30代の10年を急ぎ足で写真と振り返る

5月25日は私の誕生日、明日で40歳を迎えます。10年前、30歳はJICA-JRFUスクラムプロジェクトの初回派遣でスリランカのビーチで迎えました。当時は10年後にどうなるか予想も出来ませんでしたが、いまこうして40歳を迎える直前になり「まだまだ未熟だな・・・」と感じます。多くの人がそうかもしれませんが、やっぱり振り返れば後悔の方が多い。それでもこの10年はいくつかのチャレンジと多くの経験がありました。このブログはラグビーに関する話題を書くので、女子ラグビーに絞って振り返ってみます。

YOKOHAMA TKMでプロコーチになることが出来た30歳

スリランカから6月末に帰国、派遣活動報告を終えました。まだJRFUのHPに当時の記事がありました、こちらそしてご縁があって7月にラグビー日本代表の菅平合宿にサポートスタッフで参加し、当時の日本代表HCのエディーさんと1週間ですが、一緒に仕事ができたことは本当に貴重な経験でした。当時の強化合宿レポートは、こちら

そしてその時にお世話になったスタッフの方からのご縁で、医療法人を母体に持つ女子ラグビークラブ、YOKOHAMA TKMにコーチとしてお世話になることが出来ました。ラグビーを仕事にする、そんな夢が叶いました。また夏の札幌の大会では、市内に住んでいた両親に応援に来てもらいました。TKMでのコーチ1年目は本当に経験不足もあって学びが多く、初めての女子ラグビー指導は男子との違いに戸惑って、選手には迷惑をかけました。なかなか良い結果をもたらすことが出来ず、充実した時間の中でも反省ばかりでしたが、当時の選手、スタッフ、そしてお世話になった病院関係者の皆様には夢を叶えるきっかけをいただき、本当に感謝しています。そうしてコーチとしての経験不足を感じていた時に、JICAの募集があり、ウズベキスタンにチャレンジすることになりました。

国際大会へのチャレンジとなったウズベキスタン派遣

この派遣を前に運がよかったのは、現地から女子ラグビーの指導経験がある人を求められていたこと。なので割とスムーズ(?)に決まったというか、応募したら行けるだろうと思っていました。まさか30歳になってロシア語を勉強するとは思いませんでしたが、振り返るとたくさん書きたくなることがあって簡単にまとめられず(苦笑) 活動としては4月と5月は男子15人制、6月から10月は女子7人制の代表チームをそれぞれ指導し、どちらも結果的には過去最高の結果を出すことが出来ました。今でも当時の選手とはSNSで繋がっていますし、女子のキャプテンは毎年誕生日にメッセージが届きます(どこで自分の誕生日を知ったのか…)し、この派遣で国際大会へのチャレンジという大きな経験をしたことが、今の自分にも影響を与えています。派遣から帰ってきて、ラグビーマガジンの巻末インタビューに掲載(表紙はリオ五輪出場を決めたサクラセブンズ)されたのは良い思い出です。

東京フェニックス、そして千葉ペガサスで監督、コーチを務めた3年間

そして2016年、TKMの頃からお世話になった東京フェニックスの四宮さんに声をかけてもらって、東京フェニックス、そして千葉ペガサスで、監督、コーチとして再びラグビーを仕事にすることが出来ました。2018年までの3年間で他のチーム含めた女子ラグビーの関係者、そしてサポーターとたくさん知り合うことが出来たと思います。またコロナ禍の前でフェニックスでのタイやイタリアへの海外遠征もあり、本当にありがたい経験でした。

この3年間も簡単に振り返るには色々とありすぎて、1年目は太陽生命WSSの東京大会で合同チーム(フェニとラガール7の選手10名)をボウル優勝(15チーム中9位)を達成したり、千葉ペガサスを太陽生命WSSに昇格させたりしました。あとは15人制でもTPA(TKM、フェニックス、アルカスの合同チーム)で日本一になった年だったかな。2年目は太陽生命WSSへのチャレンジで春は厳しい戦いでしたが、秋は海外選手と怪我から復帰した選手の活躍もあって、台風が迫ってきた保土ヶ谷大会で下馬評を覆す3位になり、無事にコアチーム残留を達成。3年目はさらに上を目指すチャレンジでしたが、選手の怪我、自分の力不足もあって、最後まで勝ち癖みたいなものを作れず、入替戦で3位となり降格。プロとして結果を残せなかった責任もあって、お世話になったフェニックス、ペガサスを離れることにしました。

