サクラ15アジア制覇とWXVのはなし

28日日曜にカザフスタンで行われたAsia Rugby Women’s Championship(ARWC)で日本代表サクラフィフティーンは若いカザフスタン代表を相手に11トライを奪い、72-0で大勝。今回で5回目のアジア制覇だそうです。日本協会HPの試合後コメントは、こちら。レスリーHC、長田キャプテン、テストマッチ初出場、初キャップを獲得した若手選手らのコメントが掲載されています。

試合はAsia RugbyのYoutubeチャンネルなどでLIVE中継されました

今回のARWCでは当初23日に予定されていた中国とのテストマッチが相手の不参加により中止となり、香港に競り勝ったカザフスタンとの決勝戦に向けて短い準備期間とはいえ、しっかり調整出来たと思います。相手を分析したうえで、アタックではWTB/FBのDF時のポジションとキックケアが弱みと判断して、裏へのキックを有効に活用しました。自陣からのキックで50-22ルールを2回適応できたのはその1つでしょうし、外のスペースへのキックパスがきれいに決まったトライもありました。昨年のW杯、日本国内での大会でキッキングゲームの経験を重ねたことが、ほかのアジアのチームとの力の差をさらに拡げたと感じました。

一方でDFは前に出て接点でファイトするのは前提として、ダブルタックルでボールキャリアーを押し返して相手を押し下げる場面が何度もありました。長田キャプテンはFW周辺など接点近くでプレーをする姿が目立った印象です。カザフスタンの重たい選手の突進に下げられる場面もありましたが、全体的には相手より素早く動き、しっかり連携して強いファイトを繰り返して、カザフスタンは攻め手がなかったと思います。男子と同様、アジアでは圧倒的な強さを見せつけることが出来ました。そして先ほどのHPのコメントにも合った通り、秋のWXVに向けてのスタートとしては良かったと思います。出てきた課題を修正し、さらに強くなって挑めるように、まだまだこれからという意識でそれぞれが強く上手くなって欲しいです。

10月に行われるWXVについて改めて整理してみました

そして秋に開催される女子の新たな国際大会「WXV」について、あまりラグビー関係者には知られていないようです。確かに代表スケジュールだったり、大会参加の公式発表的なのは出ていないですよね。2年少し前のブログでも書いていましたが、各地域での大会の結果で参加チームも少しずつ決まってきたので、改めて整理してみました。World RugbyのWebサイトで公開された記事はこちら
⇒「活気に満ちたブランドロゴの公開とともに WXVの開催地と開催日程発表

この大会はWorld Rugbyが女子ラグビーの更なる成長を期待して毎年開催されます。少し前の男子のようにヨーロッパや南半球の主要国以外でもラグビーをより成長、拡大していこう。つまりはグローバル化といったところでしょうか。大事なポイントをいくつか挙げると
1.各地域での大会を予選と扱い、W杯の12チームより多い18チームが参加
2.WXV2は南アフリカ、ケープタウンで10月14、21、28日の週末に開催
3.大会はクロスプール方式(おそらく2プールに分けて別プールの3チームと試合)
4.WXV2で6位(最下位)になったチーム(地域代表枠)は来年WXV3に降格

そのため日本が掲げる最低限の目標としては「1勝してWXV2に残留すること」でしょうか。上記の写真の通り、日本、スコットランド、南アフリカが決定。残りの3チームですがまずオセアニア1位(おそらくフィジー)、パシフィック4シリーズの最下位(おそらく米国)、もう1チームはヨーロッパからですが、World RugbyのWebサイト記事によると、イタリアとスペインでプレーオフが行われるようです。プレーオフで負けた方がWXV3に入りますが、組合せを見る限り、WXV3はおそらくヨーロッパ2チームが圧勝するでしょう。

なのでWXV2に向けた日本の戦略としては、過去に勝利経験のある南アフリカ、フィジーには確実に勝利し、昨年のW杯で惜敗した米国やイタリア(おそらく)相手にどれだけ迫れるか、といったところです。まだ代表の活動予定もわからないので、何とも言えませんがW杯を経験した選手たちのリベンジしたいモチベーションは高いと思います。粘り強いDFで失点を極力抑えて戦い抜けば、最下位は回避できるでしょう。Youtubeなどで他の国の試合映像も見れると思いますが、出来れば夏かWXVの前にテストマッチを組めたら、最高ですね。太陽生命WSSの戦いを経て、代表に合流するメンバーも変わるでしょう。

