花園女子エキシビションと代表HC続投のはなし

昨日27日に全国高校ラグビー、花園が開幕しました。開会式後には高校女子の選抜メンバーがあつまる東西対抗戦が3年ぶりに行われました。この3年、女子は何で行われないのかという声もSNSではよく見ましたし、何より花園でプレーする機会を逃した大学生ラガールの子たちも少なくないわけで、まずは無事に開催できたことに感謝です。

高校女子トップレベルの高まりを実感した花園エキシビション

試合に出場予定だったメンバーは内容は事前に日本協会HPで発表されていました、こちら。また試合内容についてはRUGBY JAPAN 365さんのサイトで大友信彦さんが白熱が伝わる写真と共に素早く試合レポートを上げているのでリンク貼っておきます ⇒ 「3年ぶりの開催「花園U18女子15人制」レポート」

試合結果は西軍が7-0で東軍に勝利、前述のリンクの最後にこれまでの通算成績がありますが、西軍は2018年に続き連勝。その前の2017年は東軍がその年のW杯で活躍したSH津久井萌をはじめ、今年のW杯でも活躍した加藤幸子らトッププレーヤーが集まって、西軍から4トライを奪い24-0で勝利しました(この年の西軍にものちの日本代表が多くいたと思いますが、ここでは割愛)。3年ぶりの試合は開始早々のキックの攻防から、レベルの高さを感じさせました。私が2015年に花園で見た女子のエキシビションはキックは飛ばないのが前提、長いパスを放る選手も少なく、いかにショートパスでを繋いでアタックを継続するか。確か先制トライは東軍のNo8鈴木彩夏(2017年のW杯でも活躍)が敵陣中央のスクラムから持ち出してそのまま30mくらい独走して奪ったと思います。ひたむきなタックルは変わりませんが、極端に言えば、敵陣でずっと攻め続けてようやくトライを奪った後は、お返しのキックオフから今度は守り続けるみたいな、アタックディフェンスの延長みたいな試合だったと思います。

クボタスピアーズの岸岡選手もこんな驚いた呟きを上げるくらい、女子は素晴らしいプレーばかりでした。

岸岡選手の呟きを紹介しましたが、女子ユースの強化としては以前からセブンズユースアカデミーの取り組みはありました。セブンズユースはこの前NZで行われた国際大会に出場し、初優勝を成し遂げてきました。協会HPの遠征レポートは、こちら。それに加えてこの1,2年で日本協会の「Strong Girls」発掘プロジェクトだったり、強化の新たな試みが増えたこと。また高校のチーム数、選手数が増えて、男子と一緒に練習するようなチームも増えてきていること、ラグビーの環境が恵まれてきたことがレベルアップの理由かなと思います。全国各地の高校女子ラグビー関係者の努力、熱量に感謝ですね。

個別に活躍した選手を挙げると長くなるので書きませんが、3年生以外でも活躍が目立った選手もいて、今後もこの花園エキシビションは本当にレベルの高い試合が見れると思います。なので協会の関係者はどうかプレー時間を20分ハーフから伸ばしてほしいと思います。現場的な視点で見ると、選抜された選手をすべて出場させたい一方、試合の勝敗もある以上は、流れ的に選手交代がしにくいところはあるのかなと。高校女子トップレベルの選手たちであれば、30分ハーフでも十分に良いプレーを見せてくれると思います。

女子日本代表HCはレスリーの2024年3月末までの続投が発表

そして女子日本代表サクラフィフティーンの新たな体制について、先日の報道の通りW杯でも指揮したレスリーHCに続投を要請、そして契約更新の発表が日本協会HPでもありました、こちら。W杯を終えた後、以前のブログにもいろいろと書きましたがレスリー体制の継続について、個人的には否定的な部分があり例えば戦術など試合でのパフォーマンスに関することですね。一方で国際的なコネクション、選手の海外へのチャレンジのサポートなど協会関係者のコメントにもあるように評価すべき点もあります。来年秋の新たな国際大会「WXV」に向けての強化というところでは妥当な判断です。