2019年からは現場を離れて大会運営に関わりました

そして2019年からは仕事としてラグビーに関わることはなくなり、一ファンとしてスタンドから応援したりしていましたが「白馬さん、暇してるでしょ」みたいな感じで声をかけてもらい、女子の関東大会の運営に関わることになりました。まず大会参加チームの調整(合同チームの組合せなど)、事前のミーティング、試合2日前の選手登録の受付、当日のスケジュール作成などを重ねて、大会フォーマットを整えることに取り組みました。またこのブログを始めたのもこの年の関東大会の時期だったと思います。

これは仕事の都合で関東を離れる2021年の12月まででしたが、加えて2020年からはコロナ禍での実施に向けて、どう感染防止対策をするか、試合の撮影をどこまで許可するか、などなど大会運営側と会場運営、参加チームとのやり取りが増えて、取り組みは大変な面も少しありました。それでも協会の関係者含めた大会実行委員会でのやり取りを重ねて、大会を良いものにする試みは面白かったです。力不足で参加チームに迷惑をかけたところも多々あったと思いますが、それでも今の大会運営に繋がるフォーマットを作る一端を担えた自負はあります。最後はサプライズで楯を用意していただき、試合後の選手皆で送り出していただきました。

2022年からは大阪で、そして今は三重に来て8か月くらいになりますが、1ファンとしてスタンドから応援する立場になりました。鈴鹿での試合や、静岡エコパでの試合は気楽に行けますし、先日の熊谷大会のようにバスで長距離移動するのも楽しんだり、そこで見たことや感じたことをブログで書いています。この前熊谷であった知り合いの選手たちからは「白馬さんがラグビー以外の仕事をしているのが想像できません」と言われて、苦笑いでした。たまに選手から「ブログ読みました」と聞くと、恥ずかしいところもありますが、今後も思っていることを正直に伝えることを、もう少し続けていこうと思います。

30代の10年間を振り返ったところで、次回は40代に向けてのことをかければと思います。長文お読みいただきありがとうございました。

ARWCと熊谷大会で注目した日本人選手

先ほどカザフスタンで行われたアジア女子ラグビーチャンピオンシップ(ARWCでした)の試合、香港とカザフスタンの試合は点を取りあう展開でしたが、最終的にはスクラムで反則を奪うなどFWが強かったカザフスタンが27-23(HT17-16)で香港に勝利し、28日に行われる日本との決勝戦に進出しました。勝った方が10月に行われる新しい国際大会「WXV」のDivision2に進みます。日本としては絶対に勝って、秋の強豪相手のテストマッチに繋げないとです。

香港とカザフスタンの試合については、最初の20分くらい見た後は途切れ途切れで見ていましたが、日本としてはFWを中心としたセットプレーでしっかり戦えれば、ゲームの流れを掴めると思います。FWのファイトに勝ったら、日本のHBがテンポよく球を動かして攻めることが出来ますし、相手の反則も誘えると思います。サクラセブンズと同様、しっかり走り勝つ。後半に引き離すような展開に持ち込みたいですし、この相手に競ってしまうレベルでは秋に向けて厳しいとも思います。28日の試合は日本時間で18時から。日本の遠征メンバーは、こちらメンバーで最多キャップは津久井萌の22、次にラベマイまことの20などキャップ数2桁が合わせて10人。ノンキャップは7人でした。また遠征レポートは、こちら。テストマッチはどんなメンバーになるか、発表後に改めてブログで決勝戦に向けて整理できればと思います。

28日にLIVE配信予定なので通知オンにしました

熊谷大会で個人的に活躍が気になった日本人選手を紹介

前回のブログ、でも熊谷大会の振り返りをしましたが、ここではスタンドで観戦しながら「おおっ」と思った選手を書いていきます。近いうちに大友信彦さんが熊谷大会ベスト7を挙げると思うので、それも楽しみですね。