駆け足でWXVについてまとめてみましたが、先日のARWCでも見れたようなプレーを強豪相手にどれだけ出来るか、昨年のW杯と同じくらいのチャレンジが待っています。個人的にはレスリーさんに加えて新たなコーチングスタッフ(特に攻撃を組み立てる方)が入って欲しいと願っています。まずは春のセブンズでアピールする選手がたくさん出てきて欲しいですね!

ARWCと熊谷大会で注目した日本人選手

先ほどカザフスタンで行われたアジア女子ラグビーチャンピオンシップ(ARWCでした)の試合、香港とカザフスタンの試合は点を取りあう展開でしたが、最終的にはスクラムで反則を奪うなどFWが強かったカザフスタンが27-23(HT17-16)で香港に勝利し、28日に行われる日本との決勝戦に進出しました。勝った方が10月に行われる新しい国際大会「WXV」のDivision2に進みます。日本としては絶対に勝って、秋の強豪相手のテストマッチに繋げないとです。

香港とカザフスタンの試合については、最初の20分くらい見た後は途切れ途切れで見ていましたが、日本としてはFWを中心としたセットプレーでしっかり戦えれば、ゲームの流れを掴めると思います。FWのファイトに勝ったら、日本のHBがテンポよく球を動かして攻めることが出来ますし、相手の反則も誘えると思います。サクラセブンズと同様、しっかり走り勝つ。後半に引き離すような展開に持ち込みたいですし、この相手に競ってしまうレベルでは秋に向けて厳しいとも思います。28日の試合は日本時間で18時から。日本の遠征メンバーは、こちらメンバーで最多キャップは津久井萌の22、次にラベマイまことの20などキャップ数2桁が合わせて10人。ノンキャップは7人でした。また遠征レポートは、こちら。テストマッチはどんなメンバーになるか、発表後に改めてブログで決勝戦に向けて整理できればと思います。

28日にLIVE配信予定なので通知オンにしました

熊谷大会で個人的に活躍が気になった日本人選手を紹介

前回のブログ、でも熊谷大会の振り返りをしましたが、ここではスタンドで観戦しながら「おおっ」と思った選手を書いていきます。近いうちに大友信彦さんが熊谷大会ベスト7を挙げると思うので、それも楽しみですね。

優勝したながとBAからは大会MVPを獲得したプルーニー・キヴィット選手の活躍は当然ですが、セブンズ代表経験もあるライチェルとアテザの姉妹が揃って活躍していました。2月の北九州の時は見れませんでしたが、今年の太陽生命WSSに向けてしっかり調整してきたんでしょう。この後のシリーズ大会でも活躍して、サクラセブンズにも再チャレンジして欲しい。

準優勝した日体大、大内田夏月、高橋夏未の2人がゲームメイカーとして、良い動きをしていました。2人とも走りながらしっかりボールを止めるキャッチのスキルが高く、そのあとの動きだしまでが滑らか。DFのタックルを避けるように間合いをしっかり保ちながら、前にスペースがあれば見逃さない。この後のシリーズ大会でも、日体大の勝負所の時間帯ではこの2人がチャンスを作りそうですね。

3位のPEARLSは土曜の予選で日体大に負けましたが、そこから調子を上げてきました。最終戦でもフェニックスを相手に前半2トライを奪った保井沙予選手がチームに勢いをつけました。初戦のナナイロとの試合でもノータイムのホーンがなった時点でリードを許す展開でしたが、そこからトライを奪いチームを救いました。WTBのオケロ選手に注目が集まりがちですし、これからはBlackFernsのサラ・ヒリニ選手が加わってどんな活躍を見せてくれるか楽しみですが、勝負所でトライを狙う保井選手の活躍にも注目です。