ただラグビー女子日本代表の強化を考えたときに、あくまで個人的な意見ですが、何か新しい人材を招き入れる必要がある段階にきているんじゃないかなと思っています。上手く説明はしにくいのですが、強化システムを作れる人、もしくは戦術の立案、落とし込みに特化した人を登用できないと似たような結果になると感じています。これは外に見えにくい部分でもあるので、ゆえに上手く言えないところもありますが・・・まあ難しい(苦笑)

現場で観戦した関東大会、関西大会の戦いを見ても、選手の数は増えて全体のレベルは年々上がっているなと感じています。一方で世界のレベルも高まる中で、日本代表というハイパフォーマンスなところの強化にも今後は一層高いレベルが求められていくと思います。よく課題として国内のゲーム数についての話がありますが、国内のゲーム数が増えるのと代表強化は直接繋がらないのが個人的な意見です(選手の試合経験が増えるのはもちろんプラスですが)。年明け1月には関東大会の最終日、そして全国女子選手権がありますし、そこでのパフォーマンスを観ながら、また改めて整理したいなと思います。

熊谷とタイのセブンズの話とこの後のイタリア戦に向けて

22日は熊谷で全国U18女子セブンズ、タイのバンコクではアジアセブンズシリーズ第1戦ラウンド1が行われました。ともにYoutubeでLIVE中継されていたので、幾つか試合を見ることが出来ました。

全国U18女子セブンズは三重PEARLSが昨年3位の麗澤に勝って4強入り

1日目の結果と2日目の組合せはJRFUのHPに画像で掲載されていたので拝借。
ラグビージャーナリストの大友信彦さんが個人の得点ランキングをまとめています、ありがたい

昨年の大会でもカップ戦に進出した4強が順調に勝ち上がる中で、私も推していた麗澤はPEARLSに4トライを奪われて7-22で負けて、プレート戦に進みました。試合は前半の早い時間帯で先制を許し、そこからPEARLSの良いDFにアタックで勢いを作れずに焦りも見られました。PEARLSは外の勝島選手の独走もあり快勝、2試合目の東北選抜にも57-0で勝利し、見事カップ戦に進出しました。4強に進んだ他のチームも、得点ランキングに掲載されている選手が活躍していました。独走トライのできる選手が各チームにいて、いい走りを見せていたので、数年後にどう成長するかも楽しみです。

初日の他の試合を見ると、今年も予選で勝ち上がったチームはブレイクダウンの接点、タックルの激しさを感じました。高校カテゴリーの大会は太陽生命やワールドシリーズなどのシニアと比べるとパスの長さ、選手間のスピードの差が少ない分、個人のATよりもDFで思いっきり体を当てる場面が目立つのかなと思いました。その中でも関東学院六浦、石見智翠館は完成度が高い印象で明日の決勝もその2チームのぶつかり合いになるのかなと(そういえば去年、花園で15人制の試合を行った両チームでしたが今年はないのかな)。得点ランキングに載っている名前以外の選手も活躍していますし、高校女子にとっては男子の花園のように集大成の大会なので、明日はカテゴリーが分かれて接戦も増えますし、面白い展開に期待しています。

アジアセブンズラウンド1は男女日本代表が順調に勝利し、明日の準決勝へ

男女同時で大会が行われています、1日目のYoutubeのリンクはこちら。男子は参加辞退のチームが出たみたいで、今日の予選は2試合でした。男女ともに予選で苦戦した試合もありましたが、順調に全勝で勝ち進み、明日の準決勝に進出しました。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1583772656179900416
男子は韓国相手に逆転勝利、セブンズ代表デビューの10番丸尾選手がキックオフで活躍
https://twitter.com/JRFUMedia/status/1583791487011065857
女子はカザフスタンに快勝、セブンズ代表デビューの内海選手は良いキックを見せました