優勝したながとBAからは大会MVPを獲得したプルーニー・キヴィット選手の活躍は当然ですが、セブンズ代表経験もあるライチェルとアテザの姉妹が揃って活躍していました。2月の北九州の時は見れませんでしたが、今年の太陽生命WSSに向けてしっかり調整してきたんでしょう。この後のシリーズ大会でも活躍して、サクラセブンズにも再チャレンジして欲しい。

準優勝した日体大、大内田夏月、高橋夏未の2人がゲームメイカーとして、良い動きをしていました。2人とも走りながらしっかりボールを止めるキャッチのスキルが高く、そのあとの動きだしまでが滑らか。DFのタックルを避けるように間合いをしっかり保ちながら、前にスペースがあれば見逃さない。この後のシリーズ大会でも、日体大の勝負所の時間帯ではこの2人がチャンスを作りそうですね。

3位のPEARLSは土曜の予選で日体大に負けましたが、そこから調子を上げてきました。最終戦でもフェニックスを相手に前半2トライを奪った保井沙予選手がチームに勢いをつけました。初戦のナナイロとの試合でもノータイムのホーンがなった時点でリードを許す展開でしたが、そこからトライを奪いチームを救いました。WTBのオケロ選手に注目が集まりがちですし、これからはBlackFernsのサラ・ヒリニ選手が加わってどんな活躍を見せてくれるか楽しみですが、勝負所でトライを狙う保井選手の活躍にも注目です。

4位に終わった昨年総合優勝のフェニックス、司令塔役のナタリー・ライト選手のコントロールされたキック、そしてスーパーエースのニア・トレバー選手の爆走(準々決勝の追手門学院戦では自陣Gラインから100m独走トライ)は見応えありました。その間に挟まれた岡元涼葉選手もバランス役というわけではないですが、判断よいプレーで安定した活躍を常に見せていました。どんな相手でも安定して質の高いプレーを見せる選手は、コーチングスタッフ側からみると非常に頼もしいです。今後の代表入りに向けて、さらに尖った強みを身につけてアピールして欲しいですね。

4強以外のチームを見ると、追手門学院の小西春菜選手はサイズは小さいですが、細かいステップと切れのあるランニングで強気に仕掛けでボールを持った時に楽しみな選手でした。9位のナナイロからは中村選手、小笹選手などセブンズ代表経験選手の活躍が目立つ中、今後の代表入りが期待される大橋聖香選手も最終戦PTSを相手に2トライを奪いました。これからもチャンスには強気に仕掛けて欲しいですね。そして高校生主体のチャレンジチーム、タレントを感じさせる選手がたくさんいましたが、丸山希香選手は予選で勝利したルーヴ相手に2トライを奪う活躍を見せました。いい走りを次の大会でも見せて欲しいですね。

今年は16チームになりましたが、極端な得点差がつくような試合はなかったです(最大で41点差)。各チームがこのシリーズの戦いに向けて準備を重ねてきたのが感じられますね。次の秩父宮大会では、今回出場のなかった代表選手や海外選手も出場してくるでしょうし、楽しみです。

リーグワン決勝と熊谷大会を簡単に振り返る

先週からわくわくしていましたが、この週末は本当にどっぷりラグビーに浸かりました。昨日の熊谷では久しぶりにお会いして色々とお話しできた方もいたり、色々な選手の活躍に驚いたり、本当に楽しい1日でした。関係者の皆様、本当にありがとうございました。

クボタスピアーズ東京ベイが初の決勝進出から初優勝

まずはリーグワンの決勝をTV観戦した話から。17-15で埼玉パナソニックワイルドナイツに勝利したクボタスピアーズ東京ベイが初優勝しました。RugbyRepublicさんの記事はこちら、「クボタスピアーズ船橋・東京ベイが悲願達成! 埼玉ワイルドナイツを倒し初の日本一」
記事の中にもある通り、この日の埼玉はエラーが多く、東京ベイのキックチェイス、ブレイクダウンへのプレッシャーも強く、反則も多かったです。初優勝を狙う挑戦者、東京ベイはDFも激しく固く、自分たちのラグビー、強みを思いっきりぶつけていた前半の印象でした。