4位に終わった昨年総合優勝のフェニックス、司令塔役のナタリー・ライト選手のコントロールされたキック、そしてスーパーエースのニア・トレバー選手の爆走(準々決勝の追手門学院戦では自陣Gラインから100m独走トライ)は見応えありました。その間に挟まれた岡元涼葉選手もバランス役というわけではないですが、判断よいプレーで安定した活躍を常に見せていました。どんな相手でも安定して質の高いプレーを見せる選手は、コーチングスタッフ側からみると非常に頼もしいです。今後の代表入りに向けて、さらに尖った強みを身につけてアピールして欲しいですね。

4強以外のチームを見ると、追手門学院の小西春菜選手はサイズは小さいですが、細かいステップと切れのあるランニングで強気に仕掛けでボールを持った時に楽しみな選手でした。9位のナナイロからは中村選手、小笹選手などセブンズ代表経験選手の活躍が目立つ中、今後の代表入りが期待される大橋聖香選手も最終戦PTSを相手に2トライを奪いました。これからもチャンスには強気に仕掛けて欲しいですね。そして高校生主体のチャレンジチーム、タレントを感じさせる選手がたくさんいましたが、丸山希香選手は予選で勝利したルーヴ相手に2トライを奪う活躍を見せました。いい走りを次の大会でも見せて欲しいですね。

今年は16チームになりましたが、極端な得点差がつくような試合はなかったです(最大で41点差)。各チームがこのシリーズの戦いに向けて準備を重ねてきたのが感じられますね。次の秩父宮大会では、今回出場のなかった代表選手や海外選手も出場してくるでしょうし、楽しみです。

サクラセブンズの22-23シーズンを振り返る

前回のブログ、でも速報でお伝えした通り、過去最高の成績で22-23シーズンのワールドセブンズシリーズを終えた女子日本代表サクラセブンズ。このシーズンに参加した代表チームの中で一番成長したチームと言っても良いかもしれません。およそ2年前に行われた東京五輪、期待を背負った中で悔しい試合ばかりで1勝も出来ずに最下位に終わりました。そんなどん底から新たに鈴木貴士HC体制となって強化を進め、進化し続けてきました。大会を重ねるごとに良い戦い、BIG WINが増えて、多くの関係者、ファンを喜ばせてくれました。改めて選手、スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

アイルランド戦の入場、とにかく動き、全員で走り勝って過去最高の順位を勝ち取るベストゲームを見せてくれました

1年前の5月にカナダラングフォード大会に参戦した過去のブログを見直すと
予選プールの結果はスコアを見ると、完全に負け試合。
第1試合 VSアイルランド  7-22●負け 
第2試合 VSフランス    5-41●負け 
第3試合 VSブラジル   12-38●負け
最後にメキシコに45-0と大勝して11位でした。そこから9月に行われた南アフリカW杯セブンズ、男女を通じて過去最高順位の9位で終えました。当時のブログを見ると、トーナメント初戦のフィジー戦では開始5分で4トライを奪われたそうです。トゥールーズ大会で見せた我慢を続けるDFから考えると、本当に成長しましたね。そこからの敗者戦ではライバル国にもリベンジを許すことなく、内容では圧倒しました。ここから強豪国にどう戦って勝つか、がチームの本当のターゲットになったのかもしれません。

W杯後はアジアセブンズシリーズを戦い、12月のドバイ大会からワールドセブンズシリーズ2022-2023が開幕し、初戦を10位で終えました。シリーズ大会HPの女子の順位表で、大会ごとの獲得ポイントが見えますが、3戦目のNZハミルトン大会で9年ぶりの8強入りを達成し、6位で終えたのは本当に大きかった。チームに殻を破るようなインパクトを与えてくれたと思います。8強入りを成し遂げた後のブログはこちら、全体8位で抜けると全体1位のNZと戦うことになりますが、その時は12-43と大敗。4か月前の時点でも、まだDFで粘り切れずに、トライを許してしまうようなところがあったのかなと。その翌日の5位トーナメントでは予選プールで負けたフランスを19-12で破り、5位決定戦ではイギリスとトライ数は同じ2本でしたが、10-14とキック差で惜敗。トーナメントの終盤で勝つ難しさ、厳しさを体験しました。

