風上のMorning BearsがPGを決めて10点差にすると、その後もG前に攻め込んで、交代出場の20番今釘選手がDFの裏にショートキックを蹴って追いかけてきたDFに競り勝ちインゴールで抑えて20-3とリードを拡げます。TKMフェニックスは追いかける厳しい展開の中でもアタックで前に出続けます。交代選手を投入して苦しい終盤の時間帯に3トライを奪う反撃を見せましたが届かず、25-20でMorning Bearsが勝利しました。優勝したMorning Bearsは21日にパロマ瑞穂ラグビー場で行われる全国選手権で、関西協会推薦の三重PEARLSと日本一をかけて戦います。関東代表として、ぜひとも日本一になって欲しいです!

決勝戦と表彰式の終了後には、囲み取材の密を避けるのもあり、簡易的に記者会見を行いました。

今年の関東大会は全勝チームがない大会でした。予選プールでは単独チームの日体大、RKUグレースがそれぞれ強みを見せて、接戦をものにしていました。決勝に進出した2チームは11月の予選1試合目から試合を重ねる毎に、チームの成熟度が上がり、ミスが少なくなり、さらにプレーの激しさも加わり、強くなりました。決勝戦も3位決定戦も本当にレベルの高い戦いでした。関係者の話では、2019年のW杯でも使用された熊谷Aのロッカールームは、入るだけでテンションが上がるみたいで羨ましいです。今は試合日程を無事に終えることが出来、一安心しています。今後も関東大会で厳しい試合を経験することで、日本代表の強化にも繋げてほしいですね。

最終節を無事に終えた熊谷ラグビー場第2グランド、素晴らしい試合をありがとうございました。

関東女子大会準決勝の結果

昨日は開催されるか朝まで不安でしたが、天気予報が外れて雪は降らずに予定通り開催できました。多くの関係者の願いが通じましたね。準決勝の試合もトーナメントにふさわしい内容でした。

Morning BearsがRKUグレースの強力FWを抑えて快勝

Morning Bears(緑)がRKUグレース(緑)を相手にボールを大きく動かし、優位に進めました

Morning Bearsは先週の試合を不戦勝で勝ちあがり、RKUグレースは予選で2勝し、前の試合から1ヶ月以上空けての試合でした。試合は開始4分に正面のPGを狙ったMorning Bearsが惜しくも外しますが、その後も敵陣でアタックする時間が多く、先制のPGにG前ラインアウトからモールを押し込んで3番藤本選手がトライを奪い、8-0とリード。グレースも敵陣22mに入ってからFWがモールを押し込んだり、ラックサイドを攻め込みますがトライを奪えず。前半の最後にはMorning BearsがG前スクラムのチャンスを得ると、8番梶木選手がそのまま持ち込んでトライし、15-0とリード。グレースはFWで得点を取りきれず、相手に流れを許してしまいました。

後半はMorning Bearsがハーフ団をPTSの二人から立正大のSH阿部選手、SO今釘選手に交代し、これがはまりました。自陣では今釘選手がDFの裏に正確なキックを蹴りこみ、相手のカウンターアタックをしっかり止めて、グレースは敵陣深くチャンスを作れず。雨でぬれた状況もあり、この日はボールをこぼす場面が多かったです。予選の2試合で活躍した大塚選手がハーフタイムで交代したのもあり、キックを蹴ってエリアを挽回するような場面が作れませんでした。Morning BearsはDFでも声を掛け合って、接点ではプレッシャーをかけ続けましたし、タックル後の起き上がりも早く隙がありませんでした。アタックでも追加のトライの後の難しいキックも平山選手がしっかり決めるなど、自分たちのラグビーを出し切って、29-0と快勝しました。

試合後の両チーム、早朝の移動から寒い中での試合、本当にお疲れ様でした

終盤にキープレーヤーが活躍したTKMフェニックスが日体大に逆転勝利

準決勝の2試合目は準決勝にふさわしい激しい攻防で最後まで勝負がわからない接戦に

準決勝のもう1試合はTKMフェニックスと日体大が対戦、キックオフの頃には雨はほとんど止んでいましたが、冷たい風が吹くコンディションでした。赤のTKMフェニックスが攻撃し、紺と水色の日体大が素早く前に出るDFで倒し続けるような場面が続き、前半20分を経過してもスコアは無得点。前半33分に相手の反則からG前に攻め込んだ日体大がラックの連続から3番小牧選手が飛び込み先制トライ。そのまま終わるかと思いきや、前半途中から交代で入った23番アテカ選手が敵陣22m付近の外でボールを貰うと一気に加速してDFを抜き去り、同点のトライを奪って5-5の同点で折り返し。

後半も一進一退の攻防が続き、両チームともG前のラックの連続からFWの選手が飛び込み、後半残り20分で日体大が12-10とリード。競った展開が続く中、エリア中盤でぶつかり合う場面が増えてなかなか攻め込んで得点のチャンスを作れませんでしたが、終盤に来て敵陣22mに入ったTKMフェニックスが攻め続けると、後半39分にボールを受けた8番永井選手がDFを突き破って抜け出すとそのままの勢いでポスト下に飛び込み逆転のトライ。Gも成功して17-12とリードし、最後はキックオフのボールをしっかりキープして外に蹴り出し、決勝進出を決めました。

ノーサイドの笛が鳴ると、皆で抱き合って喜んだTKMフェニックスの選手、素晴らしい試合でした

TKMフェニックスは先週の試合から出た課題をしっかり反省し、さらに成長したプレーを見せてくれました。日体大の激しいDFを受けても、ボールキャリアとサポートが粘って簡単にターンオーバーを許さず、接点で我慢できたことが終盤の逆転に繋がった印象です。予選から今日で4試合目、チームとしての戦術、戦略がしっかりかみ合ってきましたね。日体大は鍛え上げた粘り強いDFで、何度も狙い済ましたダブルタックルで接点で前に出るなど力を発揮していましたが、前後半の終盤で相手のキープレーヤーに活躍を許してしまいました。強度も高く、どちらもベストを尽くしたような試合で、観戦に来ていた日本代表のレスリーHCも満足していたかも知れません。

逆転トライを決めてMIPを獲得した永井選手、ボールを持てば相手の脅威となるパワーランナーです

今日の2試合を通じて感じたことは、怪我人の状況でチーム力が大いに変わることでした。もちろんチームによっては多くない人数で戦っているのもあります。ただ新型コロナの影響がトレーニングに出ているのか、どのチームも予選で出場していた主力選手の何人かがここに来てコンディションの不良からか、登録外になっている気がします。その中で今日活躍した永井選手は先週の試合で外れていた分、コンディションを整えられたのはあるかもしれません。3位決定戦と決勝戦は2週間後ですが、どれだけ選手の調子を上げれるかが勝利のキーになりますね。

日体大は悔しい逆転負けでしたが、この負けで得た課題を修正して3位決定戦に挑んで欲しいです

何とか2試合を終えることが出来、一安心です。コロナ禍でトップリーグや高校ラグビーが試合できない状況もあり、今日はいつもより多くの取材が訪れていました。次の最終戦に向けてまずは選手、スタッフの皆さまにはしっかり体調を崩さぬよう、休んで欲しいですね。何とか止めずに最後まで終えられるよう、関係者皆で引き続き協力していきましょう。スポーツを止めるな。女子ラグビーを止めるな。