https://www.youtube.com/watch?v=YWeXy6L0v5I
埼玉の固いDFに対し、東京ベイはDF裏へのキックを有効に使っていました

後半も東京ベイが優位に進め、埼玉はなかなかゲームの流れを掴めない中でSO松田選手から同級生の山沢選手に交代してから、連続トライを奪って逆転した時間帯はさすが王者埼玉だなという試合展開になりましたが、そこから勝負を決めた逆転トライを奪い返した瞬間は本当にTVの前で大興奮でした。TVの実況も東京ベイのファンを意味する「オレンジアーミー」という言葉を伝えていましたが、東京ベイがフィールド内外で取り組んできた色々なアクションが大きな実りを生んだ、そんな優勝でした。本当におめでとうございます!

決勝戦の緊迫した展開の中、逆転トライはターンオーバーから一気に奪いました

太陽生命WSS熊谷大会はながとBAが圧倒的な強さを見せて優勝

21日の熊谷は天気に恵まれ気温も上がり選手はきつそうでしたが、生き生きとプレーしていました

そして日曜は熊谷ラグビー場で太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ(WSS)を現地で観戦、9:15のカップ戦準々決勝第1試合から決勝戦までほとんど全ての試合を見ました。おかげで陽をたくさんあびた太ももの下あたりは日焼け止めが効かなかったのか、帰るころには赤く日焼けしていました(苦笑) このシリーズ大会が始まったのは2014年から、今年で10年目になりますね(2020年はコロナ禍で全4大会が中止、そのため開催は9回目)。1年目から出場し続けている選手も何人かいますね。そして大会冠スポンサーである太陽生命様、大会運営を支える日本協会関係者、開催地域の協会関係者、ボランティアの皆様には本当に感謝です。

昨年は総合上位TOP4のクラブチーム、東京山九フェニックス、ながとブルーエンジェルス(BA)、YOKOHAMA TKM、PEARLSが引き続き強力な外国人選手や、日本代表で活躍する選手を擁して大会をリードしていましたが、熊谷大会では初日の予選プールで日本体育大学ラグビー部女子がPEARLSに勝利し、大会を盛り上げました。また昇格した4チームも奮闘し、昇格大会で4位だった横河武蔵野Artemi-StarsがPTS、RKUグレースに勝利し8強に進出。1位のナナイロプリズム福岡は初戦でPEARLSにラストプレーで逆転を許しましたが24-26と接戦になるなど、大会を盛り上げていました。

熊谷大会DAY1の動画、熊谷ラグビー場の芝は素晴らしい状態でした
https://twitter.com/TS_Womens7/status/1660197030403375105
日曜のトーナメントの結果と総合ポイント、コアチーム残留に向けては8強入り出来るかが鍵で4大会で30ポイント弱がボーダーラインになるかな。

そして昨日のDAY2では予選プールの得失点差でカップ戦準々決勝の4試合の組合せが決まり、PEARLSとTKMが初戦で激突し、PEARLSが28-14と勝利。準決勝では昨年の総合優勝フェニックスが日体大に14-19と敗れました。日体大は久しぶりのシリーズ大会決勝進出、昨年度の15人制大会の勢いを受けたというか、規律のある良いプレーを見せていましたが、この準決勝では日本代表の松田凜日が前半開始に先制トライ、そして後半開始でも強引に抜け出してリードを拡げるトライを奪いました。そして元日本代表の堤ほの花が大会を盛り上げるエース、ニア・トリバー選手をタッチに押し出すなど、ビッグプレー満載でした。

DAY2のライブ動画、堤選手がニア選手を押し出した場面は4:16:40過ぎです

そして決勝戦は余裕の勝ち上がりを見せたながとBAと日本体育大学ラグビー部女子の戦いでしたが、この試合でもながとが31-0と快勝して優勝を決めました。ながとは予選含めた6試合全てで5トライ、30点以上を記録。守りでも奪われたトライは追手門の1、PEARLSの3と4本のみ。先週トゥールーズ大会で活躍した平野選手、大谷選手が加わり、もう出てくる選手がみんな代表経験者みたいな感じで圧倒的な強さでしたね。余裕を持って戦う姿はワールドセブンズシリーズのNZ代表BlackFernsみたいに感じたくらいです。