その後の3大会ではなかなか勝利を積み重ねられませんでしたが、チームは合宿と試合を重ねる中で、選手の入替もありながらも、プレーの成熟度を高めきました。トゥールーズ大会で見せた安定感、落ち着きを感じさせるようなプレーは決定的なミスをなくしたのと、自陣からでもチャンスには大胆なアタックを見せてトライを奪いました。NZハミルトン大会の予選プールは1勝2敗で得失点差-16、今回の仏トゥールーズ大会は同じ1勝2敗でもスペインを相手に5トライを奪って33-5で勝利したのが大きく影響して得失点差は+9。予選プールの組合せも違うとはいえ、同じ8位通過でも試合内容は確実に良くなりました。チームの中でも狙いのプレーというか、自分たちのフォーカスして、戦術、戦略通りにプレー出来れば勝てるような感覚があったんじゃないかと。スタッフの分析もそれを後押しできたと思います。

改めてトゥールーズ大会を振り返った時に、個人的にMVPを挙げるならFWの水谷選手ですね。これまではリザーブスタートが多かったですが、この大会では先発に定着したチーム最年少の19歳(2003年12月生)。攻守に積極的なプレーが目立ち、スペイン戦では独走トライも見せて、チームに勢いを与えてくれました。そして代表復帰した大竹選手。東京五輪前の大怪我から復帰し、昨年の太陽生命WSSでも東京山九フェニックスの主力としてチーム初の総合優勝にも貢献しました。代表合宿に参加するも怪我などもあって、久しぶりのワールドセブンズシリーズでしたが、期待通りの大胆なアタックでチャンスメイク。イギリス戦ではトライを奪われた直後のキックオフレシーブからのアタックで、逆転のトライをアシストしました。

大竹選手はキックオフの攻防でも高いジャンプで貢献してくれました

そして22-23シーズンを振り返ると、どの選手も本当に成長してくれたと褒めずにはいられません。東京五輪を戦った平野キャプテン、梶木選手、大谷選手、原選手、永田選手らはどの大会でも安定した質の高いプレーを見せました。そして東京五輪を目指しながらも代表入りを逃した中村選手、大竹選手は出場している時間帯で、インパクトを与えるアタックを見せてくれました。東京五輪後にチームに加わった須田選手はキレキレのステップ、安定したキックで得点力を代表にもたらし、最年少の水谷選手は先ほど書いたように代表チームの中での競争を勝ち抜いて良いプレーを見せました。須田選手に関しては、これまでの大会でタックルミスからトライを奪われる場面が目立っていましたが、この大会では狙って相手に刺さり倒すタックルを多く見せてくれました。きっと課題を認識して、集中的にトレーニングをしていたんじゃないかなと。サクラセブンズの司令塔として今後も期待大です。そしてトゥールーズ大会ではメンバー入りを逃しましたが、これまでのシリーズ大会に出場したベテランの小笹選手や、今は怪我からのリハビリ中の内海選手など、メンバー外の代表選手もサクラセブンズの活躍を支えてくれたと思います。

私が選ぶシーズンMVPは大谷選手、攻守にインパクトを与える貴重な選手

そしてシーズンを通してのサクラセブンズMVPを選ぶなら、大谷選手です。アタックでは思い切ったランニングでラインブレイクし独走、DFでは狙いすましたタックルにジャッカルなど、試合の流れを日本に引き寄せるプレーをどの試合でも見せていました。そしてバランスの取れたチームを率いた平野キャプテン、FWとBKを繋ぐSHで安定したゲームメイク。ボールを動かして周りの選手の強みを引き出しながらも、目の前にギャップがあれば鋭い走りで抜け出す。DFでは1対1の場面で相手をしっかり止める、狙いすました低いタックルで倒す、当たり前のことを当たり前にやってくれる安定感はまさにキャプテンでした。

サクラセブンズでは主力として何年も戦い続けてきた頼れるキャプテン
スペイン戦で見せた中央スクラムからの独走トライは、このシーズンベストトライの1つ。

ほかにもシリーズ通算24Tを挙げて、サクラセブンズのエースに成長したミニロケット原選手。シリーズ通算で参加した選手全体の中で3位のタックル数、サイズを上回る相手にも負けないフィジカル、フル出場も多く、チームに貢献し続けた梶木選手など、選手それぞれの強みがチームを前に進める歯車になりました。大会を重ねるごとに、選手間でチームでの役割もはっきりして、それぞれパフォーマンスアップに繋げられたのだと思います。他にも伝えたいことはどんどん出てくるのですが、文章量がだいぶ多くなってしまったのでこの辺で(苦笑)

今週末はリーグワンのプレーオフ、太陽生命WSSの熊谷大会が行われます。そこから9月に開幕するフランスW杯に向けて、ラグビーの話題も多くなってくると思うので、たくさん楽しんでいきましょう!