男女セブンズ代表はともにアジアシリーズの後、ワールドセブンズシリーズを控えています。その状況下で、ともに新しい選手が加わってアジアシリーズのラウンド1に挑んでいます。あと男子はヘッドコーチが梅田さんからサイモン・エイモーさんに変わりましたね。男子は韓国戦を見ましたが、前半は敵陣でプレーを続ける中で得点を奪えず、逆に韓国にワンチャンスでラインブレイクから独走を許し、追いかける展開になりましたが、後半にしっかり逆転しました。明日の準決勝ではもう少し得点力が見られると良いですね。

女子はタイ、カザフスタンとの試合を見ました。タイ戦では前半に3トライを奪うも、後半に2トライを奪われましたが、残り1分でボールを渡さず、相手の反則から最後は外にけり出して逃げ切りました。カザフスタン戦はG前の反則から相手のパワープレーで1トライを許すものの、素早いATで5トライを奪い快勝。代表デビュー戦になる保井選手、松永選手、内海選手を上手く出場させながら、これまでなかなか登録メンバー入り出来なかったアテザ選手が良いランニングを見せるなど、余裕を感じる1日目の戦いでした。明日の準決勝、決勝も勝ち上がる前提で、しっかり守る、しっかり得点するという自分たちの意図通りの戦いに期待ですね。

サクラフィフティーンはこの後イタリア戦、8強入りへのビッグチャレンジ

そしてW杯を戦う女子日本代表サクラフィフティーンはイタリア戦まで、今書いている時点でキックオフまで6時間切りました。目標としているベスト8進出に向けては、大変厳しい状況なのは前回のブログでも書きました。応援する側としては得点どうこうは気にせず、強敵イタリアに自分たちの戦いを貫いて勝つ瞬間を見たいです。上手くいかないことも出てくる中で、チームのまとまり、成長を感じさせる戦い、日本の女子ラグビーの集大成みたいなものを試合から感じたいですね。

https://twitter.com/JRFUMedia/status/1583224345572167680
イタリアと戦う先発メンバーは前回の米国戦と同様、リザーブ含めた23名の熱い戦いに期待

W杯3試合目となると、大会中の試合を見て、お互い分析もしっかりしているでしょう。イタリアはFW、BKともに日本を上回っている印象ですが、そこでベスト8進出に向けては米国戦の前半のように、いかにボールを持ってアタックするか。そしてどう得点に繋げるかに注目です。イタリアより先にゲームでインパクトを与えるプレーを見せ、試合の開始15分で流れを大きく掴まないと、ベスト8進出は難しいでしょう。勝利を目指して、頑張れサクラ!

https://twitter.com/WorldRugby_JP/status/1583775180953980928

高校ラグビー決勝戦の振り返り

2022年になって、2週間経ちました。私事ですが仕事の関係で、1か月ほど前に5年少し住んだ千葉県から大阪府に引っ越しました。これまでのようにラグビーを観戦したりするのは難しくなりましたが、今年も女子ラグビーを中心に細々と更新していきます。

花園は東海大大阪仰星が優勝、終わってみれば圧倒的な強さでした

先週8日に行われた高校ラグビーの決勝戦、準決勝で王者桐蔭学園を破った國學院栃木、春の選抜王者の東福岡を破った東海大大阪仰星の組合せとなりました。國栃は栃木県勢初のベスト4進出という勢いがありましたが正直、國栃があの桐蔭学園に勝つとは...しかも2トライに抑えての勝利、予想していませんでした。

対して東海大仰星は西のAシードの評判通りの勝ち上がり、堅いDFからのターンオーバー、速攻でトライを奪う高いレベルのチームです。それに対して東福岡はキックオフチェイスからボールを奪い、開始直後に先制トライを奪うも前半のうちに仰星が逆転。最終スコアは42-22と快勝でした。ちなみに仰星は3年前の全国中学大会でも優勝しています、決勝戦の相手は私の母校の茗溪学園で現地で観戦しましたが、高校と同様に個々の強さとチームの完成度が高くて本当に中学生のチームなのかと驚きました。