他にも各チームの印象的な活躍を見せた選手だったり、今後の展望などいろいろとブログで書いて整理したいのですが今回はこの辺で。最後に再来週の秩父宮大会の予選プール組合せのドローを4強の最終戦前のインターバルで行ったのは面白かったですね。

秩父宮大会の予選プール組合せ、8強入りするチームが新たに表れるか注目です

サクラセブンズの22-23シーズンを振り返る

前回のブログ、でも速報でお伝えした通り、過去最高の成績で22-23シーズンのワールドセブンズシリーズを終えた女子日本代表サクラセブンズ。このシーズンに参加した代表チームの中で一番成長したチームと言っても良いかもしれません。およそ2年前に行われた東京五輪、期待を背負った中で悔しい試合ばかりで1勝も出来ずに最下位に終わりました。そんなどん底から新たに鈴木貴士HC体制となって強化を進め、進化し続けてきました。大会を重ねるごとに良い戦い、BIG WINが増えて、多くの関係者、ファンを喜ばせてくれました。改めて選手、スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

アイルランド戦の入場、とにかく動き、全員で走り勝って過去最高の順位を勝ち取るベストゲームを見せてくれました

1年前の5月にカナダラングフォード大会に参戦した過去のブログを見直すと
予選プールの結果はスコアを見ると、完全に負け試合。
第1試合 VSアイルランド  7-22●負け 
第2試合 VSフランス    5-41●負け 
第3試合 VSブラジル   12-38●負け
最後にメキシコに45-0と大勝して11位でした。そこから9月に行われた南アフリカW杯セブンズ、男女を通じて過去最高順位の9位で終えました。当時のブログを見ると、トーナメント初戦のフィジー戦では開始5分で4トライを奪われたそうです。トゥールーズ大会で見せた我慢を続けるDFから考えると、本当に成長しましたね。そこからの敗者戦ではライバル国にもリベンジを許すことなく、内容では圧倒しました。ここから強豪国にどう戦って勝つか、がチームの本当のターゲットになったのかもしれません。

W杯後はアジアセブンズシリーズを戦い、12月のドバイ大会からワールドセブンズシリーズ2022-2023が開幕し、初戦を10位で終えました。シリーズ大会HPの女子の順位表で、大会ごとの獲得ポイントが見えますが、3戦目のNZハミルトン大会で9年ぶりの8強入りを達成し、6位で終えたのは本当に大きかった。チームに殻を破るようなインパクトを与えてくれたと思います。8強入りを成し遂げた後のブログはこちら、全体8位で抜けると全体1位のNZと戦うことになりますが、その時は12-43と大敗。4か月前の時点でも、まだDFで粘り切れずに、トライを許してしまうようなところがあったのかなと。その翌日の5位トーナメントでは予選プールで負けたフランスを19-12で破り、5位決定戦ではイギリスとトライ数は同じ2本でしたが、10-14とキック差で惜敗。トーナメントの終盤で勝つ難しさ、厳しさを体験しました。

その後の3大会ではなかなか勝利を積み重ねられませんでしたが、チームは合宿と試合を重ねる中で、選手の入替もありながらも、プレーの成熟度を高めきました。トゥールーズ大会で見せた安定感、落ち着きを感じさせるようなプレーは決定的なミスをなくしたのと、自陣からでもチャンスには大胆なアタックを見せてトライを奪いました。NZハミルトン大会の予選プールは1勝2敗で得失点差-16、今回の仏トゥールーズ大会は同じ1勝2敗でもスペインを相手に5トライを奪って33-5で勝利したのが大きく影響して得失点差は+9。予選プールの組合せも違うとはいえ、同じ8位通過でも試合内容は確実に良くなりました。チームの中でも狙いのプレーというか、自分たちのフォーカスして、戦術、戦略通りにプレー出来れば勝てるような感覚があったんじゃないかと。スタッフの分析もそれを後押しできたと思います。