サクラセブンズ、仏大会を過去最高の順位で終了

安定したDF、落ち着いたアタックでスコア以上に素晴らしい試合でした。

週末にフランス、トゥールーズで行われたワールドセブンズシリーズ最終戦、3日目に日本代表サクラセブンズは予選プールで負けたイギリスに14-5とリベンジをすると、5位決定戦では前の試合でフィジーに勝利し、総合ポイント5位となって翌年のパリ五輪出場を決めたばかりのアイルランドを相手に、14-0と完封勝利して、過去最高の5位。予選プールで負けたイギリス、フィジーより上の順位で大会を終えました。そして総合ポイントでは大会前の28P(9位)から12Pを追加して40P。36Pで総合8位だったカナダが9位決定戦でスペインに14-15で敗れて10位となり3Pを加えて39Pになり、カナダを逆転。正直、カナダとの差は大きくて逆転は無理だろうなと思っていました・・・本当にすみません。トゥールーズ大会HPにあるの女子の試合結果一覧は、こちら

そして今シリーズの総合ポイントは、こちら。アイルランドは前2大会で成績が不振な中で挑んだトゥールーズ大会で予選でフランスに勝つなど、いい戦いを見せていました。最終戦はそんな大喜びの後、なかなか気持ち的に難しかったでしょう。日本との試合では何としても勝つという姿はあまり見えなくて、その日本との気持ちの差がプレーにも出ていたかもしれません。何はともあれ、ここ数年はコアチームへの昇格、降格を繰り返していた女子日本代表がこのシーズンは8年ぶりの8強進出を果たし、総合ポイントでも8位となったのは最高です!

シリーズ最終戦で大きく成長したプレーを見せてくれたサクラセブンズ

トゥールーズ大会は初日に2敗した試合は見れませんでしたが、そのあとの4試合はLIVEで観れました。勝った3試合は本当にベストゲームに近いというか、相手のプレッシャーにも慌てることなく、落ち着いてプレーし、個々の選手がしっかり繋がり、自分たちの力を出し切って勝った印象です。セブンズではどうしてもミスから流れを掴めずに惜敗することもありますが、本当に素晴らしい試合ばかりでした。最終戦のアイルランド戦でも前半終了間際、自陣G前でアタックを繰り返す中でもミスすることなくボールをキープ。ライン際のラックで相手に球を奪われるも何とかタッチに押し出して7-0で折り返したのが大きかったですね。

王者NZには7-29のスコア以上に今の実力の差を見せつけられました
これまでは弱点だったキックオフレシーブでも相手を分析して安定して確保できました

一方で王者ニュージーランドとのトーナメント準々決勝は7-29と完敗。粘り強く守れても球を奪えず、自陣G前でポーシャ・ウッドマンを捕まえに行くも倒せない。このシリーズを通じて攻守にMVP級の活躍を見せた大谷選手も、相手選手のステップからの急加速に振り切られてトライを奪われるなど、これまで以上に個々の差を感じる試合でした。でも今はそれでいいというか、悲観的にはならなくて良いと思います。今年は今回勝利したアイルランドやイギリスを相手に常に良い試合が出来る、言い方を変えれば大敗しないチームになって欲しいです。今の女子ラグビーを相撲の番付でいえば、シリーズ6大会のうち5大会を制した横綱NZに対して、大関が豪州で、関脇は米国とフランスといったところでしょうか。この4強から勝利するには、個々のフィジカル、スピードの更なるレベルアップが必要かなと思います。