そして8日の決勝戦。ライブでは見れなかったので、毎日放送の花園のサイトにあるアーカイブで見直してみました。これまで順調に勝ち進んできた東海大大阪仰星が有利と予想していましたが、やはり開始から仰星が國栃陣内で攻める展開になり、前半7分に先制トライを奪いました。そのあとのキックオフでも國栃がタッチに出してしまうミスから敵陣でチャンスを作り、そこから攻め続けて2トライ目。國栃はなかなか敵陣深くでアタックできませんでしたが、反則からG前ラインアウトのチャンスを作り、前半22分にモールを押し込んでトライ。前半はその後仰星がPGを加えて、スコアは15-5でしたが両チームのDFの速さ、強さが目立ちました。國栃は素早く前に出るDF、仰星は堅い守りを見せつつ、タックル後にターンオーバーのチャンスがあれば数人が一気に押し込んでターンオーバーする場面もありました。

後半、逆転を狙う國栃はFBの青柳選手がラインブレイクをするなど、アタックを試みるのですが、仰星は堅い守りを見せては、國栃の陣内に入ってアタックする前半と同じ展開が続きました。後半12分過ぎにようやく國栃が敵陣22mに入ってアタックしますが、それもG前で倒した後すぐに他の選手がジャッカルに入り、守り切りました。そして久しぶりに反則から敵陣22mに入るとモールを押し切って後半20分過ぎに追加のトライ。まさに横綱相撲という感じで、相手のアタックを受けてからの攻撃でした。DFは本当にチーム全員が繋がって、同じ判断が出来ている印象で、隙が無いです。結局、ゲームを支配し続けた仰星が後半30分過ぎから2トライを加えて最終スコアは36-5。ともに自陣からアタックを試みてトライまでミスなく繋ぐ崩しは驚きでした。

國學院栃木、初めての決勝戦にも臆することなく、自分たちの力を出し切るような戦いでした。それでも試合が進むにつれて選手の表情も険しいというか、戦える手応えを感じれない悔しさというか、東海大大阪仰星の強さはそれを寄せ付けないような感じでした。またTwitterではSOの吉本選手のキックのコントロールが話題になっていました。自陣から敵陣22mを狙ってのタッチキック、素晴らしいですね。決勝戦でも前半に2回、上手くけり出して自陣からチャンスを作りました。相手DF、特にBK3へのプレッシャーにもなったと思います。

決勝戦での東海大大阪仰星のプレーは、本当に王者らしいものでした。そして果敢に挑んだ國學院栃木のプレー、モールで奪ったトライはお見事でした。そして新型コロナの変異型が急拡大する前とはいえ、無事に全チームが陽性者を出さずに大会を終えられたことは素晴らしいです。

最後に先週末は大学選手権決勝、リーグワンの開幕、関東女子大会などラグビーシーズンは続きます。日付が変わって今日15日は関東女子大会のプレーオフ、勝った2チームが全国選手権に進出します。引き続き感染予防に努めながら、素晴らしい試合が見れるのを期待します。

関東学院六浦が全国U18女子セブンズ初優勝

先週末に熊谷で行われた高校女子の全国大会、昨年から続くコロナ禍の影響でコベルコカップや花園での試合が中止となり、高校女子にとっては唯一の全国大会となりました(夏のオッペンカップはオープン参加のため外してます)。昨年は惜しくも準優勝だった関東学院六浦が決勝戦で石見智翠館を17-7で破り、初優勝しました。日本協会HPの発表はこちら過去の大会も調べてみたら、関東学院六浦は3年連続で決勝に進出するも優勝できずにいたので、悲願の日本一でしたね。ラグビーリパブリックの記事も出たので、リンク張っておきます。
⇒『関東学院六浦、初の日本一。一丸の石見智翠館も力及ばず