改めてトゥールーズ大会を振り返った時に、個人的にMVPを挙げるならFWの水谷選手ですね。これまではリザーブスタートが多かったですが、この大会では先発に定着したチーム最年少の19歳(2003年12月生)。攻守に積極的なプレーが目立ち、スペイン戦では独走トライも見せて、チームに勢いを与えてくれました。そして代表復帰した大竹選手。東京五輪前の大怪我から復帰し、昨年の太陽生命WSSでも東京山九フェニックスの主力としてチーム初の総合優勝にも貢献しました。代表合宿に参加するも怪我などもあって、久しぶりのワールドセブンズシリーズでしたが、期待通りの大胆なアタックでチャンスメイク。イギリス戦ではトライを奪われた直後のキックオフレシーブからのアタックで、逆転のトライをアシストしました。

大竹選手はキックオフの攻防でも高いジャンプで貢献してくれました

そして22-23シーズンを振り返ると、どの選手も本当に成長してくれたと褒めずにはいられません。東京五輪を戦った平野キャプテン、梶木選手、大谷選手、原選手、永田選手らはどの大会でも安定した質の高いプレーを見せました。そして東京五輪を目指しながらも代表入りを逃した中村選手、大竹選手は出場している時間帯で、インパクトを与えるアタックを見せてくれました。東京五輪後にチームに加わった須田選手はキレキレのステップ、安定したキックで得点力を代表にもたらし、最年少の水谷選手は先ほど書いたように代表チームの中での競争を勝ち抜いて良いプレーを見せました。須田選手に関しては、これまでの大会でタックルミスからトライを奪われる場面が目立っていましたが、この大会では狙って相手に刺さり倒すタックルを多く見せてくれました。きっと課題を認識して、集中的にトレーニングをしていたんじゃないかなと。サクラセブンズの司令塔として今後も期待大です。そしてトゥールーズ大会ではメンバー入りを逃しましたが、これまでのシリーズ大会に出場したベテランの小笹選手や、今は怪我からのリハビリ中の内海選手など、メンバー外の代表選手もサクラセブンズの活躍を支えてくれたと思います。

私が選ぶシーズンMVPは大谷選手、攻守にインパクトを与える貴重な選手

そしてシーズンを通してのサクラセブンズMVPを選ぶなら、大谷選手です。アタックでは思い切ったランニングでラインブレイクし独走、DFでは狙いすましたタックルにジャッカルなど、試合の流れを日本に引き寄せるプレーをどの試合でも見せていました。そしてバランスの取れたチームを率いた平野キャプテン、FWとBKを繋ぐSHで安定したゲームメイク。ボールを動かして周りの選手の強みを引き出しながらも、目の前にギャップがあれば鋭い走りで抜け出す。DFでは1対1の場面で相手をしっかり止める、狙いすました低いタックルで倒す、当たり前のことを当たり前にやってくれる安定感はまさにキャプテンでした。

サクラセブンズでは主力として何年も戦い続けてきた頼れるキャプテン
スペイン戦で見せた中央スクラムからの独走トライは、このシーズンベストトライの1つ。

ほかにもシリーズ通算24Tを挙げて、サクラセブンズのエースに成長したミニロケット原選手。シリーズ通算で参加した選手全体の中で3位のタックル数、サイズを上回る相手にも負けないフィジカル、フル出場も多く、チームに貢献し続けた梶木選手など、選手それぞれの強みがチームを前に進める歯車になりました。大会を重ねるごとに、選手間でチームでの役割もはっきりして、それぞれパフォーマンスアップに繋げられたのだと思います。他にも伝えたいことはどんどん出てくるのですが、文章量がだいぶ多くなってしまったのでこの辺で(苦笑)

今週末はリーグワンのプレーオフ、太陽生命WSSの熊谷大会が行われます。そこから9月に開幕するフランスW杯に向けて、ラグビーの話題も多くなってくると思うので、たくさん楽しんでいきましょう!