NZから独走トライを奪った原選手、サクラセブンズのエースとして世界に認識されています

来週から始まる太陽生命WSSでもサクラセブンズの選手たちはそれぞれの所属チームで期待以上に活躍してくれるでしょうし、以前の報道などでもあるように世界トップクラスの選手も参戦します。そんな中で新たな代表入りを狙う選手のパフォーマンスにも期待せずにはいられません。ここから更にサクラセブンズが強くなるためには、個々の選手が強く速く大きくなっていく、その中でも横の選手との繋がり、連携が出来れば、またこの大会のように素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると思います。なお男子は予選プールで大敗するなど、この大会でも上位進出を果たせず13位決定戦でケニアに敗れて、14位に終わりました。

シリーズを戦った選手、そしてサクラセブンズをここまで強化し、導いた鈴木HCをはじめとした代表を支えるスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。総合順位8位から更に上を目指して、頑張れ日本!頑張れサクラ!

明日12日からワールドセブンズシリーズフランス大会

前回のブログ更新からしばらく空きました。GWの大型連休は金沢を旅行したり、実家に帰省して5日は母校で行われた小学生ラグビー大会、茗溪カップのお手伝いに行ってきました。茨城県内外の16チームの高学年が集まっての大会、天気も良く、私もレフリーをカップ戦の3位決定戦含めて4試合担当、楽しく過ごしました(ラグビーボールを触ったのが1年半ぶりかも)。

フランス大会の組合せ、男女ともに予選で勝利し8強入りを目指します

男女の予選プール組合せ、女子はイギリス、フィジー、スペイン、男子はサモア、オーストラリア、アイルランドと。

女子はこのトゥールーズ大会がシリーズ最終戦、現在総合9位の日本は10位のスペインとは4P差、11位のブラジルとは13P差です。予選プールでスペインに勝利し、8強進出を果たして欲しいですね。大会公式サイトのスケジュールはこちら、日本の初戦は明日夕方5:22からイギリスと、10:30からフィジーとです(LIVEでは見れないな、残念)。男子は明日7:23からオーストラリア戦、この試合が男子の開幕戦になります。同じく公式サイトのスケジュールはこちら。そのあと深夜0:26からサモア戦になります。降格濃厚な状況の中で8強入りを果たすには、初日の強豪との2試合、どちらかに勝利しないといけません。厳しい戦いになるとは思いますが、良い戦いを期待しています。

サクラセブンズのフランス遠征レポートはこちら、現地ではライバルであるカナダとの合同練習も行っています。今回の遠征メンバーには前回から中村選手が復帰、そして大竹選手が久しぶりの遠征メンバー入りしています。大竹選手は昨年の太陽生命WSSでも活躍しましたが、そのあと怪我などもあって、久しぶりのワールドセブンズシリーズではないでしょうか。ダイナミックなランはサクラセブンズの切り札になるかもしれませんし、原選手、水谷選手らフェニックスコンビでの活躍を期待しています。他のメンバーを見ても、去年から入替戦、W杯、そしてワールドセブンズシリーズを戦い抜いてきたメンバーばかりで、大きな怪我の離脱などなく、良いコンディションで調整してきたと思います。初日の2試合、特にフィジーとは大差がついてしまう試合が続いていると思うので、ここで良いアタックを見せることで良い雰囲気になると思います。頑張れサクラセブンズ!

サクラフィフティーンも明日12日から合宿、そして来週から海外遠征

そして女子15人制強化・TID合同合宿も始まります。協会HPの発表は、こちら。このFWタイトファイブを中心とした合宿は何回か行われてきました。そして17日からはカザフスタンに遠征するそうです。Asia RugbyのHPにあるカレンダーをチェックしたところ、アジアラグビー女子チャンピオンシップ(ARWC)は23日に日本VS中国、香港VSカザフスタンが行われ、28日にFinalが行われるそうです(日本協会はなぜ発表していないんだろう)。この2試合が秋の新たな国際大会のカテゴリーを決めるのでしっかり勝ってもらいましょう。またAsia Rugbyの別記事ですが、秋の国際大会でアジア1位が入るであろうDivision2は、南アフリカケープタウンで10月に3試合行われるようです。色々調べると、情報がUpdateされていますね。

来週末から太陽生命WSSも熊谷から開幕しますが、まずは日本代表の応援をしていきましょう。頑張れ日本、頑張れサクラ!