六浦の勝因は日本一のDF、大会4試合で失トライは3のみ

悲願を達成した関東学院六浦、ここ数年は神奈川や大阪のスクールで活躍する選手が多数進学し、関東高校女子をリードするチームになりました。私は2019年のコベルコカップで2位になった関東女子代表にコーチングスタッフとして帯同していましたが、その時も六浦の選手が一番多く選ばれて主力として活躍していたと思いますし、今年の大会MVPの向来選手は1年生で選ばれていました。9月に行われたセブンズユースアカデミーのメンバーを見ても六浦からは向来、寺谷、西、松村、矢崎の5名が選ばれていますね。

石見智翠館との決勝は4:10:00過ぎから、堅い守りを見せ相手のノッコンから繋いで奪った先制トライはお見事

8月のオッペンカップでも麗澤、佐賀工業を破って優勝し、Bチームも4位と選手層も厚く、大会前から優勝候補だと思っていました。おそらく参加チームもターゲットにして、分析していたかもしれません。そんな六浦の初日、予選プールの初戦は緊張もあったのか、四国の鳴門渦潮を相手に前半を終えて5-0、そして後半3分にハイタックルでシンビンが出てしまい6人に。そこから鳴門渦潮が上手に繋いでG前まで攻め込みますが、必死に守り、最後は5番西選手が相手のインゴールノッコンを誘う激しいタックルを見せてターンオーバーしました。結局、最後の1プレーでトライを奪い、12-0と勝利しました。よく走る連携の取れたDFに、スコア以上に六浦の強さを感じる試合でした。

大会MVPは六浦の向来桜子選手でしたが、発表前からMVPとるかなと思っていました。圧倒的な運動量、攻守にわたっての躍動感あるプレー、そして激しいタックル。六浦が目指すラグビーを体現していると感じましたし、今後の更なる成長が楽しみですね。

六浦の監督の梅原先生は私と同い年で、以前から高校女子カテゴリーでお世話になっていたのでこの大会でも試合を見た後に連絡をしていましたが、この初戦の展開はさすがにドキドキだったそうです(笑) 六浦はこの苦しんだ初戦からしり上がりに調子を上げて優勝しましたが、大会4試合で失トライは3のみ、総得点は91でした。トーナメントを勝ち上がる強豪チームは、2019年W杯の南アフリカもそうですが、堅いDFを持っています。アタックではどうしてもミスが出がちですが、DFは防げるミスの割合が高いかと思います。そして六浦の選手は総じてタックルの強い選手が多い印象です。失トライの少なさについて書いたので、過去の大会を調べたところ3年前の第1回大会では優勝した石見智翠館が4試合で失トライ0で、総得点は158でした。これは凄い、圧倒的すぎますね・・・

初出場の麗澤が3位、プレートは追手門学院、ボウルは開志国際が優勝

関東学院六浦以外のチームを見ると、初出場の麗澤(千葉県柏市)が予選プールで関西1位の追手門学院を14-12と逆転勝利して1位通過すると、2日目の3位決定戦では佐賀工業を破って3位になりました。初日の追手門学院戦では、追いかける後半に相手の裏へのキックを拾った4番池崎選手が左のスペースを走り切って同点トライを奪うと、5mライン付近の難しい位置から5番原田選手が逆転のキックを決めました。その後もノータイムでもゲームを切らずに攻め続けるプレーが印象的でした。

予選プールで麗澤に惜しくも敗れた追手門学院はプレート戦の初戦で京都成章と10-10の同点になり抽選で決勝に進むと、PEARLSを相手に7-7の後半、自陣スクラムでSHの4番小西選手が持ち出すとそのままDFのギャップを駆け抜けて独走しトライを決めて勝利しました。またボウル戦優勝の開志国際は予選初日の第1試合目、佐賀工業を相手に前半を終えて12-7とリードするなど健闘していました。2日目のボウルトーナメントでは2試合とも6トライ以上を奪う大勝で、予選の組み合わせ次第ではもっと上位に行けるチームでしたね。総じて振り返れば、全国各地からユースアカデミーに選ばれている選手が、活躍を見せた2日間でした。