サクラセブンズ、仏大会を過去最高の順位で終了

安定したDF、落ち着いたアタックでスコア以上に素晴らしい試合でした。

週末にフランス、トゥールーズで行われたワールドセブンズシリーズ最終戦、3日目に日本代表サクラセブンズは予選プールで負けたイギリスに14-5とリベンジをすると、5位決定戦では前の試合でフィジーに勝利し、総合ポイント5位となって翌年のパリ五輪出場を決めたばかりのアイルランドを相手に、14-0と完封勝利して、過去最高の5位。予選プールで負けたイギリス、フィジーより上の順位で大会を終えました。そして総合ポイントでは大会前の28P(9位)から12Pを追加して40P。36Pで総合8位だったカナダが9位決定戦でスペインに14-15で敗れて10位となり3Pを加えて39Pになり、カナダを逆転。正直、カナダとの差は大きくて逆転は無理だろうなと思っていました・・・本当にすみません。トゥールーズ大会HPにあるの女子の試合結果一覧は、こちら

そして今シリーズの総合ポイントは、こちら。アイルランドは前2大会で成績が不振な中で挑んだトゥールーズ大会で予選でフランスに勝つなど、いい戦いを見せていました。最終戦はそんな大喜びの後、なかなか気持ち的に難しかったでしょう。日本との試合では何としても勝つという姿はあまり見えなくて、その日本との気持ちの差がプレーにも出ていたかもしれません。何はともあれ、ここ数年はコアチームへの昇格、降格を繰り返していた女子日本代表がこのシーズンは8年ぶりの8強進出を果たし、総合ポイントでも8位となったのは最高です!

シリーズ最終戦で大きく成長したプレーを見せてくれたサクラセブンズ

トゥールーズ大会は初日に2敗した試合は見れませんでしたが、そのあとの4試合はLIVEで観れました。勝った3試合は本当にベストゲームに近いというか、相手のプレッシャーにも慌てることなく、落ち着いてプレーし、個々の選手がしっかり繋がり、自分たちの力を出し切って勝った印象です。セブンズではどうしてもミスから流れを掴めずに惜敗することもありますが、本当に素晴らしい試合ばかりでした。最終戦のアイルランド戦でも前半終了間際、自陣G前でアタックを繰り返す中でもミスすることなくボールをキープ。ライン際のラックで相手に球を奪われるも何とかタッチに押し出して7-0で折り返したのが大きかったですね。

王者NZには7-29のスコア以上に今の実力の差を見せつけられました
これまでは弱点だったキックオフレシーブでも相手を分析して安定して確保できました

一方で王者ニュージーランドとのトーナメント準々決勝は7-29と完敗。粘り強く守れても球を奪えず、自陣G前でポーシャ・ウッドマンを捕まえに行くも倒せない。このシリーズを通じて攻守にMVP級の活躍を見せた大谷選手も、相手選手のステップからの急加速に振り切られてトライを奪われるなど、これまで以上に個々の差を感じる試合でした。でも今はそれでいいというか、悲観的にはならなくて良いと思います。今年は今回勝利したアイルランドやイギリスを相手に常に良い試合が出来る、言い方を変えれば大敗しないチームになって欲しいです。今の女子ラグビーを相撲の番付でいえば、シリーズ6大会のうち5大会を制した横綱NZに対して、大関が豪州で、関脇は米国とフランスといったところでしょうか。この4強から勝利するには、個々のフィジカル、スピードの更なるレベルアップが必要かなと思います。

NZから独走トライを奪った原選手、サクラセブンズのエースとして世界に認識されています

来週から始まる太陽生命WSSでもサクラセブンズの選手たちはそれぞれの所属チームで期待以上に活躍してくれるでしょうし、以前の報道などでもあるように世界トップクラスの選手も参戦します。そんな中で新たな代表入りを狙う選手のパフォーマンスにも期待せずにはいられません。ここから更にサクラセブンズが強くなるためには、個々の選手が強く速く大きくなっていく、その中でも横の選手との繋がり、連携が出来れば、またこの大会のように素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると思います。なお男子は予選プールで大敗するなど、この大会でも上位進出を果たせず13位決定戦でケニアに敗れて、14位に終わりました。

シリーズを戦った選手、そしてサクラセブンズをここまで強化し、導いた鈴木HCをはじめとした代表を支えるスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。総合順位8位から更に上を目指して、頑張れ日本!頑張れサクラ!