毎年、大会を見る度にレベルが向上したと感じますが、東北選抜や北海道選抜など下位のチームにも良いプレーを見せる選手がいました。強豪校のレベルが高いのはもちろんですが、それ以外の地域でも男子と一緒に練習したり、それぞれの環境で良い選手が増えているのを感じました。ユースレベルはStrong Girls 発掘プロジェクトや15人制TIDユースチームも始まりましたし、今後の成長が楽しみですね!!

女子日本代表はヨーロッパ遠征前の最終調整に入りました

そして来月にヨーロッパで3つのテストマッチが予定されているサクラフィフティーン、昨日26日から菅平での遠征直前合宿が始まっています。日本協会HPの発表はこちら遠征メンバーは週末に発表されるとのことですが、このメンバーを見るとFWに青山学院大4年の小西想羅がいないのが気になりますね。2年前のスコットランド戦、後半から出場し大活躍し、前回の菅平合宿の試合形式でもかなりアピールしていたみたいです。RugbyJapan365に掲載されていたレポートはこちら ⇒ 「豪州遠征へ白熱バトル!
この遠征メンバーの8割以上がおそらく来年のW杯に挑むことになるかと思います。個人的にはセブンズ代表メンバーは来月のアジア予選を突破すれば来年W杯を控えているため、15人制代表へのメンバー入りはかなり厳しいと思っています。

またヨーロッパ遠征にはイギリスでプレーする山本、小林、加藤の3名も招集されると思いますので、どんな試合メンバーになるのか、楽しみですね。また近くなってきたらブログに書きたいと思います。男子と共に頑張れ、サクラフィフティーン!頑張れ、日本!

高校、大学それぞれの決勝戦を見て

この3連休、年末から始まった様々なスポーツの全国大会が決勝戦を迎えました。高校ラグビーは9日、そして大学ラグビーは11日に決勝戦が行われて、桐蔭学園が連覇、天理大学が初優勝を飾りました。

桐蔭学園は京都成章を相手に後半開始に突き放して32-15で勝利

https://www.youtube.com/watch?v=hZU0r38TTkI

京都成章は初めての決勝進出、粘り強いDFを武器に勝ちあがってきました(伝統のピラニアタックルというのは今年初めて聞きました)。一方、桐蔭学園は1回戦の茗溪学園戦から攻守にわたって強さを見せ付けて、後半に相手を圧倒して突き放し、どの試合もスコアは似たような展開で決勝戦まで余裕を感じる勝ちあがりでした。決勝戦は開始1分に京都成章がPGで先制、その後は桐蔭学園も自陣から攻めますが、これまでの試合で見られなかったミスが目立ち(開始10分でハンドリングエラーが4つだったかな)、序盤は拮抗した展開になりました。

京都成章も継続して攻め込みますが、桐蔭学園の連携の取れたDFにラインブレイクして追加点のチャンスを作れず。一方で桐蔭学園はタックル後にチャンスがあれば一気に圧力をかけてターンオーバーし、アタックでは左右にボールを動かして継続しながら、個人の1対1を突破して自陣からラインブレイクするなど、アタックでも優位に立ちます。G前まで攻め込むとスクラムからNo.8佐藤選手がアタックし、ラックからLO青木選手が持ち出して飛び込み逆転のトライ。この青木選手のトライは、密集脇のDFを良く見て内にステップを切って持ち込んだので思わず「上手い!」と声が出ました。桐蔭学園はこの後も攻め込んでPGを決めて10-3としますが、京都成章は後半のラストプレーでSH宮尾選手がラックから上手く仕掛けてラインブレイクするとそこから攻め込んでトライを奪い同点に追いつきました。

後半開始10分で15点を奪い勝負を決めた桐蔭学園の強さ

ハーフタイムのときに後半の開始に京都成章が先に得点を奪えたら競った展開に、桐蔭学園があっさりとトライを奪えたら突き放すだろうなと予想しましたが、まさにそのような展開となりました。桐蔭学園がアタックで敵陣22mに攻め込み、京都成章がボールを奪い返すもその後のアタックでパスミスでこぼれたボールを桐蔭学園の選手が拾って後半2分にトライ。その後のキックオフレシーブから、7点差の状況でまずはキックで進めるかと予想しました。しかし、桐蔭は自陣22mからアタックを継続すると、京都成章は止めきれずに攻め込まれて、最後はG前のラックからボールを受けたLO青木選手がオフロードで繋いで5分に追加のトライ。その次のキックオフからも攻め込んでPGを決めるとあっという間に15点差に。

そして後半18分にも追加のトライを奪い、京都成章の反撃を後半30分のトライのみに抑えて32-15で快勝しました。桐蔭学園のアタックは素晴らしかったですが、見ていて感じたのはDFの激しさと強さ。しっかり身体を当てるし、FWも良く走るのし、ラックでのブレイクダウンでは圧力をかけ、京都成章はアタックをしていてもチャンスを作れず、苦しい展開だったのではないでしょうか。また粘り強いDFも桐蔭学園の個々の選手の突破を許す場面が目立ち、まさに結晶でも横綱の強さを感じる桐蔭学園でした。

J Sportsのコラムで今年の花園を振り返っていたので紹介します ⇒ こちら。
また日本協会のHPで大会の優秀選手30名が発表されました ⇒ こちら。
今年は高校日本代表は結成されず…仕方ない状況ですが、本当に残念です。ただ高校生のレベルアップを感じる大会でした。W杯の日本代表の躍進の影響もありますね。

大学の決勝は天理大学が連覇を狙った早稲田大学を圧倒しました

https://www.youtube.com/watch?v=hjBytsMAb2Q

高校の決勝の振り返りが長くなってしまったので、大学の決勝は短めに。試合前は後半途中までは競った展開になるかと予想していましたが、前半を終えた時点で29-7と天理がリード。試合開始から接点の激しさは高校生とは比べられない強度でしたが、天理の選手が勝つ場面が多かったですね。早稲田の選手は接点でボールを奪われたり、ゲインを許す場面がありました。その中で試合の流れを作るHB陣のプレーに差がありました。天理は共に4年生のSH藤原、SO松永がアタックをリードしてBK陣がトライを重ねましたが、早稲田は2年生のSH小西が敵陣に攻め込んだチャンスにパスミスをしたり、SO吉村がキックオフで蹴ったボールが外に出たりしてまうなど、ミスが目立ちました。天理は後半開始5分にも早稲田ボールのG前スクラムを押し込んでインゴールにこぼれた球を素早く押さえて追加のトライを奪い、結局8本のトライを奪い圧倒。決勝戦での55点はこれまでの大会史上、最多得点だそうです。

早稲田も後半26分に自陣でのアタックから3番小林選手が上手くアングルを変えてラインブレイクすると、ステップで天理SH藤原選手をかわし、さらに相手BKをパスダミーで抜いて味方のトライを演出するなど、良いアタックを見せた場面もありました。しかし天理はラグビーの醍醐味でもあるコンタクトプレー、接点の部分で早稲田を上回り、注目の13番フィフィタ選手が期待通りにアタックでチャンスメイクして得点を重ねました。まさに漆黒のジャージはオールブラックスのような戦いで見事、初優勝しました。

高校も大学も例年以上に見応えのある戦いでした。新型コロナの影響で春から苦しいシーズン当初でしたが、これだけ素晴らしいラグビーを見せてくれるのは驚きでした。まさに感染防止に努めた大会運営側、苦しいシーズンでも見事な成長を見せたチームの選手、スタッフに感謝しかありません。今週末から始まるトップリーグでも、素晴らしいラグビーを見せて、日本のスポーツ界を盛り上げたいですね。